金の仔牛

  • 講談社 (2012年9月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784062179447

みんなの感想まとめ

金融バブルを舞台にした物語は、18世紀フランスの狂騒を描き出します。株価の急上昇とその背後に潜む不安感が、読者をドキドキさせ、最後まで目が離せない展開を生み出します。主人公のアルノーとヒロインのニコル...

感想・レビュー・書評

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  • バブルってすごい、本当に実体がないんだなあ。舞い上がって狂騒に溺れて、あっという間に引いていく。
    株価が上昇していくところはドキドキして、調子が良すぎると不安になってきて、でもアルノーもニコルも浮かれていないから、最後はどうなってしまうのか目が離せなかった。

  • 読み終わった。18世紀フランスの金融バブルのお話。

    洗練された文体に洒脱な会話。読みやすいけれど、決してわかりやすくはないお話です。金融システムの知識があれば、すらすらとわかるのかな。巻末の「覚書」を読むと、時代背景が少しわかった気分になる。

    株券も紙幣も、それ自体に価値はなく、それに価値をつける人間がいるから価値が生まれる・・・。確かに、ただの紙切れだもんね。それを右から左と操って、濡れ手に粟の大もうけ。投資家になるのか相場師となるのか、賭けるものは金か命か、狂乱の株式相場を舞台に騙し騙され、敵か味方か、誰もが勝ち組めざして金融市場で踊りまわる。

    主人公のアルノーは、ほどよいおりこうさん。「ほどほどなら」うまくやっていける才覚と自信の持ち主、だけど分はわきまえている。そんなアルノーは、読んでいて結構可愛いヤツなのですが、なによりも魅力的なのはヒロインのニコルです。そりゃあ、誰もが彼女を助けてあげたくなるさ!

  • 「若旦那」風の主人公が物理的に痛い思いをしないで済む佐藤亜紀の小説。
    …すみません、数字が全く弱いので、多分本来感じるべきスリリングさはきっと堪能できてないと思いつつ★4つ。
    いやあでも、最後の一行まで読ませる小説でした!人物描写も非常に洒脱、魅力的な登場人物を矛盾なく描き切っています。若干おとぎ話の様。
    バキバキとしたキレの良い日本語は本当に美しいです。

    表紙の絵が非常に可愛いです。中表紙の特殊紙もレースみたいな綺麗な紙で素敵です。これはタイトルと表紙絵と装丁に騙されて手に取ると火傷しそうな重さだなと思いつつ、著者は表層しか描いてないとの事。うーん、深い。

  • 金の仔牛

    18世紀初頭のパリで起こった株バブルとそれに踊った人々のお話。
    オランダチューリップバブルやイギリス南海泡沫事件に並ぶ、ジョン・ローが引き起こしたミシシッピ会社事件の顛末が、追い剝ぎを生業としていた若者アルノーを主人公としてへ語られていきます。
    今の株式市場の元の仕組み、逆張りの方法などがこの時代に既に考案されていたことに驚くと共に、今も昔も金儲けに関しては人は変わっていないんだなあということが思い返されます。
    ルイ王朝の作った莫大な借金を株として売り出して、その価値を落とさないために大量の紙幣を刷る。
    どっかの国でやっている、いや、やろうとしていることと同じような・・・

    竹蔵

  • 世界史上の三大バブルの一つに挙げられるミシシッピ会社事件の時代、18世紀初頭のパリを舞台にした歴史小説。

    単純に、金融市場や投資術の成り立ちを知ることができるという意味で興味深い。
    投資については完全な素人である自分には完全には理解できないまでも、証券化やデリバティブによるリスクヘッジ手法や、空売りによるの初歩的な考え方というかその萌芽を感じることができます。
    或いは、それまで金や銀などの貴金属が通貨の役割を果たしていたものが、兌換紙幣となり、不換紙幣となり、やがて通貨が単なる数字の「記録」となっていく、その展望も含めた過程を俯瞰することも。

    で、そこに投資家紳士や追剥ぎの親方、故買屋、残虐貴族などの怪しげなキャラクタが乱立し、猥雑で絢爛な大混乱の時代を主人公のカップルが軽やかに駆け抜けていく痛快さ。
    描かれているのはほんの一年程の期間、バブルが最大限に膨らみ弾けるスピード感と刹那感がなかなか佳い余韻を残してくれます。

  • ファンタジックな経済小説

  • バブル経済という言葉は、マネーや株をまったく知らない人にも負の響きを与える。でもその渦中にあるとき、危うさは見えにくいもの。

    舞台は18世紀初頭のフランス。ルイ14世が莫大な借金を残して崩御した後、深刻な経済状態に陥った。当時、通貨は金や銀そのもので、手元に無ければ何も買えない。

    いまの世でいうなら、アルミ製の1円玉や銅製の10円玉は金属業者が物を作る材料として買い取ってくれるとして、でも1万円札は単なる紙なのでメモ用紙にしかならないのと似る。お札を等額の商品と交換してくれる人がいるから、そう使えているだけ。

    この作品は、金融システムがまだ実験段階だった時代に発行された株券をめぐって、濡れ手にアワを目論む悪党たちの物語。株券は前述の1万円札のような立場だ。ただの紙切れだけど、買いたい人間がいるならその値段の価値を持つ。儲けるには、もっと高く買いたい奴に売ればいいだけ。

    作者はカネをめぐる「おとぎ話」と述べているが、ある程度の経済的知識がなければ(数字に対するアレルギー耐性もw)読みきれないくらいハードルが高かった。しかも対話体、7割くらいが会話で占めており、主語を自分で推測しなければいけない。正直、骨が折れた。映像向きの作品と思う。フランスのバブルという設定自体は珍しいのではないか。貴族的なきらびやかさと、いつか崩壊が訪れるスリルとが絡み合う。

  • 読みやすいけど、分かりやすいわけじゃない。

  • フランスのミシシッピ計画を舞台にしたマネーゲーム

  • ・・・佐藤亜紀作品がすっきりたのしいお話だと、逆に違和感を感じるなあ。
    いやすてきなエンタメ文芸なんですけど!
    軽くお勧めしやすいと言うことで。

  •  バブルとその崩壊寸前までのフランスの狂乱の時代を描いた小説。
     追剥が株で儲ける「紳士」となるまで。
     非常に読みやすく、18世紀フランスの「ウォール街」といった感じ。

  • 2012-9-14

  • 2017/4/18購入
    2018/4/2読了

  • 18世紀ヨーロッパの金融バブルを題材にした話。具体的な数値(金額)がどんどん出てくるが、逆にそれが現実離れしたファンタジー感を出しているとも言える。人間描写の繊細さは流石だと思った。特に、三つ子の老人の描き方が気に入った。出てきた当初は、他の登場人物と比較して才覚のない人間のように描かれていたが、最後は三賢者のようにうつる。

    暗に男はバカで地に足付いているのは女、ということを表現しているようにも見えるけど、バブルはその地、すら浮き上がらせているのかな?

  • どいう話なんだろ?と思ったらば。
    なんと!!株ですか。
    目の付け所が、さすがだ。
    作中に出てくる数字がだんだん大きくなりすぎて、何が何やらではありましたが、面白いです。
    人間模様が愉快。

  • 株を題材にした小説なんて他に読んだことがない。最後まで展開が読めなくてハラハラした。

  • ルイ15世治世下のフランスを舞台にした経済小説。数字と企みの連続に頭がくらくら。最後がハッピーエンドなのかバッドエンドなのかドキドキしながら読んだ。

  • とにかく描写が洒落ていてリアル!
    著者が本当に日本人なのか疑いたくなるくらい、18世紀フランスや当時の人たちの様子がリアルに想像できる描写。
    若い主人公2人が魅力的だし、個人的には3兄弟もいい味出していたと思う。

    ただ、株の話がメインなので、途中でなにがどうなっているのかこんがらがってしまうこともあった。

  • なんと言っても文体が美しい。テンポがよく、情景もビビットできれい。

    「そのまま、ニコルはまた寝てしまう。二人はそのまま午後まで目を覚まさない。」のくだりなんかは、豪奢な宿で寄り添って寝るアルノーとニコルが目の裏に浮かぶよう。

  • 第3回(2013年度)受賞作国内編 第6位

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著者プロフィール

1962年、新潟に生まれる。1991年『バルタザールの遍歴』で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。2002年『天使』で芸術選奨新人賞を、2007年刊行『ミノタウロス』は吉川英治文学新人賞を受賞した。著書に『鏡の影』『モンティニーの狼男爵』『雲雀』『激しく、速やかな死』『醜聞の作法』『金の仔牛』『吸血鬼』などがある。

「2022年 『吸血鬼』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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