カフェ・デ・キリコ

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062182164

作品紹介・あらすじ

人生の三つの試練。それは、愛すること、忘れること、そして許すこと――。
中学3年生の霧子は、イタリア人の父と日本人の母を持ち、日本に暮らしている。イタリアに住む父の家族には会ったことがない。
父が交通事故死し、イタリアの祖父も亡くなり、遺産はただひとりの孫である霧子へ相続されることに。夫の面影を追う母と、ある理由から母を許せないでいる霧子は、それぞれの思いを抱えたまま、イタリアはミラノへの移住を決意し、祖父の経営していたギャラリー・カフェを継ぐ。
隣家に住む血のつながらない兄弟ダヴィデとアンドレア、いじわるなクラスメイト、そしてカフェに毎日のように来る老人。さまざまな人との交流のなかで、異国暮らしの厳しさと、思いがけない優しさに触れ、霧子は人生の三つの試練を知る。
祖父と母の根深い確執、そして母を許せないでいた霧子の思いは、最後明かされる衝撃の事実に、揺れ動く。
イタリア在住の著者が描く、家族の許しと絆の物語!

感想・レビュー・書評

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  • 出てくるメニューがどれも魅力的でイタリアのカフェに行ってみたくなりました
    霧子ちゃんしっかりしてるなー
    お隣のバジリコ兄弟との関係も羨ましい(笑)
    テンポもよくて読みやすかったです

  • 一般書みたいな装丁で、タイトルも「カフェ」なんておしゃれ~。なんだけど、実態は、思い切り中高生向け。

    亡くなってしまった父が相続するはずだった古い建物をなんとかしようと母子でイタリアにやってきた中学生の霧子。
    まず、イタリア語を覚えて地元の学校に編入するってのが、かなり大変だろう!?って思ってしまうこちらなんだけど、その辺が実にさらっと…。(かなり賢女子だと思われる)
    しかも、休業中のカフェを母子でオープンさせるという、これまた高いハードルがどどんと。

    ありえねーべよ、こんなん、と斜めに構えつつも、もしかしたら高そうに感じるハードルも高いと思わなければ、なんとかなるもんでしょって思ってしまえばクリアできてしまうのかもしれない…って、気分に襲われるとこが、すごい。この話。

    隣人のそれぞれいろいろ抱えてる兄弟とのやりとりや、イタリアの中学のエピソードも交えつつ、群れない女子:霧子の雄姿。彼女が立っているのは大人への入り口だ。(そう思うと表紙のトンネルが意味をもってくるね)

    肩肘はらずに読書を楽しめて、しかも、ラノベの独特のノリは皆無なので、「一般」中学生女子にかなりおすすめ。

  • イタリアで母と一緒にギャラリー&カフェを開くことになった霧子。
    そこは父の故郷で、由緒ある建物でした。父との結婚を許されず、関係を断っていた霧子たちでしたが、父が亡くなって、さらに家の持ち主だった祖父も亡くなったので、イタリアに帰って来たのでした。

    隣に住む笑顔のすてきなダヴィデ、生意気なアンドレアと過ごしながら、お店を手伝ったり、学校で友人もできて、少しづつイタリアでの生活にも慣れていきます。
    横柄な態度のアンドレアの身の上や、毎日訪れてくる寡黙な老人、物語は複雑に絡み合っていきます。
    最後には、家族の形態はどうであれ、絆は固いものなのだと思わせます。

    この話、何もイタリアでなくてもいいかな・・と。家柄やカフェの雰囲気を出すためなのか・・ カフェで出すお菓子は、とても美味しそうでした。
    霧子の名前が、キリコ・デ・キリコっていうのも面白かったけど。

  • 図書室の司書さんに勧められて読んだ一冊。
    進路に悩んでいた高校生時代のわたしにぴったりでした。さすが司書さん!

  • 父が亡くなり、母とともに父の祖国イタリアへ移住し、カフェを開くことになった中学生の霧子。
    自分のアイデンティティの不確かさと向き合いながら、道を切り開いていく。
    1時間くらいのドラマでありそうな、一気に読めるストーリー。
    「人生の三つの試練。それは愛すること、忘れること、許すこと。」この言葉を使いたいがための舞台装置としてのストーリーという印象。ミラノに住むことになったら、という仮想体験ができたのは楽しかった。
    残念ながら、人物の深さを感じられず、長いあらすじを読んでいるような感じだった。
    「3時のアッコちゃん」ほどパワフルでもなく、「マカン・マラン」ほど滋養もなく、「妖怪アパート」ほど美味しそうでなく、惜しい!

  • イタリア在住の作者らしくイタリアを舞台にした作品。親子三代の確執のお話でもある。

  • イタリアのミラノ、プレラ美大の近く、チョバッソ通りにあるギャラリー・バジリコという立派な画廊の建物の真ん中のあるトンネル。そのトンネルを抜けると気持ちのいい中庭があり、デ・キリコ家はある。
    霧子は日本の中学2年生だ。イタリアに住む祖父と、イタリア人の父が相次いで亡くなり(祖父の死の知らせを聞いて慌てて帰国予定のたてている途中で自動車事故を起こしたため)、のこされた母と霧子は、イタリアのデ・キリコ家に住むことにした。
    霧子は、イタリアの中学3年生に編入するため、9月の新学期に合わせて編入試験の勉強をする。イタリア語の日常会話や基礎文法は父に教えられていたけれど、ローマ史、ギリシャ史、欧州の地理、第二言語としてスペイン語かフランス語…考えただけで大変な試験だ。
    母は古い家を少し改装して、ギャラリーカフェをする計画だ。だかそれも、はじめてのことなので、ちゃんと暮らしていけるかもわからない。お菓子作りは上手いけど、イタリアは物価も高い。

    新学期がはじまるまで、イタリアになれること、お店準備と勉強をしなくてはならない霧子。そんな中、隣のバジリコ家の兄弟と出会う。兄のダヴィデは天使のような容姿の紳士的な高校2年生。弟のアンドレアは失礼な物言いで、容姿も兄とは似ていない。霧子と同じ中学3年生。
    追試のため家庭教師をつけてアンドレアと一緒に勉強することになり、霧子はアンドレアのいいところも知っていくし、バジリコ家の複雑な家庭事情とその苦悩も知る。

    設定が、そんなに複雑にしなくてもいいのに…とも思うけど、3百年も続く旧家なら、その複雑さも普通のことかもしれない。
    帯にもある、〝愛すること、忘れること、そして許すこと〝がテーマ。スエーデンの諺にあるらしい「愛すること、忘れること、そして許すことは人生の三つの試練」…霧子は、「許すこと」を自分にも、そして母にも、祖父にも願う。

    物語の中にでてくる小道具のセンスがいい。
    キリコ•デ・キリコ。日本で言ったら、牧マキちゃんとか南ミナミちゃんみたいな、苗字と名前が同じ。それもなんか、いい。

  • イタリアの兄弟が魅力的。あと主人公がいじめっ子たちに多国語でタンカ切るシーンも素敵。

  • 思春期向け
    盛り込み過ぎで雑な感じはあるけど、魅力的な人物が多くて読みやすい。
    イタリア人のパパ(故人)、明るいママ、中学生の霧子、天使のように美しい隣のお兄ちゃん、全く似てなくてひねくれた弟(同級生)、常連客の作家、謎のおじいさん、敵対するクラスメイト3人組。
    ダヴィデがもう少しクセのある人物かと思ったけど、そうでもなかった。

    イタリアのカフェの空気感がいい。

  • 母と共にイタリアに越してきた、日本人とイタリア人のミックスの女の子。二人がそこで開くカフェ、そしてそこから連なる『家族』の話。

    伏線というものがほとんどないので、人物ドラマに注目する小説なのだと思う。文章は軽くて読みやすい。ミラノ、カフェの気分になれる、いい本だった。

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著者プロフィール

『水色の足ひれ』(第22回ニッサン童話と絵本のグランプリ童話大賞受賞・BL出版)で作家デビュー。主な著書に『スーパーキッズ 最低で最高のボクたち』(第28回うつのみやこども賞受賞)『ぼくのネコがロボットになった』『リジェクション 心臓と死体と時速200km』『雨の日が好きな人』(以上、講談社)、『セイギのミカタ』(フレーベル館)、『つくられた心』(ポプラ社)、『一〇五度』(第64回青少年読書感想文全国コンクール中学校部門課題図書)、『アドリブ』(第60回日本児童文学者協会賞受賞)、『世界とキレル』(以上、あすなろ書房)など。
イタリア在住。日本児童文学者協会会員。季節風同人。

「2023年 『おはなしサイエンス AI(人工知能) ロボットは泣くのか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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