僕たちの前途

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  • 講談社 (2012年11月22日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (338ページ) / ISBN・EAN: 9784062180825

作品紹介・あらすじ

よく「日本は若者の起業が少ない」「若者がもっと起業しやすい社会にしましょう」という議論を目にする。最近では「会社に雇われない働き方」や「ノマドワーカー」もブームだ。しかし、その割には起業する若者たちの「現実」があまりにも世の中には伝わっていない。そこで本書は初めて「起業」の実態を明かす。キーワードは「下流でもなく、ホリエモンでもなく」。あるいは「草食でもなく、肉食でもなく」。


上場はしない。
社員は三人から増やさない。
社員全員が同じマンションの別の部屋に住む。
お互いがそれぞれの家の鍵を持ち合っている。
誰かが死んだ時点で会社は解散する。

僕は今、そんな会社で働いている。
社長は「会社」というよりも「ファミリー」という言葉を好む。
社長と言っても今27歳である僕の一学年上なので、まだ29歳である。
顔は高校生のような童顔。
低めの身長に太めの胴体。
名前は――
(本書より)

「いい学校、いい会社、いい人生」というモデルから
「降りた」若き起業家たち。
自らもその一員である古市憲寿が、徹底的にそのリアルに迫る。

「G2」に発表されて大反響を呼んだルポルタージュをふまえ、
「起業」や「ノマド」を礼賛するくせに自営業者が減少し続ける
日本社会における「起業」の本当の意味を探る。

誰もなしえなかった起業家研究&ルポ、ここに登場!

おなじみ巻末特別対談も収録、登場するのは
「会社といえばこの人」といえる、あの超有名人!

みんなの感想まとめ

起業の実態や新しい働き方を探求する本書は、若者たちが「いい大学、いい会社、いい人生」という従来の価値観から脱却し、独自の道を模索する姿を描き出します。著者は、現代日本における働き方の多様性や、起業に必...

感想・レビュー・書評

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  •  最近、自殺した東大卒の電通社員がTwitterに残していた死ぬまでのツイートが話題になっている。

     いい大学に入って、いい会社に入る。そうすれば人生上がり。

     そんな時代は終わっている。

     すり減らされるのは一般労働者だけではなく、エリートコースでさえも使い捨ての世の中だ。

     僕たちに明るい前途は見えない。


     この本はブラック企業という言葉が定着する前、2012年初版の本だ。

     著者の近しい人は遊ぶように働く仲間がいる一方で、世の中は将来に不安を持ちながら働く人、働かない人、様々だ。

     明治時代以前からの日本人の働き方を考察している。

     この先の働き方に答えを出しているわけではない。前途が明るいとも暗いとも明言していない。

     ただ一つ、友人のネットワークが人生において重要だということは明言している。

     そうなるとやはり、どの学校に属していたかが重要になってくる。

     
     自殺した女性はTwitterで日々の激務をつぶやいていた。
     
     それゆえに労働災害認定されたわけだが、どうして自殺にまで追い込まれたのか。止まれなかったのか。止められなかったのか。

     低成長の時代は精神論になりがちだ。しかし、精神論でどうにかならないことは先の大戦で身に染みているはずだ。

     日本人はそれでも精神論にしがみつく。

     働き方、生き方、死に方、僕たちが目指す前途を考えなければ、ただ生まれてから死ぬまでのノルマを果たすだけの人生だ。

  • 前半→起業の実例と考察
    後半→起業や労働に関する日本の
    歴史を振り返り、現代の様々な状況から前途を予測する


    わかったことは以下

    起業をするには、人脈、金脈、技脈が必要

    また、一過性のものではなく継続的に発展していける技術や商品が必要

    さらに社内には気の合う(志を同じくする人、一緒にいたい人)、強いつながり持てる人を置き、社外には自分とは違う世界の人達のようにゆるいつながりを持つことが大事であること

    「会社は国家なり」という言葉がピッタリと当てはまるくらいに国は企業に社会保障を丸投げしてきた日本において、会社に入らない選択や会社を辞めるという選択は下手をすれば死を意味する
    と同時に「学校経由の就職」や「新卒一括採用」という硬直的な制度を長年保証してきたが故に起業リスクが高まり、制度や法律を、いかに整備しても起業率は上がらない(起業率の低さは豊かさの象徴で雇用機会がある程度保証されているからともいえる?→実際そうは感じない)

    さらに、不景気で会社の体力が無くなり、若者の雇用環境の悪化や貧困化が問題になる中でそれが顕在化しにくいのは「家族福祉(親が子供を食わせる)」の影響

    日本人というだけで世界的にはエリート
    ex.ビザなし渡航できる国が165カ国で世界5位、中国は41カ国


    印象に残った言葉

    東大学食の東大生の言葉

    官僚になるなんて、官僚にしかなれないガリ勉のすることですよ

  • 2012年に出版された本を今読んでみた訳だけど、この頃の日本と今の日本は大きく変わっただろうか。またこの頃に予想された日本に着実に今の日本は近づいてるのだろうか。
    サラリーマンの優越さは消えて、けど起業家にもそんなに優しくない社会であることはそのままのような気もする。
    けどいかにもなサラリーマンとして働く自分には、起業の面白さが伝わる内容だった。モチロン「面白そう」なんて言ってるほど甘くないこともわかるし、そういって踏み出せない自分の弱さも知ってるから今の自分でいるんだけれど。
    マネーリッチ、
    タイムリッチ、
    フレンドリッチ、
    マインドリッチ。

    やれる範囲でやれることはある。
    なによりも楽しく生きること。

  • お金や出世や名声ではなく、友達と楽しいことをする、を優先する価値観。合理的だけど、ほんの少しだけ寂しい気もする。

  • 起業家たちの内輪感

    学歴や能力を持つ人が、好きなことをしていたら、気づいたら、会社を立ち上げていた、というのか起業であり、「起業したい」と言っているだけの人は、中身の伴わない現実逃避

  • この人は一体どういう人なんだろうか?そんなことを漠としてテレビで眺めていたが、図書館で借りてこの本を読んでみたら案外面白かった。読み物として面白かった。

  • 僕たちの前途

  • なんかこう、うーむ。「絶望の国の・・」の時よりもクレバーさが鼻につくという感じか・・”トランポリンがない人”たちにとっての、ないよりましな地図、というのはいかにもクレバーすぎる。一人称のタイトルだから気合が入りすぎてしまったのだろうか・・・

    ただ、読むべき点、思わず笑ってしまった点は多くあり面白い。

    [more]<blockquote>P28 松島が関わってきた様々なプロジェクトチームを振り返った時に、五人の少人数チームだろうと、100人を超える巨大チームであっても、それを動かしていたのはいつも数人だった。だから会社を立ち上げて、様々なプロジェクトに関与するときも、そのような立ち位置になろうと考えていた。


    P56 「人と人をつなぐ」ためには、その人を知っているだけでは足りない。その人たちが所属する『世界』のことを知らなくてはならないからだ。

    P174 起業しろとか競争しろとか言うくせに、「公」を大切にしろとか、失敗してもリスクを自分で負えとか、雇用を創出してほしいとか、起業家を特攻隊員とでも勘違いしているのかもしれない。起業家への過剰な期待は、フリーター問題と表裏一体でもあった。ついこの間まで雇用の調整弁として評価され「夢を追う人」の象徴でもあった「フリーター」が一転して社会不安の元凶のように描かれるようになってきたのだ。

    P251 勉強ができるからって仕事ができるわけではない。だけど仕事ができる人というのは、実は勉強もできていた場合が多い。【中略】「乗り気でないことを継続できる力」も学校の成績は担保する。多感な思春期につまらない勉強に集中できたというのは、自制心を測るバロメーターになる。仕事というのは、その多くがつまらなくて退屈なものだ。好きでもない上司の話を聞く、細かい数字とにらめっこして資料を作る、膨大な量のメールを丁寧に返す。そんな日々のルーティンワークを楽しめるかどうかという技術は、英単語や歴史用語をひたすら覚えるという作業に似ている。【中略】苅谷剛彦による「努力」に関する研究が波紋を呼んだのは、ただの学校の成績ではなくて、「努力をする能力」にも出身階層による差があることを統計的に明らかにしたのだ。

    P276 人口ボーナス期が終わると、今度は人口オーナス期が始まる。オーナスというのは「負担」という意味だ。

    P290 日本国籍を持って生まれただけで、世界的に見たらとんでもないエリートなのだ。世界中の多くの人がどんなに望んでも一生手に入れることができないようなメンバーズカードを、日本人たちは保有している。

    P304 いくつものトランポリンがあったから、僕はここにいる。そして残念ながらこの社会は誰にでもトランポリンが用意されているわけではない。</blockquote>

  • 昨年の12月に古市氏の『絶望の国の幸福な若者たち』を読んで面白かったので、最新のこの本も勢いで読んでしまいました。

    『はじめに』で、この本をどんなふうに読んだらいいか、書かれています。

    「起業に興味ない私」は「動物園を覗くかんじ」で楽しみました。

    また各章独立しているから、どの章から読んでもいいし、省くのも認めているけど、私は最初から順に読んでじゅうぶん面白かったです。

    ページ下の段に脚注があり、それも読まなくていいとありますが、ひととおり読みました。
    うしろに脚注がまとめてある本が多いけど、いままで面倒でほとんど読まないできました。
    だからこういうかたちはとてもいいと思います。ツッコミも面白いし。

    古市氏がたくさんの本を読んでそれをもとに仕上げていて、それらの本ぜんぶ読むのはとても大変なことだから、手軽にいろいろなことがたくさんわかって楽しいです。

    欲をいえば、索引がほしい。
    彼的には知っているのが常識な言葉でも、私には初めて知ることがとても多いです。
    「この言葉どういう意味だっけ」と前のほうを探すことが多いので。

    偏差値60以上が活躍できるのがこの国の現実だけど、これからも私みたいな偏差値40以下でも楽しめる本を書いてほしい、彼にはそれができると思うから。

  • この本の主役は、起業する若者たち。前半は、実際に起業した若者たちの生き様に勢いを感じパワーをもらえた。一方後半は、「起業家」とはどういったものなのか、日本人の働き方の変遷、他国との働き方の比較など社会学の学びが出来る構成。いつもよりも書き味にキレが感じられず残念。

    ☆心に残った箇所
    楽しい仕事を選んでいるというよりも、選んだ仕事を楽しんでいる。

  • 読みやすく起業についての善し悪しが理解出来た。後半はやや漠然とした内容にまで踏み込み、何を伝えたいかが不明確ではあった。独特の書き方や表現の仕方が面白い。若者論に興味ある方にオススメの一冊

  • それでも生きてゆくのだから、前途を見据えて考えなきゃならないよね。

  • 著者の世代の価値観がよくわかる内容で

    古市さんの本で私は1番好きです

    若い世代のパラダイムが知れて面白かった。

    何でも便利な世の中になり、物が溢れ

    それらを合理的に考えて利用し、楽しむ

    違う世代(若い世代)を批判するだけでなく理解

    肯定をする必要性を感じました。

  • 今回はいわゆる「起業家」の経歴を参与観察?を通じて、若者世代の前途がどのようなものになるかをつらつらと書いた作品。

    やはり
    親の資本力→学歴→学校を通じた人的資本→起業家としての成功

    といった循環が生まれているのね…

  • 自身もベンチャー企業社員の一員である古市憲寿氏の「若者の起業」論。起業する若者たちの「現実」があまりにも世の中に伝わっていないという問題意識のもと、起業する若者たちのリアルに迫ることを意図している。
    著者が断っているように、サンプルが少ないこともあり、ここに出てくる「起業家」たちを一般化することはできないが、「下流でもなく、ホリエモンでもない」最近の若者起業家の等身大の姿っぽいものが描かれているとは思った。本書に出てくる起業家は、みな「つながり」を大切にしているというのが印象に残った。また、彼らを下支えしているトランポリンとしての「資本(経済資本、社会関係資本、文化資本)」の存在についての言及も重要な指摘だと思う。
    「起業」や「起業家」を俯瞰して捉え、「起業家」という存在が今までどのように語られてきたのか、「起業」の実態を分析した各章も、実際の企業はITベンチャーよりも「小売業」や「飲食店」といった「地味な起業」が多いという指摘など、なかなか勉強になった。
    しかし、全体を通して、だらだらとした文章が続き、あまり何を言いたいのかが不明瞭だと感じた。また、実際の起業のほとんどが「地味な起業」なのであれば、本書で紹介されている起業家の事例は、「リアル」っぽいだけで、かなり特殊なケースなんじゃないかと思うし、そもそも事例が少なすぎる気はした。最後の対談も余計な気がした。

  • 「起業の社会学」というと難しそうな内容であるが、要は起業するには、思いつきではなく専門性・人脈などがないとダメということ。成功する起業家は、起業しようと考える前に、起業してしまっているのが常であるらしい。自分の強みが何かを考えると、「僕たちの前途」はそんなに優しくない?

  • 前半の企業の話は別の本でも書かれていたのか、あれこの本読んでいたっけなと繰り返し思う。後半も 就職、就業についてはデータを交えながら説明で興味深く頭の良い後輩と話しているようで楽しく本を読む。本著者の本を読みたいと思う所はここだろうな!他の社会学の本などを読んでもいまいちピンと来ないが、古市氏は我々と目線が近いので読みやすいのだろう。

    【学】
    人気会社のランキングより、3年離職率の方がはるかに有用

    2000年ネットバブルその後、1円企業、第三次ベンチャーブーム。今までは、大企業に就職し社長や役員になるのが成功イメージだったが、いまやベンチャー会社を立ち上げるとの方が成功イメージではないか。

    職業というモノは、やりたいことを実現するための手段であって、その本質ではない。

    本 減速して生きるダウンシフターズ

  • 若者論であり、働き方論であり、起業とは何かを語る本。起業について語られてきたイメージが一変してしまった。確かに思い返してみれば、僕の子供の頃は身の回りにも小さな社長はたくさんいたし、テレビでも脱サラがよく語られてきた。そして、若い世代の置かれている現状がリアルに伝わってくる。

  • 絶望の国の幸福な若者たちに続いて読みました。前著に比べて、格段に読みやすく感じました。一年ぐらいしか出たのは違わないのに不思議でした。
    もうこの本から、テレビで見る古市さんのキャラが確定しています。
    ただほんを読むと、ルポをやったり脚注を読むといろいろな資料にきちんと当たっていることが分かります。
    テレビのイメージで損しているように思いますけど、本人は気にしていなさそう。
    厚い本ですが、最初は脚注を無視してドンドン読んでいけは、割とすぐに読めます。
    本文を読んでその後、脚注を読んで参考文献にあたると理解が深まりますね。
    やっぱり、タレントのコメントより研究者の本をきちんと読むことが、正解かと。

  • 日本の雇用に関して歴史的背景をデータと共に説明。古市さんの本は参考文献も記載されており勉強になる。結局人間はどんな時でも人と比べたら幸せにはなれないんだと思う。自分が幸せと思った生き方をできればそれでいい。

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著者プロフィール

1985年東京都生まれ。社会学者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。2011年に若者の生態を的確に描いた『絶望の国の幸福な若者たち』で注目され、メディアでも活躍。18年に小説『平成くん、さようなら』で芥川賞候補となる。19年『百の夜は跳ねて』で再び芥川賞候補に。著書に『奈落』『アスク・ミー・ホワイ』『ヒノマル』など。

「2023年 『僕たちの月曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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