天翔る

著者 :
  • 講談社
3.90
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本棚登録 : 606
レビュー : 114
  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062182591

作品紹介・あらすじ

看護師の貴子が出会った少女、まりもは、ある事件から学校に行けなくなってしまった。貴子は少女を牧場へと誘う。そこで待ち受けていたのは風変わりな牧場主と、乗馬耐久競技(エンデュランス)という未知の世界だった-。北海道の牧場を舞台に描かれる命の輝き。底知れぬ感動をよぶ、祈りと希望の物語。

感想・レビュー・書評

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  • こういう村山作品がよみたかった。
    はじめからぐいぐい引き込まれた。
    しおりを挟んだページを開くのが
    いつも楽しみで仕方がなかった。

    馬のことはもちろん、
    エンデュランスという競技のことも知らない。
    それでも夢中になり、
    自分の五感すべてが敏感になっていった。

    競馬場で馬と出会い
    やがてエンデュランスという競技に出場するまりもの日々は
    特別感満載でもいいのにそうではない。
    寄り添いたくなる、ただの少女だ。

    自分の発した言葉を相手がどう受け止めるのか
    小学生だってその重さを自覚しなければならない。
    まりもに投げつけられた言葉に
    いっしょに痛みを感じるだけでなく、
    怒ってくれる人がいてよかった。
    まりもが人に恵まれてよかったと本当に思う。

    • だいさん
      >自分の五感すべてが敏感になっていった。

      この躍動感は、いいじゃないですか!
      >自分の五感すべてが敏感になっていった。

      この躍動感は、いいじゃないですか!
      2013/10/07
  • エンデュランスという馬術競技を初めて知った。
    馬術競技というと馬場で行うというイメージだったが、これは外乗コースで行う長距離耐久レースだという。
    では映画『ヒダルゴ』のような、人にも馬にも過酷なレースなのかと思ったら、長距離ゆえ過酷ではあるが、馬は労わるレースであるという。
    距離にもよるが、6つの区間(レグ)を通過する間に馬の体調を獣医がチェックして、それをパスできないと次のレグは走れない。
    もし完走しても、完走後の獣医師チェックをパスしなければ失権する。
    ゴールした順位とは別にベストコンディションホース賞というのもある。

    その競技をはじめることになったまりもを中心に、まりもが牧場に通うきっかけとなった看護士の貴子、牧場主の志渡、エンデュランスという競技と普及に力を注ぐ漆原たちの話が展開される。

    父親と二人暮しのまりも。
    学校でいじめを受けはじめたのと同じ頃に父親が事故で亡くなる。
    それがきっかけで学校に通えなくなる。

    馬との触れあいで自信を得、志渡や貴子の助けで一度は学校に戻るのだが…。
    愛情を注いでくれる大人たちや理解してくれる友達がいる。
    まりも自身、恵まれた人間関係だということを頭では理解している。
    なのに二度目に学校に行けなくなったとき、まりもは常習的な自傷行為にまで及んでしまう。
    無条件な愛情・絶対的な安心感・自分を必要としてくれる存在の不在を感じているからだ。
    まりもにとってのそんな存在は父親だった。だからいくら周りに恵まれていても「自分だけが一人だ」と感じて時折父親に無性に会いたくなる。

    そんな弱さを持ちながらも、競技に対する真摯な強さ、馬との信頼関係、などをエンデュランスを通して培うまりも。
    心に傷を持っていた貴子や志渡も、まりもとともに少しずつ前に進んでいく。

    本場の大きな大会、テヴィスカップを完走したまりもの帰国後の思いがけない再会。
    父親との想い出の懐かしいある名前。
    光がいっぱい溢れるような、いろんなものが天に昇っていくような、希望を感じられるラストになっている。


    読者モニターとしてプルーフ版にて読了。

    • cecilさん
      面白そうですね〜!!最近の村山さんの作品は割と官能路線だったので、そろそろ久々に村山さんの王道のヒューマンドラマが読みたいと思っていました。...
      面白そうですね〜!!最近の村山さんの作品は割と官能路線だったので、そろそろ久々に村山さんの王道のヒューマンドラマが読みたいと思っていました。
      このレビューを読んで、エンデュランスという珍しい題材を絡めて人の心の動きを感じられそうな作品みたいで物凄く読みたくなりました。
      そういえばスポーツを絡めた話って村山由佳さんには珍しいですよね。
      発売されたら絶対に読みます!!
      2013/03/15
    • 九月猫さん
      cecilさん、こんばんはー♪
      コメントありがとうございます!

      そうなんですってね>最近の村山さんは官能路線
      村山さんの作品は少し...
      cecilさん、こんばんはー♪
      コメントありがとうございます!

      そうなんですってね>最近の村山さんは官能路線
      村山さんの作品は少ししか読んだことなかったのだけど、
      さわやかなイメージがあったのでビックリしましたよー。

      エンデュランスは村山さんもなさっているそうです。
      馬がお好きで牧場のようなおうちというのは知っていたのですが、
      自らこんな過酷な競技をなさっているとはこれまたビックリでした。

      アマゾンの発売日が当初8日だったので、8日にレビューをUPしたのですが、
      発売日遅れてるみたいですね……。
      お時間があってお好みそうなら、発売されたらぜひ読んでみてくださいね!
      その折にはcecilさんのレビュー楽しみにしてます~(´▽`)ノ
      2013/03/15
  • ページが残り少なくなっていく。
    まだだ、まだ読みたい、物語を読み続けたい。
    初めてかもしれない、終わってほしくないと感じた物語。

    北海道の牧場を舞台に描かれる少女まりもと馬との物語。
    失ってしまったまりも。
    触れることができなくなった貴子。
    捨てきることができなかった志渡。
    3人が馬とともに過去を乗り越え、未来へと翔けていく。

    物語が軽快に駆けていったり、ドンっ!と落馬してしまったり、まるで作者が読書の心の手綱を握っているかのように、物語のアップダウンを伝え、気持ちを惹き込んでいく。

    まりもが父を失くした後に初めて引き絞るように叫ぶ
    「と・・・とう、ちゃあん・・・、とう、ちゃあん」
    ぐっと鷲掴みにされた、身体全体を。

    涙を流すたびにまりもが成長していく。
    抱きしめられるたびにまりもが成長していく。
    抱きしめるたびに互いが、互いとが強くなっていく。

    乗馬耐久競技(エンデュランス)という未知の世界に踏み出すまりも。
    まりもの周りの大人たちが様々な思惑を絡めながら。

    エンジデュランスなんて知らない。
    知らないけど、緊張したり、苦しんだり、すーっと背筋が伸びたりしてくる。
    エンデュランスの先にあった気持ちが私にも移ってきた。

    そして、ラスト。
    読後感がいいってものじゃない。
    感動しました。

    お気に入りの本が並ぶ本棚にまた1冊増えます。
    ステキな感情とともに。

  • エンデュランス乗馬という競技がある。
    一言で言えば“乗馬マラソン”のようなもの。
    40〜160キロという長距離もさることながら起伏が激しくコースは過酷。
    最愛の父を亡くし祖父母と暮らす11歳の少女まりも。
    学校でイジメに遭い不登校にまで追い込まれ自分に自信を失くす。
    そんな中で馬との出会いはまりもにとっては特別で唯一の救いでもあった。
    心やさしい大人たちに見守られてエンデュランスに挑み
    健気に成長してゆくまりもについエールを送りたくなる小説。
    これはただのエンデュランスという競技のなんたるかや少女の成長物語というだけではなく
    様々なトラウマ的な過去を持つ大人たちの再生の物語でもあり
    ラストに散りばめられた言葉達がストレートに迫って来てにただただ感動した。

    【講談社様より刊行前見本頂く】

  • いわゆる 「白村山」「黒村山」と分類される村山作品
    これは私の好きな 「白村山」時代にかえったような お話!
    感受性豊かな少女・もずくが馬に出会いエンデュランスという競技に
    のめり込むことによって 父親の死や登校拒否という苦境を
    乗り越えていくストーリー。
    もずくを取り囲む人たちが温かすぎて
    電車の中で読んでるのに 涙があふれてきて困りました。

  • 村山由佳のファンという贔屓目を除いても、この作品は本当に素晴らしいと思った。
    ここ数年の著者の作品と比べても、「あぁ、まだこんなに素晴らしい作品が書ける人なんだ」と改めて村山由佳という作家の底力みたいなものを感じた。
    あらすじを読んだ時に、私はこの本にハマれるだろうかと一抹の不安があった。
    馬の話なんて(極端だけど)興味もなければ魅力のようなものがイマイチ感じられなかったから。
    でも今となっては、これはとにかく読んでみてとたくさんの人にすすめたい。
    読書中には何度かグッと来る場面もあって、これはもう読まないと分からないです。

  • 村山由佳さん待望の新作!!
    馬にまつわるストーリーなんだけど
    手に汗握る展開が続く。。。。。

    恋愛モードになりそうでそこをあえて描写していかなかったところもよかったかも。。。読者の想像の世界で幸せにさせてあげてくださいって想いが伝わってきました。。。

  • 馬に魅せられた女の子のおはなし。
    小さな身体に余るほどの悲しみや苦しさを抱えて、持て余したりもして、それでも周りの大人たちや馬との関わりで変わっていく。

    最後の最後、泣いた。

  • 北海道旅行にてランチを訪れた際に、
    そこのオーナーさんが、この作品の誕生にあたって大きく影響したと聞いて、
    図書館に予約しました。
    図書館の予約順は約70番目、2ヶ月待ちでしたが、
    結果、とっても素敵な本と巡りあうことができました。

    北海道で外乗して走った風景や感覚が、
    ページを捲るたびに蘇ってきたり、
    また、未知なるエンデュランスの荒々しい光景も、
    吸い込まれるようにその世界に浸ることができました。

    ストーリーや登場人物の描写、広大な風景、スピード感ともに楽しむことができました。
    なんと言っても、おウマが可愛いですね!!
    柔らさ、優しさが、直接触れているように感じられました。
    こんな風に愛おしんで乗れるようになったらいいなと憧れます。

    ラストは通勤電車の中で読みましたが、ホロホロと涙が溢れました。
    ストーリを追うのに足早に読んでしまったので、
    また、もう一度、丁寧に読み返してみたいなと思います。

  • 父と祖父母と暮らす、まりもが馬と出会い、馬に乗り、エンデュランスという競技に出る…話と言えばそうだけど、
    なにかしらの、埋められない虚無…のようなものを持った登場人物たちが、
    馬、そしてエンデュランスという競技への参加を通して、
    少しずつ変わっていく、成朝していく話です。

    視点が入れ替わる形なので、それぞれの登場人物の心情も理解しやすい。
    面白かったです。

  • 最近の村山さんの本はあまりヒットしてなかったけど、この作品は本当にいい!

    馬が好きで、乗馬も経験あるので、すごく親しみやすかった。

    内容的には青のフェルマータに近いのかな?それぞれに抱えた闇と向き合いながら馬と共に歩んでいく姿は素敵です。

    最後の再会がとても感動的で、ジーンときました。゚(゚´Д`゚)゚。

  • 大好きな父親をネタにいじめを受け、学校に行けなくなったまりも。
    子供時代の性的虐待のトラウマがある貴子。
    親友の裏切りにあった志渡。

    それぞれ心に傷を抱えた者達が、北海道の牧場で馬との交流を通して成長していく。
    エンデュランス(乗馬耐久レース)という種目があるなんて初めて知った。

    久しぶりの村山作品だったけど1日で読破。
    北海道の大自然の描写が美しく、想像しやすかった。
    相手が人間でも動物でも、どこまで信頼できるか。信頼があるからこそかけがえのない絆が生まれるんだなぁ。

  • 心に傷を受けた女の子が馬を通じて強くなっていく… って、何かありがちな話だな~って最初は思っていたけど、そこはやっぱさすが村山さんでした。
    エンデュランスにも興味が持てたし、なにしろ馬に乗るのがそんなに大変なことだとは知りませんでした。

  • 一人の少女と馬を軸に
    心に深い傷を負った人々の物語。

    母や別れた夫への恨みや確執を「私はこんなに辛かった」と手を変え品を変え訴えるような小説からようやく目線が離れたようでホッ(辛辣)。

    読み応えがありグイグイ読み進め、終章間近で「あとこれだけでまとまるの?」と心配に。
    一応綺麗に終わったけど
    誰も、何も解決はしてないよね。

    それが現実ではあるけれど
    だからこそ小説の中位は
    スッキリ決着をつけてほしい。

    【図書館・初読・5/8読了】

  • 白村山小説。
    子どもと動物が出てくる、という時点で感動の予感ありあり。
    まぁ、うまくいきすぎ、とも思うけどそれを含めてさえも面白かった。
    「エンデュランス」という競技も初めて知った。こんなに過酷な馬術競技があるなんてな。
    極限的状況でヒトと馬の二者に芽生える信頼感、それはやはり読む者の心に熱い感動を吹き込んでくれる。

  • 村山由佳は「おいしいコーヒー~」以来。
    父子家庭で育つ主人公まりもは、11歳でその父さえも亡くしてしまう。祖父母に可愛がられるも、学校でのいじめもあり、不登校に。そんなときに出会った看護師・貴子が通うシルバーランチで馬という動物と、運命の出会いを果たす。少女が初めて知る、エンデュランス、という競技の世界。馬も人も元気なままで長い距離を進むという耐久レースだった。
    思春期の少女の気持ちや、貴子のトラウマ、恋愛など女性作家ならではの物語の幅がある。
    ただ、序盤はそれが魅力だと思っていたのだが、後半わずらわしくなる部分もあり…スポ魂一直線のアツイ物語が読みたい場合はちょっと…

  • エンデュランスと言う乗馬競技と少女を中心とする人々のお話。
    自分の思う通りになる事なんてほとんど無い。と言う事は、チョットはあると言う事だ。強く思っていればそこに達することができる。でも、そんな束縛から解放され自由に、いや自由からも、さらに時間からも解放されたらどんな気分だろう‥

  •  両親を亡くしたことと苛めにより精神のバランスを崩し、登校拒否に至ってしまった少女まりもを中心に幼少の頃の体験により心に傷を負った貴子や友に裏切られ家族に見捨てられた志渡が織り成すハーモニーが読むものの心を揺さぶる。大切なものを喪った者達の魂の再生が見事に描き出されており、心が洗われるようだ。

     それにしても村山由佳という作家は、つくづくうまい作家だと思う。まりもや貴子のせつなさ・やりきれなさや志渡の男くささの裏にある怒りを背景にきちんと描きながらもエンデュランスという馬術競技の中に物語を収束させ、静かな感動を与えてくれている。読み終えてしまうのが惜しい、どこまでも読み続けたい、まりも、貴子、志渡、そして漆原のこの先の人生をもっと知りたいと思わせてくれる作品であった。

     そして何より、馬の鼻息が感じられ、体温が伝わってくる。馬の背の上からの眺めを見てみたい、そんな気持ちにさせてくれるすばらしい物語であった。

    読者モニターとしてプルーフ版にて読了。

  • 読まずに売った

  • 母か姉かといった気分で、まりもの成長を見つめてしまう。手を出しちゃいけない、でも助けてあげたい、その狭間で揺れる大人。

    でも、子どもは大人が考えるよりも強く、たくましく、しなやかだ。

    怪我をしても構わない。怪我をさせないように守っているだけではなく、怪我をした後に治るまでのフォローをするのが大人の役目だ。

  • *看護師の貴子が出会った少女、まりもは、ある事件から学校に行けなくなってしまった。貴子は少女を牧場へと誘う。そこで待ち受けていたのは風変わりな牧場主と、乗馬耐久競技(エンデュランス)という未知の世界だった―。北海道の牧場を舞台に描かれる命の輝き。底知れぬ感動をよぶ、祈りと希望の物語*

    馬、かあ…と全く期待せず手に取った作品でしたが、思いのほか心に染みる良作でした。親を亡くしたまりも、男性不信の貴子、全てを喪った志渡…心に傷を負った人間同士が、ある時は全力で、ある時はそっと寄り添い、支え合って生きていく。そこにエンデュランスと言う特殊な競技と馬との交流、とても繊細で複雑な心理描写が加わり、さすがの村山作品に仕上がっています。ラストは出来過ぎな気もしますが、そこは筆力のなせる業。無理なく感動に導いてくれます。

  • ラブストーリーのイメージが強い村山さんですが、この本は純粋に少女と馬の絆のようなものが垣間見れて、何度か涙してしまいました。

    馬と触れ合う機会はなかなかないですが、本を読んだだけの私がかわいいんだろうなぁと感じるくらいなので、実際に育てている方からしたら、突然死や食用に回さなければならない事情は想像できない辛さがあるんだろうな、と思います。馬に限らず、ですが。

    なんだか牧場に行きたくなっちゃいました。

    あと、志渡さんと貴子がその後どうなったのかが気になります…。

  • まりも 父 いじめ 石本 貴子 シド 理沙 馬 ランチ エンデュランス 競馬 自傷行為 トラウマ 人馬一体

  • 一人の少女と、心に傷を持った人たちの暖かく再生に向かっていく物語。
    馬を通して、大切なものを手探りで感じていく、とても暖かい気持ちになる作品でした。
    何も解決していないし、これから続いていくのだけれど、爽やかに晴ればれする気持ちになれる。「青春」とはまた少し違う気がするけど、爽やかで不器用で真っ直ぐな心に感動しました。

  • 心に傷を負った登場人物達が、馬を通じて絆を深めていく。言葉が必要でない時も、ある。

  • 馬と登校拒否になった少女の成長の物語

    エンデュランスという競技をこれで初めて知った。

  • 最後のレース部分は若干物足りなくも感じたが、周りの人々に助けられながら少女が成長していくストーリーは心地よく読み進められた。

  • 2016.11.13

  • 20年前、村山さんが直木賞を受賞するずっと昔に、なおこさんへ、とご本人直筆のハガキを頂いたことがあります。
    最初に頂いたハガキには、メッセージと共に猫の写真が、次に頂いたものには乗馬している村山さんご自身の写真がありました。
    馬好きを公言されている彼女ですがこれまで作品の題材には挙げられておらず、本作は満を持して、と言えるかもしれません。そういった事情を知る贔屓目を抜きにしても、本書はこれぞ彼女の真骨頂と言える名作だと思います。

    奇をてらわず、情景や人物を一つ一つ丁寧に、丁寧に描いてあるのは、初期の村山作品に通ずるものがあります。しかしストーリーの本筋からそれる事件については、余計な後日談を潔く削ぎ落としてあり、全体的に心地好い疾走感があります。ともすれば拡げたくなるような登場人物それぞれの個人的なエピソードを、語りすぎることなくグッと抑えるその塩梅は流石にプロの仕事であり、物語の起承転結が見事です。
    最近の村山さんの少し過激な、少しダークな作風が苦手な人に特にお勧めしたい、そして馬に全く興味がない人も十二分に楽しめる、勝負事の世界を、主人公の少女まりもを通じて優しくも力強く描いた力作です。

  • 半自伝の小説から追わなくなっていたのだが、おいコーシリーズを改めて読み返して読んでない本も読む気になり借りてきた本。

    村山さんが馬を飼って(世話して?)いて、競技にも出ているらしいと何かのあらすじで知ってはいたけど、ようやくそれに関する小説が出たね!って思いました。
    知らない世界でとても興味をそそられ楽しかったし、相も変わらず登場人物も良かった。

    不幸を、というか、人に裏切られた経験のある人ばかりというのが村山さんの作品らしく好き。
    「すべての雲は銀の…」と系統が似てる。

    面白くてどんどん読み進めてしまったし、ページがわずかになると「これ終わるの…?」と不安になりつつ読み終えた。
    最高のラストだった。

    素直なまりもに幸あれと、望まずにはいられない。

    個人的に気になるのが、村山さんは編集者に何か恨みでもあるのかな…?と笑
    損な役回りや嫌な役どころの登場人物の職業に編集者が多くて、そうでなくてもよく自身の事を小説に入れてくる村山さんなので、どうにも勘ぐってしまう…

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著者プロフィール

村山由佳(むらやま ゆか)
1964年7月10日生まれ、立教大学文学部日本文学科卒業。不動産会社、塾講師などの勤務を経て作家となる。
1991年 『いのちのうた』でデビュー。1991年『もう一度デジャ・ヴ』で第1回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞佳作、1993年『春妃〜デッサン』(『天使の卵-エンジェルス・エッグ』に改題)で第6回小説すばる新人賞、2003年『星々の舟』で第129回直木三十五賞、2009年『ダブル・ファンタジー』で第4回中央公論文芸賞、第16回島清恋愛文学賞、第22回柴田錬三郎賞をそれぞれ受賞している。ほか、代表作として『おいしいコーヒーのいれ方』シリーズがある。

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