画家の食卓

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 118
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (152ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062181457

作品紹介・あらすじ

画家たちが楽しんだ26のレシピを再現。クレー、フェルメール、セガンティーニ、メムリンクの暮らしと創作現場を巡る旅。

感想・レビュー・書評

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  • 絵を鑑賞するのがお好きという方は多いと思うが、このような鑑賞方法もあるとは予想外だった。
    作品に描かれた当時の料理を再現するのかと思いきや、食べていたであろう料理を模索し調査し、そして作る。それもレシピ付きで。
    その過程がとても興味深く、読みながら目も心も豊かなひとときを過ごすことが出来た。

    そもそも料理そのものを描いた作品は少ないのかもしれない。
    もしあっても、背景に作品の引き立て役として登場するくらいだろう。
    完成した料理の写真を見ながら、画家たちがもしかしたらこれを食べていたのかと想像するのはとても楽しい。いや、ご存命だったら「こんなものは食べませんよ」と言われたかもしれないけどね・笑

    採りあげられた画家は全部で26人。料理も26品。
    洋の東西を問わず採りあげられており、日本からは歌川広重、歌川国芳、伊藤若冲、画家名の不明な源氏物語絵巻、高橋由一、有元利夫の6人。
    その生涯と作品、時代背景、更に画家たちが残した手紙や日記、生まれ育った場所などからヒントを探り出し、出来る限り当時の食卓に並んだであろう料理のレシピをおこして再現している。
    綿密な取材には、現地のフィールドワークと想像力も欠かせず、美しい写真も数多い。
    見開きページでそれらを堪能した後、どんな料理が登場するか答えを求めて次のページをめくることになる。もちろん料理はどれもすべて林綾野さん自らが作成されたもの。
    求める文献になかなかあたらなくて苦心されただろうことが、充分想像できる。
    それでもこの本がとても素敵なのは、どの画家さんに対しても慎ましやかな敬意を忘れていないことだ。読んでいて、そこが何より心地よい。

    「芸術家の食卓」として『料理王国』に連載していた記事であるらしく、美術ファンも喜ぶテキストと写真、そして料理好きな方も喜ぶレシピと作品で、様々に楽しめる一冊だった。
    さて私は、有元利夫の「ほうれん草のチャーハン」をこれから作って食べよう。
    ゴッホの「じゃがいもスープ」も捨てがたいな。
    メインはフェルメールの「ひき肉のロースト」にしよう。ああ、食べ過ぎてしまいそう・・

  • 林綾野さんはちょっと不思議な存在だ。美術展のキュレーションをしながら、同時に展覧会に沿った料理を考えたりしている。彼女の名刺には「アートキッチン」とある。林さんの中では美術と料理は常につながっている。それを最もはっきり示したのがこの「画家の食卓」。楽しく読めますが...これだけの料理はなかなか作れません。
    画家の人生と林さんの想像がだいぶ盛り込まれた料理が次々と登場します。美味しい本です。

  • 国芳の江戸の海老天が食べてみたい。フェルメールのひき肉のローストレモンソースも。最初はちょっとおよび腰風の言い回しが、最後にはキッパリ断定調になっていて良いね。

  • 「セザンヌの食卓」以来の食卓シリーズ(と勝手に命名)。

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    「画家たちと食卓をともに!
    作品、日記、書簡から導き出した食卓を再現し、芸術家たちやその作品を一歩深く楽しむ方法を伝授します!

    クレーのポルチーニのリゾット、ゴッホのジャガイモスープ、
    ゴーギャンのジャム入りデザートオムレツ、広重の鯵の焼き浸し、
    海老の煮出し、フェルメールのひき肉のローストレモンソース、
    ブリューゲルのフランドル風プリン、国芳の江戸の海老天、
    若冲の果蔬料理、マネのホワイトアスパラガスオランデーズソース、
    モネのリヨン風ポーチドエッグ、ロートレックの酒の肴のチーズトースト、
    セザンヌの焼きリンゴ、有元利夫のほうれん草のチャーハン……」

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