七緒のために

著者 :
  • 講談社
3.13
  • (15)
  • (59)
  • (105)
  • (45)
  • (7)
本棚登録 : 577
レビュー : 115
  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062179829

作品紹介・あらすじ

二度と還らない友情のきらめき、そして痛み。純粋さゆえに傷つけあう少女の日々を描く、珠玉の物語。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • この間、久々に中学校の友人と会い、お互いのだけでなく同級生の
    近況報告もしていたところ、意外に当時のことって覚えているもので。

    「あの頃、みんなちょっとおかしかったよね」
    「中二病というか思春期だったんだろうね」
    「みんな今は落ち着いたもんだよね」

    …と意見が一致しました。

    当時は仲良かったはずなのに、卒業以降は一度も会ってない子もいたり、
    つまらないことで仲違いをして、卒業のころには口もきかなくなっていたり。
    今なら傷つけあわない距離を保って、落ち着いた関係が築けるのかな。

    ふわふわとした不安定な時期。
    何であんな小さなことを一日悩んだりいざこざの種にしていたのだろう。
    つまらない見栄は今だってはってしまうけれど、中学生のときのそれは、
    自分の居場所を作るための必要な過程で。
    嘘吐きだって蔑まれても、それをやめることができない。
    あの頃の私たちの中にも「七緒」はいたんだろうと思う。

  • 島本さんにしては珍しく女の子二人のお話。読みやすかった。


    七緒と雪子は多感な中学生。
    珍しくダメ男が出てこなかった。(来栖先生が、かなりあやしかったけど)


    自分たちの思春期の頃、こんな感じで
    昨日までべったりだった子が、些細なことで手のひらを返したように
    「絶交」になり、もう卒業まで話さない。
    卒業間近になって、なんであの子と絶交になったのかさえ
    忘れてしまって、でももう甘い関係は戻ってこない。
    All or Nothingな世界。危うい時期。


    現在はもっと複雑で過激で・・・。
    信じられないような事件が多くって・・・、鬱積、抑圧された
    行き場のないおもいが ちょっとしたボタンのかけ違いや
    言葉一つで引火・爆発して
    凄惨な事件に発展してしまうような気がする。 
    自分の子供を社会に出すのがこわい世の中になってしまった。


    私は「七緒」みたいだった時期がある。
    「雪子」だったこともある。
    七緒のまさかの「超能力者」発言に私は笑えなかった。痛いくらい
    気持ち分かるから悲しい・・・というか、切なかった。

    『最も悲惨な貧困とは孤独であり、愛されていないと感じることです。』
    という、マザーテレサの言葉を思い出しました。

    二人とも生まれて「祝福」を受けることなく、両親から愛も与えてもらえなかったんだろう。
    きっと心も体も「嵐」でもみくちゃ状態だ。

    七緒は小さな女の子が泣きながら「私だけを見て」「頭を撫でて」
    「ぎゅっと抱きしめて」「愛していると言ってよ、パパ、ママ」
    と、幼子が駄々をこねて、すねているようなイメージ。
    (七緒 丸ごとインナーチャイルド)

    「いつか大人になる日まで」の朝子をソフトにしたような
    そんな印象を受けました。

    30歳前後なのに、10代の頃の気持ちが分かったり
    そのまま引きずっているのなら、生きづらいだろうな・・・島本さん。
    「七緒」の原型が島本さんなんだろうなぁ・・・と勝手に思ったりしました。


    「水の花火」は瑞々しくって「きみが降る日」のライト版のような・・・。
    結構スキだな~と思ったら、デビュー直後の初期作品だったようです。
    こういう新旧の組み合わせ新鮮でいいと思います。


    デビューしてまだ10年くらいしか経っていないのに
    この成長っぷり。。。すごいわぁ~。

    どーしても受け付けない「ナラタージュ」読んで、
    長くて疲れそうな「アンダースタンド・メイビー」読んで
    島本さん作品コンプしたい。


    最近「あとがき」が素直で素敵な島本さん、成長しているなと
    感じる、親戚のおばちゃん目線な私です。
    帯の辻村深月さんの紹介文も素敵です♪

  • 虚言癖の七緒やカウンセラーとの中二美術部員の表題作とクラスの男子と姉とその元家庭教師の夫と姪と行く水族館等の高校生の「水の花火」。繊細で文学的な魅力がありそうなのに読解力がなくて上手く受け取れない。前者の少女達の陰りある秘密めいた雰囲気と後者の明るい雨のような瑞々しさが静かに寄り添うようで心地好い。

  • 境界性人格障害なんて言葉で語るのは大げさで、興醒めだけど…そういう少女達の物語。
    多島斗志之『症例A』、サラ ウォーターズの『半身』を思い出した。
    彼女のような女の子は同じ空洞を抱えた女の子を見逃さない。だって、求めていた理想のオーディエンスだから。そして次第に狂気は感染していく。互いに同じ周波数で共振し、嘘をついついるのはどちらか、狂っているのはどちらなのか、わからなくなってくる。どちらにしても、一人称の小説のなかの「嘘」は注意してかからないと。

  • 表題作は完全に愛着障害の物語。
    終わり方がとてもリアル。どうしたらいいかなんて真っ最中には難しい。
    『水の花火』はタイトルすごいなあ。

    島本の作品、親の居るんだけど居ない感じは変わらない。いまの世の中、いっぱい居るんだろうな~そういう子。島本もわたしも含めて。

  • 女同士の友情って、難しい。その上、うっとおしかったりもする。
    微妙な駆け引きや、強がり合い、探り合い、ヤキモチ、わがまま・・・
    例えば、一緒にトイレに行くような仲良しごっこがすごく苦手だったから、この本を読んでいるあいだ、重苦しく、気が塞ぐ感じだった。
    ここを通り過ぎて、もう戻らないでいいというのは、私にとって大きな救いだ。

  • カッターが出てきたあたりで読むのをやめました。こういうのは無理でした。ナラタージュの柚子ちゃんの手紙でも痛い描写がありましたが、こちらもいやですね。
    「女の子どうしの濃密な友情」ってレズ系かと思いましたが、そうでもない。

  • いつも感じるような息苦しさに似た切なさとは少し違う感じ

    なんかただ漠然と伝わってくるような・・こないような(笑)


    痛いところに無理やり押し入られる苦しさと
    痛いところに無理やり押し入る苦しさは等しいのかもしれない
    -水の花火-より

    この本を集約すると上記の一文になるかもなって私は感じました

  • 中学/高校生の不安定な友情、承認欲求が描かれた作品。狭いコミュニティでほとんどの時間を過ごすから一つの問題が感情を全て支配する感じ

  • 島本さんの筆から紡がれる情景は、色・音・匂い・湿り気、もちろん季節の移ろいも含めて、直ぐ傍らで私が居るような感覚。それも人の心の描写を際立たせる筆致で、浮き立つ寂しさが私はたまらなく好き。誰か大切な大人が傍に居なかったという根底的な欠落感を私自身も重ねているのだと思う。

    男女、或いは親子関係の島本さん作品を読んできたが、今回は女子同士。嗚呼、私苦手なんだ、こういう雰囲気。分からない、或いは掴めない人間性や関係性に大きな不安を感じるので、私はこういうタイプの人たちから勝手に逃避してきたなあと、感じた作品2作。

    自分を丸ごと理解してほしいと、相手に求めるが故、相手との相違や優劣を認めたくない。同質の人間関係性のみを至上の充足と必死に勘違いする感覚は特に若い頃の女子にありがち。だから、私は1人でいる方が楽ちんで選んできたのかもしれない。
    とは、いうものの正直になると、私の分かって欲しいという気持ち、まだあるけどね。めんどくさいなあ、ということで島本さん作品にしては星3つです。

全115件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

島本 理生(しまもと りお)
1983年東京都板橋区生まれ。都立新宿山吹高等学校に在学中の2001年に「シルエット」で、第44回群像新人文学賞の優秀作を受賞し、デビュー。06年立教大学文学部日本文学科中退。小学生のころから小説を書き始め、1998年15歳で「ヨル」が『鳩よ!』掌編小説コンクール第2期10月号に当選、年間MVPを受賞。2003年『リトル・バイ・リトル』で第128回芥川賞候補、第25回野間文芸新人賞受賞(同賞史上最年少受賞)。2004年『生まれる森』が第130回芥川賞候補。2005年『ナラタージュ』が第18回山本周五郎賞候補。同作品は2005年『この恋愛小説がすごい! 2006年版』第1位、「本の雑誌が選ぶ上半期ベスト10」第1位、本屋大賞第6位。2006年『大きな熊が来る前に、おやすみ。』が第135回芥川賞候補。2007年『Birthday』第33回川端康成文学賞候補。2011年『アンダスタンド・メイビー』第145回直木賞候補。2015年『Red』で第21回島清恋愛文学賞受賞、『夏の裁断』で第153回芥川賞候補。『ファーストラヴ』で2回目の直木賞ノミネート、受賞に至る。

七緒のためにのその他の作品

島本理生の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

七緒のためにを本棚に登録しているひと

ツイートする