福島原発事故はなぜ起こったか 政府事故調核心解説

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感想 : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062182973

作品紹介・あらすじ

被害を拡大させた政府・東電・自治体の判断の誤りとは?
メディアの誤解とは何か?   
いまなお続く避難・除染の本当の悲劇とは? 

畑村委員長はじめ、政府事故調の中心メンバーだった3人の著者が、
膨大な調査報告書をベースに、
報告書に書けなかった独自の視点も入れ、
事故の核心に迫る!! 

原発再稼働、進まない除染の問題にも一石を投じる決定版!

感想・レビュー・書評

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  • 2019年1月に読了。
    畑村洋太郎さんは、311福島原発事故の政府事故調の委員長。「原子力なんて専門外だよ。なんで俺なの?」と、電話してきた内閣府の役人に聞いたら、「原子力の専門家はみんな東電か自民党に繋がりがあるからです。失敗学の専門で、自民党にも原子力村にも縁がない、世間にクリーンな印象のあなたにお願いしたい」と言われたそう。
    https://digital.asahi.com/sp/articles/DA3S14221896.html
    福島原発の事故が「想像を超えた地震&津波が来たんだから仕方無かったんだ」と言うのは、真っ赤な嘘だ、ということ。
    単純に、「では、他の号機はなぜ事故らなかったの?」というお話。
    責任を追求するのも不毛な気もしますが、これこれをしていなかったというだけで、多くの人が住む場所を失った。そして、ずっと、「地震が来ても津波が来ても、絶対原発は事故りません」と、公に言ってきた人たちが、別段責任を潔く取ることもしない。

    本として、良くできたミステリのように、ゾッとしたり薄ら怖くなりながら、読みました。言葉遣いも平易。畑村さん本人が、「事故調の報告書を作ったけど、電話帳で何冊もあるくらいの冊子になった。こんなんぢゃ誰も読まないから意味がない。普通の人でも読めるように短くしたのが、これ」だそう。

    畑村さんの本は、「回復力」と、コレだけでも、読む価値があると思います。

  • 東北地方太平洋沖地震による福島原発事故に係る政府事故調査委員会の報告書の核心部分を解説した著書である。
    福島原発事故から得られた教訓は、原発事故の防止のみならず、あらゆる事故の防止、組織の危機管理に活かすことのできるものである。特に、「委員長所感」として記された以下の7項目は様々な分野に応用できる内容であると思われる。
    ①あり得ることは起こる。あり得ないと思うことも起こる。
    ②見たくないものは見えない。見たいものが見える。
    ③可能な限りの想定と十分な準備をする。
    ④形を作っただけでは機能しない。仕組みは作れるが、目的は共有されない。
    ⑤全ては変わるのであり、変化に柔軟に対応する。
    ⑥危険の存在を認め、危険に正対して議論できる文化を作る。
    ⑦自分の目で見て自分の頭で考え、判断・行動することが重要であることを認識し、そのような能力を涵養することが重要である。

  • (1)あり得ることは起こる。あり得ないことと思うことも起こる
    (2)見たくないものは見えない。見たいものが見える。
    (3)可能な限りの想定と十分な準備をする
    (4)形を作っただけでは機能しない。仕組みは作れるが、目的は共有されない。
    (5)全ては変わるのであり、変化に柔軟に対応する。
    (6)危険の存在を認め、危険に正対して議論できる文化を作る。
    (7)自分の目で見て自分の頭で考え、判断・行動することが重要であることを認識し、そのような能力を涵養することが重要である。

    大きな事故というのは小さな失敗の積み重ねで起こるものだと感じた。
    小さな失敗を防ぐには十分な対策や思考・見直しが必要なんだけれども、後から考えるとどれも小さなことに思えてしまうのが怖いところ。電源喪失に備えてバッテリーを常備しとけば冷却が継続できたとか、なぜ事前に思いつき準備できなかったのかというのは、思いつくには何か思考の「ジャンプ」みたいのが必要なのかなぁと。

    ここまで事故が大きくなった原因のひとつに重大事故に対して日本の組織が(事故前も事故後も)対応できていないのではと。

  •  普段はこの手の本は読まないんだけど,やはり避けては通れないか,と.何が起こったか,を偏ることなく判りやすく解説してくれており,当時,新聞を毎朝読みながら,でも頭の中では全く整理のつけられなかった事故の進展が,よく理解できた.
     第6章「福島事故の教訓をどう生かすか」については,著者らの私見によるところが大きいものの,除染や原発再稼働の問題も含めて極めて真っ当な内容である.
     当時,菅首相の行動については世間では批判一辺倒だったのに対し,何故そこまで叩かれるのか,自分は理解できなかった.確かに最近の彼の行動を見ていると,そうなる原因を彼自身が作っているような気はするのだが,少なくとも事故対応については本書にもあるとおり,そんなにひどくはなかったのだろう.
     何かがうまくいく,ということは,すべて綱渡り的であるんだろうな.事故や失敗は防げないので安全,安心はあり得ない状態で,危険から目を背けず,危険を危険として認めるところから始めなければならない,というのは全く正しいが,なかなか出来ないことだな.

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著者プロフィール

東京大学名誉教授、工学院大学教授、工学博士。東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会・元委員長。消費者安全調査委員会・委員長。1941年生まれ。東京大学大学院修士課程修了。東京大学教授を経て現職。専門は失敗学、創造学、危険学、知能化加工学、ナノ・マイクロ加工学。著書に『失敗学のすすめ』(講談社文庫)、『直感でわかる数学』(岩波書店)、『未曾有と想定外』(講談社現代新書)など多数。

「2020年 『図解 使える失敗学大全』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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