祈りの幕が下りる時

著者 :
  • 講談社
4.01
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本棚登録 : 5705
レビュー : 812
  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062185363

作品紹介・あらすじ

悲劇なんかじゃない これがわたしの人生 
極限まで追いつめられた時、人は何を思うのか。夢見た舞台を実現させた女性演出家。彼女を訪ねた幼なじみが、数日後、遺体となって発見された。数々の人生が絡み合う謎に、捜査は混迷を極めるが――

感想・レビュー・書評

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  • 滋賀に住む女性の死体が、東京の単身男性のものとみられる部屋で見つかった。
    被害者は東京に中学時代の同級生のもとへ訪ねて行ったらしい。
    しかし、事件との糸口は見つからない。
    他方、部屋の男性のことを調べるうちに、加賀の母と何らかのつながりがあった可能性が出てくる。
    加賀は事件の解明に乗り出す。

    膨大な無駄の中から、真実のピースを拾い集める地道な作業。
    時刻表の特定のページについた指紋、
    カレンダーに書かれた橋の名前、
    橋洗いの写真に写った見知った女性、
    ルビーのペンダント…
    そうして集めたピースは、ひとつひとつは意味をなさないけれど、かちりかちりとつなげていく中で、真実のストーリーがおぼろげながらに見えてくる。

    加賀恭一郎シリーズはもともと好きだけれど、この長編はいつも以上に面白かった。
    加賀さんの推理が冴えわたっているだけでなく、今回は加賀さんのこれまでの、そしてこれらかの人生に大きくかかわる話で、その意味でも読み応えがあり。
    シリーズを通して加賀さんの両親へのわだかまりがとけて、心境に少しずつ変化が生じてきているのが感じられる。

    加賀さんのお母さんの遺した言葉…
    「恭一郎はこれから先、もっともっと立派になります。この写真が手元にあると、私の中であの子の成長が止まってしまう。それはきっと、あの子の望まないことです。」
    生きている間にもう一度会いたかっただろうなと思うのと同時に、息子が立派になったことがうれしい、もう何も望まないという気持ちもなんだかわかって、涙ほろほろでした。

    そしてもう一組のキーとなる親子。
    白夜行のような、互いが互いを求めながら人目を忍び、堂々と会うこともできない。
    秘密を守るため、大事な人を守るために重ねていく犯行。。
    ずっと抱えて逃げて守ってきた秘密が、まさか加賀さんによって暴かれるとは。
    「後悔は全くしていない」「父に幸せの気配を感じられただけでもうれしい」
    そうはいうものの、皮肉なものだなと思ってしまう。

    でもやっぱり殺人は許されないですよね。
    何も悪いことしていない、それどころか親身になって心配してくれていただけの押尾さんは、本当にかわいそうでした。

  • 加賀恭一郎シリーズ10作目。
    加賀の母親のことがかなり明らかになり、しみじみとした読後感でした。

    10年程前、仙台で田島百合子という女性が亡くなり、雇っていた女性は遺骨をどうしたものか気にしていた。
    それが実は加賀の母親だった‥
    加賀が小学生の頃に、突然家を出た母親。幼い息子にとっては突然のことで意味がわからないまま、父親への不信感が続いてしまったのですね。

    現在、加賀の従弟の松宮が担当している事件。
    小菅のアパートで女性の遺体が発見され、それが部屋の住人ではなく、滋賀県に住む女性とわかります。
    浅居博美という女性演出家の幼馴染で、上京してから会っていることまではわかったが‥
    加賀はかって子役への剣道指導を頼まれたことがあり、この浅居とは知り合いだった。

    東京の日本橋近辺と、仙台と、滋賀と。
    ちょっとした引っ掛かりをきっかけに、加賀は事件に興味を抱いていきます。
    二組の親子関係をめぐって、最初はばらばらだったピースが次第に絡み合っていくのです。
    思わぬ広がりを見せる事件。
    予想通りの部分と、ちょっとずれて行く部分と‥
    人生を大きくゆがませる悲痛な出来事も、淡々と描かれます。
    何かが少し違っていたらと願いたくなるような。

    加賀が母の消息を知っていくことで、少しずつ何かが流れ出していくようです。
    加賀が日本橋署に勤務し、地域のことに気を配っていた理由もわかってきて、切ない印象がありました。
    日本橋へのこだわりも一段落して、捜査一課へ戻る加賀。
    充実した読み応えと、気持ちの整理がついた姿を見ることができたことで、こちらもスッキリした気分で読み終えられました。

  • 『悲劇なんかじゃないこれがわたしの人生』

    小菅のアパートの一室、越川睦夫の部屋で、滋賀県在住の押谷直子の死体が発見される。
    同じ頃、河川敷に作られたテント小屋が焼け、中から男性の死体が見つかった。
    押谷殺人事件の捜査を担当していた加賀の従兄の松宮修平は、
    二つの事件に繋がりがあるように感じていた。
    押谷は幼馴染の浅居博美という舞台演出家を訪ねて上京した事が判る…。
    浅居博美は加賀の知り合いだった。
    ホームレスの焼死体がアパートの住人「越川睦夫」だと判明する。
    だが、違和感を覚える松宮…。
    松宮は加賀からヒントを貰う…。
    そこから、事件は進展する…。

    加賀恭一郎シリーズ
    何故、加賀が日本橋署に拘っていたかが、明らかになりました。
    また、加賀の父親が一人で逝く事を望んでいたのかがやっと理解出来た。
    これ迄、謎とされてきた母親の蒸発した理由が明らかになりその後どの様に過ごして来たかも判明する。
    そして、最後の手紙で母親の想いもわかり胸が痛くなりました。

    二つの家族の親子の愛情を描いている。
    父をこよなく愛する娘、娘の為なら命をも惜しまない父…。
    自分達の細やかな幸せを守る為、大きな不幸を招く。
    決して悪い人達ではないが、犯人の身勝手さや自己中心的行動は同情に値しない。

    最初から物語にグイグイ入り込み、途中でぼんやりと犯人は見えてくるのですが、
    最後まで飽きさせない!
    とっても、面白かった。
    そして、強い心・揺らがない心・優しさ・あったかさ加賀さん素敵過ぎです。

    本庁に戻る加賀さん
    看護師の登紀子さんとのこれからも予感させられた
    今後が楽しみです

  •  加賀恭一郎シリーズ第10作目。これまた傑作。加賀さんも松宮くんも元気そうで良かった。

     今回、加賀さんがなぜに日本橋署所属の刑事となり、なぜにこんなにも日本橋の住民と馴染もうとしているのかの謎が明らかに。加賀さん、転勤希望を出していたのか。とばされたのかと思っていた・・・!?
     加賀さんが日本橋署への転勤を希望したのは、お母さんの遺品に入っていたメモの謎を解くためだったとは・・・!?気になったことはとことん調べて調べて調べつくす性分の加賀さんらしい。自分の勤務先を変えてまで、謎を解こうとしていたなんて。

     ネタバレになるから書けないけれど、今回も犯人の動悸が分かったときは泣かされました。これは、私の2013年下半期のベスト5に入ります。

    • フッタさん
      遅ればせながら読みました。さすがです。どちらかというと湯川より加賀が好きです。
      遅ればせながら読みました。さすがです。どちらかというと湯川より加賀が好きです。
      2014/01/13
  • 順番が回ってくるまで、うかつに情報に触れないように気を付けて過ごしてきました。
    本屋のPOPも見ない、ブクログのレビューも読まない。
    かろうじて知っていたのは、加賀恭一郎シリーズということと、これで終わり?らしいという噂くらい。

    東野圭吾は10年以上前からの読者で、加賀シリーズも全部読んできているけど、はじめの頃はわりかし便利な刑事役って感じだったのに、こんな展開を迎えるとはね。
    「赤い指」から「新参者」「麒麟の翼」と続く伏線に、読みはじめてすぐにびっくりしてしまいました。
    松宮くんが登場してお父さんが逝き、日本橋署へ異動したことが、ここにきて大きく意味を持ってきます。

    かなり過去の出来事がいろいろ関係していて、正体不明の複数の名前が入り乱れて、なかなか複雑な事件でしたが、じっくり読み進めて核心に迫るのはいつもながらにおもしろかった。
    しかし、なかなか重いお話だった。いくら娘のためといってもなぁ・・・。
    親子の確執と愛情と、「夢幻花」でも付け足されていた原発ネタ、日本橋の雰囲気と色々な要素はありますが、やっぱり一番の魅力は加賀恭一郎の人間味ですね。

    加賀さんの個人的な事情にもしんみりしつつも、これで一つの区切りがつきましたね。
    これで終わりといわずに、警視庁捜査一課で活躍する一皮むけた加賀さんの姿をこれからも読みたいです。
    しかし、登紀子がここまでからんでくるキャラになるとはなー。

  • 東野圭吾はさすがにすごい。
    よくも毎度毎度これだけのトリックとプロットを考えつくものだ。
    さすが大御所であり、まだまだミステリー界の第一線を走っていると言える。
    加賀恭一郎シリーズで、日本橋に絡む謎解きだが、この作品で加賀の本来の境遇が明らかになる。加賀ファンにとっては必見の作品だろう。
    不幸な境遇のもとに生きてきた親子。
    その境遇から発生した殺人事件。
    その事件が加賀の人生と複雑に絡まりあう。
    多少強引な引っ掛けもあるが、ラストの手紙には泣かされる。
    単なる謎解きではない東野ミステリーの面白さが詰まったような作品だ。
    東野先生、これからもどんどん面白い作品を世に出してください。

  • 悲劇なんかじゃない これがわたしの人生。極限まで追いつめられた時、人は何を思うのか。夢見た舞台を実現させた女性演出家。彼女を訪ねた幼なじみが、数日後、遺体となって発見された。数々の人生が絡み合う謎に、捜査は混迷を極めるが…。
    「BOOKデータベース」

    シリーズ最終話と知らず、図書館の棚から偶然に手に取った作品.前作を読んでいなくても十分に楽しめる.前作を読んでいたらもっと楽しめるだろうと思う.
    親子の重い秘密、人生を抱える覚悟、真実を知りたいと願う執着.現象的には殺人、詐称と許されることではないけれども、静謐さを感じた.そんな重いものを抱えて生きるというのはどんなにかしんどいことだろうと想像する.
    弱いのか強いのか分からなくなる.

  • 加賀恭一郎シリーズの第10作目、一つの節目でもあるのでしょうか。
    私は『新参者』『麒麟の翼』に続いての3冊目となります。

    物語は遠く離れた地にて亡くなった、
    加賀の母の死についてから、始まります。

    シリーズの中でも長らく謎とされてきた加賀の母の失踪、
    今回はそちらが事件のカギの一つにもなっている感じで。

    そういった意味では、加賀自身の、日本橋に来た理由、
    そして、日本橋から去る理由が綴られているのかな、とも。

    根底に流れるのは、30年に渡る“親子の愛”、
    愛ゆえにいくつかの殺人が行なわれもするのですが、、

     “悲劇なんかじゃない、これがわたしの人生”

    “父性”という点で『ソウル・ケイジ』と同じ“匂い”も感じました。
    そして、『容疑者Xの献身』とも通じる“哀しい殺人”の結末も。

    ラスト、犯人は救われたのでしょうか、それとも、、
    そしてまた、加賀の母に対する思いも一つの結末を迎えます。

    最早、映像的には阿部寛さんでしか再現されませんが、
    こちらの映像化も是非見てみたいですね、なんて。

    何のかんのと一気読み、でした。

  • 少し前に、「書き下ろし」はあまり好きじゃない。
    なんてことを書いたばかりですが、この作品、書き下ろしです。
    そして、かなり好きです!

    大好きな加賀恭一郎シリーズ。
    たぶんすべて読んでいるはず。
    加賀が日本橋署に居続ける理由、の母親との関係が明らかになる。
    そして、加賀のあかるい未来を予感させる。
    面白かったです。

  • 加賀恭一郎シリーズと知っていてもなお、冒頭から驚かされ、引き込まれた。
    警察小説としても、加賀自身の物語としても、目が離せず、読む手が止まらなかった。
    捜査一課の松宮と、所轄の加賀の視点が、うまく組み合わさっている。
    大きな区切りとなる物語。
    http://koroppy.cocolog-nifty.com/blog/2013/10/post-52b3.html

    • hongoh-遊民さん
      かなり評判の良い作品みたいですね。KOROPPYさんのレビューを読んで、今買うべきか、文庫化を待つか、ちょっと迷ってます(笑)
      かなり評判の良い作品みたいですね。KOROPPYさんのレビューを読んで、今買うべきか、文庫化を待つか、ちょっと迷ってます(笑)
      2013/11/01
    • KOROPPYさん
      >hongoh-遊民さん
      加賀恭一郎シリーズがお好きでしたら、楽しめる作品かと^^
      とはいえ、東野圭吾なら文庫化も早そうですし、
      悩ま...
      >hongoh-遊民さん
      加賀恭一郎シリーズがお好きでしたら、楽しめる作品かと^^
      とはいえ、東野圭吾なら文庫化も早そうですし、
      悩ましいところですね(笑)
      2013/11/01
    • hongoh-遊民さん
      加賀恭一郎シリーズは一通り文庫で読んで、「新参者」を単行本で買ったら、すぐ文庫化!ちょっとね \o/
      加賀恭一郎シリーズは一通り文庫で読んで、「新参者」を単行本で買ったら、すぐ文庫化!ちょっとね \o/
      2013/11/04
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著者プロフィール

東野圭吾(ひがしの けいご)
1958年大阪市生野区生まれ。大阪府立大学工学部電気工学科卒。大学在学中はアーチェリー部主将を務める。1981年に日本電装株式会社(現デンソー)にエンジニアとして入社し、勤務の傍ら推理小説を執筆する。1985年『放課後』で第31回江戸川乱歩賞を受賞し、小説家としてのキャリアをスタート。2006年『容疑者Xの献身』で第134回直木三十五賞を受賞。2013年『夢幻花』では第26回柴田錬三郎賞を受賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞受賞。現在、直木三十五賞選考委員を務めている。代表作としてガリレオ・新参者シリーズに加え、映画化された『手紙』『ラプラスの魔女』。ほかにもテレビドラマ・映画化された作品が多い。2018-19年の作品では、『人魚の眠る家』、『マスカレード・ホテル』、『ダイイング・アイ』、そして今後の映画化作として玉森裕太、吉岡里帆、染谷将太らの共演作『パラレルワールド・ラブストーリー』(2019年5月31日映画公開)がある。なお、中国で『ナミヤ雑貨店の奇蹟-再生-』が舞台化・映画化され、映画はジャッキー・チェンが西田敏行と同じ雑貨店店主役で出演する。2019年7月5日、「令和」初の最新書き下ろし長編ミステリー『希望の糸』を刊行。

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