シンクロニシティ 法医昆虫学捜査官

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 418
感想 : 96
  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062182867

作品紹介・あらすじ

東京・葛西のトランクルームから女性の腐乱死体が発見された。全裸で遺棄された遺体は損傷が激しく、人相はおろか死亡推定日時の予測すら難しい状態だった。捜査一課の岩楯警部補は、若手刑事の月縞を指名して捜査に乗り出した。検屍を終えてわかったことは、死因が手足を拘束されての撲殺であることと、殺害現場が他の場所であると思われることの2点だった。発見現場に蠅とウジが蝟集していたことから、捜査本部は法医昆虫学者の赤堀涼子の起用を決定する。赤堀はウジの繁殖状況などから即座に死亡推定日時を割り出し、また殺害状況までも推論する。さらに彼女の注意を引いたのは、「サギソウ」という珍しい植物の種が現場から発見されたことだった。「虫の知らせ」を頼りに、法医昆虫学者が事件の解明に動き出した。

感想・レビュー・書評

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  • 法医昆虫学捜査官シリーズ2作目。

    法医昆虫学とは――
    死体に湧く虫の成長と生態系の組まれ方から、死後経過や犯罪環境までも割り出していくという希有な学問。(帯より)

    レンタルトランクルームから女性の腐乱死体が発見される。人相はおろか死亡推定日時の予測すら難しい状態で、わかったことは、拘束されての撲殺であることと、殺害現場が他の場所と思われることだけ。
    捜査本部に協力を要請された法医昆虫学者の赤堀涼子は虫の状況などから死亡推定日時・殺害状況を推論。そして彼女の注意をさらに引いたのは、野生では珍しいサギソウの種が現場から発見されたことだった。

    えーとまあ、想像通りの類の虫が出てきます。大量に。
    虫がニガテなかたはご注意を。
    とかいってるわたしが虫関係まっったくダメなので、ニガテなかたでも案外読めるかもしれません。いや責任は持てませんが。
    海外ドラマのCSIシリーズやBONESがヘイキならだいじょうぶ、かと。やはり責任は持てませんが。
    1作目のほうが冒頭からなにかとキツかったので、今作は覚悟していたよりは大丈夫(あくまで1作目比)だったけれど、まあそれでも冒頭からわんさか。
    死体の状態ももちろんひどい。

    ネガキャンかというようなレビューですが、虫嫌いが1作目で懲りずに2作目を読んでいることからお察しいただけるようにおもしろいです。
    日本ではまだ珍しい法医昆虫学の観点からの捜査は知らないことばかりで興味深いし、なにより、法医昆虫学者として捜査に協力する赤堀涼子のキャラが個性的で楽しい!

    小柄で実年齢より若く見え、捕虫網を持ったその姿はまるで夏休みの小学生。
    その一見かわいらしい見た目からは想像もつかないような虫との付き合い方。自分の名前まで誤変換(垢彫とか)してもヘイキな大雑把な性格。

    一緒に捜査・行動する刑事たちのキャラもいい。
    1作目からの岩楯刑事と、彼の新しい相棒月縞。
    岩楯はあいかわらず強面で皮肉気なのに、頼りがいがある雰囲気。
    月縞は、覇気のなさと急にやる気が起こる若者らしい二面性を持つ。経験の無さからの未熟な考えや捜査ミスがあるものの、岩楯についているうちに変わっていく。
    エピローグではすっかり別人のように素直なやる気の持ち主に。
    岩楯サン、意外に人を育てるのが上手いのか?
    (そんな人がなぜ家庭生活はうまくいかんのか・・・)

    ぽんぽんとした会話が、事件の陰惨さを軽くして読みやすくしてくれる。
    軽すぎとみる向きもありそうだけれど、この会話のノリ、わたしは好きです。

    1作目のほうが、次々と繰り出される虫がもたらす謎や新事実からのスピード感はあるけれど、犯人がとってつけたようでドタバタしたラストが気になっていた。
    今作はそういうことがないぶん、ミステリとしても物語としても出来は一作目より、いいと思う。
    ただ2作目にして特殊な虫の例が出たので、マンネリにならないようなネタにするのが難しいのかもしれない。法医昆虫学自体は目新しいけれど、死体につく虫は変わらないだろうし。
    次作、さらに注目して待ちたい。

  • シリーズ第二弾。
    ユーモラスなシーンが増え、
    何度か吹き出した。
    それから、あらっ?
    相棒が別の人に代わってる。
    今回はイケメン設定だけど、
    性格はいろいろと問題を抱えている。

    被害者が恨まれて殺された理由が
    どんなふうに明らかになっていくのか、
    その過程が無理なく描かれていて
    違和感を感じずに読むことができた。
    そして怒涛の犯人確保シーン。
    映像が目に浮かぶようなリアルな気持ち悪さでした。

    今回登場する昆虫は
    気持ち悪いものばかりではなく、
    中でもハッチョウトンボの描写はとても興味深かった。
    人魂の正体にも納得。

  • シリーズ第2弾。葛西のトランクルームで発見された腐乱死体。腐乱死体にはもちろん、ウジが湧く…と言うことで、今回も赤堀の出番。同じウジでも成長が遅いことから、さらに調査を進め、遺体から「サギソウ」と「ハッチョウトンボ」の蛹のぬけがらを発見。遺体の身元、そして事件の真相に迫っていく。第1弾でも書いたが、このシリーズを嘗めていた。ほとんど後半まで遺体の身元も、犯人も分からないで読めるミステリーはなかなか珍しい。そして、伏線の回収の仕方も、かなりトリッキーで毎回想像を超える。今回は過疎、臓器移植などの問題を提起しながら、そこにある人の気持ちもきちんと描いているのは、見事の一言。

  • 赤堀さんの奇人ぶりも色褪せることなく更にヒートアップぶりが心地良く今回は岩楯さんにはイケメンの相棒が。
    彼の成長具合も頼もしく
    何よりも虫がらみの謎解きが面白く
    ミステリーとしても充分すぎるくらいな読み応え。過疎の村のおどろおどろしさも相まって二重にも三重にも楽しめたよに思う。

    虫取り網を振り回して
    黄色いヘルメットを被っている赤堀さんが今回もとっても印象的。

  • +++
    東京・葛西のトランクルームから女性の腐乱死体が発見された。全裸で遺棄された遺体は損傷が激しく、人相はおろか死亡推定日時の予測すら難しい状態だった。捜査一課の岩楯警部補は、若手刑事の月縞を指名して捜査に乗り出した。検屍を終えてわかったことは、死因が手足を拘束されての撲殺であることと、殺害現場が他の場所であると思われることの2点だった。発見現場に蠅とウジが蝟集していたことから、捜査本部は法医昆虫学者の赤堀涼子の起用を決定する。赤堀はウジの繁殖状況などから即座に死亡推定日時を割り出し、また殺害状況までも推論する。さらに彼女の注意を引いたのは、「サギソウ」という珍しい植物の種が現場から発見されたことだった。「虫の知らせ」を頼りに、法医昆虫学者が事件の解明に動き出した。
    +++

    警察の捜査だけでは絶対に見つけ出せないだろうと思われるような、昆虫やその周辺に関連する微細な要素に引っかかり、深く掘り下げていく昆虫学者・赤堀涼子。犯罪を解明するという使命感はもちろんあるだろうが、それ以上に、虫が知らせるあれこれに耳を傾けて、真実を知りたいという探求心が勝っているように見える。執拗なまでの実地調査や観察が導き出すものは、既成観念に凝り固まった警察官たちを驚愕させるばかりである。だが、そのおかげで、思ってもみないほど根深い恨みと復讐心が暴き出されることになるのである。蛆の描写には、相変わらず馴染めないが、興味深いことこの上ないシリーズである。

  • 書かれた順序と呼んでる順序が前後してますが、シリーズ2作目。圧倒的ですね。作品の特性上、描写がきついところはあるけど、今後も新刊が出たら買って読みます。

  • 夏のトランクルームで発見された腐乱死体。身元から不明な事件を赤堀&岩楯刑事がそれぞれの立場から追っていく。今回は死体にわいたウジだけではなく生態系の中に含まれる虫を調べる事で謎を解いていくけど赤堀先生がパワーアップしてる。行動派な学者は最強だ。すぐ傍にある虫の世界を垣間見させてくれて面白い。間に挟まれる田舎に移住したある若者の日常話や刑事サイドで途中遭遇した一見関係なさそうな事件が全部縒り合わさって一つの真相に向かう過程が無駄がなく前作より終わり方が綺麗。岩楯刑事の相棒今回月縞刑事に変わったけど次はまた変わるのかな。

  • <あらすじ>
    東京・葛西のトランクルームから女性の腐乱死体が発見された。全裸で遺棄された遺体は損傷が激しく、人相はおろか死亡推定日時の予測すら難しい状態だった。捜査一課の岩楯警部補は、若手刑事の月縞を指名して捜査に乗り出した。検屍を終えてわかったことは、死因が手足を拘束されての撲殺であることと、殺害現場が他の場所であると思われることの2点だった。発見現場に蠅とウジが蝟集していたことから、捜査本部は法医昆虫学者の赤堀涼子の起用を決定する。赤堀はウジの繁殖状況などから即座に死亡推定日時を割り出し、また殺害状況までも推論する。さらに彼女の注意を引いたのは、「サギソウ」という珍しい植物の種が現場から発見されたことだった。「虫の知らせ」を頼りに、法医昆虫学者が事件の解明に動き出した。

  • 奇矯な昆虫学者が「法医昆虫学捜査官」として事件の捜査に手を貸す物語。警察ものは苦手なのですが、この話は岩楯刑事の「まじめすぎない」スタンスがなんか肌に合って楽しく読めます。今回は、監禁の末殺されたと思しき女性が見つかり、死体の周囲の「虫」から事件の捜査に入ります。
    前回ほどえぐい絵面はなく……って私、慣れてきてる(笑)。今回は無愛想な美青年が相棒になって、その点でも面白かったです。藪木は今回だけだともったいないなー。魅力的なキャラクターだと思います。虫という(たぶん)今までにない素材を使用した警察ミステリ。おすすめです。

  • 今回の作品もサスペンスフルな展開でなかなか面白かった。
    被害者が誰という主題で引っ張りながら昆虫の絡ませ方が事件がその謎の被害者を探り当てる。
    そのほかに、ちょっとずつ挟まれる過疎の村の話しがだんだん大きさを増し…って。
    いいミステリでした。

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著者プロフィール

1970年、福島県生まれ。文化服装学院服装科・デザイン専攻科卒。服飾デザイン会社に就職し、子供服のデザイナーに。デザインのかたわら2007年から小説の創作活動に入り、’11年、『よろずのことに気をつけよ』で第57回江戸川乱歩賞を受賞して作家デビュー。ロングセラーとなった人気の「法医昆虫学捜査官」シリーズには、『147ヘルツの警鐘』(文庫化にあたり『法医昆虫学捜査官』に改題)『シンクロニシティ』『水底(みなぞこ)の棘(とげ)』『メビウスの守護者』『潮騒のアニマ』『紅のアンデッド』『スワロウテイルの消失点』の7作がある。そのほかにも『桃ノ木坂互助会』『女學生奇譚』『フォークロアの鍵』『テーラー伊三郎』『賞金稼ぎスリーサム!』など多彩な題材のミステリー、エンタメ作品がある。

「2021年 『スワロウテイルの消失点 法医昆虫学捜査官』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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