雪猫

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 284
感想 : 52
  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062181037

作品紹介・あらすじ

タマオは少女に命を救われた。高校生になった少女は、ある日何者かに追われていた。タマオは塀の上を走り、あやしい男に飛びかかる!すると-。

感想・レビュー・書評

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  • 猫弁シリーズも知らず…初の大山さんの作品。

    第一章 世界をもらう
    第二章 飛ぶ猫
    第三章 京都へ行く
    第四章 ひきこもり屋
    第五章 イヴのすべて
    第六章 雪のなか

    冒頭から中盤まで自分に合わないなぁ…と思いながらも「機巧のイヴ」にもイヴと出てくるし、この作品にもイヴという黒猫が登場するので、ご縁を感じて読んでいました。

    軽い話ではなく猫を取り巻く環境の問題、大事な人を亡くして抜け殻のようになってしまった男、ひきこもり男、ホームレス、母に捨てられた娘など…結構重い…。そんな重い雰囲気だけど「おぬいばあ」と先生の優しさが温かい。


    シロことタマオが理々子を想う気持ち。イヴが愛する城太郎。タマオとイヴを見守る楠(願いを叶えてくれることもある御神木)や赤いポスト。


    第四章から釘付けになってしまって、五章、六章は涙。涙。こんな展開…ズルい。反則だよね…。そして外を見ると同じように白い世界で雪が舞っている。切なくなる。読み終えて泣き、風景や表紙を眺めてまた泣いてしまった。



    <ひきこもり屋>
    “ストレスがない。それは天国だ。死んだも同然である”=148ページ=

    <イヴのすべて>
    “「人として会いたくないか?」”=205ページ=



    飼っている動物に一方的に恋されて愛されるよりも、飼い主とかそういう建前をなくして、人とか動物とかいう壁もなくして、(溺愛とかではなく)パートナーとしてお互い信頼し合って生きていきたいな…と思った。いなくなってから気がつきたくはないなぁ…と思った。なので大事にしないといけないと再認識させられました。

  • 人間の女の子に恋した白猫の「シロ」、もとい「タマオ」が猫が十年に一度手にする能力で夜の間だけ人間の姿になれる力を身につけ、色んな人と交わり、命を全うするまで。

    「事実は存在しない、存在するのは解釈だけである」というニーチェの言葉を信条とするなんて、なんと素敵な猫ちゃん。

    タマオの前に現れた、同じく人の姿になれる猫「イヴ」。彼女のひたむきさには涙がこぼれそうになった。なぜ彼女は「京都」で手紙を書き続けるのか。21歳の彼女が二度手にした「能力」は何だったのか。

    誰かを必死に想って、愛して、たとえそれで身が滅ぼうとも構わないとすら思う。ここまでの強い感情を私は誰かに持てた事があるだろうか。

    表紙に描いている赤い傘をもった猫の意味が最後になると分かります。タマオが迎えたまっ白い最後はあまりにも美しく、心に残った。

  • 人を大切に思い愛する一途な白猫と黒猫の思いが交差する物語。
    猫を飼っている私の心には、最後まで猫らしく考え行動した白猫の優しさがとても素敵だと思った。
    またこんな素敵な本に出会いたい。

  • 哀しいものは美しい。
    想像した風景はたしかに美しかった。



    猫ってやさしい。
    犬もやさしいけど猫のやさしさは
    そっとやさしい。
    独自のルールさえ感じるほど。
    なんだか猫のことがますます好きになった。



    初読み作家さんでしたが当たりでした。
    私の中ではずっと『タマオ』は『シロ』でした。
    なんか『タマオ』て似合わないんだもん。



    哀しいけど読んでよかった一冊。

  • 猫の日にちなんで読んでみた本。思いほか読みやすく、ラストは「猫」らしいのかなと感じた。タマオにこんなにも愛されている理々子は幸せだろう。猫があるひとりの女性に恋をするという話…はファンタジーらしいが、タマオの愛し方が真っ直ぐで切なさが漂っていて、そこは人間にも通じるところもあるのだなとしみじみ。愛情を十分に受けている猫から人(飼い主)への愛を示すのかもしれないなと感じる読後。人間とは違う猫の発想が感じ取れる。「哀しいものは美しい」の文、幸せな未来を信じて、ただまっすぐに…の文が切ない中に光を感じさせる。

  • 猫…ハッピーエンドでゎなぃ…
    涙が止まらなくなる話T^T
    読み終わった後、家に帰ってもう一度ゆっくりと、温かい飲み物を置いて読み直したいと思える一冊。

  • 『猫弁』の作者の3作目。「事実は存在しない。存在するのは解釈だけである。」というニーチェの言葉を信じる白い猫・タマオの、飼い主である少女への純愛物語。タマオは少女を全力で愛したという確かな“事実”とか思いは、その殆どが少女には解らないのが遣る瀬無い。でもタマオも黒猫・イヴも愛し愛されるという“事実”を理解しえた一生は素晴らしく幸せだったのだろう。白猫・雪の白、黒猫・ゴミ袋の黒、ポスト・傘の赤…色彩が印象的、効果的でした。(猫弁とのリンクも嬉しい)

  • ずーっと読みたくてたまらなかった作品。

    主人公が猫っていうのに大きく惹かれましたが、とてもいい作品でした。

    ゴミ袋の中から拾われた真っ白な猫のタマオ。

    彼は自分に世界を与えてくれたリリコを女神と崇め、決心する。

    「この世界をくれた女神を、命が尽きるまで愛そう。」

    時は経ち、高校生になったリリコはある日何者かに追われていた。

    タマオは彼女を助けようと男に飛びかかると……

    命が尽きるまでタマオがリリコを守ろうとする健気な気持ちにグッときてしまうのは、猫好きのせいもあるのかな。

    リリコの秘密、先輩猫イヴとの出会い、タマオを取り巻く出来事は不思議なことばかりですが、最後まで飽きずに読めました。

    タマオの命が尽きるシーンは物足りなさを感じなくもなかったのですが、美しく逝くことができたので、綺麗に物語が終わって、私は好きでした。

    それにしてもタマオの視点で描かれた擬音語がとっても素敵でした。

    うちの飼い猫のボブも私に本気で恋してたりしないかしら。


    ……ないな。

  • 猫弁シリーズかなーと思って読んだら違ってました。
    もろ猫視点。
    だから、死生観も愛情の持ち方も、よけいな建前などなくて本質的。
    猫に生き方を教えてもらいました。
    にゃー。

  • 思わぬ登場人物(?)が出て来て、ニヤリ(*^^*)

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著者プロフィール

東京都出身。2006年、『三日月夜話』で城戸賞入選。
2008年、『通夜女』で函館港イルミナシオン映画祭シナリオ大賞グランプリ。
2011年、『猫弁~死体の身代金~』にて第三回TBS・講談社ドラマ原作大賞を受賞しデビュー、TBSでドラマ化もされた。著書に「あずかりやさん」シリーズ、『赤い靴』、『通夜女』など。「猫弁」シリーズは多くの読者に愛され大ヒットを記録したものの、惜しまれつつ、2014年に第1部完結。2020年9月に第2部がスタートし、本作はその2作目である。

「2021年 『猫弁と鉄の女』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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