満月ケチャップライス

著者 :
  • 講談社
3.39
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本棚登録 : 334
レビュー : 77
  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062180122

作品紹介・あらすじ

-あれ以上においしくて元気の出る食べ物は、きっと、この世に存在しない。ある朝、中学一年生の進也は、妹の亜由美に起こされた。台所を見に行くと、知らない男の人が体育坐りで眠っている。夜の仕事をしている母が連れて帰ってきた人らしい。進也はあまり気にせず、いつものように目玉焼きを作りはじめると…「あ、そろそろ水を入れた方が、いいんじゃないですか?」3人家族と謎の男チキさんの、忘れられない物語が始まる。

感想・レビュー・書評

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  •  図書館より
     母親と兄と妹の三人家族の家に突如転がり込んできたモヒカン男。その髪型から”チキさん”と呼ばれるようになった彼は兄妹とも打ち解けていくのだが…

     朱川さんの小説らしい優しさの感じられる一冊だと思います。
     子の兄妹、兄の達也は小さい頃妹と公園に行ったとき、ほんの少し達也が目を離したすきに、妹の亜由美は足を怪我し右足が不自由になります。
    その後両親が離婚、亜由美は足が不自由なため友達と気軽に遊びに行くのが難しく、達也は自責の念を感じています。
    そうした二人がチキさんの優しさによって救われて、そしてだんだんと本当の家族以上に強い結びつきができていく様子は、読んでいる自分の心も温かくしてくれるような気がします。

     作中の”チキさん”が作る料理の描写も良くて、チキさんたち三人で料理している描写がこの本では何よりのお気に入り。
    チキさんの人柄はもちろんのこと、この温かそうな料理の数々が自分の心にぐっと来たのだと思います。

     そんなチキさんの優しさの理由が話が進むごとに明らかになっていくのですが、これが何とも切ない…。
    それだけに余計にこの不思議な関係性がずっと続いてほしいと読んでいて思わずにいられませんでした。

     終盤が実在の事件と絡めて描かれていたのですが、その展開が性急で練りこみ不足に感じたのがちょっと惜しく感じてしまったのですが、
    朱川作品の優しさの部分をとても感じることのできた小説だったと思います。

  • 朝起きたら、スナックで働く母親が連れ帰った、料理上手なモヒカン男がっっ!
    そのモヒカン男が言う『幸せな家っていうのは、いつもキレイなタオルと新鮮な卵がある』ってのが、本を読み進めるにあたって、主人公と共にじんわりと納得できる、優しいお話しでした。
    ただ、中盤から超能力が出てきたり、現実で起こった宗教事件が関係してたりでお話しが混在してきて、ラストがぼやけた印象があって、ちょっと残念な気持ちになってしまいました。。

  • 主人公の少年に、その周りを取り巻く暖かな人たちに、幸せになってほしい幸せになってほしい、と願いながら読み進めた。

    「人生は予想できないことの連続だ。」

    すらすらと読める割に、後に残ったのはじんわりと胸が痛むような哀しさ。

  • 中学生の進也は母と妹の亜由美と三人暮らし。ある朝目覚めると、チキさんと言うちょっととぼけた男を母が拾ってきていた。今までの男とは少し違うチキさんに、進也も亜由美も徐々に心をひらいていく。

    と、これだけ書くと非常にハートウォーミングな物語のようですが、亜由美は足が少し不自由だったり、亜由美の事故の原因は自分にあると進也は思い続けていたりと、少し悲しい部分も。
    だからこそ、他人であるチキさんのあたたかさが救いだったりするのですが、それもこれだけでは終わらない。チキさんは超能力者でした。

    はっきりではなくてもそうと分かる大事件のことが書かれていたので、その辺はちょっと余計だったかなあなんて思いました。

  • +++
    ―あれ以上においしくて元気の出る食べ物は、きっと、この世に存在しない。
    ある朝、中学一年生の進也は、妹の亜由美に起こされた。台所を見に行くと、知らない男の人が体育坐りで眠っている。夜の仕事をしている母が連れて帰ってきた人らしい。進也はあまり気にせず、いつものように目玉焼きを作りはじめると…「あ、そろそろ水を入れた方が、いいんじゃないですか?」
    3人家族と謎の男チキさんの、忘れられない物語が始まる。
    +++

    ある年齢以上の人ならだれでも一度は真似したことがあると思われる超能力のこととか、世の中を戦慄させるテロ事件を起こした宗教団体のことなどを織り込みながら、これほど切なく身近で、哀しくてしあわせにあふれている物語がほかにあるだろうか。人と人との出会いと心の結びつきの運命的な不思議さと、別れの理不尽さに涙を誘われる。チキさん・・・と思わずつぶやいてしまいそうになる一冊である。そして、チキさんの作ってくれるごはんが、簡単なのにどれもとてもとてもおいしそうで、素敵。

  • 腹減り系小説かと思ったらNIRVANA聴きたくなる系小説だった。朱川さんにしては全体的にとっちらかった印象?とは思ってしまったけど、チキさんと進也たちとのやりとりに漂う泣きたくなる空気はさすが。展開としては某団体絡まずに弟さん絡ませた方がわたし好みではあるけれど、そうしたらありきたりになるんだろうな。難しい。

  • 料理を通じて家族の絆を深めていくハートフルストーリーを想像していたけど、だんだん話が別の方向にシフトして行ってそのまま打ち切り漫画のように終わってしまった。
    父として兄として存在感を示し行動するチキさんに対して実の母が毒親すぎる。ほとんど育児放棄しているとしか思えないし、そりゃ妹の事故の件がなくてもこの環境なら屈折した子供になるよ。なんだかいろいろチグハグな内容だった。

  • p166「でも世の中の大人の人ってそんなに悪いことをしているものなの?無傷でいられないっていうのは大げさなんじゃない?」
    「全部が全部法律に触れるって言う意味じゃないけどね後悔や懺悔のない人生を送れる人はいないわよ。」
    「もしいたら?」
    「それは神様かいつだって自分が正しいと思っている馬鹿か本当に何もしなかったやつねくそつまんない人生ご苦労さん」

    この会話がすごく好き。
    チキさん大好き。
    みんな幸せになあれーーーー!

  • 小学生に読ませることができる朱川氏シリーズ(笑)

    超能力とか、某宗教団体とか、昭和生まれがあれか、となる内容盛りだくさんだけれど。

    さらっと作る料理が美味しそう。

    「幸せな家というのは、いつでもきれいなタオルと新しい卵がある」
    ナルホド。。。
    親が働いて、家事をやってくれるまでは 気づかなかったけれど、きちんと機能しているかを象徴するものだ。。

    関係性が壊れたことが途中から書かれている(回顧録のような形なので)ので、幸せであればあるほど切ないのだが。

    チキさんのラストが某団体とは関係ないのに、再会できなかったのが悲しいけれど

    本当、タイモング というものが非常に大切だ、とつくづく思う。。
    成功者も失敗者も それ次第なのではないだろうか。。

  • ホラーを読もうと思っていたのに、手に取ったのはどことなく癒し系の一冊でした。
    思ったのとは違ったけど、半ばからは想像もつかない方向へ話が進んでいき、ちょっと驚きました。

    ご飯を作って食べる、何気ない幸せなシーンがとても良かったです。

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著者プロフィール

朱川湊人(しゅかわ みなと)
1963年、大阪府生まれの作家。『都市伝説セピア』が直木賞候補。05年『花まんま』で直木賞受賞。ノスタルジックホラーというジャンルを開拓した。小説業のかたわら『ウルトラマンメビウス』の脚本も手がけるなど活動は多岐にわたる。著書に『サクラ秘密基地』『月蝕楽園』『冥の水底』『キミの名前』など多数。
2018年9月、『アンドロメダの猫』を刊行。

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