昼田とハッコウ

  • 講談社
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本棚登録 : 703
感想 : 114
  • Amazon.co.jp ・本 (546ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062180269

作品紹介・あらすじ

若者に人気の町・幸福寺にある本屋さん「アロワナ書店」。地域密着型のこの書店で、三代目・ハッコウは名前ばかりの店長となった。その頃、ハッコウのいとこの昼田は、六本木ヒルズのIT企業に勤めていた。店内でぶらぶらするだけのハッコウと、店から距離をおいて会社勤めをする昼田だったが、書店の危機に際し、二人でゆっくり立ち上がる。

感想・レビュー・書評

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  • 脇役として役割を全うしたいと考えている主人公、昼田くんは自分はこういう人間だと決めたがっていると感じた。
    自分は何も期待していないんだとか、自分は穏やかに日々を過ごせればいいんだとか、そんなようなことを信じ込もうとしているんだと思った。
    だから昼田くんの語りには「こうありたい」「こう考えたい」という願望がたくさん混ざっていて、途中少しいらっとしてしまったりした。
    それはきっと私にもそういうところがあるからだ。
    昼田くんにとって怖いのは自分が無価値だと感じることなのだと思う。
    だからハッコウが自分以外の人と交流することにイライラするし、好きな人には好きと言えないし、銀次を受け入れてしまった。
    でも自分は達観しているんだと思いたがっていることで苦しんでいるんじゃないか。

    昼田くんにとっての家族、社会、町、仕事、書店、未来、過去、他人、自分のことが、昼田くんの言葉で語られている。
    日々の揺れもそのままに。
    彼の理想も混ぜたまま。
    言葉にしない思考の混沌がかなり再現されていると思った。
    当たり前のことだけど、他人の思考はしっくりしない。
    だから居心地が悪かった。
    見たくない自分が少し混じっていたことも理由の一つかもしれない。

    読み終わってから表紙の写真がアロワナ書店になっていることに気付いた。
    ブックカバーがとても可愛い。
    私もアロワナ書店で本を買いたくなった。

  • 表紙と舞台が本屋さんであることに惹かれて山崎ナオコーラ作品を初めて手に取りました。最初は冗長に感じてしまったりもしたのですが、するすると物語に引き込まれていくとそれがたくさんの登場人物をふわりと描き上げ読み手に沁みこませていく手腕なのかなと思います。500頁以上に本当にたくさんのテーマが詰まっています。あまり好きでない言葉がいくつか使われていることは気になりましたが、それを差し引いてもこの独特の熱すぎないけれど一生懸命な優しい雰囲気とストーリーを楽しめました。読後改めて装丁の美しさに惚れ惚れしました。

  • ドラマチックなところはなく、取り立てて強調される人物がいるわけでもなく、ちょっと風変わりではあるものの、わりとどうってことない話。だけど、ものすごい独特の空気感がある。家族をつくりたいんじゃない、社会をつくりたいんだ…っていうハッコウの言葉、それに共感する昼田、そういうのがいいな…。本屋さんのお仕事が色々描かれていて、それも面白い。何とも不思議な読了感の良さがあるなぁ。脱力しながら少し興奮。。

  • 26:ナオコーラさんの本は合う合わないが大きいけど、「この世は二人組ではできあがらない」以来の大当たり。よく「登場人物のモラトリアムっぷりと自分大好きな感じが見ていられない」みたいなレビューを見かけるけど、私は自分自身がモラトリアムどっぷりだし、自分大好きだし、波長が合うのかも。
    シンプルな言葉で、はっとするようなことを表現したり、当たり前だと思っていたことが当たり前なんかじゃないと気づいたり。登場人物にとっての小さな、きらめく発見に彩られた日々は、ホワイトバランスを強めに補正したみたいにフワフワしていて眩しくて(こういうところが「地に足がついてない」と言われる所以?)、こそばゆい。

  • 山崎ナオコーラはいつもどうしようもないくらいの悲しみがほんの一瞬だけやってくるからそこが好きです

  • 町の本屋さんはほんとうに大変なんだと思う。
    本屋のない町ってのがあるくらいだから。
    そういや、昔は家の近所にも小さな本屋さんがあったのに、なくなってしまったなぁ。
    大型本屋があちらこちらにできると、大量の本の前で悩んでみたいからどうしても大型書店に行ってしまったり。
    現在のように田舎暮らしになると、本屋まで遠いし簡単なインターネットでの注文で済ませてしまう。
    アロワナ書店のように個性的で居心地のいい本屋が近くにあれば通うのに……。
    品揃えというより個性の時代かも!?

  • この本の著者紹介の最後に書かれた目標、
    そのままに感じた。

  • 図書館本。
    面白かった。
    けれど、自分の中で不思議な位置付けに収まった本。
    生い立ちが少し変わっている昼田という青年とその家族とアロワナ書店の物語。
    ハッコウ(田中 白虹)は昼田 実(ヒルタ ミナル)の同い年の従兄で双子の片割れ。仲は良いが性格はあまりにも違う。
    周りの空気なんてどこ吹く風で我が道を行くハッコウに対し、ハッコウのフォローを買って出、空気を読み常識の範囲内で行動する昼田。
    田中家長男の鼓太郎は世界中を旅して家に居つかず、末子の瞳は美大に通いながらも彼女の家に入り浸り。
    アロワナ書店のオーナー公平は引きこもりで本を読まない次男のハッコウに店を継がせると宣言。兄弟たちは複雑な想いを抱きながらも異論はない。
    そんななか、
    あまりにも突然、あまりにもあっさりと公平はこの世を去る。
    何の覚悟も無いまま店を継いだハッコウとハッコウを支えるために勤めていた会社を辞め書店の店長として手伝う事にする昼田。そんな二人と二人を取り巻くひとたちの物語は温かいのかよそよそしいのか何とも言えない独特の空気感がある。
    銀次のエピソードは完全に予想通りだったけれど、とても切なかった。

  • 何か大きいな波があるような話ではないけれど、
    そこがまたいい。
    ハッコウのプロポーズの言葉が印象的でした。
    なにがいちばん魅力的かというと、やっぱりアロワナかな。

  • 淡々としてるけど、スッとはいる感じ。
    田舎の本屋さんを思い出した
    なんな懐かしい

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著者プロフィール

1978年福岡県生まれ。2004年『人のセックスを笑うな』で文藝賞を受賞し、デビュー。小説に『美しい距離』『リボンの男』、エッセイに『かわいい夫』『母ではなくて、親になる』『むしろ、考える家事』など。

「2021年 『ミルクとコロナ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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