にょろり旅・ザ・ファイナル 新種ウナギ発見へ、ロートル特殊部隊疾走す!

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 53
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (374ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062187114

作品紹介・あらすじ

人類が誰も見たことがなかったウナギの卵発見という生物科学史上に燦然と輝く偉業を成し遂げた東京大学大気海洋研究所の塚本勝巳教授。青山潤准教授は、そのスタッフの番頭格として、研究(探検?)の最前線で身体を張り続けてきた。彼が、世界中どの研究期間も成し得なかった「地球上に生息するウナギ全種(18種)採集」に挑戦&達成した、抱腹絶倒の記録『アフリカにょろり旅』は、発売直後から大きな話題を呼び、大手紙文化面のインタビュー、テレビの書評コーナーを総なめにして、講談社エッセイ賞を獲得。その続編ともいえる『うなドン』も重版を重ね、今年七月に文庫化。
そして、この『にょろり』シリーズの第三部は、青山氏が70年ぶりに19種目となるウナギの新種を発見した旅の記録で、文化人類学的にも非常に興味深い考察に満ちており、かつ腹筋がよじれるような面白さもパワーアップしています。
 ウナギの産卵地特定のため、赤道に近い太平洋上でウナギの仔魚を採集し、遺伝子解析を繰り返す東大海洋研のスタッフ。そのひとりが、地球上に存在するどのウナギとも遺伝子が合致しないものを発見する。通常、突然変異として片づけられてしまうケースだが、青山準教授は、新種発見のわずかな可能性に賭けて、弟分の渡邊俊、冒険好きの老年作家・阿井渉介と共に勇躍、フィリピンへ向かう。
三人は、ルソン、ミンダナオ、レイテ……、フィリピン国内を北へ南へ駆けずり回り、泥まみれになって、強烈な暑さと湿気に耐え、そして幾度となく空振りを繰り返す。
そして、三年の試行錯誤を繰り返した末、文明を隔絶された山の民が暮らす山深い小川で、恋いこがれた新種と遭遇する!

感想・レビュー・書評

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  • (No.14-7) ノンフィクションです。

    この本が出版されたのは昨年暮れですが、雑誌への初出は2011年5月~2012年2月。
    2007年から3年、3回に及んだフィリピンでの新種のウナギを発見する調査の様子です。

    そういえばいつだったか新種のウナギ発見!のニュースを見た記憶が・・・・。
    もうそんなに前になるんだと感慨深い。
    ニュースを見た私は「へ~っそうなんだ」と思った程度でしたが、その成果を得るためにこんなに大変だったんですね。

    私は「アフリカにょろり旅」「うなドン」を読んでいるので、会ったこともない青山さんに親近感があります。
    以前太平洋で塚本教授率いる調査隊の様子をレポートしたテレビ番組で、少しだけ青山さんが写っていて「この人なんだ!」と、とっても嬉しかったです。

    地球上に存在するウナギ全18種を採取した塚本チームが、なぜ今さら「にょろり旅」を再開したのか?
    それは・・・採取したウナギのレセプトファルス(つまりウナギの赤ちゃん)のなかに、今まで知られていない遺伝子をもつのがいたから!
    もう70年も新種のウナギは見つかっていなかったのに、本当に新種はいるのか?今後のことを考えても、なんとしても親ウナギを見つけなければ。
    各種情報を検討の結果、親ウナギが生息するのはフィリピンの可能性が高いと推測。にょろり旅が始まったのです。

    以前の旅と同じようでいて、でも違うことが多い。青山さんたちはそれぞれ年齢を重ねているし、世界的に動植物の採取への権利意識が高まり、前みたいに行き当たりばったり的なことが出来なくなっている。
    経験で補えること、逆に困難になっていること、そしてよくもまあそんなことをやるなあというお馴染みのびっくりさ加減が満載。

    読んでいて何となく感傷的になってしまうところもありました。もうこんな無茶をやる人達はこれからいないんじゃないか?なんて思ったら、あらら跡継ぎになりそうな学生さんもいるのね!

    ものすごい経験を、楽しく読ませていただきました。ありがとう青山さん。

  • 東大のえらいセンセーなのに、相変わらずの楽しい(厳しい?)抱腹絶倒現場リポートでした。
    もうこうなったら、足腰立たなくなっても杖突いてでもにょろり旅をつづけてほしい。

  • にょろり旅もとうとうファイナルだそうだ。血気盛んな(盛んすぎ?)若手研究者だった著者も、今や東大教授。本書でも、学内の雑務に追われ、後先考えず体を張った研究に没頭するわけにはいかなくなったことを嘆くくだりがある。まったく、にょろり旅の素晴らしさは、誰も知らないことを知りたい!というシンプルな姿勢と、それを実行していくむやみやたらなパワーにあったわけで。楽しくシリーズを読んできた身には感慨深いものがある。

    どこへ行こうが「うなぎ!うなぎ!」と叫びまくって、あれこれとんでもない目に遭いつつも、結局は目的を達してきた著者だが、新種うなぎを探して、久しぶりに乗り込んだフィリピンではどうもうまくいかない。これはもしや自分たちがトシをとったせいじゃないか、以前の旅では若かったから現地の人たちもさほど警戒せずに心を開いてくれたんじゃないか、と思い至るところが、うむむ、切ないなあ。ほんと、若いということはいろんな扉を開ける鍵を持っているようなものだよねえ。そのありがたみも、なくしてはじめて知るものの一つだろう。

    とは言うものの、著者は最後には大逆転で新種うなぎをゲットするのだが、その生息地である未開部族の居住地への旅がすさまじい。みなさんよくぞ無事に帰ってこられたものだなあと、半ば呆れてしまう。特に、おなじみ俊さん!結婚して子供さんも生まれたばかりだったというのに、こんな無茶したらダメじゃないですか!でもまあ、それでもいっちゃうところが「うなぎバカ」たる所以なのだけど。

    基礎的な研究にお金が出ないということを、ここのところよく聞く。わたしの娘は、比較的実用性のある有機化学系の研究者の卵なのだが、この分野でもその傾向は著しく、とにかく何かの役に立つという理由を無理矢理にでも付けないと、全然予算が下りないのだそうだ。「実用」からほど遠いところにある研究の現状はどうなっているのだろう。青色LEDでノーベル賞というニュースの時(これ自体はまことにメデタイ事であるが)、「役に立つ、役に立つ」という大合唱だったが、うーん、そりゃそうだけど…と割り切れない気持ちになったものだ。

    しかしまあ、こういう状況下でもやはり、著者と同じような志を持つ若者はいるのだ。最後のトンデモ旅に同行する学生君の存在が「ロートル部隊」のなかで輝いている。案外、にょろり旅もまだまだファイナルにはならないのかもしれない。そう思わせてくれるラストだった。

    • diver0620さん
      たまもひさん、いつも書評楽しく拝見させていただいてます。

      コメントありがとうございます。コメントに応答できないところが、ブクログのつま...
      たまもひさん、いつも書評楽しく拝見させていただいてます。

      コメントありがとうございます。コメントに応答できないところが、ブクログのつまらないところだと思うのです・・・

      これからもグッとくる書評お願いします!楽しみにしてます。
      2015/02/09
  • 【館長の本棚】 常吉図書館長著作

    【所在・貸出状況を見る】
    http://sistlb.sist.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&materialid=11700238

  • アフリカにょろり旅の衝撃やおもしろさはないものの、十分楽しめました。

  • 今回も、すさまじい調査旅です。
    すごいです。
    「研究者」という肩書きとは結びつかない調査方法。
    著者のような生きざま。憧れます。

  • ばたばたと斜め読み、いや面白かった、人間、運というものはこんな風に使うんだと、ネグリートの人と会う度直観してるでもって新種の発見!! ネグリートの人たちが恐れられ守られてきたものが、うなぎも含め守られればと深く思います。うなぎ高くていいんじゃん。  ただ手の平ほどのゴキブリをどうして素手でもてるんでしょう?凄い人過ぎる。

  • ○東大で“うなぎ”の調査研究を行う青山氏の作品。シリーズ3作目。
    ○東大塚本チームが、フィリピンで新種のうなぎを発見するまでのドタバタ劇を描いた作品。
    ○シリーズ前2作同様、状況説明が緻密で、その臨場感などがヒシヒシと伝わってくる。ものすごくおもしろい。
    ○”うなぎ”については、これで終わりだと思うが、できれば、他の研究についても、このようにおもしろおかしく紹介して欲しい。

  • 小説ならいざしらず、ドキュメンタリーでは珍しい、劇的なエンディングを迎える「にょろり旅」3部作。結果を知らず、登場人物と同じ思いで3部作を読み継いできたぼくには感慨深い。結果が出たからエライわけではない、とは思いながら、まずは拍手を。
    何かの役に立つのか、と問われれば、ビジネスを生み出すわけでもなく、人助けになるわけでもない。これといって役には立ちません、と答えるしかない研究なのだろうと思う。興味のない人にとっては、どうでもいい話なのだろうとも思う。
    でももし、役に立つものしか存在を許されない世界があるとしたら、そんな世界には死んでも住みたくない。

  • 今の色んな偽装騒動に「ああ、国って肝心な所で肝心な金出してないんだなあ」と思う。特にこういう「結果が見えない生物学」分野。
    論文、何事も論文。まず其処から。昔ながらの探検隊スタイルが発展と共に廃れてしまうのは物悲しい。

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著者プロフィール

海洋生命科学者、東京大学教授
1967年、横浜市生まれ。大学卒業後、ボリビアで己の無力を思い知り、再び学問の道へ。以降、ウナギ研究の最前線で奮戦するとともに、エッセイでも評価を得る。

「2014年 『「学問」はこんなにおもしろい! 憲法・経済・商い・ウナギ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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