- Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062183536
作品紹介・あらすじ
少なくとも10人を超える死者・行方不明者が出ているとされ、我が国犯罪史上有数の凶悪事件に発展した兵庫県尼崎市の連続殺人事件。2012年12月に県警本部の留置場で自殺した主犯の角田美代子はいかにして、ありふれた5つの家庭に食らいつき、家族が互いに殺し合うような冷酷な犯行に及ぶことになったのか。また、被害者たちはなぜ、暴力と虐待に支配された地獄絵図のような家庭環境や、奴隷のような人間関係から逃げ出さなかったのだろうか。そして、鬼畜の所業を繰り広げた「不世出のモンスター」はどうして死んだのか。
知られざる事件の真相に迫る、超一級のノンフィクション!
感想・レビュー・書評
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10人以上が殺害された尼崎連続殺人事件。獄中で死亡した主犯を元に、事件の背景を探る。
起きた事件が、本当に怖い。家族を支配し、家族間で争わせる。精神的に追い込み、殺害まで行い、遺体をコンクリート詰めにして投棄する。入り込まれた家族も、ちょっとした漬け込まれるところがありそうには書かれているが、どこにでもある家族で、自分のところだってどうかと思わせる。
ただ、筆者のけれん味がある書き方は、今回も健在で、すごい真相を握っているよう感じが、しりつぼみになっていくのと、どう言った家族が狙われる的話を入れたりというあたり、個人的は蛇足に感じた。
事件とその背景を追うだけでも、かなり怖さを感じられる本だった。
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尼崎連続殺人事件についての詳細なルポルタージュ。
他人の家族へ入り込み、凄惨な虐待で恐怖が支配する疑似家族を作り出す。
身の危険を覚え逃げ出しても執拗に追われ連れ戻され、実の家族に殺される。
興味深いが非常に胸の悪くなり救いのない話。 -
2016年5月23日読了
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この恐ろしさは、物語などでは到底辿り着けない凄まじい事件だ
エグい
なにやら身体の底から悍ましさが這い上がってきそうだ
尼崎連続殺人事件 角田美代子ファミリーの恐怖
ノンフィクションだ
時効与殺人を含めれば
いったい何十人殺してんだ
人数以上に、その地獄の鬼も逃げ出すといわれた人々への処し方だ
家族、親族をターゲットにして家族同士で殴り合せ殺し合わせる
子供が親を殴る、殺す
恐怖のマインドコントロールと養子縁組でいくつもの家族が壊滅していく
この洗脳は生やさしいものじゃない
この事件のルポは一度ば読んでいるはずだが、このルポはかなりえげつないくらい刺激が強い
著者が覆面ルポライターとして取材するのも、身の危険を考えれば当然に思える
その地獄絵図を巻き起こす手法もじっくり記述されている
穏やかな家庭にまで魔の手が伸び信じられないような地獄へ引き摺り込まれた
どんなに健全な暮らしをしていたとしても相手がこんな悪魔のような女だったら逃げ場は死しかない
どこに逃げても連れ戻される
檻に入れられる
体重が20kg台までに痩せ細る
親を殺させる
兄弟姉妹を殺させる
近所の家に全裸で借金のお願いに駆け回ったり
どんな人間でも目を背けざるを得ないようなことをさせられて、さらに覚醒剤中毒にさせられて、、
著者から社会への警告の言葉に、ネット時代の若者に向けたものがある
「ネット時代に生きる若者たちは、イエスかノーか、正しいか間違っているか、好きか嫌いか、など白黒はっきりと付けたがり、皆が決めた通りにしたいという方が圧倒的に多いので、策に嵌らないように注意されたし」
というものだ
今まさに宗教団体の問題がニュースになっているところだが同様のことだ
離婚に絡めた多くの子供連れ去り事件が表面化しつつある
家族の絆を壊そうとする働きかけや洗脳行為が個別の家庭でも相当数発生している
この事件では警察に駆け込んだ時のための手も打っているので複数の県警に数十回以上もの通報があっても事件化しなかった
それでも、警察に駆け込まなければだめだ
実際に事件は地元以外の警察に4日もかけて逃げ込んだ事でようやく発覚したからだ
殺人は何十年も前から起きていたにも関わらず
作り話などでない事が一番の怖さだ
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2016/11/30半分まで読んでやめた。後味悪い。★2
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『鏡の背面』の主人公がルポライターだったせいか、ノンフィクションが読みたくなったので、気になっていた尼崎連続殺人事件を。
小説で読んだとしたら、「ないない!親を死ぬまで殴るなら何故そのおばさんをやっつけないんだ⁉︎」と思うところで、ずっと関心を持って見ていた事件だけに、被疑者死亡で捜査打ち切りとなったのはほんとショックだった。完全に納得はできないが、謎のいくつかはわかった気がする。被害者の心理が痛い、辛い。ノンフィクションは逃げ場がない。。
北九州一家監禁連続殺人事件のノンフィクションを探して読んでみようかな。
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気分が悪い。
実話なのが、また怖い。
幾度、業火に焼かれようと、
この大罪は消えないね‥‥。
警察に殺される‥、
いろいろ話されたら困る。
死んでくれたほうが安全。
なまじ、ホントかも。
警察の失態、
個人情報の漏洩、
この罪は、どうなったんだろ。
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文章がイマイチで同じ話が出たり、
行ったり来たりが頻繁で読みにくいが
怖いな。
もし自分の家族に起きたら、と思うと
考えさせられた。 -
借りたもの。
主犯格の女の自殺により永遠に明かされることが無い真相――それ故に、ジャーナリストとして著者は主犯格に近しい人間関係に取材をして真相に近づこうとしたドキュメンタリー。
事件の経緯や、主犯格のその手口に多大な影響を与えたヤクザ・Mという人物の存在を示唆している。
読んでいると、被害者の周辺の怒りの声がこだましているようだった。
それは犯人たちだけでなく、警察――対応が後手になったことや、主犯格の女の自殺させてしまったことにも向けられている。
恫喝や居座りなど手口はヤクザのそれで、人の心のスキをついて惹きつける手腕は正にカルトだった。
主犯格の女が死んでから、被害者であり、加害者である人物たちが掌を返したように、主犯格の女のマインドコントロールであると言い無罪を主張するなど、オウム事件も似たような傾向があった事を彷彿させられる。
同時に、主犯格の女の凄惨な家庭環境、家族の愛に渇望しながらそれが得られず、ヤクザ的・カルト的な擬似家族しか知らなかったであろう事が伺える。
おそらく自身の体験から、人間の“劣等感”“理解や共感されないことへの不満”を敏感に察知できたのだろう。
断っておくが、同情はしない。
主犯格の女は、その不安に悪意のある毒を注ぎ込んだ(洗脳した)。人を救うことが出来ない人間だったのだから。
主犯格の女は、完全に自分本位の、自分に都合の良い面(擬似家族)しか見えていなかったとしか思えない。
そして現実が明るみになった時、「おかしい」と勝手に勘違いして、受け入れられず、逃げ出したようにしか。