アメリカは日本経済の復活を知っている

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062181518

作品紹介・あらすじ

ノーベル経済学賞に最も近い経済学の巨人、研究生活50年の集大成!! 
 この救国の書は、東京大学での教え子、日本銀行総裁・白川方明に贈る糾弾の書でもある。20年もの間デフレに苦しむ日本の不況は、ほぼすべてが日銀の金融政策に由来するからだ。白川総裁は、アダム・スミス以来、200年間、経済学の泰斗たちが営々と築き上げてきた、いわば「水は高いところから低いところに流れる」といった普遍の法則を無視。世界孤高の「日銀流理論」を振りかざし、円高を招き、マネーの動きを阻害し、株安をつくり、失業、倒産を生み出しているのだ。
 本書で解説する理論は、著者一人だけが主張するものではない。日本を別にすればほとんど世界中の経済学者が納得して信じ、アメリカ、そして世界中の中央銀行が実際に実行しているもの。実際に著者は、日米の学者・エコノミスト・ジャーナリストたちにインタビューを行ない、すでに60人以上から聞き取りを行なっているが、ほとんどすべての俊才が、潜在成長率のはるか下で運営されている日本経済を「ナンセンスだ」と考えている。たとえば教科書でも有名なグレゴリー・マンキュー、ウィリアム・ノードハウス、ベンジャミン・フリードマン、マーク・ラムザイア、デール・ジョルゲンソン、ロバート・シラー、黒田東彦、伊藤隆敏らだ。
 世界から見れば常識となっている「日本経済の復活」を、著者50年間の研究成果をもとに、わかりやすく徹底解説!

感想・レビュー・書評

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  • 著者の浜田宏一さんは、「アベノミクス」の立役者の一人でもあり、
    第2次安倍内閣の経済政策におけるブレーンの一人でもあられます。

    その方が、ご自身の研究成果をもと、デフレ脱却に向けた施策についてまとめられています。
    結構難しく専門用語も多かったのですが、経済に疎い私でも、興味深く読めました。

     「仕事は人々に伝わってこそ意味がある。学者も情報産業の構成員の一人なのだ。」

    「情報」を扱うこと、その視座で見れば、いわゆる第四次産業に分類されるものだけが、
    「情報産業」になるわけでもなく、それに固執することはややもすると驕りにもなりましょうか。

    さて、浜田さんの仰る主旨は一貫していて、、

     「金融緩和は、ただ量だけで効くのではない。(中略)「期待」を通じての効果が大きい」

    2013年7月時点で、短期的な乱高下はあるものの、、
    市場は「期待」を反映したかのように推移しているのではないかと、、

    ん、プロフェッショナルの凄味を見た気がします。。

    ただ同時に、何事も行きすぎはよくないとも仰っていて、
    ほどよい所で、インフレ傾向に歯止めをかける必要があるともされています。

    このバランスを取っていくのが各国の中央銀行、日本で言えば日銀になりましょうか。
    結果論でいえば、白川総裁下の日銀は、特定国家への利敵行為に終始していたかと。

     「デフレを容認するのは、庶民の味方ではないことを公言するようなもの」

    本来であれば、自国の国益を基軸に戦略を立てていき、
    国家間で利益衝突が起きた時には、政治家による調整が入るとの流れでしょう。

    同時に、「権力とメディアの癒着関係が多くの人に知られるところとなった」と、
    こう仰っているのが、既存メディアの腐敗ぶりとも重なって、本質をついているかなと。

    経済専門紙の雄とされる「日経」さんも、ここ最近は提灯記事に終始してますしね、、

     「生のデータから自分で経済法則を考える能力も意欲も、普通の記者は持っていません」

    これ、記者としてどうなんでしょう、、とか思ってしまいました。
    今週末の参議院選にて、軛が外れてくれる事を、ひたすら願っております。。

  • 同じ文章の繰り返しや、自分に賛成しない方への人格批判めいた表現も見られますので読むのを途中で止めました。
    友人は選ぶべきでしょう。
    私の感想はそれだけです。

  • 話題の本(もう古いかなw)。タイトルと内容が合致しない。


    内容は、ご自身が小泉・竹中時代に政府に関わっていた時の思い出話。


    以下に教え子の白川日銀総裁が自分が教えていたことをやらなかったかの日銀批判。


    記者クラブ批判と役所の体質、御用学者批判。


    リフレ論を指示する様々な欧米学者の話。と、いったところである。


    もはやメディアで散々説明がなされてる金融緩和に代表されるリフレ政策の有用性や簡単な解説など。


    はっきり言って面白くはなかった。回顧録のようにも見え、経済学の本と言うよりは終始日銀批判が書かれている、そこらの評論家の本と内容は変わらないからだ。


    話題の本を読みたい人、イェール大学の浜田教授って誰?という方以外はオススメ出来ない。

  • 全体的に、雑誌の寄稿とかエッセイ風。

    ・ベンジャミン・フリードマン教授はフランコ・モディリアーニの高弟で、宗教が経済活動に及ぼす影響の研究でも知られている。また知日家で、宮尾龍蔵日本銀行政策委員会審議委員のハーバード大学時代の指導教官でもある人物だ。
    教授は、「たしかにコーイチのいうように、日本の貨幣政策には問題がある。しかし、アメリカの失業率は8%とか9%を記録するのに、日本の失業率は現在、4%台ではないか。だから、日本で金融緩和への圧力があまり高まらないのも理解できる」と語ってくれた。
    これは私も気付いていなかった指摘だ。だが岩田規久男氏のおかげで、その事情が分かった。
    昭和恐慌の研究を積み重ね、リフレ派の指導者として、世界の常識から見て正しいマクロ経済学を啓蒙してきた氏によれば、雇用調整助成金が日本の失業率を低く保っているという。
    内閣府の公表した、この助成金付与の統計を見ると、どれだけの労働者がそのおかげで失業せずに済んでいるかが分かる。雇用調整助成金のおかげで雇用されている人も失業者に数えると、日本の失業率は、実に12%から13%に跳ね上がる。

  • 本を要約すると、こんな感じだろうか。

    今日本は長い不況が続いている。
    この原因はデフレである。
    だからインフレにすることで解消できる。
    なぜならばインフレにすることで失業者が減るからである。
    インフレにするためには、
    的確なインフレターゲットと、それに対するマネーサプライである。
    (今の日銀の対応は足りていない。)

    二つの疑問が残った。

    なぜ原因はデフレになるのだろうか?
    失業率を見てもここ数年で上昇しているようには見えない。
    どう読み取ればいいのだろうか。

    円高になっているのだから、マネーサプライは良くなっているのだろうか?
    2012年11月から円高になり、80円から100円まで推移してきている。
    この本の中では、デフレと同様に円高の話に至り、
    日銀の対応が不足していることから、円高に至らない話になっている。
    円高になった今、マネーサプライは十分で、インフレ、
    そして景気回復につながるのだろうか。

    リフレ政策、実質金利、名目金利、フィリップ曲線、名目賃金の硬直性、マネーサプライ、
    経済初心者の私には知らない言葉が多かったこともあり、勉強になった。

    (以下抜粋。○:完全抜粋、●:簡略抜粋)
    ●人口はデフレの要因なのか
     実質生産に、人口あるいは生産年齢人口が影響するのは当たり前のことである。
     しかし、貨幣的現象である物価、あるいはデフレに人口が効くというのは、
     経済の解剖学すなわち「国民所得会計」から見ても、
     生理学すなわち「金融論」から見ても、
     まったく的外れな議論だ。(P.30)

    ○英語を話せない先生が教えているから先生も話せない(P.137)

    ○サンデル教授の講義では、
     学生たちに事前に多くの文献を読ませているのだ。
     その前提があってこそ、
     ハイレベルな議論が成り立つのである。(P.146)

    ●アメリカには短資会社などという存在はない。
     (中略)
     「あれはなんですか」といつも聞かれて、
     「スペシャルな会社です」という苦しい答えしかできなかったという。(P.181)

  • 政府のブレーンであり、ノーベル賞に近いという立場を考えると、日銀批判に終始して、期待する情報があまり取り込めなかったのは残念。例えば、なぜ自国にとって有益な為替政策や金融政策が「近隣窮乏化」にならずに、世界全体にとってもプラスに働くのかについては、結論を押し付けただけで終わってしまっているので、不親切な感が否めない。
    しかし、本書はそもそも経済書としての観点で書かれてはいないのではというのが自分の思うところ。
    個人的には、デフレ脱却よりも、未曾有の金融危機をいかに対処していくかという命題の方が白川さんの目下の課題だったと考えるので、職責を全うできなかったとは思わない。
    それよりも、もし白川総裁が以前の自身の理論から「日銀流理論」に流されていったのだとしたら。そこが会社だろうと日銀だろうと、組織という閉塞された空間に身を置くと、たとえ明晰な頭脳の持ち主でも、そこでの滞留した考え方に染められてしまうとしたら、そちらの方が問題だと感じた。
    本書は、高く評価した教え子を最大の敵とさせてしまったそんな日銀への宣戦布告のようなものと受け取りました。
    アメリカが知っているのは、著書のその決意の強さと、新日銀法の再度の改正により特殊な独立性が瓦解した後の日本経済の行く末なのでは。

  • -25/03/11
    浜田宏一イェール大学教授
    学者が偉大であることを再認識した。理屈通り経済活動が盛んになってきた。

  • リーマンショックから4~5ヶ月経った頃、podcastの番組で岡田靖氏が「アメリカでもヨーロッパでもではインフレ率2%を望ましいと考えているが、日本ではゼロに持っていこうとしている。このため、毎年2%づつ潜在的な円の価値が高まる事になる。」旨の話しをされていました。

    「目指すインフレ率の違いで、潜在的な円高になる。」ことは理解できるが、なぜ「日本だけインフレ率ゼロを良しとしている」のかが不明のまま、モヤモヤしていました。
    この本は、1冊を掛け、この疑問に答えてくれたのだと思っています。
    「インフレ率ゼロ%」については、日本が特別な経済状況にあった為では無いのですね。

    しかし、一つの方向からだけ眺めているようで、心の隅に「そんなに簡単な話なの?」の気持ちが残り、スッキリしないのも事実です。
    今度は、野口悠紀雄氏の本でも読んでみようか。

  • 2013.2.26.時点での書評

    一気に読んだ。こんなに早く読める本も珍しい。
    すごく読みやすい内容になってるのは、ベストセラーを量産してきた編集者の方針によるものらしい。

    表紙の写真には引いた。こんなおジイさんを表紙に載せてどうする?アイドル本なのか、コレは?
    2009年に頚部の血管が詰まって、ステントを血管に入れて一命をとりとめたそうだ。良かったですね。たしかに表紙の写真見ると、頚部の血管が詰まりそうな姿勢で立ってて心配になる。
    もっと背中を伸ばせ。

    ものすごいジェネレーションギャップを感じた。
    バレンタインのチョコレートの話を執拗に持ち出してくるのがとてもヘンだし。
    日銀の金融政策を例えるのに「天岩戸神話」や「打ち出の小槌」の話になる発想が戦前すぎて笑った。
    何の話だよ、それは?

    日本でも有名なクルーグマンをはじめ、グレゴリー・マンキュー、ベンジャミン・フリードマン、ロバート・ロレンスなど、お偉いエコノミストの名前が、これでもか!というくらい出てくる。
    ものすごい権威に取り囲まれてる。
    「ハーバード大に行く前のインタヴューで、ポール・サムエルソンと執筆した経済学の教科書がロングセラーとなったイェール大のビル・ノードハウス教授は、『変動相場制下では財政政策が効かず金融政策だけが効くというマンデルとフレミングの議論は、完全でないにせよ、いまでも唯一頼りになる理論である』と答えてくれた。・・・そう言ってもらうと安心した気持ちになる。」

    ご立派なアメリカのエコノミストたちが、ことごとく浜田のお説に同意してるらしい。
    そのうえで、日銀の権威主義を勇敢に批判したり、官僚や記者クラブを勇ましく批判したりしてる。
    つーか、オマエが一番権威主義だろう。
    「美しい国」のヨイショまでしてるのは意味不明だった。

    こういうイェール大学のお偉い教授様が、いろいろと下々の者達がデフレで苦しんでいるのを心配してくれてるみたいなんだけど、ありがたくないね。
    オマエなんかに下々の者が置かれてる状況が分かんのか?
    安倍にも同じことが言いたい。
    インフレは労働者の実質賃金を下げる所得政策の一種であり、労働者から企業に所得移転する政策だ。
    浜田宏一は「高度成長時代には数%のインフレが当たり前だった」というが、高度成長時代なんて、とっくの昔に終わってるぞ。
    今や日本は貿易赤字国に転落してるし。2013年2月20日に発表された1月の貿易統計速報によれば、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は1兆6294億円の赤字。単月の赤字額としては、比較可能な1979年以降で最大を記録。円安になれば貿易赤字も増すばかり。
    2013年2月27日現在、既にガソリン代など値上がりし、物価も上昇中。でも賃金は上がってない。
    これから本当に実質賃金が上昇するのか?失業者が減るのか?新卒の就職難が改善されるか?
    シャープやパナソニックやソニーの売上高・純利益は本当に増えるのか?
    そもそもソニーなんか「円高のせいで業績が悪化してる」とかいう前に、製品の開発力が低下してるとしか思えない。為替相場がどう変動しようと、今のウォークマンじゃあ、i-podやi-phoneには勝てないぞ。
    なーにが「美しい国」だ。笑わせんな!

    でも、この本は、読みやすかったから好き。
    こんな下らないジジイのタワゴトは、さっさと図書館に返して、次はベンジャミン・フリードマンを読んでみよう。

  • 次の日銀総裁、または副総裁候補に、著者の推薦する岩田規久男氏、岩田一政氏が上がっている。日本復活へ期待大。それにしても、日銀のみならず、学会や、マスコミが何故、著者の言う、最新の経済理論を採用しないのだろうか。ここにも業界の内部事情が透けて見えるが、そうだとしても、それが国の経済復興に勝ると考えているとは思えない。謎。やはり、日銀の歴史を遡ったトラウマか。

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著者プロフィール

浜田宏一(はまだ・こういち)
1936年、東京都に生まれる。第2次~第4次安倍内閣(2012~2020年)官房参与。イェール大学名誉教授。東京大学名誉教授。国際金融論に対するゲーム理論の応用で国際的な注目を浴びる。日本のバブル崩壊後の経済停滞については金融政策の失敗がその大きな要因と主張、日本銀行の金融政策を批判する。
1958年、東京大学法学部卒。1957年、司法試験合格。1960年、同大経済学部卒。1965年、イェール大学にて経済学博士号取得。
1969年、東京大学経済学部助教授。1981年、同学経済学部教授。1986年、イェール大学経済学科教授。2001年から2003年まで、内閣府経済社会総合研究所所長を務める。法と経済学会の初代会長。著書に20万部のベストセラー『アメリカは日本経済の復活を知っている』(講談社)、『経済成長と国際資本移動――資本自由化の経済学』(東洋経済新報社)、『国際金融の政治経済学』(創文社)など。世界の有識者による論考・分析を配信する国際的NPO「プロジェクト・シンジケート」定期寄稿者。


「2021年 『21世紀の経済政策』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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