そして、星の輝く夜がくる

著者 :
  • 講談社
3.81
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本棚登録 : 624
レビュー : 88
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062188128

作品紹介・あらすじ

2011年3月11日、東日本大震災。地震・津波による死者・行方不明者は2万人近くのぼった。
2011年5月、被災地にある遠間第一小学校に、応援教師として神戸から小野寺徹平が赴任した。小野寺自身も阪神淡路大震災での被災経験があった。
東北の子供には耳慣れない関西弁で話す小野寺。生徒たちとの交流の中で、被災地の抱える問題、現実と向かい合っていく。被災地の現実、日本のエネルギー問題、政治的な混乱。小学校を舞台に震災が浮き上がらせた日本の問題点。その混乱から未来へと向かっていく希望を描いた連作短編集。
被災地の子供が心の奥に抱える苦しみと向かい合う「わがんね新聞」、福島原子力発電所に勤める父親を持つ転校生を描いた「“ゲンパツ”が来た!」、学校からの避難の最中に教え子を亡くした教師の苦悩と語られなかった真実を描いた「さくら」、ボランティアと地元の人たちとの軋轢を描く「小さな親切、大きな……」、小野寺自身の背景でもある阪神淡路大震災を描いた「忘れないで」。そして、震災をどう記憶にとどめるのか? 遠間第一小学校の卒業制作を題材にした「てんでんこ」の六篇を収録。
阪神大震災を経験した真山仁だからこそ描くことのできた、希望の物語。

感想・レビュー・書評

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  • ブクログのおすすめ本に出ていて興味を持った本。初めての作家さん。

    3.11で被災した小学校に震災直後赴任した教師を中心としたストーリー。この教師は阪神大震災で家族を亡くしていて、話の中でそちらの震災にも触れられている。
    原子力発電の安全神話やボランティア問題、津波のことについて読み易く記され、心が痛くも考えさせられた。

    最後の卒業制作お披露目のシーンではこみ上げるものがあった。「津波てんでんこ」初めて知った言葉。

  • 震災の話なので、暗い話かと思ったら、前向きになれる話で、逆に勇気を貰えた!

  • 東日本大震災の復興が始まったばかりの2011年5月、被災地の遠間第一小学校に神戸から派遣された小野寺先生。自身は阪神大震災で、奥さんと娘を亡くしている。

    問いかけられた「忘れないで」の難しさ、なかなか整理できないと感じた。ずっと甘えるのではなく、かといって忘れ去られずに寄り添ってほしい、など複雑な思いが背景にある。


    元の職場で校長と揉めて、東北への教師派遣に志願した小野寺。外から来た者として、難しい被災者の心にどこまで踏み込むべきなのか、悩みながら勤めている。一方で、生徒の指導には強い信念がある。遠慮せず、喜怒哀楽を素直に表すことで、子どもの心は健全に育つと。

    まずは、自己紹介の作文に、腹の立つことを一つ書くようにと、子どもたちに宿題を出し、それを基にして壁新聞を作ることを提案する。

    壁新聞をきっかけに、校内だけでなく保護者や、地域社会でも有名になった小野寺。地元との距離に悩みながら、校長の理解もあって、問題解決に活躍する。

  • 堅苦しいこと、融通が利かないこと、沢山ある。
    人は所詮、人であって人以上にはなれない。
    だから、こんなに非日常のところで毎日いつ帰れるかもわからない状況でいれるのか?
    ガス抜きは、誰にとっても大切でそれ抜きでは心の健康は保てない。もっとわがままになってもいい。

    それと同時に、小野寺先生が伝えてくれた、子供は大人の思っているよりも強い、そしてそれを大人は子供から学ぶべきだとも痛感した。

    その後の、さつきと小野寺先生の今後が気になる。

  • 内容紹介
    2011年3月11日、東日本大震災。地震・津波による死者・行方不明者は2万人近くのぼった。
    2011年5月、被災地にある遠間第一小学校に、応援教師として神戸から小野寺徹平が赴任した。小野寺自身も阪神淡路大震災での被災経験があった。
    東北の子供には耳慣れない関西弁で話す小野寺。生徒たちとの交流の中で、被災地の抱える問題、現実と向かい合っていく。被災地の現実、日本のエネルギー問題、政治的な混乱。小学校を舞台に震災が浮き上がらせた日本の問題点。その混乱から未来へと向かっていく希望を描いた連作短編集。


    僕の中で小野寺=大泉洋でした。すぐにそう思いついてからは彼の声と姿で再生されていました。ユーモアがあって言いたいことを言って、でも心の奥に隠した傷でどことなく寂しそうで。そういう役似合いそうだな。だまし絵の牙よりこっちの方がピッタリ来る気がする。
    真山仁さんは人情と社会とを描くのが両方上手いですね。子どもたちを取り巻く環境に歯噛みし、次第に取り戻していく秩序によって浮き彫りになる諸問題に憂い、綺麗ごとではないボランティアとの軋轢。体験したからわかる事が書かれているという気がします。
    どの話も子供の力強さが救いで、連作の最初の方は涙がこぼれましたが、後半は力強さに勇気づけられました。

  • 1995年の阪神大震災で妻子を失った小学校教諭、
    小野寺が東日本大震災後の東北の小学校へ赴任。

    小野寺がいい先生かどうかというのは人それぞれだけれど、
    必要な先生であったと思う。
    学校が小野寺に対する期待を大きかったと思う。
    クラスの全員でなくても何人かの心が少しでも安定したのなら
    小野寺が東北に赴任した意味はあったと思う。

    人はそれぞれだし、合う合わないは絶対ある、
    最後まで受け入れられない人もいるだろう。
    でも、小野寺いう「小学校で一番大事なのは児童だ」という考えは、
    生活に追われる中で最も重要なことを思い起させた言葉だと思う。


    親的には最初に先生に会った瞬間に「
    ハズレ」か「当たり」と区別している。

    それって私だけではないはず。
    ハズレの先生には期待はしないし、
    どうか1年無事に過ごせますようにと思う。

    小野寺が当たりかどうかは、
    長男には熱すぎる、娘にはいいかな。という印象。

  • #読了。連作短編集。阪神淡路大震災で妻と子を亡くした小学校教師の小野寺は、東日本大震災で被災した小学校に応援教師として赴任する。自らの体験を活かし、子供たちに接するが様々なトラブルが。タブーとされる感情論に踏み込み、面白かったが、「酔っぱらって言った」というのはこの手の話として残念。

  • 女優の杏さんが勧めていたので読んでみました。
    東日本大震災後の小学校に、神戸の震災で妻子を亡くした経験のある教師が赴任するところから物語は始まる。
    子供が大人に遠慮して、笑うことや楽しむこと、感情を表に出すことをためらってはいけない。理解ある校長先生とともに、その親たちも巻き込みながら、破天荒と思われるだけだったその教師がしだいに周囲の心を掴んでいく。
    子供は強くたくましい。弱くてくじけがちなのは実は大人の方で、現実から目をそらさない、あったことを忘れないことの大切さを子供たちに教えられた。

  • 東日本大震災後に神戸から赴任してきた小学校教師。
    自身も阪神・淡路大震災を経験している事から、生徒や親、ほかの教師に対しても真正面から対立していく。

    「我慢するな」「感情を素直に表現しろ」子供ならば当たり前のことですよね。でもこんな大災害を目の当たりにしてしまうと、子供のほうも委縮してしまって当たり前の事ができない。それではいつか爆発してしまうのが分かりきってます。

    だからこそ主人公である小野寺は子供たちの不満をぶつける新聞を作る。この発想はとても良いと思いました。

    あと、ボランティアの方々も考え物なんですよね。
    さらに言えば殊更物事を荒げようとする報道や美化しようとするマスコミ。

    これに関していえば校長がとてもいい人だと思いました。言葉を荒げて事を大きくするのではなくて、受け流して丸く収める。こんな人になりたいものです。

    震災にあった方々に私は何ができるだろう。
    改めて考えさせられました。

  • 東日本大震災で被災した東北沿岸の都市・遠間に小学校教師としてやってきた40代の小野寺徹平が、担当生徒や同僚たちを振り回しつつ、被災者たちの本音を引き出していく。阪神淡路大震災で被災した設定の小野寺には、同じく先の震災での真山さんの経験が恐らく投影されており、綿密な取材を重ねたという被災地の現状も、たとえ舞台や物語がフィクションであっても、そこで何が起こっているかというリアリティはくっきりと現れている。今の時点で、被災地の未来は描けているのか、子供たちの姿の向こうに見える大人たちはどうなのか、被災地から離れた人々にもそれを考えさせてしまう明確な主張がある。絶対忘れるもんか、あの日からのことを。

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著者プロフィール

1962(昭和37)年、大阪府生まれ。同志社大学法学部政治学科卒業。新聞記者、フリーライターを経て、2004(平成16)年に企業買収の壮絶な舞台 裏を描いた『ハゲタカ』でデビュー。’07年、『ハゲタカ』『ハゲタカ2(「バイアウト」改題)』を原作としたNHK土曜ドラマが大きな話題を呼んだ。作品の対象に徹底的に迫る取材力と緻密な文体を併せ持つ、新たな旗手として注目を集めている。


「2020年 『ハゲタカ 5 シンドローム(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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