天翔る

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 606
レビュー : 114
  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062182591

感想・レビュー・書評

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  • *看護師の貴子が出会った少女、まりもは、ある事件から学校に行けなくなってしまった。貴子は少女を牧場へと誘う。そこで待ち受けていたのは風変わりな牧場主と、乗馬耐久競技(エンデュランス)という未知の世界だった―。北海道の牧場を舞台に描かれる命の輝き。底知れぬ感動をよぶ、祈りと希望の物語*

    馬、かあ…と全く期待せず手に取った作品でしたが、思いのほか心に染みる良作でした。親を亡くしたまりも、男性不信の貴子、全てを喪った志渡…心に傷を負った人間同士が、ある時は全力で、ある時はそっと寄り添い、支え合って生きていく。そこにエンデュランスと言う特殊な競技と馬との交流、とても繊細で複雑な心理描写が加わり、さすがの村山作品に仕上がっています。ラストは出来過ぎな気もしますが、そこは筆力のなせる業。無理なく感動に導いてくれます。

  • ラブストーリーのイメージが強い村山さんですが、この本は純粋に少女と馬の絆のようなものが垣間見れて、何度か涙してしまいました。

    馬と触れ合う機会はなかなかないですが、本を読んだだけの私がかわいいんだろうなぁと感じるくらいなので、実際に育てている方からしたら、突然死や食用に回さなければならない事情は想像できない辛さがあるんだろうな、と思います。馬に限らず、ですが。

    なんだか牧場に行きたくなっちゃいました。

    あと、志渡さんと貴子がその後どうなったのかが気になります…。

  • まりも 父 いじめ 石本 貴子 シド 理沙 馬 ランチ エンデュランス 競馬 自傷行為 トラウマ 人馬一体

  • 一人の少女と、心に傷を持った人たちの暖かく再生に向かっていく物語。
    馬を通して、大切なものを手探りで感じていく、とても暖かい気持ちになる作品でした。
    何も解決していないし、これから続いていくのだけれど、爽やかに晴ればれする気持ちになれる。「青春」とはまた少し違う気がするけど、爽やかで不器用で真っ直ぐな心に感動しました。

  • 心に傷を負った登場人物達が、馬を通じて絆を深めていく。言葉が必要でない時も、ある。

  • 馬と登校拒否になった少女の成長の物語

    エンデュランスという競技をこれで初めて知った。

  • 最後のレース部分は若干物足りなくも感じたが、周りの人々に助けられながら少女が成長していくストーリーは心地よく読み進められた。

  • 2016.11.13

  • 20年前、村山さんが直木賞を受賞するずっと昔に、なおこさんへ、とご本人直筆のハガキを頂いたことがあります。
    最初に頂いたハガキには、メッセージと共に猫の写真が、次に頂いたものには乗馬している村山さんご自身の写真がありました。
    馬好きを公言されている彼女ですがこれまで作品の題材には挙げられておらず、本作は満を持して、と言えるかもしれません。そういった事情を知る贔屓目を抜きにしても、本書はこれぞ彼女の真骨頂と言える名作だと思います。

    奇をてらわず、情景や人物を一つ一つ丁寧に、丁寧に描いてあるのは、初期の村山作品に通ずるものがあります。しかしストーリーの本筋からそれる事件については、余計な後日談を潔く削ぎ落としてあり、全体的に心地好い疾走感があります。ともすれば拡げたくなるような登場人物それぞれの個人的なエピソードを、語りすぎることなくグッと抑えるその塩梅は流石にプロの仕事であり、物語の起承転結が見事です。
    最近の村山さんの少し過激な、少しダークな作風が苦手な人に特にお勧めしたい、そして馬に全く興味がない人も十二分に楽しめる、勝負事の世界を、主人公の少女まりもを通じて優しくも力強く描いた力作です。

  • 半自伝の小説から追わなくなっていたのだが、おいコーシリーズを改めて読み返して読んでない本も読む気になり借りてきた本。

    村山さんが馬を飼って(世話して?)いて、競技にも出ているらしいと何かのあらすじで知ってはいたけど、ようやくそれに関する小説が出たね!って思いました。
    知らない世界でとても興味をそそられ楽しかったし、相も変わらず登場人物も良かった。

    不幸を、というか、人に裏切られた経験のある人ばかりというのが村山さんの作品らしく好き。
    「すべての雲は銀の…」と系統が似てる。

    面白くてどんどん読み進めてしまったし、ページがわずかになると「これ終わるの…?」と不安になりつつ読み終えた。
    最高のラストだった。

    素直なまりもに幸あれと、望まずにはいられない。

    個人的に気になるのが、村山さんは編集者に何か恨みでもあるのかな…?と笑
    損な役回りや嫌な役どころの登場人物の職業に編集者が多くて、そうでなくてもよく自身の事を小説に入れてくる村山さんなので、どうにも勘ぐってしまう…

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著者プロフィール

村山由佳(むらやま ゆか)
1964年7月10日生まれ、立教大学文学部日本文学科卒業。不動産会社、塾講師などの勤務を経て作家となる。
1991年 『いのちのうた』でデビュー。1991年『もう一度デジャ・ヴ』で第1回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞佳作、1993年『春妃〜デッサン』(『天使の卵-エンジェルス・エッグ』に改題)で第6回小説すばる新人賞、2003年『星々の舟』で第129回直木三十五賞、2009年『ダブル・ファンタジー』で第4回中央公論文芸賞、第16回島清恋愛文学賞、第22回柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞している。ほか、代表作として『おいしいコーヒーのいれ方』シリーズがある。

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