かさねちゃんにきいてみな

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 203
レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062183253

作品紹介・あらすじ

かさねちゃんがすごいのは、オレたちに、リュウセイにさえ、一度も、うんざりって顔をしないとこだ。ちがうな、ほんとにすごいのは、どうもほんとに、かさねちゃんはぜんぜん、リュウセイにも、この班のメンバーにも、うんざりしてないってこと。
オレなんかしょっちゅう、いろんなことにうんざりして絶望すんのに。
かさねちゃんが絶望を知らないはずはない。だってオレより一才長生きしてるんだから。         ──本文より。

オレ、こと5年のユッキーは来年、登校班の班長になることが確定して絶望している。現在の班長は、「ちゃんとして」の魔法の言葉で皆が一瞬で大人しくなる、6年でカリスマ班長のかさねちゃんだ。
そのかさねちゃんを先頭に、1年で暴れん坊女子のミツ、2年で人見知りののんすけ、2年と3年で忍者マニアの兄弟・太郎と次郎に、4年のギャル系マユカと問題児リュウセイ、そして最後に5年で副班長のオレ、ユッキーが列をつくって登校する、間宮小・南雲町二班8人の子どもたちの毎朝の歩みを描く。

年齢も、家庭環境も、性格もてんでばらばらな小学生たち8人が、毎朝いっしょに騒がしく登校する様子がユーモラスで繊細な文章で生き生きと書かれています。
小学生って、たった数ヶ月でこんな風に自分とは全然違う他人たちとの関わりあいの中でそれぞれ着実に成長していくのだ、と納得させられる圧倒的なリアリティがあり、優しくありたい、賢い大人になりたい、と前向きな気持ちになれる爽やかな感動作です。

感想・レビュー・書評

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  • 小学校6年生のかさねちゃんは南雲町二班・登校隊の班長さん。
    個性豊かな1年から5年までの班員7名を毎朝しっかり学校まで導くそのカリスマぶりを5年生の副班長の俺・ユッキーの目から描く数か月。
    とっても面白いです~~!(#^.^#)

    まさに!!平成の子どもたちをリアルに描写した物語なんだけど、前作の「アナザー修学旅行」同様、痛くないところが好きでした。
    かさねちゃんは、ちょっと出来すぎ(#^.^#)かな、とも思えたけど、その淡々とした班長さんぶりが、うん、こんな女の子がいたっていいよね、と。

    暴れん坊の1年女子とか、もしかして緘黙症?とも感じられる無口な2年生女子、とてもとても子どもらしい2年と3年の仲良し兄弟、4年のお洒落女子、同じく4年で育児放棄&発達障害かも?と思われるリュウセイ、そして来年からの班長業務が憂鬱でならない俺。それに別の登校隊までもが問題を持ち込み、(そこの班長がかさねちゃんのことが好きみたいで、さりげなく自己アピールをしてくるのが、子どものころから男ってさ!という可笑しさ。)ホント、かさねちゃんは大変なんだよね。

    でも、キリキリすることもなく、愚痴をこぼすこともなく、穏やかに隊のみんなを楽しませたり、ちゃんとして、と規律を促したり。いいなぁ、私、こんな大人になりたいよ、なんて小学生を見習いたくなるのがあはは・・なんだけど。

    登校隊は、毎朝、間宮様という神社の前で手を合わせる。
    そこで吐露されるユッキーの折々の素直な心情がまたいいんだよね。

    たとえば、

    間宮さま、おはようございます。ミサがリュウセイに優しくなったのは遠くに行ったからですか?だったら、ずるいです。オレだって遠くからなら優しいです。だからリュウセイと離れられますように。リュウセイが遠くに行って、優しいオレになれますように。

    とか、

    間宮さま、おはようございます。かさねちゃんはユウヨをあげて今日は言わないかもしれないからオレが言っちゃうと西條は、ほんとサイテーな奴です。ぜったいバチをあててください。

    とか。

    小学生だけじゃなくて、毎朝すれ違う散歩の犬とか、不審な大人とか、登校隊には心配がたくさんあって、でも、楽しいことや町のフォローとかもあって、全部含めて、うん、とっても好きな物語でした。

  • 登校班で学校に行く間の子供たちのやりとりを、副班長のユッキーの目線で書かれています。
    とにかく面白い。

    題名のかさねちゃんは班長で、クセのある班の下級生にとても信頼されています。ユッキーは、来年かさねちゃんが卒業した後、この班をまとめる自信がありません。

    学校に行くまでの子どもたちの会話には、その子の背景、家庭が見えてきます。突拍子もない行動に出てしまう裏には、抱えている家族の問題があったりするのです。

    登校班のメンバーは、個性豊か。
    ミツやリュウセイは、すぐに行動に出てしまうし、のんたんは、異常なほどに綺麗好き。太郎、次郎兄弟は、これぞ男子っていうくらい、子どもぽい。それに比べて、4年生のマユカはませている。

    そんな、下級生のようすを、冷静に、優しく、時には凛と接するかさねちゃんは、ユッキーじゃなくても、憧れてしまいます。

    かさねちゃんに会ってみたいと、つくづく思うのでした。

  • ブックトーク「気持ち」

  • 小学生のころって、どうでもいい些細なことが話題になってたり重要事項だったりするもんだよね。会話だけじゃなくて、登場人物たちの物事の捉え方がとてもリアルな感じがした。

  •  毎朝一緒に班で登校する子どもたち。少し問題がおこっても、班長・かさねちゃんがいるから大丈夫!
    (一般担当/るるる)夏休みに読みたいおすすめの本

  • スーパー班長のかさねちゃん率いる南雲町2班の、11月半ばから一月ほどの登校時の様子を、5年生のユッキーの目線から語る。

    「小学生小説というジャンルができそうな予感。」
    という帯の言葉に全力で頷くレベルの、小学生力満載の文章。
    よくもここまで、と思えるくらい、ユッキーの語りも、班員のセリフも、リアルな小学生感に溢れている。
    何より、キャラがいい。みんなの個性が爆発している。
    特に、3年生と2年生の兄弟・太郎と次郎の存在は、文章に勢いと小学生力を5割増しはしている。
    かさねちゃんのことだけは、こんな小6いるかな?とは思ったが、少し異質なかさねちゃんの存在が、作中ではスパイスになっているのだろう。
    かさねちゃんみたいにはなれないと悩んでいるユッキーだが、ユッキーの小学生らしくも、意外と公平な目線には好感が持てた。
    リュウセイのことなんか好きでもなんでもないと思いながらも、西條にリュウセイの悪口を言われてムカつくユッキーと2班の面々。
    リュウセイは、恐らく自閉だか発達障害だかがあるのだろうと思うが、作中にそういった言葉は一切出てこず、2班の面々も親たちも、リュウセイはリュウセイとして受け入れている。その性質を困ったものだと思いながらも、2班の面々がそれを受け入れ、おおよそ理解していることに、温かさを感じる。

    とはいえ、前半は大きな事件があるわけでもないので、途中で少し中だるみ感もあったが、最後の方でバッと山場が来た。ユッキーがリュウセイにあげたものが盛大に伏線を回収していて密かにニヤッとした。

    とても面白かったが、リアルな小学生にとってはどうなのだろうか?小学生時代を懐かしむ大人には面白いが、子どもにも面白いだろうか?
    感想を書くために読み返していたら、

    『自分の前が、直で道じゃん。
     自分の前が、直で世界じゃん。』

    とあって、なんだか感動した。
    これから最高学年を迎える新6年生に、おすすめしたらいいかもしれない。

  • 問題児ばかりの登校班のみんなをみごとにまとめてみせるかさねちゃんとそんな様子をみて自己嫌悪に陥るユッキーの様子に近親感を覚えます。
    小学生の日常が垣間見えてくすっと笑えもします。

  • いいなあ、この子どもたちのやりとり。描き方が秀逸!

  • 間宮さまのところによって、リュウセイのこと報告しとく?

  • 評判通りおもしろかった。たびたび吹き出しながら読了。

    小学生たちの会話が、まるで立ち聞きしているみたいに生き生きしてる。

    そして誰よりも大人なスーパー班長かさねちゃん。
    各家庭とか、各町内会とか、各委員会とかにひとりずつかさねちゃんがいればいいのに。

    ネグレクトされているらしいりゅうせいとか、ADHDを思わせるミツとか、簡単に解決しない問題を抱えた子たちのことを浮き彫りにしつつ(そして怪談の主人公の名を持つかさねちゃんの謎をはらみつつ)さいごはオープンエンディングながらもきれいに着地した。

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著者プロフィール

有沢佳映…・1974年生まれ、昭和女子大学短期大学部卒業。群馬県在住。『アナザー修学旅行』で第50回講談社児童文学新人賞を受賞。

「2013年 『かさねちゃんにきいてみな』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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