金の仔牛

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 191
感想 : 31
  • Amazon.co.jp ・本 (306ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062179447

作品紹介・あらすじ

18世紀初頭のパリ。追い剥ぎのアルノーは、襲撃した老紳士に逆に儲け話を持ちかけられる。ミシシッピ会社の株を利用すれば大儲けができるというのだ。アルノーは話に乗り、出資者集めを引き受ける。当初300リーブルほどだったミシシッピ株は翌月に1000リーブルを突破し、投資者への返済は順調に履行される。株価はこれから4000まで上がると期待され、相場は過熱していく。アルノーはいまや羽振りのいい青年実業家に。-それは、株取引という名の「ねずみ講」だった。ルイ王朝下、繁栄をむさぼる18世紀初頭のパリを活写した傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • バブルってすごい、本当に実体がないんだなあ。舞い上がって狂騒に溺れて、あっという間に引いていく。
    株価が上昇していくところはドキドキして、調子が良すぎると不安になってきて、でもアルノーもニコルも浮かれていないから、最後はどうなってしまうのか目が離せなかった。

  • 読み終わった。18世紀フランスの金融バブルのお話。

    洗練された文体に洒脱な会話。読みやすいけれど、決してわかりやすくはないお話です。金融システムの知識があれば、すらすらとわかるのかな。巻末の「覚書」を読むと、時代背景が少しわかった気分になる。

    株券も紙幣も、それ自体に価値はなく、それに価値をつける人間がいるから価値が生まれる・・・。確かに、ただの紙切れだもんね。それを右から左と操って、濡れ手に粟の大もうけ。投資家になるのか相場師となるのか、賭けるものは金か命か、狂乱の株式相場を舞台に騙し騙され、敵か味方か、誰もが勝ち組めざして金融市場で踊りまわる。

    主人公のアルノーは、ほどよいおりこうさん。「ほどほどなら」うまくやっていける才覚と自信の持ち主、だけど分はわきまえている。そんなアルノーは、読んでいて結構可愛いヤツなのですが、なによりも魅力的なのはヒロインのニコルです。そりゃあ、誰もが彼女を助けてあげたくなるさ!

  • 「若旦那」風の主人公が物理的に痛い思いをしないで済む佐藤亜紀の小説。
    …すみません、数字が全く弱いので、多分本来感じるべきスリリングさはきっと堪能できてないと思いつつ★4つ。
    いやあでも、最後の一行まで読ませる小説でした!人物描写も非常に洒脱、魅力的な登場人物を矛盾なく描き切っています。若干おとぎ話の様。
    バキバキとしたキレの良い日本語は本当に美しいです。

    表紙の絵が非常に可愛いです。中表紙の特殊紙もレースみたいな綺麗な紙で素敵です。これはタイトルと表紙絵と装丁に騙されて手に取ると火傷しそうな重さだなと思いつつ、著者は表層しか描いてないとの事。うーん、深い。

  • 世界史上の三大バブルの一つに挙げられるミシシッピ会社事件の時代、18世紀初頭のパリを舞台にした歴史小説。

    単純に、金融市場や投資術の成り立ちを知ることができるという意味で興味深い。
    投資については完全な素人である自分には完全には理解できないまでも、証券化やデリバティブによるリスクヘッジ手法や、空売りによるの初歩的な考え方というかその萌芽を感じることができます。
    或いは、それまで金や銀などの貴金属が通貨の役割を果たしていたものが、兌換紙幣となり、不換紙幣となり、やがて通貨が単なる数字の「記録」となっていく、その展望も含めた過程を俯瞰することも。

    で、そこに投資家紳士や追剥ぎの親方、故買屋、残虐貴族などの怪しげなキャラクタが乱立し、猥雑で絢爛な大混乱の時代を主人公のカップルが軽やかに駆け抜けていく痛快さ。
    描かれているのはほんの一年程の期間、バブルが最大限に膨らみ弾けるスピード感と刹那感がなかなか佳い余韻を残してくれます。

  • ・・・佐藤亜紀作品がすっきりたのしいお話だと、逆に違和感を感じるなあ。
    いやすてきなエンタメ文芸なんですけど!
    軽くお勧めしやすいと言うことで。

  •  バブルとその崩壊寸前までのフランスの狂乱の時代を描いた小説。
     追剥が株で儲ける「紳士」となるまで。
     非常に読みやすく、18世紀フランスの「ウォール街」といった感じ。

  • 2012-9-14

  • ファンタジックな経済小説

  • 2017/4/18購入
    2018/4/2読了

  • 18世紀ヨーロッパの金融バブルを題材にした話。具体的な数値(金額)がどんどん出てくるが、逆にそれが現実離れしたファンタジー感を出しているとも言える。人間描写の繊細さは流石だと思った。特に、三つ子の老人の描き方が気に入った。出てきた当初は、他の登場人物と比較して才覚のない人間のように描かれていたが、最後は三賢者のようにうつる。

    暗に男はバカで地に足付いているのは女、ということを表現しているようにも見えるけど、バブルはその地、すら浮き上がらせているのかな?

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著者プロフィール

1962年、新潟に生まれる。1991年『バルタザールの遍歴』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。2002年『天使』で芸術選奨新人賞を、2007年刊行『ミノタウロス』は吉川英治文学新人賞を受賞した。著書に『鏡の影』『モンティニーの狼男爵』『雲雀』『激しく、速やかな死』『醜聞の作法』『金の仔牛』『吸血鬼』などがある。

「2021年 『ミノタウロス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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