- Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062183666
作品紹介・あらすじ
「闇社会の守護神」と呼ばれ、バブル時代の大阪で栄華を極めた弁護士人生は「反転」、監獄の独房のなかで思索に思索を重ねた――すると「論語」によって人生の意味がすべて分かった!
4年8ヵ月に及んだ刑期のなかでのガン宣告、絶望の淵にたたずむ著者。血尿を見るほど苦しみ、塀のなかで自分の毀誉褒貶のある人生を振り返ると、そこでは孔子の言葉がつねに心の支えになっていた。
「インテリヤクザとの論語尋問合戦」「検察が抱える闇と信念の狭間での葛藤」など、人の何倍も転んでは起き上がり、転んでは起き上がる壮絶な体験をしてきた著者だからこそ得られた「生きた論語」の解釈には、現代人が困難な日々を生活していくうえでのヒントがそこかしこに散りばめられている!
感想・レビュー・書評
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論語の本は読んだことがあるが、学者や評論家のものではなく、実生活の修羅場を通じて体得した論語の教えについての記述は迫力がある。
前著「闇社会の守護神・・・」と重なる部分があるが論語を新しい角度からとらえたユニークな書。
塀の中に落ちたいきさつと論語の教えとの関わりについて書かれていないのが少し残念。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
敏腕検事から『闇社会の守護神』と呼ばれるまでの弁護士となり、『反転』して獄中へ。そんな毀誉褒貶の人生の中で筆者のそばにあったのが『論語』でした。自らの体験を踏まえた解説がとてもズシリと迫ってきます。
かつて敏腕検事として名を馳せ、「ヤメ検」として弁護士に転進した後はその顧客層から『闇社会の守護神』として一世を風靡し、逮捕され、独房での5年間の生活。そして服役中に見つかった胃がん…。その壮絶を極めた人生の傍らに常に存在していたのが『論語』であったそうです。
「人間の表、理想のあるべき姿は孔子である。しかし、人間の裏、最も負の部分については、すべて韓非子に記されている」
この言葉を以前、とある方に教わり、本書を読んで自分のものの見方、考え方が少し韓非子寄りになっていたなぁと、そんなことを考えてしまいました。極貧の中で育った筆者は苦学して大学へと進学し、とある学生とのやり取りから政治家志望から司法試験受験へと志を変え、検事へとなっていくまでに論語を拠り所にして生きてきたということ。また、検事になってからもインテリヤクザとの論語論争や、検察組織内での上司との軋轢や、後輩検事の裏切りで自分の捜査が妨害されたときも、論語に書かれていることを基にして身を処していくという箇所はとても印象残っております。
やがて、検察組織と決定的な対立をした筆者は半ば追われる形で組織を離れるこことなるわけですが…。このときもまた論語に記されていることを頼りにして生きていくのです。本書が執筆されたのは獄中でのことだそうで、さぞ苦労して一字一字記して行ったのだろうなと。そんなことを思い。また、論語の持つ普遍性と、示唆に富んだ教えの数々は田中氏だけではなく、我々の元へも時を越えて語りかけてくるものに違いありません。 -
検事のお話は普段触れることがなく新鮮だったし、実話にもとづいての論語の話になっているのでとてもわかり易かった。おもしろかった。