夜明けのラジオ

  • 講談社 (2014年1月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (282ページ) / ISBN・EAN: 9784062187459

作品紹介・あらすじ

食べることへのこだわり、日々の雑事、ご近所の人たちの楽しい観察、震災に対する想い……。
エッセイの名手が贈る珠玉のエッセイ集。

みんなの感想まとめ

日常の中に潜む小さな幸せを丁寧に描いたエッセイ集は、読者に穏やかな時間を提供します。著者は、食や家族、周囲の人々との関わりを通じて、日々の暮らしの中にあるささやかな喜びを見つけ出します。その文章は柔ら...

感想・レビュー・書評

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  • 日常の慌ただしさから離れて、夜中にひとり聞くFMラジオ放送が好きです。中でもFM東京のジェットトリーム、NHKFMのラジオ深夜便は、読書と一緒に夜更かしの友。

    「夜明けのラジオ」の標題とレビューに誘われ手に取った石田さんの本。中身はやわらかで静かなエッセイでした。強く主張することもなく、家族から友人まで周囲の人たちとの日々の暮らし。さまざまな食材で作られる一人暮らしのつましい料理。石田さんの穏やかなまざしと、静かに流れるような文章が、じんわりと伝わってきます。

    一日の終わり、だれにもじゃまされず、一人静かに考え事の時間、あれやこれやと思いはとりとめもなくめぐる。夜も更けて静かにゆっくりと味わっていくと、いつのまにか窓の外は薄明となり、鳥たちも朝の挨拶を交わし始める。そんな雰囲気のエッセイでした。

    それにしても、美味しそうなビール、お酒と料理の表現に、思わずゴクリとのどがなります。石田さんは相当の酒豪なのですね。

  • はぁ~、とうとう読み終わってしまった。
    夏ごろから、ちびちびと少しずつ読んでいたのに。

    石田千さんのエッセイを読んでいつも思うことは、
    どうしたらこんな小さな変化に気づける優しい目を持てるのかということ。

    柔らかくて、やさしく響くひらがなが好き。
    目で読んでいるだけなのに、
    「音」や「匂い」や「温度」までもが伝わってくる感じがして…。

    こんなふうにありふれた日常の小さな幸せを見つけて、
    大切にできる女性になりたいと思うのです。
    いまさらですが…(笑)。

    それでもね、
    初めて白玉を作ったときのエピソードや、
    (あのどんどん浮き上がってくる白玉にオタオタしちゃう感じ)
    旅先の”名所”より、”道端の猫ちゃん♪”だったりするところとか…
    ほんの少しだけ石田さんに似ている自分をみつけて喜んだりしてね。

    特に#毛糸の季節が好き。
    掃除機が嫌いな猫ちゃんとか、
    ”ストーブで尻をあぶりつつ、猫をつかまえ、腹を温める”石田さん(笑)

    ”こたつのなかの猫はまるくなってはいなかった。
    おまえのからだは、じつはそんなに長かったのかと驚くほど、対角線に伸びていた。”
    ふふっ。
    この描写がかわいくて、何度も繰り返し読んでしまいました。

    • 杜のうさこさん
      hongoh-遊民さん、こんばんは~♪
      コメントありがとうございます!

      私のこの偏った感想を、そんな風に言っていただけて、なんだか申...
      hongoh-遊民さん、こんばんは~♪
      コメントありがとうございます!

      私のこの偏った感想を、そんな風に言っていただけて、なんだか申し訳ないです。
      でも、嬉しいです。ありがとうございます。

      私、以前はエッセイをあまり読まなかったんです。
      これもブクログのおかげで出会えた一冊です。
      読みだすとキリがなくなってしまうので、
      枕元には短編かエッセイがいいですよね♪

      この間、本棚でお見かけした高峰秀子氏のエッセイが気になっています。
      本も書かれる方だったんですね。
      いつか読んでみたいです。
      2016/03/03
    • honno-遊民さん
      杜のうさこさんのレビューがきっかけで遂に読みました。本当に素敵なエッセイ集ですね。読んでいる間は、ゆったりとした時間が流れているようで、豊か...
      杜のうさこさんのレビューがきっかけで遂に読みました。本当に素敵なエッセイ集ですね。読んでいる間は、ゆったりとした時間が流れているようで、豊かな気持ちになり、これぞ読書の醍醐味ですね。
      2016/05/27
    • 杜のうさこさん
      hongoh-遊民さん、こんばんは~♪

      私のレビューがきっかけだなんて、
      そんな嬉しいことってありません!
      ありがとうございます!...
      hongoh-遊民さん、こんばんは~♪

      私のレビューがきっかけだなんて、
      そんな嬉しいことってありません!
      ありがとうございます!

      そうなんですよね~。
      ゆったりと穏やかな時間が流れて、かと思うとくすっと笑わせてくれたりして。
      あと、ひらがなの使い方も素敵ですよね。

      実は、昨日の夜、また読みたくなって本棚からひっぱり出しました。
      こういう素敵な交流をさせていただけること、
      本が好きで良かったと心から思える瞬間です。
      また、おススメの本があったらご紹介ください。
      楽しみにしています!
      2016/05/28
  • 読み始めてすぐ、ゆったりした時間が流れてくる。

    独特の読点のリズム。
    やさしいひらがなに、包まれた。

    あ、『さみちゃん』にまた会えた。
    『きなりの雲』の主人公に似ている
    石田千さんが過ごされる、丁寧な時間たちのエッセイ。

    なぜこんなにじんわりするのか。
    私の本来のリズムと近いからなんだと思います。

    ゆっくりって、マイナスイメージに捉えがちですけど
    時間をかけている分だけ濃い
    自分だけの贅沢な学びがあるんですね。

    苦手なものを克服できたり、
    いろんなことを知ることができたり。

    短い文章たちに、キレイに心を整理され
    少し気持ちがリセットできました。

    …たまにブラック千さんがでてくるのも、いいんです。
    アクティブで趣味が多彩なのも驚きでした。

    エッセイというよりも、私にとっては
    生活の指南書になる一冊です。

    素敵な考え方ができる人ですね。
    私もこんなひとになりたい…。

  • 静寂が
    彼女(と、読者)の為に居場所を整えてくれているかの様に感じた。

    白地の中から
    浮き上がってくる何気ない出来事の
    ひとつひとつ、を、
    面白そうに摘み取っては
    丁寧に頁の間に挟む。

    すると、
    いい頃合に
    いい色合いが滲み出でてくる。

    まだ夜明け前の
    薄青い空気で描いた空、の様なエッセイで、
    家族がみな出掛けた後、
    ぽつん、とひとり静かに遊ぶ。

    そんな時間がすごく好きだった。

  • 大切に少しずつ読みたい作品。

    季節を感じながら、背伸びせず、自分にできる範囲で居心地の良い生活を過ごされているように感じた。
    ただの日常を綴っているだけなのに、ゆったりとした清潔な感じが伝わってきて、居心地が良かった。

  • 初読の作家さん。
    ブグログの方のレビューを拝見して手に取る。

    この人の手にかかると日常の何でもない出来事が
    小説1冊分くらいの広がりを見せる。
    何でだろう。
    どうしてこんなふうに言葉を紡ぐ事ができるんだろう。
    炊きたてのご飯とお味噌汁が
    しみじみと
    本当にしみじみと
    おいしいなぁと感じる感覚に似ている。

    講談社
    2014年
    装幀:南伸坊

  • 名手。

  • ここにはゆったりと流れている時間があり、読んでいて豊かな気持ちになる。
    淡々と綴られている言葉の一つ一つに、日常の何気ない出来事を大切に思う著者の優しさがあふれ、読み終えてしまうのが惜しい、そんな気持ちにさせてくれる貴重な本の一冊。

    • 杜のうさこさん
      hongoh-遊民さん、こんばんは~♪

      読まれたんですね!
      そうなんですよね~。
      読み終わってなんとなく淋しくなるような、
      そん...
      hongoh-遊民さん、こんばんは~♪

      読まれたんですね!
      そうなんですよね~。
      読み終わってなんとなく淋しくなるような、
      そんなおだやかで優しい時間でした。

      日々のささやかなことに目を止めて、幸せを見いだせる石田さん。
      憧れます。
      毎日、バタバタと暮す私には、なかなか難しいです。(笑)
      2016/05/27
    • honno-遊民さん
      杜のうさこさん!この本を読むきっかけは何を隠そう、杜のうさこさんのレビューを読んだからです。素敵な本を紹介してくれて、ありがとう。
      杜のうさこさん!この本を読むきっかけは何を隠そう、杜のうさこさんのレビューを読んだからです。素敵な本を紹介してくれて、ありがとう。
      2016/05/27
  • 石田千さんのエッセイを初めて読みました。
    タイトルも内容もとてもよかったです。
    食べ物に関するエッセイが多いのも好感度が持てました。
    文章は柔らかく、かつ心に響くものがあります。
    こんな素敵な四十路になりたいものです。

  • 一日のおわりに、何より楽しみな一杯のビール・・・というところだけは私とちがうのだけれど、一人で淡々と生活を積み上げていく様子が描かれています。そのなかで、病気や、故郷のひとたちのこと。そうか、このひとは東北の生まれだったのね。故郷があるって、いいなぁ。頑なところがあるのも、東北人だった私の父を思い出しました。
    私は食べ物を、料理して食べる、という描写を読むのが好きなのだと、この本でようやくわかりました。
    ひらがなの使い方が柔らかな文章を醸していて、心地よく読めました。

  • 趣味は読書です、とか本が好きで、とか、おおっぴらに言うのもなんか恥ずかしいなあとつねづね思ってはいるのだけど、やっぱりこんなふうに読んでる時間があまりにしあわせで満ち足りた気持ちになる本に出会うと、誰かに言わずにはいられない気持ちになる。
    本を読むって、やっぱりたのしい。読んで思いをめぐらせている時間もたのしい。
    ついでに、早春賦の音源を探して聴いてみたり、あしたは台所に立って、あれをつくってみようと思ったり。
    子どもの頃の話がすごーくいい。いいなあ。自分はなんか冷めててつまらない子どもだったなあと思い返したりして。おばあさんの話にはしみじみ。「早起きのほうび」でなぜだか涙ぐんだり。
    もうすぐ終わっちゃうのがさみしい。そしたら、好きなあれとあれとあれをまた読み直そう。
    そうやって、今まで出会った好きなものを、本棚に並べていって眺めるしあわせ。やっぱり、趣味は読書です。

  • +++
    日が昇ればひと仕事。日が傾けば飲みに出かける。ひとり分の食事を作り、本を愛し、旅を楽しむ。かざらない暮らしの風景を切り取った最新エッセイ集。
    +++

    いつもと変わらず、さっぱりとシンプルで自由な日々が好ましい。あり合わせで作るおかずも、たっぷりと作り置きする汁物も、飲みに出かけた先で食べるあれこれも、どれもみな取り立てて贅沢なものではないが美味しそうである。語り口もいつも通りなのだが、いつもよりも視線が前に向いて晴れ晴れした印象が感じられるのはわたしの気のせいだろうか。気力が静かにみなぎっているように思われてうれしい一冊である。

  • 題名に惹かれて手に取った。  何故か集中できず、しかしながら読み終えた。独特なリズムと観察眼。特段に詳しくは書いてないのだけれど、丁寧な生活感とお酒好きなのが感じられた。

  • 言葉と言葉のリズムが目に頭に胸に心地よい。
    ゆったりと清らかで潔い。
    きっと私は行き当たりばったりの激しく汚いネット上の言葉たちに疲れたのだ。
    自分の中に入れたいのはこんな作文。
    出会えてうれしい。

  • 日々のあれこれが綴ってありますが、全体的に温度感が低めで淡々としてます。
    句読点が細かくついている事でゆったりとしたリズムになっていて、文も丁寧なので真面目でしっかりした印象になってます。

  • 初めて石田千さんの作品を読みました。読み終わるのがもったいない気がして少しずつ大切に読みました。日々の何気ないことが書かれているのに胸に染み込みます。そして美味しいものが食べたくなりました^^

  • 読後の感想を一言で言うならば、
    なんだかとても癒されるエッセイでした。
    ご紹介してくださった、こたろうさん、ありがとうございます。

    子供の頃に食べた綿あめのように、
    読み始めると、すっと甘くてやさしい言葉が
    頭の中に溶け込み、癒されました。

    やっぱり食事のシーンが印象深いです。
    なんでもない調理の行動ひとつでも
    まるでテレビドラマを見ているかのように、
    事細かく描かれていて、
    ザックザックと野菜を刻む包丁の音まで聞こえてきそうでした。

    夜明けに聞くラジオ・・・なつかしく感じます。
    固定電話の切り方も知らない子供がいる時代ですから、
    ラジオも忘れられた機器なのでしょうか。
    いやいやその前に、
    ラジオが何をするものか、知っている子すら少ないかもしれません。

    このエッセイに描かれているささいな日常生活の中の幸せを
    素直に感じ取れる子もだんだんといなくなるのかもしれません。

    作者の感性に共感し、
    これからも、これは大切にしていきたいものだと思いました。

  • 2015/06/04 読了

  • 『そうしてこんどは、なぜだかほめられたりもして、小天狗の鼻が高くなる。そうしてついに、お天道さまにこらしめられる』ー『嘘神さま』

    大部のピンチョンと一月余り格闘し半ばで諦め、毒々しいソローキンと付き合って痺れた後であったせいだろうか。いつもならすっと寄り添ってゆける柔らかな日本語に、頭の中身が中々反応しない。意識がふらふらと定まらす、解きかけの問いに対する道筋をいつの間にか辿っていたり、ぼんやりと将来のことを気に病んでみたりと、いっこうに落ち着く気配がない。

    それはある意味で本のタイトル通り。石田千の語りは、誰も聞いていないようで皆が聞き耳を立てている明け方の、小さな箱からこぼれる声。ああ、と思えば思う程に意識は声から離れ勝手な思いに逸れてゆく。それでなくとも意識は夜と昼の淡いの居場所を失いかねない時間を持て余す。心地好い弛緩に身体は支配され、意識もついその逸脱に付いて行きそうになる。

    他人の気配が、石田千のエッセイではとても薄いことも、意識が漂いがちな理由の一つとしてはある。もちろん他人のエピソードも語られるのだが、そこに重ねられる著者の思いの重さに気を取られる。一方通行の思いの流れは、真正面から受け止めるより、少し脇に逸れて眺めていたい。脇に逸れれば、余所見をしがち。ついでの余所見が本見となる。

    けれども不思議と拒絶したくなる気になることはない。淡々と語られる著者の日常を、いつの間にか引き寄せて、自分自身の身の上にあれこれ重ねて思い悩んで、しかる後に呑気に笑い飛ばす。それは暖簾をくぐった店の中の雰囲気が容易に浮かぶ石田千の語りのお陰。心配の種は重ねる酒盃の中で輪郭を失い、そもそもはっきりとした形なぞなかったのだと思わせる。火照った頬を追い水のグラスで冷やせば心地好い。ただそれだけで、人生は随分と身軽なもののように思えて来る。

    夕暮れの人寂しさは、誰の胸の内にもある郷愁。人恋しくて見知った街が初めての場所のように見えてしまう。そうしてつい街角を曲がりたくなる、迷子の迷い道。

  • 2015.03.29

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著者プロフィール

石田千(いしだ・せん)
福島県生まれ、東京都育ち。國學院大學文学部卒業。2001年、『大踏切書店のこと』で第1回古本小説大賞を受賞。「あめりかむら」、「きなりの雲」、「家へ」の各作品で、芥川賞候補。16年、『家へ』(講談社)にて第3回鉄犬ヘテロトピア文学賞受賞。16年より東海大学文学部文芸創作学科教授。著書に『月と菓子パン』(新潮文庫)、『唄めぐり』(新潮社)、『ヲトメノイノリ』(筑摩書房)、『屋上がえり』(ちくま文庫)、『バスを待って』(小学館文庫)、『夜明けのラジオ』(講談社)、『からだとはなす、ことばとおどる』(白水社)、『窓辺のこと』(港の人)他多数があり、牧野伊三夫氏との共著に『月金帳』(港の人)がある。

「2022年 『箸もてば』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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