祈りの幕が下りる時

著者 :
  • 講談社
4.02
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感想 : 852
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  • Amazon.co.jp ・本 (386ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062185363

作品紹介・あらすじ

悲劇なんかじゃない これがわたしの人生 
極限まで追いつめられた時、人は何を思うのか。夢見た舞台を実現させた女性演出家。彼女を訪ねた幼なじみが、数日後、遺体となって発見された。数々の人生が絡み合う謎に、捜査は混迷を極めるが――

感想・レビュー・書評

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  • 加賀恭一郎の母親の死によって隠れていた周囲の事件が暴かれていく。

    東野圭吾さんは絆の物語が好きということで
    今回は特に絆を感じました。
    ただ、殺人が絡んでいるので青春のようなキレイな絆ではないですよね。

    親や家庭環境のせいで苦労する女性を取り巻くストーリーなのですが、実際問題だし読んでいてとても苦しい。
    親を選ぶことはできないとよくいいますがその通り。
    成人してから人生を立て直しても過去が絡んできたり。。。
    選んでもない過去というのは本当に煩わしいです。

    前作『麒麟の翼』で加賀恭一郎が
    一つの悪事を正さなければ全てが間違った方向に行く
    と言っていたように今回の事件もその事が原因なんですね。

    辛くて切ない親子愛なのですが、
    環境が整っていないために歪んでしまった愛。

    子どもの悪事を正すのも環境を整えるのも親の役目。
    それができなかった為、しなくていい苦労を女性がすることに。
    愛だけでは生きていけませんから。

    『祈りの幕が下りる時』
    題名とても素敵です。

    物語中盤は複雑で時間がかかりましたが
    読了後はさすが東野圭吾さん!となりました。
    加賀恭一郎シリーズも次作が最後。。。
    希望の糸も楽しみです♪

    • mayutochibu9さん
      ほんと、そうなんですよ。
      春だからか?いや違う「ため息、またひとつ♪」
      ほんと、そうなんですよ。
      春だからか?いや違う「ため息、またひとつ♪」
      2023/04/13
  • やっぱり東野圭吾作品が好きだなー。一つ一つの出来事は、読み進めていくうちに、少しずつ綺麗に解決されていく。そしてそこに様々な想いが絡み合っている。深い深い愛を感じる作品だった。読んでいて、あー長い作品だなー、って思うことなく、あっという間に読み終わった。

  • 東京葛飾区のアパートの一室で発見された女性の遺体。同じ頃、新小岩の河川敷でホームレスが殺害される。一見無関係に見える事件だったが、捜査を進めるうちに関連性が見え隠れする。
    その後捜査線上に浮上した人物は、かつて失踪した加賀の母親と関係があった疑いも出てきた…

    加賀が日本橋署に異動した理由や、失踪した母親を巡る謎が明らかになる《加賀恭一郎シリーズ》の中でも重要な位置付けの作品。私にとってもブクログレビュー登録100冊目となる記念すべき一冊。

    「どれだけ無駄足を踏んだかで捜査の結果が変わってくる」ことを信条とする加賀ら刑事達によるひたむきな捜査により、少しずつだが確実に真相に迫る。“読ませる”筆力はさすがというか、もはや言うまでもないか。やがてミッシングリンクが繋がった時、胸が締め付けられるような切なさが読者を襲う。本書のメインテーマは謎解きではない。解かれた謎のバックグラウンドにある人間ドラマこそが真骨頂。この胸をえぐられるような気持ちになる読後感は、著者の名作「白夜行」を彷彿とさせる。ある意味“東野圭吾らしい”作品。

    松宮や金森といった、加賀を取り巻く面々も存在感を増してきた本シリーズ。次回作も楽しみだ。

    週刊文春ミステリーベスト10 2位
    このミステリーがすごい! 10位
    ミステリが読みたい! 11位
    吉川英治文学賞受賞(2014年)

    《加賀恭一郎シリーズ》
    1.卒業
    2.眠りの森
    3.どちらかが彼女を殺した
    4.悪意
    5.私が彼を殺した
    6.嘘をもうひとつだけ
    7.赤い指
    8.新参者
    9.麒麟の翼
    10.祈りの幕が下りる時
    11.希望の糸
    12.あなたが誰かを殺した

  • 加賀恭一郎シリーズ。
    冒頭の仙台の死亡女性と加賀との関り。
    そして舞台は変わり東京での女性の殺人事件。
    捜査につれ様々浮かび上がる人間関係。
    そこでもまた加賀との関り。
    各々心に抱えてる秘密。深い家族の愛。
    これがこの作品で感じ取ったものでした。
    パンドラの箱を開けたばかりに起こった悲劇。
    この作品もまた心に残る1冊になりました。

  • 加賀恭一郎シリーズ10作目。
    加賀の母親のことがかなり明らかになり、しみじみとした読後感でした。

    10年程前、仙台で田島百合子という女性が亡くなり、雇っていた女性は遺骨をどうしたものか気にしていた。
    それが実は加賀の母親だった‥
    加賀が小学生の頃に、突然家を出た母親。幼い息子にとっては突然のことで意味がわからないまま、父親への不信感が続いてしまったのですね。

    現在、加賀の従弟の松宮が担当している事件。
    小菅のアパートで女性の遺体が発見され、それが部屋の住人ではなく、滋賀県に住む女性とわかります。
    浅居博美という女性演出家の幼馴染で、上京してから会っていることまではわかったが‥
    加賀はかって子役への剣道指導を頼まれたことがあり、この浅居とは知り合いだった。

    東京の日本橋近辺と、仙台と、滋賀と。
    ちょっとした引っ掛かりをきっかけに、加賀は事件に興味を抱いていきます。
    二組の親子関係をめぐって、最初はばらばらだったピースが次第に絡み合っていくのです。
    思わぬ広がりを見せる事件。
    予想通りの部分と、ちょっとずれて行く部分と‥
    人生を大きくゆがませる悲痛な出来事も、淡々と描かれます。
    何かが少し違っていたらと願いたくなるような。

    加賀が母の消息を知っていくことで、少しずつ何かが流れ出していくようです。
    加賀が日本橋署に勤務し、地域のことに気を配っていた理由もわかってきて、切ない印象がありました。
    日本橋へのこだわりも一段落して、捜査一課へ戻る加賀。
    充実した読み応えと、気持ちの整理がついた姿を見ることができたことで、こちらもスッキリした気分で読み終えられました。

  • 『悲劇なんかじゃないこれがわたしの人生』

    小菅のアパートの一室、越川睦夫の部屋で、滋賀県在住の押谷直子の死体が発見される。
    同じ頃、河川敷に作られたテント小屋が焼け、中から男性の死体が見つかった。
    押谷殺人事件の捜査を担当していた加賀の従兄の松宮修平は、
    二つの事件に繋がりがあるように感じていた。
    押谷は幼馴染の浅居博美という舞台演出家を訪ねて上京した事が判る…。
    浅居博美は加賀の知り合いだった。
    ホームレスの焼死体がアパートの住人「越川睦夫」だと判明する。
    だが、違和感を覚える松宮…。
    松宮は加賀からヒントを貰う…。
    そこから、事件は進展する…。

    加賀恭一郎シリーズ
    何故、加賀が日本橋署に拘っていたかが、明らかになりました。
    また、加賀の父親が一人で逝く事を望んでいたのかがやっと理解出来た。
    これ迄、謎とされてきた母親の蒸発した理由が明らかになりその後どの様に過ごして来たかも判明する。
    そして、最後の手紙で母親の想いもわかり胸が痛くなりました。

    二つの家族の親子の愛情を描いている。
    父をこよなく愛する娘、娘の為なら命をも惜しまない父…。
    自分達の細やかな幸せを守る為、大きな不幸を招く。
    決して悪い人達ではないが、犯人の身勝手さや自己中心的行動は同情に値しない。

    最初から物語にグイグイ入り込み、途中でぼんやりと犯人は見えてくるのですが、
    最後まで飽きさせない!
    とっても、面白かった。
    そして、強い心・揺らがない心・優しさ・あったかさ加賀さん素敵過ぎです。

    本庁に戻る加賀さん
    看護師の登紀子さんとのこれからも予感させられた
    今後が楽しみです

  • タイトルの祈りに掲げた、願い•切実さ•絆が登場人物に込められたストーリーでした。加賀シリーズはいくつものパーツが絡んでいる、とてもハマる作品集です。

  • 東野圭吾はさすがにすごい。
    よくも毎度毎度これだけのトリックとプロットを考えつくものだ。
    さすが大御所であり、まだまだミステリー界の第一線を走っていると言える。
    加賀恭一郎シリーズで、日本橋に絡む謎解きだが、この作品で加賀の本来の境遇が明らかになる。加賀ファンにとっては必見の作品だろう。
    不幸な境遇のもとに生きてきた親子。
    その境遇から発生した殺人事件。
    その事件が加賀の人生と複雑に絡まりあう。
    多少強引な引っ掛けもあるが、ラストの手紙には泣かされる。
    単なる謎解きではない東野ミステリーの面白さが詰まったような作品だ。
    東野先生、これからもどんどん面白い作品を世に出してください。

  •  加賀恭一郎シリーズ第10作目。これまた傑作。加賀さんも松宮くんも元気そうで良かった。

     今回、加賀さんがなぜに日本橋署所属の刑事となり、なぜにこんなにも日本橋の住民と馴染もうとしているのかの謎が明らかに。加賀さん、転勤希望を出していたのか。とばされたのかと思っていた・・・!?
     加賀さんが日本橋署への転勤を希望したのは、お母さんの遺品に入っていたメモの謎を解くためだったとは・・・!?気になったことはとことん調べて調べて調べつくす性分の加賀さんらしい。自分の勤務先を変えてまで、謎を解こうとしていたなんて。

     ネタバレになるから書けないけれど、今回も犯人の動悸が分かったときは泣かされました。これは、私の2013年下半期のベスト5に入ります。

    • フッタさん
      遅ればせながら読みました。さすがです。どちらかというと湯川より加賀が好きです。
      遅ればせながら読みました。さすがです。どちらかというと湯川より加賀が好きです。
      2014/01/13
  • 順番が回ってくるまで、うかつに情報に触れないように気を付けて過ごしてきました。
    本屋のPOPも見ない、ブクログのレビューも読まない。
    かろうじて知っていたのは、加賀恭一郎シリーズということと、これで終わり?らしいという噂くらい。

    東野圭吾は10年以上前からの読者で、加賀シリーズも全部読んできているけど、はじめの頃はわりかし便利な刑事役って感じだったのに、こんな展開を迎えるとはね。
    「赤い指」から「新参者」「麒麟の翼」と続く伏線に、読みはじめてすぐにびっくりしてしまいました。
    松宮くんが登場してお父さんが逝き、日本橋署へ異動したことが、ここにきて大きく意味を持ってきます。

    かなり過去の出来事がいろいろ関係していて、正体不明の複数の名前が入り乱れて、なかなか複雑な事件でしたが、じっくり読み進めて核心に迫るのはいつもながらにおもしろかった。
    しかし、なかなか重いお話だった。いくら娘のためといってもなぁ・・・。
    親子の確執と愛情と、「夢幻花」でも付け足されていた原発ネタ、日本橋の雰囲気と色々な要素はありますが、やっぱり一番の魅力は加賀恭一郎の人間味ですね。

    加賀さんの個人的な事情にもしんみりしつつも、これで一つの区切りがつきましたね。
    これで終わりといわずに、警視庁捜査一課で活躍する一皮むけた加賀さんの姿をこれからも読みたいです。
    しかし、登紀子がここまでからんでくるキャラになるとはなー。

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著者プロフィール

1958年、大阪府生まれ。大阪府立大学電気工学科卒業後、生産技術エンジニアとして会社勤めの傍ら、ミステリーを執筆。1985年『放課後』(講談社文庫)で第31回江戸川乱歩賞を受賞、専業作家に。1999年『秘密』(文春文庫)で第52回日本推理作家協会賞、2006年『容疑者χの献身』(文春文庫)で第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞、2012年『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(角川書店)で第7回中央公論文芸賞、2013年『夢幻花』(PHP研究所)で第26回柴田錬三郎賞、2014年『祈りの幕が下りる時』で第48回吉川英治文学賞を受賞。

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