「病は気から」を科学する

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感想 : 19
  • Amazon.co.jp ・本 (392ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062179379

作品紹介・あらすじ

イギリス気鋭の科学ジャーナリストによる知的興奮のノンフィクション!
スピリチュアルブーム、自然志向で「現代医学VS.自然療法」という対立が生まれた。
「代替療法はまったく根拠のないエセ科学だ」と断じ、切り捨てる科学者。
「心の力ですべての病は直る」と極論を述べるヒーラーや、スピリチュアルをお金に変える商売人。
真実は、両者のはざまに存在した。
「心の力」を治療に取り入れている最先端科学の研究者と医療現場、患者に、綿密な取材を敢行。
がん、自己免疫系疾患、過敏性腸症候群、うつ、パーキンソン病、自閉症、慢性疲労症候群などの病気に、心がどのような役割を果たしているかを解き明かす。

*プラセボ効果を利用して鎮痛剤の使用量を抑える
*催眠術を利用して過敏性腸症候群の腸収縮を抑える
*味覚と臭覚を訓練し、免疫系疾患の治療に役立てる
*心の状態と生涯にわたる病気リスクの関係
*遺伝子の活性化など、心の状態が体の物理的構造に与える影響

エビデンスをもとに導き出された、「西洋医学=絶対」でもなく、「自然療法=インチキ」でもない「第三の真実」とは?
「病は気から」を科学すれば、思いや思考によって最先端医療の効果を最大化できる。
ページを繰る手が止まらない!知的興奮のノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • 病気や健康と心の関係に関して、解説した本です。前半のプラセボ効果の大きさとそれを実用的に生かそうとする試みや、正直に伝えるプラセボが効果があるという話、プラセボとパブロフの条件付けを組み合わせて、薬を減らす試みなどは知らないことが多かったので非常に興味深かった。後半は最近はよく聞く話が多かったので、徐々に興味が失われた。マインドフルネスなどは、結局はプラセボ効果をもたらすための方法で、効果があると信じ込ませられれば、なんでもいいのではないかとも感じた。思慮深く設計された研究で繰り返し効果が示されているというが、この本に出てくる手法のほとんどはいわゆるプラセボ効果を相殺する方法がなく、現実的にはまだこれから効果をしっかり立証する方法を探していく必要があるように感じた。

  • プラセボから催眠術、人の気遣いに至るまで、有効成分を投与する以外の心理的な”治療”がいかに人の身体に影響するかを複数の論文と取材を基に明らかにした本。
    身体の治療と精神の治療は分けて考えるのでなく双方からアプローチすることが有効だが、今の医学では7割に効果のあった催眠術より、2割に効果のあった新薬を有効と認めている。
    代替医療なんてトンデモ系の話ばかりかと思っていたが、実際に神経が免疫器官とつながっているために正に「信じる者は救われる」ということが起こり得るらしい。色々な新しい発見があり面白かった。

  • まずタイトルがいいですね。

    日本で昔から言われている「病は気から」という言葉。

    この本では心と身体の結びつきが病気や精神的な症状にどう結びつくかを科学的に分析しているので別に「気」という言葉の定義づけがされているわけではない。

    それでも日本人なら「病は気から」というキーワードを思い浮かべながらこの本を読むと非常にわかりやすいので翻訳の妙技を感じます。

    本文で非常に印象に残ったのが「要するに、私たちは人間であり、機械ではない」という言葉。

    この言葉をよく噛み締める必要があると思います。

    現代医療、代替医療の双方の問題点など考えさせれる内容も多く、またヒントとなる部分も沢山あります。

    おすすめの一冊です。

  • 「デタラメ健康科学ー代替療法、製薬産業、メディアのウソ」
    心は万能薬ではない。しかし一定の効果があるときもある。

    生活のあらゆる側面にプラセボ効果が存在する。
    身体が持っている天然ツールに限る。特定の症状に限られる。治療が無理でも自覚症状は変えられる。

    プラセボ薬は副作用から解放される。本物っぽい高いもののほうがプラセボでも効果がある。プラセボを売る会社がある。わかっていても効果がある。

    集団心因性疾患=プラセボと逆に、集団で病気になってしまう疾患=ノセボ効果=人間が生存するための体の知恵。

    免疫抑制プラセボ効果=免疫抑制剤の代わりにプラセボ薬が効く。

    高地で疲労しやすい理由は、筋肉中の低酸素ではなく、脳が酸素を確保するため運動させないように疲労感を演出しているから。
    疲労は脳が作り出す間隔。筋肉にはまだ余裕がある。身体能力の限界を作り出すのは筋肉ではなく脳。=セントラルガバナー。インターバルトレーニングによって、脳が感じる限界を上げることができる。
    患者が不治の病だと信じ込めば不治の病になる。

    催眠術に賭けられた人は、椅子が見えないように指示されると見えなくなるが、横切るときは、椅子を避ける。
    催眠術と従来の治療法を併用するべき。
    依存性のある鎮痛薬をプラセボによって減らすことができる。

    痛みは視覚的なもので注意をそらすことができる。
    脳が意識的に何かに注意を向けられる能力は決まっている。
    音楽は5%痛みを下げる、仮想現実の映像は35%の痛みを下げる。

    痛みは、関節そのものではなく、脳による間接の認識。セントラルガバナー理論と同じ。

    シマウマはライオンに追われてもストレスにならない。人間は失敗から学び未来を考える能力がある=ストレスを感じる。
    ストレスが慢性疾患を引き起こす。老化を早める=テロメアの長さが10年分短くなる。
    ストレスを挑戦と捉えられれば、よい反応が起きる。
    恐怖と捉えると、悪い結果が起きる。
    ストレスと感じたら、受け止め方をわずかに変えることを考える=支配されないようになる。

    瞑想がストレスを減らす。=マインドフルネス瞑想法。
    注意しないと、心と体は互いに食い物にする悪循環に陥る。瞑想でそれを救える。マインドフルネス瞑想によって、思考が浮かんでも、それに支配されない習慣を作る。

    社会的な絆が若さを維持させる。健康長寿のカギ。
    社会からの孤立は、肥満、運動不足、喫煙と同じくらい健康を害する。

    HRVバイオフィードバック=ストレスイレーザー、インナーバランスセンサーで、心臓の鼓動パターンを変える。心を落ち着かせることができる。

    敗血病は21世紀の疫病。

    心臓の鼓動を変えることは、迷走神経に働きかけ、体に影響する。迷走神経は心拍数を減らし、炎症のブレーキになる。

    ルルド。奇跡とは解釈。心には奇跡的な治癒は起こせない。ルルドは病院ではない。
    レイキには偽の治療以上のものはない。ホメオパシーも同じ。しかし一部の人に効果があることは事実。がんを治すことはできない。

  • 途中までしか読めませんでしたが、『身体のことは心のにも、心のことは身体にも影響する。別々ではない』というようなフレーズが印象的でした。
    身体と心は、確かにバラバラに診てしまいがちだけれど、表裏一体のもののはず。

  • 小さい頃、母親が怪我に絆創膏を貼りながら言ってくれた「痛いの痛いの飛んでいけ〜」という言葉には本当に効果があったのだ。
    これだから人間の脳みそは愛おしい。
    普段の不調や、なんとなく辛いはもしかしたら気のせいかもしれない。
    そんな楽観的で大丈夫か?と思うが、そのくらいが考え過ぎている現代人にはちょうど良いのかもしれない。

  • 代替医療を選ぶ患者や医師たちを幅広く取材し、医療のあるべき姿を探る本。現代の医療システムは、ますます技術優先となったため、薬や手術など医学的介入には積極的だが、患者の感情や経験は二の次になる傾向にある。妊婦のように、病院でのハイテク出産か自宅での自然分娩かといった両極端な選択を強いられたり、慢性疲労症候群の患者のように、病気の原因を体か心かのどちらかに違いないと決めつけられるなど、様々なジレンマに直面している。必要なのは、心と体が相互にやり取りし、反映し合っていることを理解し、それらを同時に治す治療法だ。

    プラセボを投与されて痛みが消えるのは、幻想でも思い込みでもなく、投与によって脳がつくる天然の鎮痛剤が放出されるという薬と同じ体のメカニズムなのだが、その効果は、背後にある病気のプロセスには影響を与えない。代替医療を万能だと信じ現代医療を拒み、心を利用する治療法に活路を求めても、早期の適切な処置がなさけなければ死ぬ可能性は高くなる。

    代替医療を選ぶ人たちが、無知で愚かだという見方には批判的で、彼らは経験的にそれが効果があることを知っているため、不合理でも何でもないと擁護する。必要なのは効果の冷静な見極めで、プラセボ治療であれば、長期間薬物治療を受ける傾向のある病気やうつ病など、薬にプラセボを超える効力がほとんどない病気に対しては、積極的に利用すべきだし、実薬をプラセボに置き換えることで投与量の削減も期待できる。

  • プラセボ効果の新しい面を認識できた。

  • 本書は、心が体に”物理的な”影響を及ぼし得るか、と言うことを知るために科学ジャーナリストである著者(女性)が、多くの医者や研究者たちの取り組みを調べていく”旅”です。この”旅”が描写されていくので結構長く、翻訳本なので若干読みにくいので結論だけ知りたければ最後の「おわりに」を先に読んでしまうことをお薦めします。著者のいいたいことはここに全てある。体調が悪ければ心も沈む、その逆もしかり。これは誰でも経験していることでしょう。しかし、心の持ちようが体調を左右する、と言われると、胡散臭いインチキ療法のようなものが頭に浮かぶのでは。しかし良く考えれば、心=脳も人間の臓器であり、デカルト流に心を体と完全に切り離すことはできないという気もする。そもそもホメオパシーだとか民間療法のようなものとか、宗教・信仰というのも、人間の心のあり方に影響を及ぼすことで、体にも影響を及ぼしているのかもしれない。本書に示される最新の調査結果では、偽薬効果(プラシーボ効果)と同程度の効果しかないクスリもあるようだ。と言うか、プラシーボ効果で心へ影響することが、実際に痛みの軽減や炎症の抑制などに影響することが示されつつあるらしい。そもそも、気持ち悪いものを見ることで吐いたりするのが人間であり、それは脳に入った情報が体に影響を及ぼす効果を示している。ストレスや環境の変化を受け取り、それに応じて体調を変化させるのは、進化の過程で人間が身につけた機能のようである。それを医療に応用することで、薬品の摂取量を軽減させることができるのではないか、ということだ。近代医学を否定する必要ないが、近代医学には否定されてきた代替医療とか自然医療、果ては宗教儀式のような、心が体に及ぼす影響をも近代医療に組み合わせていくことが必要なのかもしれない。しかしながらそのような効果を調べる研究は、医薬品の削減に繋がってしまうので大もうけしている製薬会社からはサポートされない。本来は医者は患者と十分に話をすることの方が効果があるかもしれないのに、実際は症状を数分聞いてクスリを出して効率よく患者を診て終わり。これは近代医療の資本主義社会化なのかもしれない。

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著者プロフィール

科学ジャーナリスト。生物学を学び、医療微生物学で博士号を取得。『ネイチャー』、『ニュー・サイエンティスト』などの一流科学誌で記者、編集者をつとめたのち、独立。『ガーディアン』や『エコノミスト』に寄稿。海洋考古学から遺伝子工学の未来まで、先端科学の専門家として執筆活動をおこなう。著書に『アンティキテラ 古代ギリシアのコンピュータ』『ツタンカーメン 死後の奇妙な物語』(いずれも文藝春秋)がある。ロンドン在住。

「2016年 『「病は気から」を科学する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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