- Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062183895
感想・レビュー・書評
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地域にとけこみ、自分の追い求めるパン作りをしている。まさに職人。
生活を大事にし、考える余裕を作りながら仕事をしていきたいと思った。
菌の世界は奥深い。食、食文化には、古の人の試行錯誤があったことを改めて感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
利益を追求せずパン作りを突き詰めてる感じなんかは好感が持てるし尊敬できる。 ただ、本のタイトルほど経済っぽい内容ではないような。 マルクスがどうとか、エンデがどうとか確かにあるんだけど、経済どうこうの話は頭に残らず自然というものに向き合ったパン屋の話という印象しかない。 本としてはそれなりに楽しめた。
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ビールに走るって思った
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腐る。よく考えたら自然なことだ。そんな「あたりまえ」を見失っていた。それに気づくだけで、今を大切にでき、周りを見渡すことができ、流れに身をまかせることができそう。
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腐る経済というタイトルをみて、社会批判と思っていたけど、全然違っていて循環社会を意味合いがあるようだった。
天然酵母の酒種パン屋の物語と、菌の魅力が存分に書かれている。
マルクスというだけで政治色が強くなってしまうげど、思想は今も生きている。エンデの遺言も読んでみよ。 -
微妙。著者の思想が少し極端で、個人的に共感出来なかった。資本主義は悪だからと逃避してる感じ。資本主義が前提となっているこの世の中で、ここに問題があるからどうする、という建設的なものが本から感じられなかった。
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・自分の「労働力」を切り売りすることを避けようと思ったら、自前の
「生産手段」をもてばいい。
・「技術革新」は、労働を単純に、楽にする方向で進む。
労働が単純化することで、いくらでも替えがきくようになる。
・「職」(労働力)を安くするために、「食」(商品)を安くする。
これがマルクスが解き明かした資本主義の構造。
・「腐らない」おカネが、資本主義のおかしさを作り出している。
・生を全うする根底には「腐る」ことがあるのでは。
・麹菌を使って、お酒や食品を作るのは、日本独特の文化。
・「自然栽培」において、農家の仕事は「土を作る」こと。そうすれば、
植物は自分の力で「育つ」ようになる。育てるのではなく、育つ場を作る。
・引き算のパン作り。
・お金を使わされるために、働かされているような。
・資本主義経済の矛盾は、生産手段をもたない労働者が、自分の労働力を
売りしかない構造から生まれている。
・自前の「生産手段」を取り戻すことが有効な策になるのでは。
そのニュアンスを上手く表現してくれているのが「小商い」という言葉。
・労働者が生み出した分は、労働者にきっちり渡せば「利潤」と無縁で
いられる
・同じ規模で経営を続けていくのに「利潤」は必要ない。 -
最初はタイトルの「腐る」という言葉のイメージがあまりよくなかったが、読んでみて納得。
会社をやめ、パン職人を目指して小さな工房で働いたものの、そこは今流行のブラック企業。「なぜこんなに苦しいのか」と悩み苦しむ著者はマルクスにたどりつく。「資本論」を読み込み、「労働」という「商品」の「交換価値」のロジックに理を啓いた著者は、労働者がいかにしてプライドを持ち、自らの業を成り立たせることが可能かを巧みに説いてくれる。パン作りに必要な酵母、乳酸菌、麹といった「菌」は、パンの素材となる米や小麦を「発酵」させもすれば、「腐敗」させもする。なるほど、タイトルの意味はそういうことだったのか。
商品の価値を高く維持する。「技術」を持ち、自家生産手段を持てばいい。これからは「小商い」が大切だ、という著者の論点は慧眼と思う。
「日本に資源がないなんて大嘘ですよね」というフレーズに心から共感しまくる一方で、その資源を活用し、生活を豊かにするために考え抜かれ、世代から世代に綿々と受け継がれてきた巧みな知恵や技術が、我々の時代で急激に失われてしまってきていることに底知れぬ危機感を覚えている。
雷を「稲妻」と呼ぶ理由を初めて知った。科学のない時代に、観察と経験から我々の先達は雷が「稲の妻」であることを知っていた。自然を尊び、その一部として毎日を生きる先人の知恵の素晴らしさ。
良書です。