島はぼくらと

著者 :
制作 : 五十嵐 大介 
  • 講談社
4.02
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本棚登録 : 3770
レビュー : 591
  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062183659

感想・レビュー・書評

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  • 2014本屋大賞候補なので読んでみました。
    瀬戸内海にあるという設定の架空の島が舞台。
    中心になるのは表紙の4人、島からフェリーで本土の高校に通う高校生。
    高校もない、病院もない、不便で火山のある島。時代の流れにあらがえず、過疎化が進んでいたが、本土からのUターン村長の Iターン者をとりこんだり観光を促進する施策が功を奏して、人口が増えつつある。
    という、サクセスストーリー...........ではなく。
    そんな島に住む大人の事情 --- 島の人間関係を縛る習慣とか、なぜ島にやってきてどのように馴染んできたのか とか、村長の立派なだけではない側面とか、行政と住民の間に入ってコミュニティづくりのサポートをしてきたコーディネイターの話とか ---を大人の入口に立つ高校生たちの視点で、彼ら自身の将来に重ねながら描いていく。

    島の子供が学校でやるお芝居のことや、柿の木のある元民宿の住人のことなど、エンタテインメントらしい味付けもしてあるが、巻末の謝辞にある 西上ありささんというコミュニティ・コーディネイターへのインタビューがベースになっているらしい。
    瀬戸内の穏やかに流れる時間を感じながらも、芯のある作品。
    食べていければそれでいい、そんな生き方を選ぶ・選ばざるをえない人達を取り込むという価値観は新鮮。

  • 久々に清々しい辻村作品!
    蕗子がフィギュアスケートの安藤選手と重なってしまった。
    同じく辻村さんの作品である「水底フェスタ」では、村特有の閉塞感が描かれていたが、この作品では人口が少ないからこその絆や温かみを感じた。4人の繋がりがいつまでも消えませんように。

  • まぶしい小説だなぁ。
    高校時代って、可能性を信じられる時だ。自分を信じきれるときでもあるよね。社会の規範や束縛はあるにしても、それすらも凌駕する期待を持てる年代だと思う。
    かっこいい大人には女性が配されている。これってとっても現代的に思えるのだ。

  • 辻村深月ワールドの醍醐味、すべてが繋がっていく。
    現実的な世界のいやらしさから逃げられないけど、時を経て繋がっていく希望があるお話!
    これからの四人若者の奮闘と冴島の明るい未来と海の
    キラ光が輝いてみえました。
    あとは・・ 
    源樹と朱里は、新と衣花の恋はどうなのかが気になっちゃいました~
    やっぱりおもしろいなぁ、深月さんすごいなぁ、
    読んだあと気持ちがいいです!

  • 初辻村深月さん。
    かなり良かったです。

    島で暮らす若者の青春物、としてだけでなく、現代社会のさまざまな問題が織り込まれていて読み応えがありました。

    わかりやすいメイン4人の人物像も良かったです。ラスト衣花の告白(?)には目頭が熱くなりました。

    故郷や家族、友人など、ひととの繋がりについて色々考えさせられました。

    辻村作品にはいくつか他にも気になっているのがあるので、他も読んでみたいです。文庫版が出たら買おうかな。

  • ラストのあたりのまとめ方はなかなか気持ちよく、読後感は良いのだけれど、過去作品のキャラクターの登場は(深月さんなら、もうお約束とはいえ)、今回は若干あざとい感じがしてしまう。彼女がこんな感じに成長しているというのがわかるのは、確かにうれしいのだが、もうちょっとささやかに出てきてもらえるともっと良かったかもしれない。ミステリー的要素がまるでないのも、やっぱりちょっと残念。有川浩が、壮大なほら話路線から、お手軽なお仕事ものにうつってしまったことを考えると、深月さんにも、「読者が求めているのは、これなんでしょう」って思っちゃって欲しくない。
    確かに社会を見る視線、人間関係を見る視線は、母になって一層深まっているようには感じるのだけれど、でもラストのどんでん返しであっと言わせる技をこれからもまだまだ見せていってほしいなあと願います。デビュー作から全作品を追ってきているわがままなファンとしては、これが「新境地」ではなくて、展開の一つであってほしいと願ってしまいます。

  • 辻村さんの描く「島」
    彼女の本領発揮と言った感じの閉塞感と都会への感情が丁寧に描かれていて
    田舎暮らしの身としては感情移入しすぎて苦しいほど。
    そして、ここでこの人出しちゃうかー!という相変わらずの感動の再会に涙しました。
    自分の''大事な人''に会いたいなあと思わせてくれる作品。

  • 瀬戸内の小さな島を舞台に、高校生の幼馴染4人の青春を描いた作品。
    高校生の成長が中心かと思いきやそれだけではなく、島民それぞれの生活や成長も描かれている。
    島で「暮らす」ということを昔からの住民、Iターン移住者それぞれの視点から描いたり、島で暮らす上での覚悟、島を離れなければならなかった過去の思い出など、「島」ならではの出来事がたくさん描かれていて、本土に住んでいてはなかなか気づけないことをたくさん知れる。
    母子手帳の話はかなり感動した。

    何気ない島や高校生の日常を描いているように見えるが、小さいエピソードが次々リンクし、最後にこう繋がるのか!と感激した。

    重い話もあるけど、島の綺麗な風景の描写や、高校生たちのほのぼのした日常が絡んでいて読みやすい。
    文庫化されたら買おうかな。

  • 「その人の栄誉は獲得したその人だけのものなのだ」
    というくだりが辛辣。
    おそらく、直木賞を受賞して顔も見たことのない親戚やほとんど交流もない友達がやたら増えてしまったであろう作者の経験なども入っているのでは、と想像してしまう。
    高校生である朱里が「たとえ、どれだけ関係が近しくても。間違えないようにしたい」と思うところは、自分自身を振り返ってドキリとしながらも、同様に思う。(でもきっと近い人が有名になったりしたら舞い上がって言いふらしてしまうであろう自分も容易に想像できてしまって胸が痛い)

    ストーリーは、幼馴染4人の恋や進路をも交えた爽やかなもの。
    明るいラストがいい。

  • 島で生きていく高校生を中心にした、Iターン、祖父母、友達、ビジネス、なんやかんやをぎゅっと詰め込んだ渾身の作品。
    生まれ育った街、そうじゃない街。そもそも故郷って何だろう。なんてことをしみじみ考えてしまった。
    誰かを思う気持ちも愛なら、土地を思う気持ちもまた愛。
    たくさんの愛が見れた。辻村深月さんファンにはたまらない、思わぬ人物も登場するし。
    得意の伏線も、今回はまたひと味違う良さがあり。
    長い時間をかけて、祈りをこめた誰かの優しさが届いている。

    たくさんのものを、しっかり見たいなと心から思った。
    見ようとしなければ見落としてしまうような、私の周りにもきっとある誰かの優しさ。
    もっともっとちゃんと見たい、そして自分も周りの人に手渡せるようになりたい。

    あったかい、むしろ微熱に近い温度になれる、とっても素敵な作品。

    まだ読んでない人は、とにかく読んでみてほしい!

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著者プロフィール

辻村深月(つじむら みづき)
1980年山梨県生まれ。千葉大学教育学部卒業後、2004年『冷たい校舎の時は止まる』で第31回メフィスト賞を受賞しデビュー。2011年『ツナグ』で第32回吉川英治文学新人賞、2012年『鍵のない夢を見る』で第147回直木三十五賞、2017年『かがみの孤城』で「ダ・ヴィンチ ブックオブザイヤー」1位、王様のブランチBOOK大賞、啓文堂書店文芸書大賞などをそれぞれ受賞。本屋大賞ノミネート作も数多く、2018年に『かがみの孤城』で第6回ブクログ大賞、第15回本屋大賞などを受賞し、2019年6月からコミック化される。他の代表作に『子どもたちは夜と遊ぶ』『凍りのくじら』『ぼくのメジャースプーン』『スロウハイツの神様』『名前探しの放課後』『ハケンアニメ!』『朝が来る』など。新作の度に期待を大きく上回る作品を刊行し続け、幅広い読者からの熱い支持を得ている。2020年、河瀬直美監督により『朝が来る』が映画化される。

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