和牛詐欺 人を騙す犯罪はなぜなくならないのか

著者 :
  • 講談社
3.33
  • (0)
  • (5)
  • (6)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 43
感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062179768

作品紹介・あらすじ

負債総額4300億円、被害者総数7万人。戦後最大の消費者被害事件となった「安愚楽牧場事件」の真相とは?"詐欺専門"の異名をとる記者が調べ尽くした詐欺犯罪のすべて。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 被害者は悪くない。騙す人間の方が悪いに決まってるってのはクラピカもそう言っております。 ヾ(゚Д゚ )ォィォィ

    2011年に破綻した和牛商法による安愚楽牧場をめぐる事件について顛末が述べられています。一般の方に是非読んでほしいと思います。小難しい部分は飛ばしてもいいですから。(自分も全部はわかってない)



    色々な「優良な投資」を聞いてきた方には、似たり寄ったりの売り文句が多々出てくると思います。長期間、配当遅延なしを謳う会社がいきなり破綻し、出資金も殆ど戻ってこない。過去はあくまでも過去(しかも無理やり作られた実績) それは将来を確約しないのです。

    自転車操業・経営の実態も取材結果から述べられており、非常に興味深いです。最初から詐欺行為を行おうと思っていたのか、最初は真っ当に(ハナから回らないビジネスモデルだったようですが)やろうとして、後々厳しくなり詐欺まがい→詐欺の道に走ったのか。

    ちなみに、当時からここの危なさを認識出来た個人投資家はどの程度いるのでしょうか。そのあたり、自分の目利きの能力と自覚するのもいいかと思いました。少なくとも今色々と勧誘されているビジネス・出資なども、似たような匂いが沢山あります。「詐欺だ」というのは簡単ですが「どの点が詐欺だと推定出来るか」までおおよその数字込みで考えてみるのも頭の訓練になるかもしれません。

    P37に、自分も巡回しているブロガーさん「ホンネの資産運用セミナー」が紹介されてまして、ちょっとビックリしましたが、「まず、プロ(金融機関・機関投資家)が参加していない市場=素人(個人投資家)だけのマーケット(金融商品)に手を出してはいけないという大原則に立てば ~」(一部抜粋) とあります。大口からまとめて出資してもらう方が双方効率がよいのに、そうしない案件であるということですかね。ビジネス視点がない人が出資をすると、ただ搾取されるだけの可能性が非常に高いと思います。

    ※そういえば、数年前に案件を聞いたことがありますが、月3%の配当が出るという、スポーツの賭けによる裁定取引で利益を得る投資案件、どっか1社がダメになったと聞いたが、その後どうなったのだろうか...確か1年縛りと聞いていましたけど...元金はちゃんと戻ってきたんでしょうかね

    また、勧誘手法等じゃなく、会計・財務諸表の視点からも、粉飾の疑い・おかしい点などが述べられています。これは、勝間和代氏の「決算書の暗号を解け」を読んでたから、非常に興味深く読めました。私も...5年くらい前でしょうか。当時、同社の資料を取り寄せて決算書を見た上で見送ったりしていたのでなかなか勉強になります(検討はしていたのか、って話ですが) 少なからず財務分析はそれなりに引っかかる所もあったので、まるっきりバカな読み取りをしていたわけでもなく、少し安心しました。

    そういえば、配当(出資金元金だったかな?)が遅延したとブログで載せられた事があって「遅延は事実ですか?」と聞いたら無反応だったので、数日後に同じアドレスで「私は出資を検討しますが、質問があります(超適当な質問)」と書いて送ったら、ご丁寧に回答が返ってきたので、ちょっとウケましたが。

    そういえば、破綻前後の時、ブログに少し書いていました。

    http://amayaho.blog66.fc2.com/blog-entry-351.html
    2011-07-07(20:06) 安愚楽牧場はどうなったのか

    http://amayaho.blog66.fc2.com/blog-entry-372.html
    2011-08-01(20:09) とうとう安愚楽牧場が...

    第二章は、筆者が追いかけていた類似事件「ふるさと牧場」の件がまとめられています。なんていうかやっぱり「詐欺だらけだが、ここだけは信頼出来る」って感じで出資する(当たり前か...)方が多いのですね。良質な投資案件があったとして、「一般人」が「事前」に「外部から理解出来る」か? という点がポイントと思います。

    プロ・機関投資家が入っていない案件は既にそれ自体が美味しくないと考えて良いと思います。規模が小さすぎて入る余地が無いのであれば別ですが、その場合は多数の個人出資者を募ったりしないでしょうから。

    全部の案件がダメ・詐欺かと言えばそうではないのは確かかもしれませんが、洗浄されていない市場での案件は玉石混交であることも十分に踏まえ、ビジネスモデル・会計的観点からも必ず考えて、仮に投資案件が破綻しても自分の生活が破綻しない事を考えて意思決定する必要があります。

    まぁぶっちゃけて言うと、「自分がカモるくらいの自信がなければやめとけ」って事と思います。



    詐欺をした、お前を騙した、なんて言ってお金を取る人間は三流の詐欺師と思います。そんなバカなやり方する人は殆どいません。「騙すつもりはなかった」人の頭の中まではわからない。詐欺罪で逮捕させるのも難しいし、その出資金が戻るかも非常に怪しい。この本で述べられている詐欺師の言い訳・謳い文句、貴方が聞いている謳い文句と酷似していませんかね。読んだ人はドキッとするんじゃないかな。

    騙すほうが悪いのは確かですが、いらぬトラブルを避けるためにも、自分での意思決定と、よくわからない商品に手を出さない・自分の人生が破綻しない程度に留める、という事は徹底したいものです。

  • 騙す騙さない以前に、そもそも投資先としてNG。よくわからないものに投資をしてはいけません。

    本書のテーマとなっている和牛商法は、投資者が出資金を出して繁殖牛のオーナーとなり、生まれた子牛を出荷して得られた利益を配当金として投資者に還元する、という投資手法だ。

    和牛商法の先駆け的存在である安愚楽牧場は、最終的に4200億円の負債を残し破綻した。
    和牛14万頭を要したビジネスモデルは、最終的には新規オーナーからの預託金を配当に回すという自転車操業に陥っており、つまり経営者側はビジネスモデルが成り立たないことがわかっていながら、オーナーを募る詐欺となっていたのである。
    本書は、和牛商法の当初から胡散臭さを感じていた著者氏が、破綻してからその真相に暴きにかかる、後出しじゃんけ、、、じゃない、事後検証をする一冊。

    本書でもなんども指摘しているように、確かに安愚楽牧場に限って言えば、間違いなく詐欺だ。
    ただし、畜産的観点からよくよく見てみれば、そもそもこんなビジネスモデルが成り立たないことはわかる。

    本書で紹介されている安愚楽牧場の投資コースの例として、
    100万円を払って牛3分の1頭分のオーナーになり、4年間、毎年38,000円の配当を得られるというものがある。
    つまり、1年間で牛1頭あたり114,000円配当が支払われる。

    一方で、農林水産省の統計では、黒毛和牛の子牛の1頭あたりの販売価格が784,652円であるのに対し、投入コストは604,730円(それぞれ平成29年度の平均)。
    つまり子牛1頭を育てて、売って得られる利益は78万4千円ー60万5千円=179,000円といったところだ。

    利益の3分の2が配当として持っていいかれて、そもそもの畜産経営が成り立つわけはない。

    詐欺にあってしまった出資者さんは大変お気の毒だし、詐欺をやった安愚楽牧場は確かに悪い。
    でもその前に、よく調べて投資先を選びましょう、っていう教訓を教えてくれる一冊です。

  • 2012年刊行。共同通信の記者が、安愚楽牧場、ふるさと牧場事件をレポートしたもの。「あふれる詐欺被害事件」「現代の詐欺事件は生命犯罪(殺人罪等)に近い」というフレーズが全てを物語る。実態に迫った良質のレポートといえる。

  • 新聞記者による取材雑記のようなレベル。「安愚楽を詐欺だと判断したと同じように」のような文章の稚拙さにはじまり、林原のことを「トレハロースで有名な東原」とそのまま誤記したり、事件の構図を解説する大学教授が誰かも明かさないなど目に余る。そもそも、巻末には参考文献もないので、ノンフィクションを読んだというよりは個人的な印象論を読まされた気分。関係資料を徹底的に読み込んでというのではなく、「この時点から詐欺だと認識していたな」と早合点した体当たり取材で、記者の直感も大事だが、スタンドプレー報道の危うさを感じた。

    安愚楽の30年が畜産業界に与えた影響をもっとよみたかった。特に、預託農家が「安愚楽に救われた」と言わしめるほどの関係の背景にどのようなことがあるのか、あるいは「安愚楽バブル」と言われる業界に与えたインパクト、相場の乱高下、それと2010年の口蹄疫騒動に裏でどのように関わってきたのかなど。優れた書き手の登場を待ちたい。

  • 先日ニュースになったばかりの和牛オーナー商法、安愚楽牧場の詐欺商法及び同業のふるさと牧場事件に関する本。とは言え、詐欺商法はかねてから噂されておりそれが本当に詐欺であった事が明らかになったと言うだけのことで特に目新しさは無い。

    著者は共同通信の記者で、自ら安愚楽牧場の記事を書くことでその実態を世に明らかにし、そして倒産へと追い詰めたわけであるが本書ではその取材の過程や詐欺と判断するに至った経緯等を改めて纏めたものである。また本書の後半はその詐欺商法摘発の前例ともいうべき「ふるさと牧場」の取材過程や顛末も改めて回顧されている。

    が、しかし一方でふるさと牧場事件で和牛オーナー商法が話題になった際になぜ同業であり最大規模の安愚楽に関していま一歩突っ込んだ調査・報道がなされなかったのだろうかという疑問も湧いてくる。本書で記者自身が多忙にかまけて、と簡単に記しているが「えっ、そんな理由?」というものだしそれを書く純朴さにはやや鼻白む感も無きにしもあらず。

    そもそも牛農家(または養豚・養鶏農家も)が過去そして現在も販売価格低下で苦しんでいるのを知っているのであれば、何故にして和牛オーナー商法だけが世の中の趨勢に反して安定的に配当を生む利益を出すことが確約できるのか素朴な疑問を持つべきであろう。

    マルチ商法で一度味を占めた奴は一つの事業を潰しても次々と形を変えてマルチ商法を繰り返すという例が多いとは言うが、本当の悪い奴=頭の良い奴は本件が明るみに出る前には安愚楽牧場から大金を摘んで逃げ切っているということのようだ。人知れずまたどこかで詐欺商法を企んでいるのかも知れない。

全6件中 1 - 6件を表示

斉藤友彦の作品

ツイートする
×