モーツァルトとレクター博士の医学講座

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 107
感想 : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (242ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062180214

作品紹介・あらすじ

"目からウロコ"の連続講義。「脳ミソ喰われても痛くないって、ホント?」「健康診断をうけないほうが長生きできる?」「脳死患者は本当に動かないのか?」医療ミステリーの鬼才がこんな疑問に医学的にお答えします。

感想・レビュー・書評

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  • 医師でもあり作家でもある著者が、教鞭をとっている大学での講義を、読み物にまとめたという本書。

    福祉関係の大学の医学概論講義だそうで、まさに基本になる人体のしくみを、歴史上の出来事や映画、文学、身近な事柄からギョッとするような話まで、興味を引くエピソードを絡めつつ、軽いタッチで説いている。

    大学の講義なだけにあまり馴染みのない用語も出てくるものの、呼吸器系、循環器系、消化器系など、全身を網羅しつつそれぞれの働きごとにコンパクトにまとめ上げられており、説明がくどすぎないところが、門外漢にはありがたい。

    非常に読みやすく、また日頃の健康管理の一助にもなりそうな事柄も満載で、楽しく読んだ。

    印象に残ったこと。
    ・ニトログリセリンが心筋梗塞や狭心症に効くというのは、ダイナマイト製造工場で働く狭心症の人が、工場では発作を起こさないことから発見されたそうだ。え?え?それって知らず知らずのうちにニトロを取り込んでたってことだよね?製造の過程で手についちゃったとか?空気中に漂ってるのを吸い込んだとか?わかるようで、イマイチピンとこない…。

    ・聴診器で胸の音なんか聞いても、肌に直接当てようが当てまいが、大したことはわからない。一箇所で長く聞きすぎず(患者が不安になるらしい)あまり素早すぎず、さっさと動かすようにしている、とのこと。
    うわ〜、ウチの近所の内科の先生は、聴診器が胸にあたってない、ちゃんと聞いてないとみんなに疑いの目で見られて、最近信頼を失いつつありますけど…。

    ・リンパ管は細くて薄く、開放性なので切っても縫う必要がないそうだ。
    うーむ、そう言われても、なんだかイメージしづらいぞ…。

    ・牛乳を飲みすぎると、血中のカルシウム濃度が急激に上がり、逆に排泄が進みすぎて、それを補うために骨のカルシウムが血液中に溶けて流れ込むので、かえって骨折しやすくなる。
    また、カルシウム不足の人のほうが結石ができやすいのも、慢性的なカルシウム不足で副甲状腺ホルモンが分泌され続け、骨から血液に過剰にカルシウムが溶け出して濃度が上がるため。
    なるほど。

  • ・大便の成分は水分を除けば、腸の粘膜から剝がれた細胞と、大腸菌など腸内細胞の死骸がほとんどで、食物のカスは5%ほどしかありません。

    ・「日本には技術的にも、設備的にも、経済的にも、心臓移植が可能なのに、なぜしないのか」
    私はこう答えました。
    「日本人は死に対して特別な感情を持っています。日本では、人が死ぬと仮通夜、通夜、葬儀、火葬と時間をかけて個人を偲びます。だから、脳死がなかなか受け入れられないのです」
    日本の特殊性を説明したつもりでしたが、相手はこう反論しました。
    「脳死の受け入れがつらいのは、イギリス人も同じだ。しかし、脳死になれば、もう助からない。臓器を提供してもらえれば、別の患者が助かる。だから、我々は誠意をもって説得する。悲しみの深さは、日本人もイギリス人も同じだろう。
    一人の日本人がイギリスで心臓移植を受けると、イギリス人が二人死ぬ。心臓を提供した者と、その心臓で助かったはずの患者だ」

  • (No.13-4) 医学読物です。

    著者は「廃用身」で衝撃の作家デビューをした医師。今は作家活動をしながら、在宅医療クリニック勤務、福祉系の大学で「医学概論」を講義されているそうです。
    これはその講義を読み物風にアレンジしたものだとか。
    この題名は、講義中の雑談にモーツァルトやハンニバル・レクターで脱線することがよくあるので・・・と書いてありましたが、内容にはほとんど関係ありません。
    まあ地味な本なので、書店でとりあえず手にとってもらえるような題名をつけたってことでしょうか。「久坂部羊(くさかべ よう)の医学講座」でも良かったと思います。

    ものすごくざっくりとした説明ですが、身体のすべてを網羅。ただそのために一つ一つの説明が2ページ程度と短くて、あ、もう少し説明して・・・と感じたことも多かったです。
    そして短いので、もう一つもう一つとするすると読めてしまいました。短い中に薀蓄とユーモアがたっぷりつまってます。

    ガンや認知症、脳死、など暗くなりがちの話題もさらっと語っていますが、著者の考え方もちゃんと伝えてくれているのでそれなりに納得できました。

    図書館の棚で偶然見つけたのですが、とっても面白かったです。

  • 最初から最後まで、大変興味深く読みました。
    すべてを覚えていたいと思いましたが、専門用語などは、読む端から忘れてしまって、我ながら、自分の記憶力を残念に感じました。



  • 重い作品が続いたので
    ここはひとつ
    好きなジャンルでライトめなヤツをと

    現役医師作家の中でも
    大好きな久坂部氏の新書

    実は、新書版になる前のを既に読んでて
    今回3周目 笑


    呼吸器系、消化器系、循環器系
    神経系、泌尿器系、生殖器系
    感覚器系、内分泌系、リンパ系
    皮膚、骨、筋系と

    順を追って、身体の仕組みがどうなってるか
    分かりやすく簡潔に解説してくれると同時に
    歴史上の人物や、有名な書籍のエピソードを
    織り交ぜながら
    ちょっとした豆知識も得られます


    例えば…

    「小腸の長さは、約7mあると言われているが
    これは死体の場合で、生きているときは
    平滑筋が収縮しているので、約2mほど」

    とか

    「心臓の心筋細胞は、生後すぐに増殖機能を失う
    成長するに従って、心臓が大きくなるのは
    一つずつの心筋細胞が肥大している」

    とか

    「膵臓の中にある、ランゲルハンス島は
    当時、若干21歳の医学生が発見した」

    などなど

    歴史上の人物では
    久坂部氏の母校である、阪大医学部の先輩にあたる
    手塚治虫や

    「羊たちの沈黙」や「ハンニバル」に登場する
    レクター博士が頻繁に登場する

    その他にも
    古典文学なども登場して
    元々医師になる前は、小説家を目指して
    文学青年だった片鱗が垣間見れる


    そもそも、久坂部氏
    父親もなかなか偏屈な麻酔医で
    医者なのに医療を信用してない人だったからか

    ご本人も

    「医学は、化学の中でも
    時代とともに変化しやすいので
    あまり信用しない方が良いです」

    とか言っちゃってます 笑

  • 医学知識の浅く広い小ネタ集。巷に流れる医療情報、健康情報に流されない為にも興味を持つことが大事。本書でも医療行為や薬品の販促目的に注意と何度となく指摘されている。情報発信者の意図を意識することは情報を扱う上での基礎であるな。

  • 2015/10/02

    雑学集みたいな感じで読みやすかった


    著者の大学生時代のサディストと噂された友人が彼女に振られた腹いせに利尿剤入りの紅茶を飲ませてから、ひどく渋滞する高速道路に乗って、尿意を我慢している彼女を見て愉しむていうストーリーにはちょっとひいた

  • 面白かった。読み易く 時折 クスっと笑ったり 妙に納得したり。人間の身体って やっぱり面白い。

  • 490

  • 医学の雑学本。専門的なことも分かりやすく書いてあるので読みやすくて勉強になりました。久坂部先生の授業は面白そうだ。
    自分の体の中でこんなにもたくさんの臓器が日夜休まず働いてくれてるのかと思うとなんだかふしぎな気持ちになりました。今の日本人は健康中毒で、逆にそれがストレスとなり寿命を縮めているというのは皮肉なものだなぁ。

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著者プロフィール

1955年大阪府生まれ。小説家・医師。大阪大学医学部卒業。大阪大学医学部附属病院にて外科および麻酔科を研修。その後、大阪府立成人病センターで麻酔科、神戸掖済会病院で一般外科、在外公館で医務官として勤務。同人誌「VIKING」での活動を経て、『廃用身』(幻冬舎)で2003年に作家デビュー。『祝葬』(講談社)、『MR』(幻冬舎)など著作多数。

「2021年 『R.I.P. 安らかに眠れ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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