日本橋本石町やさぐれ長屋

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 178
感想 : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062188098

作品紹介・あらすじ

日本橋本石町に弥三郎店と呼ばれる長屋があった。事情を抱えた住人ばかりが住んでいて――。

「時の鐘」真面目一徹、そろそろ嫁をと周囲から勧められる鉄五郎。そんな鉄五郎に気になる相手が現れたのだが、若くして出戻ったおやすという莨屋の女だった。

「みそはぎ」おすぎは、老いた母親の面倒をみている。ある日、勤め先の井筒屋に見慣れぬ男が来るようになった。

「青物茹でて、お魚焼いて」おときの旦那は錺職人。次第に泊まり込みの日数が長くなり、しまいにはひと月にもなった。

「嫁が君」おやすはずっと旦那が家にいるおひさのことが羨ましい。ある日、この旦那が寄せ場からきた人物だと噂になる。

「葺屋町の旦那」おすがのかつての奉公先の倅が、弥三郎店にやってきた。どうやらこの倅、わけありのようで。

「店立て騒動」弥三郎店が店立てに?! 住人は緊急事態にてんやわんやの大騒ぎ。どうにかこの事態をとめられないか。長屋の住人が一致団結して行ったことは。

感想・レビュー・書評

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  • 読んでみたら既読だったが、遠い昔のことなので新しい気持ちで読めた。

    長屋の店子たちのあれこれ。
    融通の利かない鉄五郎と出戻り娘のおやす。初対面の印象はあまり良くないのだが、そこから次第に相手が気になってきて…という、まるで恋愛マンガのような展開。

    母親の介護で自分の生活すらままならないおすぎ。同じように老いた母親と共に暮らす喜助は何故かおすぎに言い寄ってくる。
    現代にも通じる介護問題にストーカー事件を混ぜたようなハラハラする展開。

    余所の女の素へ転がり込んだきり帰って来ない夫に腹を立て、こうなりゃ自分もと折しも言い寄って来た男と新たな人生を楽しもうとしたおとき。
    これまた現代にもありそうな虐待事件に繋がりそうな展開。

    など、様々な人生ドラマや人間関係を描いた六編。
    先に書いたように緊張感ある話もあるが、結果的にはホッとするので安心して読める。
    近すぎる長屋の住人たちとの関係は時に煩わしく厭になることもあるが、いざという時はやはりありがたい。
    第四話のネズミが出た話では私もおやす同様ゾッとした。罠に掛けたところでそのネズミを始末するなんて恐ろしくて出来ない。

    どんな噂があろうが実際に付き合ってみなければその人のことなど分からない。逆にどんな人でも魔が差すことはある。やり方を間違えてとんでもないことになることもある。
    それでも日頃の付き合いがあれば助けてくれる。おせっかいでもありがたい。まさしく遠くの親戚より近くの他人。

    最終話の長屋取り壊しの噂のオチは意外だった。しかし大団円。宇江佐さんらしいスパイスもありながら、楽しく読めた。

  • 2015/04/06
    面白かった。
    いつもですが、世の中を...というか、1番普段の普通の生活というかをよく表してるなぁと思う。
    身に覚えがあったり年をとるにつけて発生する問題だったり。
    あと、表紙がよい。

  • 弥三郎店に住まうそれぞれの家族のお話。
    ちょっとほろっとしたり、危なっかしかったり、
    胸キュンしたりの安心な宇江佐ワールドでした。

  • そのうちNHKでドラマ化されそうですな。
    安定の面白さ。

  • 市井を切り取り、これほど濃密に書くことのできる作家さんをほかに知らない。多くの人がそうであるように、先生の新刊が読めないことが悲しい。

  • 日本橋本石町にある、通称”やさぐれ長屋”には、
    様々な事情を抱えた住人が集まっている。
    一本気な職人、早々に出戻った若い娘…。
    お互い、お節介をやきながらも助け合う
    長屋の人々の毎日を描く。

  • 弥三郎長屋、通称「やさぐれ長屋」に住まう人々の貧しくも人間味あふれた温かい生活を描く人情市井短編集。宇江佐さんの本領発揮、一番得意な土俵で堂々の横綱相撲を読ませてくれる。

    基本的に善人しかいないこの長屋、ちょっとしたつまづきや行き違いややりすぎでゴタゴタすることはあっても、日々の生活を一生懸命に良くなるようにと生きる姿勢が美しい。

    今となっては、こんな密接なご近所関係は遠い夢。何しろ家族ですら個人主義な世の中、それが悪いことではないのだが。ちょっと人恋しさを感じた時や孤独に疲れた時に読んでみるといい。懐に掌を入れたような優しい温かさが癒してくれると思うよ。

  • 弥三郎長屋、通称やさぐれ長屋の住人たちにおきる様々な出来事を描いた連作短編集。付かず離れずの距離感で付き合う人々かちょっと羨ましいかな。
    作者らしいいい人過ぎない描き方が心地よい。

  • 「やさぐれ長屋」とあだ名される長屋が舞台の短編連作。現代にも通じる人生の悩み…最後は希望が持てる明るい終わりで爽やかな読了感。

  • 「みそはぎ」は泣けた。母親の本能の愛。

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著者プロフィール

1949年函館市生まれ。函館大谷女子短大卒業。95年「幻の声」でオール讀物新人賞を受賞しデビュー。2000年『深川恋物語』で吉川英治文学新人賞、01年『余寒の雪』で中山義秀文学賞を受賞。人情味豊かな時代小説を得意とし、著書は「髪結い伊三次捕物余話」シリーズなど、多数。2015年11月、惜しまれつつ、没。

「2021年 『いのちを守る 医療時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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