- 講談社 (2013年5月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (318ページ) / ISBN・EAN: 9784062180610
作品紹介・あらすじ
2013年最大のキーワード「ビッグデータ」を初めて本格的に論じたベストセラー、待望の翻訳!!
我々の未来の生活、仕事、意識、すべてが「ビッグデータ」によって大きく変わる。
■なぜグーグルは複数の検索語と数式を組み合わせてインフルエンザの流行を予測できるのか■なぜアマゾンは社内の編集者や書評家をすべてお払い箱にして、データによる「お勧め本」システムを採用したのか■なぜ日本の研究者が集める「一人一人のお尻の形」のデータが「金の成る木」に変身するのか■なぜ「オレンジ色に塗られた中古車は故障が少ない」と判明したのか■なぜ電子書籍が発達すると「本」「読書」の概念が根本から変わってしまうのか?■なぜ今日の映画産業は、クランクインの前から「ヒット作」や「具体的な黒字・赤字」を予想できるのか?■なぜ「これからもっともセクシーで金を稼げる職業」は「データ・サイエンティスト」なのか
伊藤穰一(MITメディアラボ所長)
「押し寄せる情報の波によって、世の中の捉え方自体が根本から変わろうとしている。この事実をあぶり出すうえで新境地を切り開いたのが、本書『ビッグデータの正体』だ。企業はいかに新たな価値を生み出すことができるのか、人々は物事の認知のあり方をどのように変える必要があるのか――本書は大胆な主張と見事な語り口でその答えをはっきりと示している」
ローレンス・レッシグ(ハーバード大学ロースクール教授、『Free Culture』著者)
「物の見方を大きく変えてしまう本が10年に数冊は登場するが、まさに本書がそれだ。社会はビッグデータがもたらす変化に目を向け始めている。本書はその重要な出発点となる」
みんなの感想まとめ
ビッグデータの活用がもたらす変革について、具体的な事例を交えながら深く掘り下げた内容が魅力的です。データの相関関係を重視し、従来の因果関係の概念を超えて予測を行う新しいアプローチが紹介されています。特...
感想・レビュー・書評
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本書は、ビッグデータを取り扱うための技術書ではありません。
ビッグデータとは何か。ビッグデータの本質と、それがもたらす功罪を説いた書です。
・インフルエンザの流行を予測したのは、政府の衛生当局者ではなくグーグルの検索結果であった。
・多量のデータがあれば、斬新な方法で情報を活用し、新たな知見や価値ある製品・サービスを生み出すことができる。
・データはビジネスの素材に生まれ変わり、重要な経済資源として、新たな経済価値の創出に活用されることになった。
・小規模ではなしえないことを大きな規模で実行し、新たな知の抽出や価値の創出によって、市場、組織、さらに市民と政府の関係などを変えること。これがビッグデータである。
・ビッグデータがもたらす3つの大変化
①ビッグデータは限りなくすべてのデータを扱う (標本抽出ではなく、全データを扱うという意)
②量さえあれば精度は重要ではない
③因果関係、すなわち「原因と結果」を求める古い体質からの脱却。(理由はわからないが、ある事象がみられるという「事実」が得られる)
・全体ではなく標本を相手にするということは、常に何らかの犠牲を伴う。ならば、すべてのデータをめざそう。
・あるコミュニティ内で多くの接点をもつ人がいなくなると、残った人々の交流は低下するものの、交流自体がとまることはない。一方あるコミュニティの外部に接点を持つ人がいなくなると、残った人々はまるでコミュニティが崩壊してしまったかのように、突如として求心力を失う。すべてのデータを扱って得られた結果。
・量は質さえも凌駕する。
・データという言葉はラテン語の「与えられるもの」が語源で、「与えられた事実」を意味する。
・画像などをコンピュータで処理できるようにすることをデジタル化といい、その中で言葉を文字として処理できるようにすることをデータ化という。データ化すれば人間が読めるだけでなく、コンピュータによる分析も可能となる。
・データの価値を考えるときに、単に現在の用途だけに着目するのではなく、将来的に利用可能な用途をすべて吟味する必要がある。
・メディチ家の繁栄は、複式簿記の活用と無縁ではない。
・位置情報を利用することで、利用客の店舗内での動線を把握できる。
・ビッグデータによって我々の生活は細かく監視されるため法的なプライバシー保護手段では時代遅れになりかねない。
・コンピューターのプロセッサの高速化、メモリーの大量化、ソフトウエアやアルゴリズムの高度化があるが、そうしたおぜん立ては、ビッグデータ活用の理由の1つに過ぎない。根本的な理由は「膨大なデータを持てるようになったこと」である。
・データの価値の大半は2次利用から生まれる。
結論は、
ビッグデータは、常に不完全であり、究極の答えを出す道具ではない。ただ、現時点では十分と言えるレベルだ。今後もっと優れた手法が登場し、ずっと精度の高い答えが得られる可能性もある。
それでもビッグデータというツールを使うときに常に忘れてはならないことがある。それは十分に謙虚な姿勢と人間性である。
目次は以下です。
第1章 世界を変えるビッグデータ
第2章 第1の変化「すべてにデータを扱う」
第3章 第2の変化「精度は重要ではない」
第4章 第3の変化「因果から相関の世界へ」
第5章 データフィケーション
第6章 ただのデータに新たな価値が宿る
第7章 データを上手に利用する企業
第8章 リスク ビッグでーたのマイナス面
第9章 情報洪水時代のルール
第10章 ビッグデータの未来詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最近流行りのビッグデータについて。
中心的な話題は、ビッグデータは(数学的に)どのような手法で宝を見つけるかということよりも、どのようにビッグデータを使うかということ。
ビッグデータの具体的な例を交えて説明している。
本書を読んだ結果、ビッグデータという分野をあまり好きになれない。
理由は2つ。
1つは、どんなデータでも、ある程度数学の素養があれば、あるデータ間の相関関係は見つけることができるだろう。いわんや、ビッグデータと呼ばれる、巨大なデータの集合ならば・・・
が、これらの相関を見つけるのがビッグデータの本質なのだろう。
つまり、どんなデータでも都合よくデータを解析すれば、ある程度のアウトプットは見つけられるのです。
従って、そのアウトプットが正しいことを検証する必要があると思います。
そこで、2つめ。
ビッグデータで評価された結果(相関)については、因果関係を問わないという風潮なのだとか。
これは科学ではない。なぜならば、科学とは反証可能性を有する必要があるからである。
しかしながら、ビッグデータのアウトプットは、複雑すぎてどのような計算結果から因果関係が出てきたのか調べることができない(著しく困難)。さらに、できたとしてもこじつけでしかない。
例えば、アメリカではハリケーンが近づと、あるお菓子(ストロベリー味!)の売り上げが伸びるそうだ。
なるほど。ビジネスをする限りでは因果関係なんて必要ない。
全てはデータが語ってくれるのだから。
しかし、エンジニアとして考えを述べると理由が必要なのです。
全ての物事には因果関係があるのです(あるはずなのです)。
なぜ、特定のお菓子の、特定の味の売上が伸びるのだろうか。。。
この「なぜ」を突き詰めるのが面白いのですが、結果が使えれば全てよし。という姿勢。
話がそれたが、ストロベリー味のお菓子の売り上げが伸びるのはハリケーンが来るからなのか、そこに別の隠れたパラメータがあって、それがハリケーンと関係があり、結果として、お菓子が売れるという可能性もある。
が、反証できないし検証もできない。
再度いうが、ビジネスという純粋に利潤を追い求めるのであれば、それはそれで価値があると思うが、科学として興味の対象とはなりえないと思います。 -
2013年の作品。一見、無駄と思えるようなデータを大量に収集できるようになると、データをもとにした相関関係から、次に起きることが予測できるようになる。それは、因果関係で判断されてきた事項が変わることを意味する。因果関係としては不明だが相関関係としては正しいということが発生するからである。
ビッグデータというのは、相関関係で物事を予測できるようになることであるという主張が非常にわかりやすく、その本質を捉えているように思う。このあと、AIの進化で、さらにその威力、予測力が増してくるわけである。
AI+Big Dataというのは、インターネットの登場に匹敵する革命であると思う。そんな革命が短い期間のうちに次々と起こる現代。10年後の世界はもう、今とは全く異なるものになっていても別におかしくはない。 -
2章から4章の章題が端的に言い表されていますね。
壮大な帰納法、大掛かりなデータ・フィッティング。
例えば、e^xという真理に基づく現象であると人類が気が付かなくても、a+bx+cx^2+dx^3+・・・と知っている関数で「近似式」ができればそれでいいじゃないか、という割り切り。
実際には多項式だけでなく、例えばシグモイド関数?とか、〇〇関数、とかの変な関数もたくさん入れて、線形連結しても、データがビッグだから各項の係数は求められる、
いや普通データの方が多くなるはずなので最小二乗近似の考えで「input→outputを予測する まともそうなモデル」ができるじゃないか、という考え方。
要点は「モデルを記述するパラメータが3つ以上になると、人間の頭や手計算では 主因の3つのパラメータがどれか見出すことや、
そこそこ当たる予測モデルを作るには どれだけ時間かけても判らん、となる現象であっても、
計算機の力でフィッティングモデルが生成できて、それを用いて改善策とか未来を予測できる」という所かと思います。
便利な道具があるのなら、これからどんどん それを使うべき。
しかしエンジニアにとって悩ましいのは、以下の2点です。
1)ブラックボックスのままで使えるなんて認めたら、人類は馬鹿のまま進化しないのでは?と思えてしまう。 本書p112あたりの話に関係します。
2)本書第3章「精度は重要ではない」は上記の「まともそうなモデルができさえすれば、それで使い物になる」という点で認めます。
しかし、ゴミデータを含むことを許容した際に、他のデータと著しく異なる「外れ値」を「バグ」とか「ゴミ」だと思い込むのは危ない気がします。
その外れ値は、実は ある鋭敏かつ決定的な前提条件に依存している現象で、その発見が、「イノベーションの芽」が、見過ごされないか?が心配。
p65~p66には「スペルミスや文法間違いがあっても間違いがどれくらいの確率で起こるか分かることが重要。
その間違いも「あなたの言いたいことは〇〇では?」と自動修正コメント出せるので」とありますが、
「間違い発見」の意味でのゴミの重要性ではなく、そのスペルミスや間違いが「新たな若者言葉発生」予測とか「言語の進化(変質)」予測になりえる、という様な捉え方です。
1)2)を通じ、人間の役割は未だ残っていて、
「ブラックボックスに甘んじず、その現象を言い表す真のモデルを考える努力をすること」と、
「突飛な外れ値(異端児)を捨てずに、どうして突飛になったのか放っとかないこと」ではないかと思います。
本書p288では「予測不能な物事、が人間に残されたこと」とありますが、それはビッグデータが未だ集まらない時点だけ人間が必要、という意味なら寂しい話です。
あとは
3)意図的なことがない自然科学、サイエンスの世界でも、この考え方は有用ですが、
意図的なことが混じったり、因果関係が余計判らない人文科学、特に(社会)心理学や行動経済学方面に絶大な効果を示す気がします。p141当たりに関連します。
ここが今後の莫大な利益の源泉になりそうなので、躍起になっている人たちがいるんですね。
人類の常識が通じずコミュニケーションがとれない「宇宙人」の行動予測をするのに効果的、いや嫁さんの次の発言や行動を予測するのに有用な気がします。 -
ビッグデータを使うと何ができるのか、なぜ「ビッグ」なのか、ビジネスへの利用、負の側面などについて書かれている。これまでのように少量かつ正確なデータで因果関係を発見するのではなく、大量かつ乱雑なデータから高速に相関関係を発見できるようになったことがキーポイントのようだ。シリコンバレーの名だたる企業から自治体まで、ビッグデータを活かした具体例が豊富に説明されているので分かりやすい。また、プライバシー侵害や「データ至上主義」のような負の側面についても指摘されている。
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データの活用が、社会やビジネスを劇的に変えていっている様子が、簡潔に分かりやすく描写されている。ビッグデータは、バズワードではなく、本当に世の中を変えるムーブメントなのかもしれない。ただし、今の世の中に存在もしないものを生み出す人間の独創性は依然として必要とも述べられており、個人的には、ビッグデータと独創性を生み出すデザイン思考の組み合わせが、これからのビジネスや社会の発展のエンジンになっていくのではないかと感じた。
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買う価値あり
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ビッグデータの特徴として「因果から相関の関係へ」、つまり、答えが分かれば理由は要らないという点を本書は掲げている。これは大事な視点。しかし、この2つの関係は対立軸ではない。相関関係がわかることで因果関係の解明につながる。そいの意味で統計学だけが重要ではない。デザイン思考が求められる。また、知恵や価値創造といった部分がより重要な要素を持つ世界になるだろう。非常に落ち着いた視点でビッグデータを分析した良書。ぜひご一読を。
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☆は3つ
この手のビジネス書は途中で眠くなって放り出してしまうので久しく読まなかったのだけれど、あることがきっかけで何年か振りに読んでしもうた。
いつもほとんど本の内容やそれにまつわる感想を書くことは無いのだけれど今回は何も印象に残らなかったので感想を書く?
人間は、なぜ?何?どうした?という「因果関係」を知りたがるのだそうだ。でもビッグデータがもたらすものは「相関関係」だけであってそこにあるかも知れない「因果関係」という事には端から注目しないらしい。換言すると、原因なんてどうでもよくて結果さえ予測出来ればそれで良し、ということになるのだ!
ビッグデータと呼ばれるものの正体は、盗聴や盗撮はそこら中で行われているので、みなさま重々気をつけないといけんのだよ・・・というようなことではなくて、電話やNETを遣ったり、とにかく電気/電子機器を使った情報発信をすると、それらは全部記録されていて、悪い奴らがしたなめずりしながらこのビッグデータをどうやって使ってみんなを騙して金儲けしようか、と企んでいるから気をつけないといかんよ、ということなのらしい。
ありゃ結局金儲けの話と、あんた気をつけにゃいかんよ、ということが結論の本やったのか。存外つまらんかったのう。
しかし、巻末の参考文献のページが27ペシもあるのには参った。そんでそれが英語で書いてある!ときたもんだぁ~。もちろん全部無視したけどさw。 すまんこってす。すごすこ。-
おけえさん、こばんわぁ。今日はとても暑くてあつくてびぃ-るが旨くて幸せだよね。
>流石の境地、ってなんかどっかの名所旧跡みたいな名前だねぇ。...おけえさん、こばんわぁ。今日はとても暑くてあつくてびぃ-るが旨くて幸せだよね。
>流石の境地、ってなんかどっかの名所旧跡みたいな名前だねぇ。行くと、でかいお地蔵さんとかが居そうだし。すまぬ。2013/06/13 -
何度見ても『ビッグダディの正体』に見えてしまう。
・・・ま、はやりモンとゆうことで。
よく知らないのですケド。何度見ても『ビッグダディの正体』に見えてしまう。
・・・ま、はやりモンとゆうことで。
よく知らないのですケド。2013/06/14
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因果関係から相関関係の世界へ。
単なる新技術の出現ではない、社会の考え方自体に影響を与える可能性。
現在のAI技術もその考え方の延長か。
他方で、相関関係から因果関係を断定し個人の有責性を問うことのリスクも(242頁~)。将来の行動の統計的な予測について責任を問われることがあってはならない(262頁)。
しかし、読むのが10年遅かったか。
プロジェクト・グーテンベルク -
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だいぶ前の本。
IT系の基礎的な思考を理解するため手に取りましたが、とても良かった。
現代はまさに因果関係という論理性の枠の外から抜け出でた「結果」重視の世界に変貌している、というかすでにもうなっている。
それゆえ個人が信じたいものを信じれるし、知りたくないものはシャットアウトできるが、そもそも因果関係とは普遍的なもの。どんな人でもある程度の共通認識と知識でこの社会を作り上げるのに手を貸すものだが、その普遍性が蔑ろにされた結果生まれたのが、非常に排他的かつ攻撃的な言説や与太話に近い陰謀論だと個人的に思ってる。
情報という結果にだけ焦点を当て、即時的に受け入れる。
情報の正当性を鑑みる事ができない人間にはなりたくないなー。
だからこそやっぱり読書は大事。
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ビッグデータ、情報処理などに興味がある人にオススメの本。
本書ではビッグデータのメリット、デメリット、デメリットへの対策について描かれている。
様々なデータから得られる因果関係ではなく、相関関係に焦点を合わせることで情報に価値を生み出していると本書では述べられている。
人間の脳は物事に因果関係を見出すことが好きなので勘違いしがちだが、ビッグデータの利用法を少しでも理解しておくことで昨今の企業(Facebookなど)に対する印象も変わってくるかもしれない。
また、本書ではビッグデータによる個人情報の特定などへの対策も述べられている。現在の社会的な動きとしては情報銀行が挙げられると思う。気になる方はそちらについても調べてみるとよいと思う。
重要なので示しておくが、著者はビッグデータだけを利用して課題を解決することを是としていない。やはり計算機が得意なこともあるし、人間が得意なこともあるといった具合である。
気になった方は是非とも本書を読んで欲しい。
個人的にはとてもお気に入りの本である。 -
2020年代に読んでも記載されている将来に対する見通しは正確なものが多く、筆者がビッグデータに関して造詣が深いことがよく分かる。ビッグデータによって使う側のマインドをどのように変えていかなければならないのかが端的に述べられていて、そこも好感が持てた。
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ビッグデータの時代には、データの扱い方や価値の創出の方法が根本から変わるということをいち早く指摘した本。
標本に基づく推計から全データを用いた相関関係の把握へと、データ分析のあり方は大きく変わる。そのため、データの正確さはそれほど重要ではないが、雑多なデータを分析するアルゴリズムの力が重要になってくる。
更に印象的だったのが、データの価値は最初から分かっているものではなく、様々なデータを取り込んで機械学習により分析していくことで、新しい価値が見えてくる。そのため、データの価値自体がそのデータを集めた本来の目的とは関係のないところから生まれることが大いにあり得る。むしろ、情報化社会においてはデータとは無秩序かつ無意識に生み出されるものになりつつあり、価値はデータ自体にあるというよりデータの中から作り出すというものに近いのではないかと感じた。
一方で、本書はデータによってさまざまな判断がなされることに、一定の警鐘を鳴らしてもいる。データがすべてを決するわけではなく、データはさまざまな可能性を指し示すにすぎないこと、データによって示されるのはあくまで相関関係であって因果関係ではないことなど、これからのビッグデータの社会において心に留めておかなければならないことだと思う。
ビッグデータの波に踊らされるのではなく、ビッグデータによって拓かれる新しい知識をうまく活用してより良い社会をつくっていくために必要な知識を得られる本だと感じた。 -
2013年、まだディープラーニングやkaggleのブーム以前に書かれたビックデータについての本。技術について近い将来の事をハッキリ物言いするのは難しいが、本書は贅沢に3つの章を使って3つの変化を”断定”するチャレンジをしている。
「1.すべてのデータを扱う」
無作為標本は大変な威力を持っている。しかし詳細情報のきめ細かさが無く特定の下位集団をクローズアップできない。暮らしの中で本当に興味をそそる事柄は、細部にあることが多い。
「2.精度は重要ではない」
膨大なデータがある場合、全般的な傾向が推測できさえすれば、精度や正確さはもはや最終ゴールではないケースもある。商店なら一円単位でもGDPならそんな面倒なことはしない。ビックデータだから乱雑でいいわけではなく測定、記録、情報伝達に使用するツールが不完全ゆえである。この問題は長期にわたって避けられず、無理してまで制度を高めることに経済合理性が見出せないことも多い。
「3.因果から相関の関係へ」
答えがわかれば理由はいらない。中古車市場ではオレンジの車の故障が少ないという結果が出たという。オレンジなど特徴的な車を買う人は愛着を強く持ち大事にするためなのかも知れないが、それが本当かは分からない。しかし分からなくても問題がない事も多い。故障が少ないことは事実なのだから。
2019年となった今日ではビックデータから導かれた結論は「〜らしい」という性質であり、無理に因果関係を考えないとか、精度の低いデータでも他の情報と組み合わせ有効活用する事など、肌感覚としてユーザーに受け入れられている。Amazonのレコメンドやスマートニュースのセレクションがハズれたからといって、「なんの理由で俺にこれを勧めるんだ!」と息巻く人はいない。3つの変化は間違いなかったと言っていいのだろうし、これからもよりその方向に進んでいくのだろう。
もう一つ先見性があると思われるのは「早く活用!」「データからなんでも分かる!」と煽り立ててくるビックデータ本が多い中できちんとリスクについても触れられている点だ。
”ビックデータによって我々の生活は細かく監視されるため、法的なプライパシー保護手段では時代遅れになりかねない。また、技術的な手法で匿名性を確保したつもりでも、情報が漏れかねない。個人に関するビックデータ予測は、実際の行為ではなく、傾向や修正で罰する道具に使われる恐れもある。そうなれば、自由意志は否定され、人間の尊厳も破壊される”
父の忠告を守らずに翼の蝋が溶け、海に落ちてしまったギリシャ神話のイカロスを引き合いに出し、過度の信頼をしないよう警告を発している。
著者はオックスフォード大学オックスフォード・インターネット研究所教授のビクター・マイヤー=ショーンベルガー。セキュリティソフトの開発など、ソフトウェア系スタートアップの起業家としての業績も多いと有り、アカデミックな視点だけではなく身近で具体的な内容に納得がいく。「ビックデータ」と書籍を探せばエンジニア向けの技術書が多い中、ビジネス教養としての正しい知識が得られるため、ビックデータ入門の社会人全員にオススメできる。
発売から時間が経ったことで、これから先のビックデータ界を俯瞰的に眺めたり、将来を考えたりするには情報が十分ではないが、変化の早い分野で雑多多量な情報の中での最初の1冊として手に取ってみては良いのではないかと思う。 -
仕事に絡むような本を久々に読んだ。ビッグデータって言ってるけど、これがまた10年も経つと、2013年頃のビッグなんて全然ビッグじゃないよね(笑)っていうことになるんだろうね。今でも充分空恐ろしいのに、これから先どうなっちゃうんだろうね。
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「相関」という概念が提唱されたのは1888年のことだ。提唱者は、チャールズ・ダーウィンのいとこに当たる人類学者、統計学者のフランシス・ゴルトンである。人間の身長と前腕の長さの間には関連性があると気づいたのが、きっかけだった。
「causality(因果関係)」「correlation(相関関係)」
相関は、「理由」ではなく「答え」しか教えてくれない。
確かに人間は世の中を因果関係で眺めている。まず、手っ取り早く架空の因果関係を持ち出すパターンがある。もう一つは、じっくり時間をかけて綿密に因果関係を検証するパターンだ。ビッグデータによる相関関係は、このどちらにも影響を及ぼす。
なぜ架空の因果関係を持ち出してしまうかといえば、「因果関係を知りたい」という本能的な欲求があるからだ。たとえ原因などなくても、原因があるはずだと思い込む習性が人間にはある。これは文化や家庭環境、教育とは関係ない。単に人間の認知の仕組みによるものだということが研究で明らかになっている。ある出来事の後に別の出来事が起こると、脳が因果関係で捉えるように強く命令するのである。
例えばこんな3つの文を見ていただきたい。
「フレッドの両親が遅刻してきた」
「仕出し屋はまもなく到着する見込みだ」
「フレッドは怒っていた」
これを読むと、なぜフレッドが怒っていたのかピンとくる。仕出し屋がすぐに来るからではなく、遅刻した両親が原因だ。本当は、ここにある情報だけでは何もわからない。それでも人間の脳は、与えられた事実を基に、因果関係のある筋の通ったストーリーを作り上げてしまう。
2002年ノーベル経済学賞を受賞したプリンストン大学のダニエル・カーネマン教授は、この例を引き合いに「人間には2つの思考法がある」と主張する。
1つは手間をかけない直感的な思考法だ。こちらは即座に結論に飛ぶ。もう1つは、難易度が高く、時間をかけてじっくり考え抜く論理的な思考法だ。1つめの直感的な思考は、たとえ因果関係などない場合でも、因果関係を「思い描く」ことを優先する。また、既存の知識や信念にこだわる傾向がある。人類の古代史を見れば明らかだが、人間は乏しい情報の中ですばやい決断を迫られるような場面が多い。そういう危険な環境で生き抜く時に、この直感的思考は役に立つ。しかし、現象を生み出した真の原因を見つけられないことも多い。
日常生活では因果関係で物事を捉えることが多いため、因果関係は簡単に見つかると考えがちだが、現実派そんなに甘くない。数学的に浮かび上がる単純明快な相関関係と違い、因果関係は「証拠」を数学的にはっきり示す方法がない。そもそも一般的な方程式では因果関係を簡単に表すこともできないのだ。
モーリーはデータを集めると、大西洋全体を緯度・経度とも5度ずつのブロックに細分化し、各ブロックに気温、風や波の速度・方向を書き込んだ。もちろん、日付も添えた。その上で全体をじっくりと眺めると、一定のパターンが明らかになり、効率的なルートが浮かび上がってきた。
改めて船乗りたとの間で代々語り継がれてきた航路を当てはめると、風のない凪の海にわざわざ進路をとっていたり、風や海流に逆らっていたりするものもあった。ニューヨークからリオデジャネイロへのある一般的な航路の場合、自然を上手に利用するどころか、長時間、自然に戦いを挑むようなコースも散見された。米国の船乗りの間では、「リオにまっすぐ南下する航路は危険が多い」と言われてきた。そこでいったん南東に進路をとり、赤道を越えた後に南西に進路を切り替えていた(その移動距離たるや大西洋を3回横断できるほどだった)。この複雑怪奇な航路にはまったく意味がなく、一気に南下すればよかったのだ。
(大半の航海距離が1/3に短縮された) -
第3章までで一旦返却
