鉞子(えつこ) 世界を魅了した「武士の娘」の生涯

著者 : 内田義雄
  • 講談社 (2013年3月26日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062183185

作品紹介

あの司馬遼太郎がその存在を知らず、一読して『福翁自伝』にひけをとらぬ内容、と驚嘆した自伝がある。
1925年(大正15年)、アメリカで無名の日本人女性が英語で書き下ろした『武士の娘』が刊行され、その年のベストセラー・リストに載った。『グレート・ギャツビー』と並ぶ売れ行きで、異例の8万部が世に出た。
著者・杉本鉞子は明治5年生まれ。父は長岡藩の筆頭家老で、司馬遼太郎の『峠』の主人公・河井継之助と幕末に対立し、藩の役職を追われたいわば没落士族である。維新後は、いわゆる武士の商法から零落する。
それにもかかわらず、鉞子は厳しい教育を受け、10代で東京へ出てクリスチャンの学校へ通い英語を身につける。卒業後、浅草で教職につくのは、ちょうど樋口一葉が同地に移り住む頃だった。
縁あって、アメリカ中部で美術商を営む杉本松雄に嫁ぐのが明治35年。しかし、42歳で寡婦となった鉞子は、二人の娘を養育しながらアメリカにとどまる決意をする。
生涯、彼女をサポートしてくれたアメリカ人女性との邂逅。食べるためにはじめた新聞・雑誌への投稿が、編集者の目に留まり一冊となる。それが『武士の娘』だった。ニューヨークへ移り住んだときには、コロンビア大学の教壇で日本語と日本史を、日本人女性としてはじめて教えた。
戦争をはさみ、『武士の娘』以降3冊の本を書いた鉞子は、昭和25年に息をひきとるまで日米の架け橋となった。アメリカでは有名人、日本では無名―忘れられた杉本鉞子の一生を描く。
ちなみに『武士の娘』は、現在もちくま文庫で、順調に版を重ねている。かつ、昨年鉞子のアメリカ時代の書簡が発見され、地元・新潟の会津八一記念館で展示されている。

鉞子(えつこ) 世界を魅了した「武士の娘」の生涯の感想・レビュー・書評

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  • 大住憲生よりご紹介。

    海外でベストセラーとなった『武士の娘』の著者・杉本鉞子の伝記。
    新潟・長岡で生まれた彼女は、戊辰戦争の混乱の中でも、伝統的な武家の教育を受けて育つ。当時アメリカで事業をおこなっていた杉本松雄の妻となり、アメリカで旅立つ。夫に先立たれたあと、彼女の半生をまとめた『武士の娘』がアメリカで大ヒット。当時、この本を読めば、日本人の精神や生活がわかるとまで言われたそうだった。

    杉本鉞子の、単なる「日本生活万歳!」的な視点ではなく、冷静な視点での古き日本人の生活が描かれているのが非常に好感を持てた。ゲイシャ、ハラキリ、しか知らない海外の人が読んでも間違いのない日本観を持つことができる。こんな小説があるとは知らなかった。

  • 興味深い内容だった。こんど鉞子の著書『武士の娘』も読んでみよう。
    原文はkindleで読めるんだけど...

  • 何度も読み直した名作中の名作「武士の娘」で有名な杉本鉞子さんの知らざる伝記。
    写真もいっぱい掲載されている。
    ほとんど自伝と言って良い「武士の娘」で書かれていなかった空白の5年間(卒業してから結婚でアメリカに渡るまで)、彼女が小学校の先生をしていたということがわかった。
    著者はNHKで報道番組の制作をしていた方なので、歴史のこともいっぱい勉強になって良い。
    それにしても、関東大震災東京大空襲、何度も日米欧往復し、日記も手紙も残っていない彼女のことをよくここまで調べ上げたなと感心する。

  • こんな品格のある女性がいたことを初めて知りました。

    「武士の娘」が、日米が開戦し、その後、日本が敗戦しても、なおその輝きを失わず、評価され続けたことに感動します。

    日本でももっと取り上げられるべき人物だと思いました。

    明治維新を別の視点から読むことができるのも興味深かったです。

  • 人と人との繋がりは、やってくるものなのだろうか、自ら招くものなのだろうか。

  • 【新着図書ピックアップ!】
    明治時代に海外へ出て、その後の人生が日本の近代化に影響を与えた女性と言えば、津田塾大学の創設者である津田梅子、彼女とともに女子教育の向上につとめた、当時の社交界の花形であった大山捨松が有名だけれど、今放送中の大河ドラマの主人公である新島八重、この本で紹介されている杉本鉞子(すぎもと・えつこ、英語名:Etsu Inagaki Sugimoto)などは、ほとんど知られていないと言ってもよいのではないだろうか。
    著者まえがきによれば、内村鑑三の『日本及び日本人』、新渡戸稲造の『武士道』、岡倉天心の『茶の本』と並び、杉本鉞子の『武士の娘』は日本人が最初から英語で書いて外国人に感銘を与えた本であるという。
    『鉞子』では、そのような優れた本を著した女性が、嫁ぎ先のアメリカでどのような生活をし、なぜ作家になりコロンビア大学で教えるまでになったのか、彼女の生涯が史実をもとに描かれている。
    また、鉞子は英語を学ぶために新潟県長岡から上京し、東京の華族女学校に入学したが、そこでは津田梅子が英語の先生をしていたという。もしかしたら鉞子は梅子に英語を習ったかもしれないのだ。

    【New Book!】Etsu Inagaki Sugimoto (1874-1950) was a Japanese novelist. Her autobiography "A Daughter of the Samurai" is a bestseller in 1920's America, and highly praised around the world, translated into 9 languages. She went through a life-changing experience after the Meiji Restoration, married in Cincinnati Ohio, and brought up two daughters after her husband's untimely death.
    Also, She became a Christian, and first Japanese female instructor in Japanese Language and history at Columbia University.
    The author cited a passage from the introduction of "A daughter of the samurai", written by Christopher Morley who encouraged her to write:
    "She is a great teacher, and I would not willingly even tread on her shadow."

    Reference:
    A daughter of the samurai : how a daughter of feudal Japan, living hundreds of years in one generation, became a modern American. / With an introduction by Christopher Morley. Illustrated by Tekisui Ishii.
    Call No.:291/Su38d

  • 秀作。
    八重の桜を思い出す。時代、境遇が似ている。大河ドラマに出来そうだ。
    父親の稲垣平助と対立する河井継之助は英雄視され有名で、違う観点からの記述が興味深い。
    当時の武士の様子が良く解り、美しく厳しく感じた。
    日米開戦は破滅に向かうと言われたそうで、やはり日米を知っていた人は見識があったんだと思わされる。

  • 控えめながら自分の中に確たる芯を持って生きぬいた鉞子夫人に感服しました。『武士の娘』もかなり紹介されていましたが、また読んでみたいです。
    河井継之助に敵対した稲垣平助の在り方が評価を180度変えて描かれていて、これが案外面白かったです。

  • 大河ドラマ「八重の桜」の影響もあるのだろう、幕末戊辰戦争の頃の人物や事柄が話題になっている。幕末長岡藩で生まれながら、東京で最新の教育を受け、アメリカに渡り結婚しアメリカと日本の架け橋のような小説「武士の娘」を執筆した女性杉本鉞子の生涯を描いた作品。明治の始め、英語を日本で学び、アメリカに渡り、冷静な目で両国を多面的に比較しながら仕上げていった英語で書かれた自伝的小説。アメリカ以外でも翻訳され、話題になったということに驚かされる。また、この小説、この人物が日本ではほとんど知られていないことを残念に思う。これだけ聡明で国際的な女性が明治時代から日本に存在したことを誇りに思う。また、彼女を影で支え続けたアメリカ人のフローレンス・ウイルソンという女性にも驚かされた。アメリカで知り合い、その後来日、鉞子の実家長岡にも1年も滞在したという。最後は日本で亡くなり、鉞子の墓の隣に葬られている。鉞子とは献身的とも真の友情ともいえる仲で、またフローレンスは日本という国を心から愛してくれたのだろう。

  • 没落した武家の娘がアメリカとの架け橋としていかにしてはたらいたか、著書の「武士の娘」を読み解きながら生涯を追った人物伝。
    長岡藩の国元筆頭家老でありながら、戊辰戦争のときに反主流派にいたため、藩主を守るのに奔走しながら報われなかった父の生き方が、少なからず反映されている鉞子の品格が伝わってくる。様々な資料を丁寧に拾い上げて書かれている良書。

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