ぬけまいる

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 253
感想 : 40
  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062180023

作品紹介・あらすじ

母と二人で一膳飯屋を切り盛りしているお以乃。譜代の御家人の良き妻・お志花。江戸で知らぬ者のない小間物屋の女主人・お蝶。若い頃は「馬喰町の猪鹿蝶」で鳴らした三人が、それぞれの鬱屈を胸に、仕事も家庭も捨ておいて、お伊勢詣りに繰り出した。かしましい道中は波乱の連続。

感想・レビュー・書評

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  • 元気な時代ものと来たら、まかてさんでしょう。(#^.^#) 今回は幼馴染のアラサー江戸女三人組の伊勢抜け詣りのお話。 それぞれの物思いがよくわかり、また道中のあれこれも楽しかった!  .



    抜け詣り、というと、訳も分からずおたなを飛び出してしまった丁稚さんがするもの、みたいなイメージがあったので、何も妙齢の女性たちがしなくても・・という危惧が。
    だって柄杓を持ちながら、街道の人たちに助けてもらって伊勢まで歩く、なんて、
    そんな“痛い”話はしんどいかなぁ、と思ったのですが、それがね!(#^.^#)

    お以乃(独身・一膳飯屋の娘、戯作者になりたいと思っている)
    お志花(御家人の内儀・元は浪人の娘で長屋育ち)
    お蝶(大店小間物屋の女主人)

    の三人は、若いころは「馬喰町の猪鹿蝶」と鳴らした三人娘だったのが、なぜ突然“抜け詣り”をしなくてはならなかったのか。
    一番落ち着いた暮らしをしているように見えるお志花が、それを言い出したのも謎を含み、おやおや、大丈夫なんですかぁ~~!と危うい道中に思えたんですよ。

    手形もお金も着替えだってほとんど持たず、行く手には悲惨なあれこれが待ち受けているのでは? 
    若くもない女三人がどんな思いをするのか、すごぉ~~くコワいんですけど、と小心者のじゅんは思ったわけ。

    でも、三人それぞれの才覚を発揮しながら、道中でしっかりお金を稼いでは旅を続ける様はとっても痛快でした!
    (#^.^#)
    また、街道で知り合う訳ありの人たちがそれぞれ魅力的で気持ちのいい展開。
    (ただ、大人を粉にかける“おしゃま連”の女の子たちはちょっといただけないかな。なんていうか、現実感がなくて、とってつけたようなエピソードになってた気がするから。)

    段々に読者に明かされる三人の事情や性格、恋が芽生えたり、ちょっとした歴史上の人物とのリンクがあったり、そして息詰まる(#^.^#)花札の勝負シーンなど。

    突っ込みどころがなくはないけど、まかてさん、好きだなぁ、と改めて思わせてくれた一冊でした。

  • 「痛快」って言葉がお似合い。

    良くも悪くも時代小説って感じが薄い印象で、文章のテンポの良さもあいまって、時代ものが苦手な自分でも快適に読めました。

  •  東海道中膝栗毛へのオマージュだろう、’’痛快’’の一言に尽きる。
     女性作家であって、男性作家では描ききれない3人の主人公のキャラ違いの描き方が非常に上手い。旅中のエピソードもワンパターンではない分、それぞれの女性ならではの存在感を醸し出しており、キャラの魅力をふんだんに引き出している。
     そして、江戸終期の時代物のはずなのに、知識を要せずさくさく読めて、直木賞とったのも納得の筆力。ごろさんのまさかの正体もちょっと遊んでて面白い。
     個人的にはおしゃま講との絡みがいちばん爽快だったけど、人情物もしっかり入れていた。この作家アタリだわ。

  • とっても面白かった。
    朝井さんの本は、雲上雲下のときにも思いましたが、設定は現代ではなくても、登場人物の考え方が現代的。今回も時代物とは思えない女性の旅は、とても痛快でした。
    個人的にはお志花ちゃんのラストに吹き出してしまいました。

  • 痛快娯楽時代小説。深く考えずとも楽しめる。でも女性としての悩みは共感でき、女性の生き方としては己を振り返って色々考えることもできる。ドラマ化しても面白いかも。
    主人公の女性達の勢いに元気をもらえるお話だった。

  • 江戸のかしまし娘・猪鹿蝶が伊勢を目指して東海道を旅する珍道中。
    それぞれ、明るく自分の道を生きているようで、それぞれいろいろ抱えていて、過去の栄光を懐かしみつつも、今の幸せを再確認する、といった感じですかね。
    ずいぶんと読むのに時間がかかってしまったので、散漫とした印象になってしまいました。

  • 時は1845年、江戸時代も後期である。
    かつては「馬喰町の猪鹿蝶」と呼ばれた仲良し3人娘、お以乃、お志花、お蝶。
    30歳を前にして、それぞれの生活に追われ、近頃では会うことも間遠となっていた。久しぶりに顔を合わせた3人は、日々の屈託に飽き飽きし、3人で伊勢参りをしようと話がまとまる。
    いわゆる、「抜け参り」である。
    家の者や雇い主などに黙って家を出て伊勢を目指し、路銀に困ったら、沿道のものの援助を仰ぐ。人の情けも受けることから、おかげ参りとも称する。抜け参りをするものは柄杓を下げて目印とするのが決まりである。

    旧友との楽しい旅路。街道沿いの名物や風俗。関所越えの困難。行きずりの恋。
    「木の芽時」や「三文安」といった言葉もさりげなくちりばめ、もちろん、伊勢参りのあれこれもわかる。朝顔栽培に丹精するいささか気の弱い男や、幼なじみだという2組の老夫婦のエピソードなどは、ほろりとさせる。そして、3人娘の1人が恋に落ちる、堅気じゃない雰囲気を纏った「ごろさん」は、実はあの人である、なんて驚きもある。
    旅を続けるにつれ、3人それぞれの悩みが次第に明らかになり、そして終幕には、お伊勢様の御利益か、それぞれが辿るべき道筋が何となく見えてくる。

    3人娘の名前が表すように、物語には花札が絡む。3人とも、素人だが花札遊びが好きなのだ。最初はこの設定がいささかしっくりこなかった。普通の町娘と、賭博にもつながる花札との関わりがどうも腑に落ちない。何となくぎくしゃくした感じで読み進めたが、終盤の見せ場にきて、ああここを描くためだったのかもな、と思う。

    「引っかかる箇所がまったく見つからず、文句の付けようがない」は言えないが、力業的にさまざま盛り込み、かつ最後は気持ちよく締めくくられる。
    なかなかの好品である。


    *『犬の伊勢参り』つながりです。本書には、犬は多分、1匹も出てきませんでしたけど(^^;)。

  • 幼なじみの3人が突然思い立ち誰にも許しを得ず伊勢参り=ぬけまいりに発つ。

    若い娘とも言えず(現代なら十分若いと思うけど)、さりとて、自分が年をとったと受け入れられる程の年でもない…そんな3人がそれぞれ様々な思いを抱えて旅をする。

    途中までゴタゴタしている3人にちょっと面白味を感じなかったが、途中からそれぞれが互いの持ち味を活かしてイキイキと立ち回るようになって俄然面白くなった。
    「痛快」って言葉がピッタリだと思う。

  • いや〜面白かった。三人娘ってのがいいよね。
    一緒について行きたくなっちゃった。

  • 若い頃は三人小町だった仲良し三人組。もう二十代も後半で、二人は結婚もしてこどももいるけれど、三人ともどこか不満を抱えていた。思いつきで言った「抜け参り」に三人で行くことになって……。それぞれ全く違う個性の持ち主で魅力的で、珍道中が楽しい!朝井まかてさんの作品で二番目に好きな作品になりました。ラブあり、老人あり、仕返しあり、金稼ぎあり。楽しいわ〜。現代ものしか読まない方にも読みやすい作品だと思います。

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著者プロフィール

1959年、大阪府生まれ。甲南女子大学文学部卒業。2008年、第3回小説現代長編新人賞奨励賞を『実さえ花さえ』(のちに『花競べ 向嶋なずな屋繁盛記』に改題)で受賞してデビュー。2013年に『恋歌』で第3回本屋が選ぶ時代小説大賞、2014年に同書で第150回直木賞、『阿蘭陀西鶴』で第31回織田作之助賞、2015年に『すかたん』で第3回大阪ほんま本大賞、2016年に『眩』で第22回中山義秀文学賞、2017年に『福袋』で第11回舟橋聖一文学賞、2018年に『雲上雲下』で第13回中央公論文芸賞、『悪玉伝』で第22回司馬遼太郎賞。2019年に大阪文化賞。2020年に『グッドバイ』で親鸞賞、2021年に『類』で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。他の著書に『ちゃんちゃら』『ぬけまいる』『藪医 ふらここ堂』『輪舞曲』などがある。

「2021年 『草々不一』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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