天翔る

著者 :
  • 講談社
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レビュー : 114
  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062182591

感想・レビュー・書評

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  • こういう村山作品がよみたかった。
    はじめからぐいぐい引き込まれた。
    しおりを挟んだページを開くのが
    いつも楽しみで仕方がなかった。

    馬のことはもちろん、
    エンデュランスという競技のことも知らない。
    それでも夢中になり、
    自分の五感すべてが敏感になっていった。

    競馬場で馬と出会い
    やがてエンデュランスという競技に出場するまりもの日々は
    特別感満載でもいいのにそうではない。
    寄り添いたくなる、ただの少女だ。

    自分の発した言葉を相手がどう受け止めるのか
    小学生だってその重さを自覚しなければならない。
    まりもに投げつけられた言葉に
    いっしょに痛みを感じるだけでなく、
    怒ってくれる人がいてよかった。
    まりもが人に恵まれてよかったと本当に思う。

    • だいさん
      >自分の五感すべてが敏感になっていった。

      この躍動感は、いいじゃないですか!
      >自分の五感すべてが敏感になっていった。

      この躍動感は、いいじゃないですか!
      2013/10/07
  • ページが残り少なくなっていく。
    まだだ、まだ読みたい、物語を読み続けたい。
    初めてかもしれない、終わってほしくないと感じた物語。

    北海道の牧場を舞台に描かれる少女まりもと馬との物語。
    失ってしまったまりも。
    触れることができなくなった貴子。
    捨てきることができなかった志渡。
    3人が馬とともに過去を乗り越え、未来へと翔けていく。

    物語が軽快に駆けていったり、ドンっ!と落馬してしまったり、まるで作者が読書の心の手綱を握っているかのように、物語のアップダウンを伝え、気持ちを惹き込んでいく。

    まりもが父を失くした後に初めて引き絞るように叫ぶ
    「と・・・とう、ちゃあん・・・、とう、ちゃあん」
    ぐっと鷲掴みにされた、身体全体を。

    涙を流すたびにまりもが成長していく。
    抱きしめられるたびにまりもが成長していく。
    抱きしめるたびに互いが、互いとが強くなっていく。

    乗馬耐久競技(エンデュランス)という未知の世界に踏み出すまりも。
    まりもの周りの大人たちが様々な思惑を絡めながら。

    エンジデュランスなんて知らない。
    知らないけど、緊張したり、苦しんだり、すーっと背筋が伸びたりしてくる。
    エンデュランスの先にあった気持ちが私にも移ってきた。

    そして、ラスト。
    読後感がいいってものじゃない。
    感動しました。

    お気に入りの本が並ぶ本棚にまた1冊増えます。
    ステキな感情とともに。

  • エンデュランス乗馬という競技がある。
    一言で言えば“乗馬マラソン”のようなもの。
    40〜160キロという長距離もさることながら起伏が激しくコースは過酷。
    最愛の父を亡くし祖父母と暮らす11歳の少女まりも。
    学校でイジメに遭い不登校にまで追い込まれ自分に自信を失くす。
    そんな中で馬との出会いはまりもにとっては特別で唯一の救いでもあった。
    心やさしい大人たちに見守られてエンデュランスに挑み
    健気に成長してゆくまりもについエールを送りたくなる小説。
    これはただのエンデュランスという競技のなんたるかや少女の成長物語というだけではなく
    様々なトラウマ的な過去を持つ大人たちの再生の物語でもあり
    ラストに散りばめられた言葉達がストレートに迫って来てにただただ感動した。

    【講談社様より刊行前見本頂く】

  • いわゆる 「白村山」「黒村山」と分類される村山作品
    これは私の好きな 「白村山」時代にかえったような お話!
    感受性豊かな少女・もずくが馬に出会いエンデュランスという競技に
    のめり込むことによって 父親の死や登校拒否という苦境を
    乗り越えていくストーリー。
    もずくを取り囲む人たちが温かすぎて
    電車の中で読んでるのに 涙があふれてきて困りました。

  • 村山由佳のファンという贔屓目を除いても、この作品は本当に素晴らしいと思った。
    ここ数年の著者の作品と比べても、「あぁ、まだこんなに素晴らしい作品が書ける人なんだ」と改めて村山由佳という作家の底力みたいなものを感じた。
    あらすじを読んだ時に、私はこの本にハマれるだろうかと一抹の不安があった。
    馬の話なんて(極端だけど)興味もなければ魅力のようなものがイマイチ感じられなかったから。
    でも今となっては、これはとにかく読んでみてとたくさんの人にすすめたい。
    読書中には何度かグッと来る場面もあって、これはもう読まないと分からないです。

  • 村山由佳さん待望の新作!!
    馬にまつわるストーリーなんだけど
    手に汗握る展開が続く。。。。。

    恋愛モードになりそうでそこをあえて描写していかなかったところもよかったかも。。。読者の想像の世界で幸せにさせてあげてくださいって想いが伝わってきました。。。

  • 北海道旅行にてランチを訪れた際に、
    そこのオーナーさんが、この作品の誕生にあたって大きく影響したと聞いて、
    図書館に予約しました。
    図書館の予約順は約70番目、2ヶ月待ちでしたが、
    結果、とっても素敵な本と巡りあうことができました。

    北海道で外乗して走った風景や感覚が、
    ページを捲るたびに蘇ってきたり、
    また、未知なるエンデュランスの荒々しい光景も、
    吸い込まれるようにその世界に浸ることができました。

    ストーリーや登場人物の描写、広大な風景、スピード感ともに楽しむことができました。
    なんと言っても、おウマが可愛いですね!!
    柔らさ、優しさが、直接触れているように感じられました。
    こんな風に愛おしんで乗れるようになったらいいなと憧れます。

    ラストは通勤電車の中で読みましたが、ホロホロと涙が溢れました。
    ストーリを追うのに足早に読んでしまったので、
    また、もう一度、丁寧に読み返してみたいなと思います。

  • 最近の村山さんの本はあまりヒットしてなかったけど、この作品は本当にいい!

    馬が好きで、乗馬も経験あるので、すごく親しみやすかった。

    内容的には青のフェルマータに近いのかな?それぞれに抱えた闇と向き合いながら馬と共に歩んでいく姿は素敵です。

    最後の再会がとても感動的で、ジーンときました。゚(゚´Д`゚)゚。

  •  両親を亡くしたことと苛めにより精神のバランスを崩し、登校拒否に至ってしまった少女まりもを中心に幼少の頃の体験により心に傷を負った貴子や友に裏切られ家族に見捨てられた志渡が織り成すハーモニーが読むものの心を揺さぶる。大切なものを喪った者達の魂の再生が見事に描き出されており、心が洗われるようだ。

     それにしても村山由佳という作家は、つくづくうまい作家だと思う。まりもや貴子のせつなさ・やりきれなさや志渡の男くささの裏にある怒りを背景にきちんと描きながらもエンデュランスという馬術競技の中に物語を収束させ、静かな感動を与えてくれている。読み終えてしまうのが惜しい、どこまでも読み続けたい、まりも、貴子、志渡、そして漆原のこの先の人生をもっと知りたいと思わせてくれる作品であった。

     そして何より、馬の鼻息が感じられ、体温が伝わってくる。馬の背の上からの眺めを見てみたい、そんな気持ちにさせてくれるすばらしい物語であった。

    読者モニターとしてプルーフ版にて読了。

  • 20年前、村山さんが直木賞を受賞するずっと昔に、なおこさんへ、とご本人直筆のハガキを頂いたことがあります。
    最初に頂いたハガキには、メッセージと共に猫の写真が、次に頂いたものには乗馬している村山さんご自身の写真がありました。
    馬好きを公言されている彼女ですがこれまで作品の題材には挙げられておらず、本作は満を持して、と言えるかもしれません。そういった事情を知る贔屓目を抜きにしても、本書はこれぞ彼女の真骨頂と言える名作だと思います。

    奇をてらわず、情景や人物を一つ一つ丁寧に、丁寧に描いてあるのは、初期の村山作品に通ずるものがあります。しかしストーリーの本筋からそれる事件については、余計な後日談を潔く削ぎ落としてあり、全体的に心地好い疾走感があります。ともすれば拡げたくなるような登場人物それぞれの個人的なエピソードを、語りすぎることなくグッと抑えるその塩梅は流石にプロの仕事であり、物語の起承転結が見事です。
    最近の村山さんの少し過激な、少しダークな作風が苦手な人に特にお勧めしたい、そして馬に全く興味がない人も十二分に楽しめる、勝負事の世界を、主人公の少女まりもを通じて優しくも力強く描いた力作です。

著者プロフィール

村山由佳(むらやま ゆか)
1964年7月10日生まれ、立教大学文学部日本文学科卒業。不動産会社、塾講師などの勤務を経て作家となる。
1991年 『いのちのうた』でデビュー。1991年『もう一度デジャ・ヴ』で第1回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞佳作、1993年『春妃〜デッサン』(『天使の卵-エンジェルス・エッグ』に改題)で第6回小説すばる新人賞、2003年『星々の舟』で第129回直木三十五賞、2009年『ダブル・ファンタジー』で第4回中央公論文芸賞、第16回島清恋愛文学賞、第22回柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞している。ほか、代表作として『おいしいコーヒーのいれ方』シリーズがある。

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