今上天皇 つくらざる尊厳 級友が綴る明仁親王

著者 :
  • 講談社
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感想 : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062187473

作品紹介・あらすじ

著者は、司馬遼太郎が『坂の上の雲』で活写した明石元二郎の孫であり、幼稚園から75年、皇太子時代にはその涙と笑いを、天皇になってからは美智子皇后との覚悟と誓いをおそばでつぶさに見つづけた。
戦時下、学習院初等科の5~6年には疎開のため沼津・日光へ。中等科では、アメリカからやってきたヴァイニング夫人のもと英語の授業を受ける。高等科の3年間は馬術部で同じ釜の飯を。そして、大学は別の道をあゆむことになるが、その時も皇太子の教育参与だった小泉信三博士を共に師と仰ぐ。天皇のプライベートまでを知る数少ない級友の一人である。
興味をひかれるエピソードの数々。たとえば、終戦間際の皇太子擁立秘密計画。昭和天皇・香淳皇后と暮らした水入らずの3日間。学習院の先輩・三島由紀夫への思い。美智子皇后との皇室改革

感想・レビュー・書評

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  • 先日、報道写真展を訪れた安倍晋三は今年はどんな年だった
    かと聞かれ、「実り多い年だった」と答えていた。

    本日、12日23日は天皇誕生日。一般参賀での天皇陛下の
    お言葉では「様々な自然災害が日本を襲い、決して安泰
    であったとはいえない1年が過ぎようとしています」と
    今年を振り替えられた。

    そもそも比較すること自体が不敬だとは思うが、安倍の
    発言とのこの違い。安倍の「実り多い1年」は自分だけの
    ことだよね。国民のことなんかな~んも考えていない。

    「国民と共に」の陛下だからこそのお言葉なのだろうが、
    折々のご公務で拝見する両陛下のお姿には心から国民の
    生活を思うお気持ちが伝わって来る。

    あ…私は決して右寄りの人間ではありません。ただの皇室
    ウォッチャーです。

    今上天皇。明仁親王の学習院高等科までの同級生が本書の
    著者である明石氏である。明石氏自身の子供の頃は勿論、
    級友として接した今上陛下のお姿を綴ったのが本書だ。

    大戦中の疎開の様子、戦後の皇太子殿下としてのご生活、
    また学習院の馬術部での活躍など、級友ならではの
    エピソードが盛りだくさん。

    現在の今上天皇のお人柄は生まれ持った資質もあるのだろう
    が、やはりヴァイニング夫人と小泉信三氏の影響が大きい
    のだろう。

    この小泉信三氏にまつわるエピソードが感慨深い。小泉氏の
    随想に戦時下、奥様の誕生日の為に花を買いに行く話がある。
    小泉氏が急死した後の奥様の誕生日。小泉氏が送ったのと
    同じ花束が届けられた。

    送り主は当時、皇太子妃だった皇后陛下。今上天皇とご
    相談の上で送られたのだろうと明石氏は説明している。

    やられましたわ。じんわりと心に迫ったもの。人を想い
    遣るお気持ちとは、こういう気遣いなのかもしれない。

    尚、本書では所々に明石氏の苦言が記されている。特に
    印象深いのは皇太子時代、ご公務の為の出席日数不足
    から学習院大学中退を余儀なくされたことに対する
    明石氏の静かな怒りだ。

    自信を公平に扱ってくれることを望んだ今上天皇の
    こだわりが随所にあり、陛下のプライベートのお顔
    を知ることの出来る良書だ。

    尚、今上天皇の馬術の腕は相当のもののよう。しかし、
    即位後にはお好きであった乗馬はお止めになられたとか。
    そういえば、皇太子時代のご一家の乗馬姿の写真を
    見たことがあったな。

  • 今上天皇とともに学び、交流を続けてきた方による本。

    描かれる世界が、やっぱり「ハイソな世界」だな、という印象。戦中から戦後にかけての苦しい時代のことも書かれているが、それでもやっぱり恵まれた、育ちのいい人々の世界かな、と思う。


    親しい友人、チームメイト(馬術やポロ)として、長年今上天皇のそばにいたひとだから書けるような話も色々とあり、そこはおもしろい。

  • 天皇陛下の幼稚園からの同級生で、その後も馬術を通じて長く親しい交流があった人の回想録。
    冒頭に明記されているとおり、あくまでも「著者自身の」回想録であり、(陛下とは異なる)大学に進んでからや、就職後の話もかなりある。ただその節度ある執筆姿勢や、そうでありながらおのずと交じり込んでくる陛下とのエピソードに、かえって交誼の深さがしのばれた。古き良き上流社会の雰囲気を窺い見るには最適の書かと思われる。筆運びはあくまでも素人のそれだが、そのとりとめのなさも味になっている。
    皇族方の「ご学友」だの「お友達」だのいった人たちの記事は多いが、この方はややこしい利害だのしがらみだのを超越した、本当の「遊び友達」なのだと思われる。大上段に構えた「歴史の秘話」や「私だけが存知あげる陛下」といったものはないが、これこそ真の紳士にのみ許されるポジションと言うべきだろう。読後ほんのり心が温かくなる良書である。

    2014/2/13読了

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著者プロフィール

昭和9年、東京生まれ。女子学習院幼稚園時代から明仁親王の遊び相手となり、学習院初等科、中等科で同窓。高等科馬術部ではチームメートとなる。慶應義塾大学卒業後、プリンス自動車工業(のちに日産自動車と合併)入社。著書に『今上天皇 つくらざる尊厳 級友が綴る明仁親王』(講談社)などがある。


「2018年 『天皇交代 平成皇室8つの秘話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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