しんがり 山一證券 最後の12人

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 630
レビュー : 78
  • Amazon.co.jp ・本 (362ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062186445

作品紹介・あらすじ

負け戦のときに、最後列で敵を迎え撃つ者たちを「しんがり」と言います。戦場に最後まで残って味方の退却を助けるのです。
四大証券の一角を占める山一證券が自主廃業を発表したのは、1997年11月のことでした。店頭には「カネを、株券を返せ」と顧客が殺到し、社員たちは雪崩を打って再就職へと走り始めます。
その中で、会社に踏み留まって経営破綻の原因を追究し、清算業務に就いた一群の社員がいました。彼らの一部は給与も出ないまま、「しんがり」を買って出て、無一文に近い状態になっています。この中心にいたのは、会社幹部に裏切られながら業務の監査をしていた人間たちで、証券会社では「カネを稼がない、場末の連中」と陰口を叩かれていた人々でした。・・・
山一證券の破綻を、記者会見で号泣した社長の姿とともに記憶している方も多いことでしょう。「社員は悪くありませんから!」という絶叫でした。
社長までが泣く、その大混乱にあって、「しんがり」の彼らはなぜ筋を通そうとしたのでしょうか。逆襲なのでしょうか、意地でしょうか、優しさなのでしょうか。
山一が消えたあとも、彼らは不器用な人生を送っています。しかし、決して不幸ではないと言います。「会社の破綻なんて人生の通過点に過ぎないよ」「潰れたって、何とかなるんだ」と。
一生懸命生きていれば、きっと誰かが見ていてくれる。――そんな彼らのメッセージは、どんな会社が潰れても不思議のない、リスク多き時代を生きる人々の励ましとなるのではないでしょうか。

感想・レビュー・書評

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  • 山一證券の破綻の前後に人知れずに精算業務や真相解明に奔走した者たちを描いたノンフィクション。
    バブル期に営業至上主義に陥った企業がいかにして凋落していったかがリアルに描かれる。
    無給でも頑張る人間たちの姿を読んでいると心が熱くなった。仕事に向かう姿勢が正される本。

  • 著者といえば、読売巨人軍のナベツネを批判した人物というほうが記憶に新しい。
    そんな著者が、山一の本を書いているのを書評で見て、どんな本を書くのか読みたいと思い手にした。
    当時の社長が、『社員は悪くありませんから!』とボロ泣きしていたことを今でも思い出せるくらい、強烈な印象だった。
    倒産の少し前からその後に至るまでの話で、淡々と進んでいき信頼できる内容だと思った。
    どうして最後まで残ったのか、、そういう定めだったのだろうと、ある人は巻末で言っていた場面があるが、生活を犠牲にしてまでやるのは、とても大変であり自分が出来るのかと胸に手をあててみても自信がない。
    だからこそ、しんがりの登場人物たちに強い憧れと、日本人としての昔ながらの美学が心を揺らすのだろう。

    とても良かった◎

  • 自分も金融機関の企画部門社員。
    胸騒ぎが禁じ得ないのはなぜ??
    自分が訴訟対象になのに、無給でその証拠の提供につながる報告書を準備できる根性は、すごい。
    働く意味を考えさせられる内容だった。

  • 歴史に残る山一証券の破綻について、最後の戦いをした人々の矜持が清々しい。会社勤めをするもの皆が、彼らのように生きられないからこそ、読むべき一冊だろう。

    自分の身に照らして、日々の業務にかかりたい。

  • すごいなぁ。
    こんな仕事がしたいなぁ。
    もっと頑張って正義のために生きねば!

  •  1997年に自主廃業した山一証券。大手証券会社の破たんと社長の涙の記者会見は、強烈な印象として記憶に残っている。
     あれから15年後に本書が刊行されたわけだが、破たんに至った経緯・真相が、実名で克明に描かれている。著者は元読売新聞の記者のフリージャーナリストだが、本書の執筆に要した取材の量・質ともに相当なものだったと思う。
     本書のタイトル「しんがり(後軍)」の意味は、「後退する部隊の中で最後尾の箇所を担当する部隊」であるが、破たんした会社に踏みとどまり、清算業務や真相究明を続けた「社内調査委員会」の人たちを表す、絶妙のネーミングだろう。
     会社が破たんし、無給となり、決して前向きでない仕事を黙々とやり続けた「しんがり」達のモチベーションは何だったのかという疑問を持って本書を読み進めたが、答えは著者のあとがきにあった。著者が「しんがり」12人に宛てたアンケート中、「なぜ、あなたは貧乏くじと思われる仕事を引き受けたのですか?」という問いに対し、圧倒的に多かった回答が、「誰かがやらなければならなかったから」というものだったという。仕事人としてのプライドとも言えようか。
     事実に基づくドキュメンタリー小説であるが、「暴露本」のような暗さはなく、「しんがり」メンバーの人間性を鮮やかに描いており、読後には爽やかさを覚えたのであった。
     なお、本書を原作にしたドラマがwowwowで放送された。DVDが出たら、是非見たい。

    • きよっそんさん
      山一證券の破綻は当時の社長の記者会見と相俟って私も強く印象に残っています。表面的な破綻の理由だけではなく、そこに至った事情を知りたくぜひ読ん...
      山一證券の破綻は当時の社長の記者会見と相俟って私も強く印象に残っています。表面的な破綻の理由だけではなく、そこに至った事情を知りたくぜひ読んでみたいと思いました。
      2016/02/14
  • サラリーマン・職業人としての40代・50代の過ごし方を考えさせられる本。

    山一證券破綻の真相究明を無給で行った社員たちの記録。著者は巨人軍のオーナー代行を解任されたことで一躍名前が知られた読売新聞の元記者。

    山一破綻の原因となる同社法人部門の行為には呆れる。「会社のため」とのロジックのもと顧客企業の特金運用の損失を簿外処理し、それが、雪だるま式に膨らんでいった状況を調査委員会の面々がつまびらかにしていく様子をリアルに描写している。さらには、発端となった東急百貨店の損失処理は、大蔵省の証券局長が関与していたことも実名をあげて詳述。

    誰にでも推薦できる本ではないが良書。

  • 嘉本隆正常務以下12人の社内調査委員会を立ち上げ、自社山一證券が、2,600億円の簿外債務隠しで自主廃業に至った経緯を紐解く物語。
    不正の事実を知らなくても役員として名を連ねている以上善管注意義務を怠ったということになること、またそういう不正が行われていることを知った時にそれをやめさせる行動が取れるだろうか、自分を問われているような気がした。
    嘉本が2012年の仲間の飲み会の場で云った「これからは自分の時間を売らずに生きる」という言葉が印象的であった。
    調査委員会の役員は給料もなく、株主代表訴訟の心配もあった中で、

  • 倒産こそしなかったが、企業トップとその側近が社員を犠牲にしながら成績数字を強要したことに抗して戦った経験からすると、ここに書かれていることは、やや情緒的な部分はあるにせよ、概ね想像がつく。「会社のため」というのは嘘で、全部自分のためであることは、そのときに全容の解明に当たった自分の経験でもある。よく調べて書かれているという印象が強く残った。

  • あー、こういう展開あるかも。とつい思ってしまう展開。

    記録として残すという大義は素晴らしい。

    明日は我が身と思い、サラリーマン最高の教科書かも。

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著者プロフィール

清武英利(きよたけ・ひでとし)
1950年宮崎県生まれ。立命館大学経済学部卒業後、75年に読売新聞社入社。青森支局を振り出しに、社会部記者として、警視庁、国税庁などを担当。中部本社(現中部支社)社会部長、東京本社編集委員、運動部長を経て、2004年8月より読売巨人軍球団代表兼編成本部長。11年11月、専務取締役球団代表兼GM・編成本部長・オーナー代行を解任され、係争に。現在はノンフィクション作家として活動。著書『しんがり 山一證券 最後の12人』(講談社+α文庫)で2014年度講談社ノンフィクション賞受賞。近著に『石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの』(講談社)、主な著書に『プライベートバンカー カネ守りと新富裕層』(講談社)、『奪われざるもの SONY「リストラ部屋」で見た夢』(講談社+α文庫)など

「2017年 『空あかり 山一證券“しんがり”百人の言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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