逆転! 強敵や逆境に勝てる秘密

  • 講談社
3.65
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  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062185059

作品紹介・あらすじ

まったく無名の女子高校バスケットボールチームが州大会で優勝したのはなぜか? 
二流大学の優秀な学生が、一流大学のそこその学生よりも
優れているのはなぜか?

弱い立場の者が絶対的強者に勝つ方法とは?
小よく大を制す、その科学的方法論とは?

弱小チームでも、貧しくても、二流大学卒でも、「勝利の方程式」は必ず存在する!

『ティッピング・ポイント』(邦題『急に売れ始めるにはワケがある』、『アウトライアーズ』(邦題『天才!』)のグラッドウェルが、3年に及ぶ研究から徹底的に分析する!



ふつうの人間が巨人と戦うにはどうすればいいか――それが本書のテーマだ。「巨人」とは圧倒的に強い敵のこと。軍隊や戦士だけでなく、障害・不運・抑圧といったことも含まれる。この本では一章でひとりの人物を取りあげる。有名人もいれば無名の人もいるし、凡人もいれば才人もいるが、共通するのは手に余る挑戦に直面し、それを乗りきらなくてはならなかったこと。(中略)
巨人の実像は、私たちが思っているようなものではない。彼らはその強大な力ゆえに、致命的な弱点も持っている。(中略)新しい扉が開いてチャンスが訪れ、学びと悟りを得ることができる。ふつうならぜったいありえないことが実現可能になる。だとすれば、巨人に立ち向かうための良質な指南書がぜひともほしい。(本書 プロローグより)

感想・レビュー・書評

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  • 着眼点が素晴らしい作品を続々と発表する作家によるベストセラー作品です。
    過去200年におきた大国と小国(人口と兵力に10倍以上の差がある)との勝敗は意外にも28.5%は小国が勝利しているという話から、本書はスタートする。
    第3章の「二流大学が勝つには」では、1流大学に無理して入った秀才が挫折して、2流大学を選んだ努力家が成功した事例を提示しているのだが、この話は私の身近でも起こっただけに説得力がある。
    とはいえ、第8章「突然の悲劇に勝つには」で導き出された結論(らしきもの)には私は同意しない、というよりも、良否を判断できるものでもない気がする。
    自分の子供を殺された犯人を許すか許さないかという事例で、子供を殺された怒りで犯罪をなくそうとするために3ストライク法設定に奔走した被害者家族(筆者は3ストライク法を無益な社会実験と断定)と、一方では犯人を許した被害者両親は友情と結婚生活、自身の健全な心は保たれた・・というような子供を亡くした両者の心の状態を比較して心が平穏だからより幸せだという安易な結論は勘弁してほしい。
    残念ながらこの章だけで、本書の信憑性と意義の大半は失われました。

  • フォトリーディング後熟読。

    「売れ始めるのには訳がある」が素晴らしく論理的だったし面白かったので、久々にマルコム・グラッドウェルを読みたくなって呼んだ。面白かったが「第1感」の読後感のような感覚をおぼえた。帯にあるような、勝利の方程式といったことはそれほど強調されてはいなかった。
    「第1感」でも感じたのは、だったらどうなのといった疑問。第1感が信用できるのか、できないのか、読了後には混乱してしまった。
    本書でも、勝利の方程式は結局なんだったっけ?と思わされた。面白かったが、「売れ始めるには・・・」よりもはっきりしない感が残ったので星4つ。

    下記に付箋を貼った個所の要約を載せる:

    26-37:弱者の戦いは非常に大変。しかし戦い方はある。それは強者が当たり前のようにやっている事を真似するのではなく、彼らがしないことをする事。弱者は足で戦う(手数足数で細かい事で戦う)。強者はそれをしないし、殆どの弱者もそんな大変なことはしない。しかし戦いようによっては勝てる、弱者しかできない戦い方がある。

    41:強者には思いつかないことをする自由が弱者にはある。名声やプライドは、強者を動けなくもしている。

    79:幸福度が高い国は自殺率も高い。みなが幸せでも自分が不幸せであったら、その不幸を耐えられなくなる。周りも貧しい国は自分も貧しく、あきらめがつく。自殺率も低い。

    80-81:周りが優秀な環境は、セルフイメージを低める。優秀な大学の卒業者は、そこそこな大学のまあできる人々よりも、その後ののびが見られない。科学雑誌の論文掲載率は、優秀な大学よりもそこそこ大の人のほうが多い。優秀な環境に入ったためにセルフイメージが低くなり、同じ成績でもそこそこ大の人よりも挫折する人が多い。

    85:優秀な学生に囲まれていると自分がバカに感じてしまい、本当は能力があるのに自己イメージが低くなり、挫折する人が出てしまう。

    143:勇気とは、困難なことを通り抜けた後に「思ったほどでもなかったな」と思えるところから湧くらしい。ロンドン爆撃でおびえた人々は、リモートミス(遠くで人が死んだ)を体験することによって、しだいに空襲のなかでも普段の生活を続けるようになった。

    175:強者は弱者に関心がない。黒人奴隷は白人の一挙手一投足にびくびくし、観察するようになる。そして相手の思いを読めるようになる。しかしながら白人はそのようには黒人を見ないし、黒人が何を考えているのかを読み取れない。読み取る必要も意思もない。

    245:フランスのル・シャボン村でのナチスに対する堂々たる反抗。堂々とビシー政権に意見を言い、ユダヤ人をかくまった。逃げたり隠れたり、戦いさえもしなかった。それはかつてよりカトリック国家の中にあるプロテスタント地域としての、迫害の歴史があったから。またおなじことをするだけだという、経験から来る大胆さ。

  • 本の帯には「弱小チームでも、貧しくても、二流大学でも、「勝利の方程式」は必ず存在する」と。こちらの本は、アメリカの人気コラムニストが過去の様々な研究や事例・事件から、弱者が強者を倒した番狂わせを分析し、何がそれを可能にしたのか、強大に見える相手のどこにつけいる隙や弱点があったのかということを綴っています。スポーツだけではなく、貧しい家庭の子ども、二流大学、識字障害者、マイノリティといった社会的に弱い立場に置かれた者が逆境に打ち勝った事例をふんだんに取り上げていて、一冊目よりも多角的に弱者の戦略を学べそうです。

    ちょっと考えてみると、ほとんどの人は自分が不利な立場、弱い立場で誰かと仕事をしたり、競争したりしていると思いますが、これらの本を読むと、うまくことが運ばないときに「だって・・・だもん」と言い訳してみたり、「しかたがない」と諦観してみたりする前に、「何かできることがあるはずだ」と思えるようになることでしょう。

  • 識字障害の人は人一倍聞く力が発達する。どんな逆境にあっても、それを逆転させる作用が働くことの不思議なエピソードを数々紹介され力がみなぎってきた。

  •  私たちは得意・不得意が異なっている。それがのりしろになって他の人とつながり協業できる。本書はこれを極端なカタチで示したものである。
     「不利」と思われる状況。これを逆に活かして大逆転。本書はこのような話の事例集である。非常識が世の中を変えた例について述べている。
     本書では「白血病のカクテル治療」の話が出てくる。これを思いついた医師の話はかなり強烈である。
     ガンの治療薬は副作用が強い。このため投与自体をせずに安楽死サせたほうが良い。人体への影響が大きいのだから複数の治療薬の同時使用などはもってのほか。
     これらの常識を無視した医師がたった一人だけいた。これがことの真相。自分自身がその医師の同僚、患者、その親だったとしたら。応援はしないとしても、逆に反対してやめさせる方にまわってしまうのではないだろうか。そんな話ばかりが並ぶ。
     識字障害(ディスクレシア)は本を読むのも一苦労。しかしその障害を克服するなかで言葉に対する特別な能力を身に着けて弁護士になった例も提示サれている。

  • あまり記憶に残らない本

  • 2020年 1冊目

    読書はコンスタントにしているのだが、
    いつも内容を忘れて虚しさを感じてしまうので
    ブクログで記録をつけることにした。
    そう思ってブクログにログインすると、
    2013年にも同じ経緯で、記録に残していたらしい。
    それすら忘れており、再度虚しさに浸っている。

    1冊目は海外に住む姉から送ってもらった本。
    マルコムグラッドウェルという、
    英国出身のコラムニストが書いた本だ。

    本書は「逆転!」という題名のとおり、
    「弱い者が強い者に打ち勝つ」をテーマに、
    世界中の事例について言及した本である。

    著者独特のテンポで繰り広げられる論説は、
    ドキュメンタリーを観ているようで面白かった。
    論旨が正解かどうかという観点ではなく、
    単純に読み物として読む本だと感じた。
    とりわけ「序盤の弱いチームが勝つ方法」は
    海外ドラマのような話で面白く読めた。

    何かを学ぶビジネス本というよりは、
    やっぱりコラムとして愉しむ本として
    優れた一冊だった。

  • 勉強になるというよりは知的なエッセイってかんじ

  • 久しぶりのマルコム・グラッドウェルはやっぱりよかった。こういうタイプのコラムを書く人はなぜか日本にいないのだような気がする。

    今回の内容はタイトルそのまま「逆転」。
    身体的、政治的、能力的その他いろんな意味での不利な立場の人間が逆転する方法をこの人独自の視点で集めてまとめている。
    文章そのものがとっつきにくいところは若干あるような気がするが、そこがまた知的な感じでいいと思うのだけれどね。

  •  親がお金持ちになりすぎるのが良くないように、クラスの人数が少なすぎるのも問題なのだろうか? アメリカとカナダの相当数の教師にこの疑問を投げかけてみたところ、「問題がある」という答えが続々と返ってきた。
     ひとりの教師の回答を紹介しよう。
     私の理想は十八人です。この人数なら子どもたちは緊張しないし、ひとりひとりに目をかけてあげられます。それに生徒間の親密度に応じて、二人、三人、六人ずつのグループに分けるのも簡単だし、必要なときにすぐにすぐ子供のそばに行って対応できます。
     次に望ましいのは二十四人です。この人数になると異分子が出現します。現状を良しとせず、声をあげる反逆児がひとりや二人はいるものです。その代わり、チームではなく集団でのエネルギーも生まれます。
     さらに六人増えて三十人になると、生徒とのつながりが薄れてしまいます。どんなに優れた教師でも、そのカリスマ性の威力は失われてしまうでしょう。
     では逆はどうだろう? 理想の十八人から六人減らして十二人にする。最後の晩餐でキリストと食卓をともにしたのも十二人。なるほど休日に食卓を囲むにはちょうどいい人数だが、教室ではそれが問題になる。おたがいの距離が近すぎて、とくに高校生ぐらいの子は自主性が育たない。声の大きい者、横暴な者(どちらも教師だったりする)がたちまち場を支配してしまう。さらに減って六人になると、もう逃げも隠れもできない。多様な意見や経験がもたらす、集団ならではの豊かさも生まれない。
     教師にとっても、小人数クラスは大人数に負けず劣らず運営が難しい。大人数だと子どもどうしの接触回数が増えて手に負えないが、小人数になると今度は接触の密度が濃くなりすぎる。少人数クラスの生徒は「車の後部座席にいる兄弟」と同じだとある教師は言った。ソリの合わない者どうしが、おたがいを避けることができないのだ。

     私たちはただ怖がるだけでなく、怖がることを怖がってもいる。
     空襲というものが初体験だったロンドン市民は、さぞ恐ろしいことに違いないと予測した。空襲が始まったらどんな気持ちになるだろう――そんな予測が彼らを恐怖に陥れたのだ。そしていざ空襲が始まり、何ヶ月も何ヶ月も爆弾が雨あられと降ってくるなかで、リモートミスを経験した人びとは、思ったほど恐ろしくなかったと感じる。危険を克服すると気持ちが高揚する……事前の危惧といまの安堵感の落差が自信につながり、それが勇気の源になったのだ。

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著者プロフィール

1963年イギリス生まれ。
カナダ・トロント大学トリニティカレッジ卒。
『ワシントン・ポスト』紙のビジネス、サイエンス担当記者を経て、現在は雑誌『ニューヨーカー』のスタッフライターとして活躍中。邦訳には『天才!』『ニューヨーカー傑作選』ほかがある。

ある製品やメッセージが突然、爆発的に売れたり広まったりする仕組みを膨大な調査とユニークなフレームワークによって解き明かした最初の著書『ティッピング・ポイント』(邦題『急に売れ始めるにはワケがある ネットワーク理論が明らかにする口コミの法則』)、人間は、長時間考えてたどり着いた結論よりも、最初の直感やひらめきによって、物事の本質を見抜くという仮説を検証した2冊めの著書『ブリンク』(邦題『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』)は、いずれも世界で200万部を超える大ベストセラーになっている。

「2014年 『逆転! 強敵や逆境に勝てる秘密』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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