ノボさん 小説 正岡子規と夏目漱石

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 310
レビュー : 54
  • Amazon.co.jp ・本 (410ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062186681

作品紹介・あらすじ

「ノボさん、ノボさん」「なんぞなもし」
明治二十年。新時代の躍動とともに、ノボさんこと正岡子規は二十歳を迎えた。アメリカ渡来のべーすぼーるに夢中の青年は、俳句・短歌・小説・随筆、あらゆる表現に魅入られ、やがて日本の文芸に多大な影響を及ぼす存在となる。
子規は常に人々に囲まれていた。友人、師、家族から愛され、子規もまた彼らを慕った。そしてこの年、東京大学予備門で運命的な出会いを果たす。同じく日本の文学の礎となる、金之助こと夏目漱石である。志をともにする子規と漱石は、人生を語り、夢を語り、恋を語った。明治三十五年、子規の余命が尽きるまで、誰もが憧れた二人の交際は続く。子規と漱石の友情を軸に、夢の中を走り続けた人、ノボさんの人生を描く。

小説家・伊集院静がデビュー前から温めていたのは、憧れの人、正岡子規の青春。野球と文芸に魅入られた若者の姿は、伊集院静の青春そのものだった。三十年にわたる作家生活の中で、ずっと憧れ、書きたかった。書かなければ、先には進めなかった。

『いねむり先生』から二年半、誰もが待ち望んだ青春小説の誕生!

感想・レビュー・書評

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  • 子規は夢の中を走り続けた人である。
    これほど人々に愛され、
    これほど人々を愛した人は他に類をみない。
    彼のこころの空はまことに気高く澄んでいた。
    子規は、今も私たち日本人の青空を疾走している。(本書より)

    ほのかな恋心を抱いた女性がいたこと、夏目漱石との友情など、子規が壮絶な病と対峙するゆえに、その辺りの描写が切なく心に沁みる。

  • 正岡子規。病気を抱え、短命でありながら俳句・短歌の世界で偉業を成し遂げた人。病床六尺などで病臥していたことばかりが印象にのこっていたが、発症前の生き生きした姿、摂生して生きることが性に合わないほどの好奇心。あと何年と余生を勘定しながら完全燃焼で行ききった子規の姿が鮮やかだ。
    野球に夢中のころ、漱石鴎外との出会いなど、新しい子規像を描き出した。
    おもしろかった。

  •  正岡子規の評伝は何かの折に読んだことがある。ここでは、学生時代に熱中したべーすぼーるに明け暮れるシーンにはじまる導入から死に臨んで青空と白球を思い浮かべる末期までの間の、驚くべき創作活動と熱中した俳句の体系化・評論から広い交友関係までが坦々とつづられる。改めてこうして読むと明治文壇の支柱たる天才であったことがよくわかり、早すぎる死がまことに惜しまれる。中でも主題となっている洒脱と謹厳の好対照のように思える漱石との交遊はほほえましいし、若き鴎外とも親交があったことは知らなかった。伊集院静という人は夏目雅子のダンナというくらいしか知らなかったが、なかなか達者な文章家であることを知った。

  • 正岡子規と云う、日本でコアなファンの多そうな、人気の高い人物を扱うと云う、作家冥利に尽きる以前にプレッシャーは無かったのだろうかと思い、実は然程期待せず手にしました。何より、著者自身が正岡子規贔屓と云う事、然れば逆に筆が走りすぎてファンタジーになったりしてやいまいか、「私家版子規」像が出来上がっていて、これまで自分が読んで、見て、想像に描いてきた子規像をぶち壊されたりしないかとか、若干の不安も抱いていました。

    が、その部分は流石名著作者、貫禄ある作品として収まっていました。随筆、日記、写真、又は同時代を生きた人たちの手記や評伝も多数有る為、非常によく勉強されて、それでいて非常に謙虚な文章が好感を持てました。
    小説と銘打ってはありますが、評伝に近い位とも思うほどでした。910.26寄りの913.6。

  • 正岡常規。幼名・升(のぼる)。なので、「ノボさん」。俳人で
    あり、歌人である正岡子規である。

    四国・松山から上京した子規と、東京生まれ東京育ちの夏目
    金之助(漱石)は、東京大学予備門で偶然の出会いを果たす。

    そうして、ふたりの文学者の付き合いは子規の命が尽きる
    まで続くのだが、子規が死の床にあった時、漱石はロンドン
    留学中だった。

    子規と漱石の書簡集が大好きななのでタイトル買いした作品
    なのだが、買った後で著者が伊集院静であることに気が付いた
    うっかり者である。

    「この人はいつまで亡くなった奥さん(女優・夏目雅子)をネタ
    にするんだろう」と思って、ずっと避けて来た作者だ。

    初の作品が本書なのだが、この人、こんなに文章が下手なの
    か?確かいろいろと文学賞を受賞していなかったっけ?

    「小説」と銘打っているのだけれど、所々評伝のようだし、
    小説ならばいささかの脚色があってもいいのだろうけれど
    それもない。

    子規と漱石の関係って興味深いものなんだけれど、全編
    これ、退屈である。最後まで文体が読み難かったのも影響
    しているのだろうけれど。

    坪内祐三『慶応三年生まれ七人の旋毛曲がり』や、関川
    夏央『子規 最後の八年』に遠く及ばない。

    あ~あ、大失敗だ。せkっかく副題に「正岡子規と夏目漱石」
    と付けたのだから、もうちょっとどうにかならなかったかね。

    ただ、子規が松山に帰省した時に憧れのノボさんに会った
    河東碧梧桐の描写は可愛らしかったけど。よかったのは
    そこだけだわぁ。

  • 正岡子規を中心に夏目漱石、そして子規に吸い寄せられるように集まってくる文学者たち。このように多くの文学者が子規と接点があったとは驚きであった。日本文学において子規の存在は大きかったことを知る。

  •  子規と漱石、2人の友情を軸に、正岡子規の人生を描いた小説。久しぶりに魂を揺さぶられ☆五つ。

     子規生誕地・子規が育った家の跡・八重と律住居跡(漱石が訪ねた家)・大原観山住居跡・子規さんの部屋を再現した子規堂・・と、市内には子規が生きた証がそこかしこにある。故郷の偉人「俳聖 正岡子規」の生涯について松山人ならあらかた知っている。文中に出てくる俳句も一度は目にしたことのある句ばかり。

     それでも。この本の中で子規さんは生身の人間として生き生きと躍動していた・・!それは、初めて読んだけれど伊集院静さんの筆によるんだろうなぁ。冒頭の銀座を歩く子規さんの描写に、一気に明治の世界に引き込まれた。まるでその場に一緒にいるかのよう・・匂いや光さえ感じるようで。

     小説ではあるけど、例えば7歳の子規さんが、祖父の大原観山のもとに通う件・・「塾に向かってくる初孫と甥っ子を観山が自ら塾の門前に立ち迎えた朝が度々あった」。郵便局前のあの道でそんな光景が繰り広げられていたんだ・・と思うと、いつもの道もまた違った道に見えてくる。

     驚いたというか、新しい発見をしたこともたくさんある。
     まず、病弱のイメージのある子規さんがそんなに野球が上手だったのには驚いた。
     「久方のアメリカ人のはじめにしベースボールは見れど飽かぬかも」この短歌は、もう体が動かなくなって人力車で、車夫に抱え上げられての外出の折に詠んだ歌だったことにも。
     辞世の句である糸瓜の三句・・それが、そんなに切ない場面で創作されたものだったことにも。
     脊椎カリエスとの闘いの日々の八重さんと律さんの献身的な看病は知っていたけれど、そんな八重さんが亡くなった子規さんに「さあ、もういっぺん痛いと言うておみ」と言った辺りではもう涙腺崩壊・・。

     『子規は朦朧とし始めた意識の中で、自分が何者であったのだろうかと、その答えを闇の中に探した』と文中にある。子規さんにぜひ知らせたい。
     あなたが命をかけて確立した俳句は、今、日々の生活の中に根付いていること。子どもたちは長期休暇になると宿題として俳句を作り、俳句甲子園なるものも生まれ、スポーツ俳句などさらに広がっていること。誕生日には、母校の子どもたちがノボさんの格好をして、お祝いをしていること。亡くなって100年以上たつ今も、あなたの残した足跡はしっかりと故郷で生きていることを。

     ・・・そんなこんなの読後の感慨にふけっている時に、ふと思い出して子どもたちの教科書を見てみたら。
    「ふるさと松山学」子規の俳句と人生にふれよう~のぼさんと学ぶ俳句とことば~という、松山市教育委員会が編集した二冊の冊子が目に付いた。いや、あるのは前々から知っていたけど、じっくりと読んだことはなかった。
     なんと、子規さんの人生や俳句はもちろん、ゆかりのある人々の説明、子規さんが学んだ論語、漢詩、漱石の坊っちゃん・・様々な分野の話しがまとめてある!ブラボー松山市教育委員会!!
     今年の夏休みの自由研究の課題は「正岡子規」でほぼ決まり・・と、母は密かに目論んでいる。 

     

  • イギリス留学に出発する漱石と病が進み寿命がつきようとしている子規。再び会うことはできないだろうと知っていた二人の別れの描写はぐっとくる。切ない。

  • 時は明治20年。新時代の躍動とともに、ノボさんこと正岡昇(子規)は20歳を迎えました。アメリカから渡来した「べーすぼーる」に夢中な正岡青年は、俳句・短歌・小説・随筆、文芸のあらゆる表現に魅入られ、やがて日本の文学に多大な影響を及ぼす存在になります。奇しくもこの年、同じく後に日本の文学の礎となる金之助こと夏目漱石と東京大学予備門で運命的な出会いを果たすことになります。志をともにする子規と漱石の交流は明治三十五年、子規が病で亡くなるまでまで続いていきます。
    子規と漱石、二人の友情を軸に、正岡子規の人生を描く青春小説です。

  • 初めて正岡子規の人生を読んだ
    この本を読むまでは、物静かな男の人だったんだろうと思っていたけれども、子規という男は温かいユニークな人だったのだなぁと感じた。
    最期の子規の話には、グッとくるものがあった

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著者プロフィール

1950年山口県防府市生まれ。72年立教大学文学部卒業。81年短編小説『皐月』でデビュー。91年『乳房』で第12回吉川英治文学新人賞、92年『受け月』で第107回直木賞、94年『機関車先生』で第7回柴田錬三郎賞、2002年『ごろごろ』で第36回吉川英治文学賞をそれぞれ受賞。作詞家として『ギンギラギンにさりげなく』『愚か者』『春の旅人』などを手がけている

「2017年 『さよならの力 大人の流儀7』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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