[図説]日本vs.ヨーロッパ「新幹線」戦争――日本の新幹線は世界で勝てるのか (【図説】日本の鉄道)

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  • Amazon.co.jp ・本 (276ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062183888

作品紹介・あらすじ

「世界初の日本」VS「世界最速のヨーロッパ」。最高速度だけでなく輸出シェアも追い抜かれた日本のガラパゴス新幹線の生き残る道は

感想・レビュー・書評

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  •  「質は高いが時代遅れ」
     この言葉、まさに今の日本の海外インフラ輸出にぴったり当てはまる。

     例えば、火力発電所。
     コンバインドサイクルで高効率、CO2の排出も少ない。
     と言って売り込んだベトナムで地元住民から反対されるし、パリ協定に逆行する火力発電に国内外から非難の的になっている。
     いくら高効率って言っても、いまどき石炭火力発電所なんてねぇ。
     個々の技術力が高いのは理解できるが、時代遅れというか、時代に逆行してる感が否めない。

     新幹線にもそれが当てはまるのではないかというのが本書の主張。
     260km/hしか出せない新幹線は、時代遅れの言葉通りに他国の最新高速鉄道に遅れをとっている。
     中国高速鉄道の北京上海間で最速350km/hの営業は大丈夫なの?と思うけど、ヨーロッパでは300km/hが高速鉄道のスタンダード。

     ヨーロッパでは軌間が在来線と高速鉄道が同じ。
     そのため、在来線高速線双方に乗り入れられるためにフレキシブルな運用と、新線建設において郊外で在来線に乗り入れれば駅も線路も新設しないから建設費も低くできる。

     広い大陸に点在する各都市を結ぶ放射状の高速鉄道網として発展したヨーロッパに対し、
     日本は山岳地帯を避ける海沿いに都市が発達して、新幹線網でつなぐメリットが無く、大幹線一本で十分だ。
     過去、専用線オンリーの日本方式が売り込めたのは、同じく山岳地帯で西海岸にしか主要都市が無い台湾しかない(そして台湾新幹線は台北と高雄以外の中間駅は街から離れすぎててクソ使えない)。
     
     これから新幹線をインドに建設するし、マレーシアにも売り込むけど、在来線を生かした高速鉄道のヨーロッパ方式のほうが使いやすいと思う。土地は広いし。

     車両の実力で更なる高速化も可能なのに、整備新幹線が四十年前の法律で未だに260km/hで縛られているために、設計最高速度が260km/hで建設されているから、世界的に見て新幹線は”遅い”のだ。

     世界一安全、世界一の品質、世界一のサービス。
     確かにそうなのだが、時代遅れの新幹線では世界に売りこめない。

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著者プロフィール

川島 令三(かわしま・りょうぞう)
1950年、兵庫県生まれ。芦屋高校鉄道研究会、東海大学鉄道研究会を経て「鉄道ピクトリアル」編集部に勤務。現在、鉄道アナリスト。小社から1986年に刊行された最初の著書『東京圏通勤電車事情大研究』は通勤電車の問題に初めて本格的に取り組んだ試みとして大きな反響を呼んだ。著者の提起した案ですでに実現されているものがいくつもある。著書は上記のほかに『全国鉄道事情大研究』(シリーズ全30巻)、『関西圏通勤電車徹底批評(上下)』『なぜ福知山線脱線事故は起こったのか』『東京圏通勤電車 どの路線が速くて便利か』『鉄道事情トピックス』『最新 東京圏通勤電車事情大研究』『関西圏鉄道事情大研究(将来篇、ライバル鉄道篇)』『首都圏鉄道事情大研究(将来篇、ライバル鉄道篇、観光篇)』『最新 新幹線事情大研究』(いずれも草思社)、『全線・全駅・全配線』(シリーズ全52巻)、『日本vs.ヨーロッパ「新幹線」戦争』『鉄道配線大研究』『全国通勤電車大解剖』(いずれも講談社)、『全国未成線徹底検証(国鉄編、私鉄編)』『全国鉄道なるほど雑学』(いずれも天夢人)など多数。

「2022年 『名古屋圏鉄道事情大研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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