誘蛾灯 鳥取連続不審死事件

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 201
感想 : 23
  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062186735

作品紹介・あらすじ

2009年秋、当時35歳だった木嶋佳苗の周りで、多数の男性が不審死した事件が話題をさらっていた。やがて同時期、首都圏を舞台とした、この事件とは別の連続不審死事件が浮上してきた。現場は鳥取、主役は上田美由紀、スナックのホステスだった。
「一人の女の周囲で多数の男性が不審死していく」という、二つの事件には、驚くほど共通点があった。主役はどちらも30半ばの小柄な肥満体型の女性で、亡くなった男性たちと肉体関係を持ち、多額の金銭を貢がせていた。
しかし、一見、よく似た事件はまったく別の背景をもっていた。佳苗が、高級マンションに住み、外車を乗り回し、セレブ相手の料理教室に通って、婚活サイトを利用して男性を物色していたのに対し、美由紀は日本全国で最も人口の少ない都道府県である鳥取で多数の子ども抱え、自らが勤務する寂れた繁華街の小さなスナックでターゲットを探していたのだ。
筆者は、鳥取の町を歩き、事件の現場になったスナックに通い、裁判を傍聴する。美由紀に惚れ、貢ぎ、騙された男たちをみつけ、話を聞いていく。そして、拘置所にいる美由紀とも面会を重ねる。
その結果、華やかな臭いを纏う木嶋佳苗事件からは、決して見えてこない、地方特有の事件の景色が判明していく。日本の地方、田舎で何が起きているのか。事件の深層と地方の風景は切っても切り離せない関係にあった。
人口が減り、町が廃れ、そこで暮らす人々には仕事がなく、生活が立ちゆかなくなる。そこで生まれる犯罪。生活弱者が弱者を食い物にした。
ーー美由紀に騙されたのは、あなたかもしれない。

感想・レビュー・書評

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  • 日本の司法制度の脆弱を懇切丁寧に物語る構成に感嘆する。地元住民から陸の孤島と自嘲される鳥取県で次々と起きる不審死事件。計六人の男が死に至りそれぞれが一人の女性上田美由紀と関わりを持つ。男から金を毟り取る女は果たして殺人を犯したのか。決定的な証拠も自白もなく、別件の強盗や虚言を列挙することで裁判員に有罪へと誘導する検察、被告人質問で黙秘権を行使する美由紀。さらに黙秘=承服&逃避だという論法で糾弾するメディア。語らない被告人はどのような真実を抱え込んでいるのか。彼女が筆者に語る言葉の中に真実を見出すことの困難が社会の縮図となる顛末にうならせる。

  • 全国にこの誘蛾灯がどれくらいあるかを妄想する
    インタビューに応じたママさんは、そこいらいにいるデフォルトママ

  • 日本の裁判って、こんなにいい加減なのかと、初めて知った。到底、女一人でできる犯罪と思えないにも拘わらず、単独犯罪だと結論して、不思議に思わないこの、恐ろしさ。

  • フリージャーナリストが鳥取連続不審死事件を追う。警察の捜査や裁判の在り方、事件の真相を追うというよりは、なぜ刑事や新聞記者といった男性達があのような女性に惹かれ人生を狂わせたのか?というのが主題。同時期の埼玉の事件も同じような扱いでメディアに取り上げられていたが…そんなに謎か?殺人まで行ってしまうとアレだがそこまで行かなければ男女関係には多かれ少なかれありそうな話と言い切れないのがマスコミか。笑うセールスマンのある話を思い出したわ。

  • テレビのコメンテーターとしてよく見る青木理さんの作品を読んだことがなく、とっかかりの1冊として手に取った。「木嶋佳苗」と言うと、「ああ」とわかる人でも、ほぼ同時期に鳥取で同じような事件があったことを覚えている人は、私の周りには少ない。そこに斬り込んだ作品。
    書かれたのは2013年。死刑は2017年に確定している。この女性が、「息をするようにうそをつく」のだったとしても、ちょっと食い足りない気がする。

  •  
    ── 青木 理《誘蛾灯 鳥取連続不審死事件 20131112 講談社》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/406218673X
     
    http://ja.yourpedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E7%94%B0%E7%BE%8E%E7%94%B1%E7%B4%80
     鳥取不審死事件;2004-2009、6人の男性が相次いで変死。
    https://www.orangehoppe.com/tottori-renzokufushinshijiken-uedamiyuki-oitachi-kijimakanae/
     
    ♀上田 美由紀    死刑囚 197312‥ 鳥取 /20170727(43)最高裁死刑確定/20091028 逮捕 1102 実名報道
     □□ □ S  読売新聞記者 1962‥‥ 鳥取  20040513 42 /列車自殺
     □□ □□     警備員 1980‥‥ 鳥取  2007082. 27 /日本海で水死 0818 溺死
     □□ □□     警察官 1967‥‥ 鳥取  200802‥ 41 /山中で首吊自殺
     矢部 和実 トラック運転手 1962‥‥ 鳥取  20090411 47 /日本海で遺体発見
     円山 秀樹   電器工事業 1952‥‥ 鳥取  20091007 57 /摩尼川で遺体発見/睡眠導入剤が検出
     田口 和美      無職 1951‥‥ 鳥取  20091027 58 /アパートで変死
    ────────────────────────────────
     □□ □□ 元自動車販売員 1963‥‥ 鳥取 /20091028(46)逮捕/容疑者と同居、ともに詐欺窃盗容疑
     青木 理 Aoki, Osamu 作家 19661026 長野 /慶應義塾大学文学部卒
    http://ja.yourpedia.org/wiki/%E4%B8%8A%E7%94%B0%E7%BE%8E%E7%94%B1%E7%B4%80
     
    (20171122)
     

  •  鳥取という日本で一番小さな人口の少ない県の風景と、そこで起きたと目される事件。事件そのものというより、鳥取の社会と人の印象が深い。
     最初「えっ。なんでそうなったの?」と思うのだけれど、だんだんと、彼女に惹かれていく故人の心境が「ああ、そうなるかもしれない」と思えてくるから怖い。
     よく、確固たる信念を持て、と言われるけれど、バブル崩壊後は信念を持つのが辛い時代であり、地域性故か、余計に陰鬱で未来が見えない状況だ。その中で「自分」を手放して、彼女に振り回されたい……どうせ辛いなら、彼女のために、と思う気持ちがわかるような気もする。
     私は、ノンフィクションは事実を求めていない(書き手のフィルターを通すので、事実とも言い切れないと思うのだ。また事実なんてものも、立場によっては見方が異なる訳だし)。なので、書き手の心象が描かれているものに惹かれる傾向がある。そういった意味で非常に読みがいのあるノンフィクションであると思う。
     他の作品も読んでみたいと思うと共に、続編でないかなぁ。

  • 病気なんじゃないの・・・と
    美由紀に対して思った。。
    なんか、救いのない事件・・・。

  • なぜ妻子と別れてまで美由紀と付き合うのか、美由紀には金を毟り取られるだけなのに、という問いに対して、大田が言った
    「女なんて多かれ少なかれ、そんなとこ、あるやろ。あんたのカミさんかて、カネ、カネって言うやろが(笑)」
    という言葉にドキッとさせられた。
    自分とは接点のない女性だと思っていた美由紀が、ぐっと身近に感じられた瞬間だった。

    最後の著者と美由紀の面会のシーンは、読み手も美由紀に翻弄されてしまい、イライラするけど、もっと話が聞きたいような変な感じを味わった。
    弁護士ともこんな感じでやりとりしていたのかも…と想像したり。

    裁判のあり方や警察、検察側の問題に対する著者の考え方も散りばめられていて、興味深く読みました。

  • あー、いるいるこういう人って思った。人と話す時に優位に立とうと悪気なくウソをつく、ついてしまう。
    ちょっと説明的な文章のところ(鳥取の地形的な説明とか)、飛ばし読みしてしまった。地方のこの環境が影響していつのはわかるんですが…、スンマセン。

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著者プロフィール

1966年生まれ。著書『日本会議の正体』『安倍三代』『抵抗の拠点から』など多数。

「2021年 『情報隠蔽国家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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