まほろばの王たち

著者 :
  • 講談社
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感想 : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062188289

作品紹介・あらすじ

家を焼かれた物部の姫・広足(ひろたり)は、験者の集団である賀茂の一族の長・大蔵(おおくら)に弟子入りすることになった。
蘇我氏への反乱を企む鎌足に雇われた大蔵は、蘇我の神を討ち滅ぼし、宮中に残っていた妖を殲滅していく。一方的に相手を痛めつける大蔵を見て、妖に治癒の呪を唱えてしまう広足。
形勢が逆転し瀕死の大蔵が助けを求めたのは、賀茂の行者・小角(おづぬ)だった。青い光をまとい現れた青年は、広足に問う。
「娘よ。なぜ古き者を助けた」
答えられない広足に対し、小角は大蔵を助けてほしいなら、広足自身を捧げろと言う。広足が頷いたのを見て、小角は天竺の術を使って妖と対話し、飛鳥の宮から離れるよう願った。
そして妖が退き、宮殿に鎌足と中大兄王子が駆け込んできたとき、さきほどまでいたはずの小角の姿は消えていた。
そして5年後、広足のもとに一本の木簡が届く。
「約束の時は至れり」

かくして賀茂役小角と物部の末裔・広足、そして山の神々との冒険が始まる。

感想・レビュー・書評

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  • 大化の改新から、大化5年頃の、神や鬼が当たり前にいた時代の物語。
    蘇我に滅ぼされた物部の姫・広足は、験者である賀茂の長・大蔵に弟子入りするが、いつまでも飯炊きしかさせてもらえない。あるきっかけから、賀茂の一族でありながら独立した立場の役小角に仕えることになるのだが、そこでもまた飯炊きの日々。
    一方、朝廷では中大兄皇子と中臣鎌足が新しい日本を作るために奔走する。律令を制定し大道を整備し、山を切り開く。
    山では「神喰い」と呼ばれる現象で神が消え、里では鬼が「人喰い」となり出没しはじめる。
    同じ頃、大海人皇子と中大兄の娘・讃良姫は小角に招かれ、山へ入る。

    どの視点のパートでも、中心になる人物の心情などがあまり書き込まれていないせいか、文体が読みにくかったわけではないのに、読了に時間がかかった。
    視点をもっと広足・小角に絞ってもよかったのではないかなと思う。

    役小角といえば山田ミネコさんの漫画を思い出す程度の知識しかないので、もうちょっと小角が凄い人エピソードが知りたかった。
    中大兄・鎌足は元々好きなのだけど、鎌足はイメージ通りで満足(笑)。

    大海人の従者の蹴早が狼人であったり、小角の眷属の童子の姿をしたコンガラとセイタカの可愛らしいしゃべり方や広足の作るご飯が実はなにかの力を秘めたものであること、山の民や山の神たち・鬼など、人物や設定は魅力的。

  • なんだか、凄く重い感じ・カバーに軽いイメージのイラストがあったら、それはそれで軽すぎて嫌なんだけど~物部韓国連広足は蘇我氏に家を焼かれ、家宝の天日槍だけを持って賀茂大蔵の弟子になったが、師は乙巳の変後の飛鳥の宮で妖あいてに苦戦し、賀茂役小角の助けを求め、飯炊きが上手な広足を弟子に貰い受ける約束を交わした。やがて約束が実行され、広足は小角に招かれて山に入った。中大兄皇子や鎌足が大道を巡らし古き民への支配を広げている中、里では人の魂魄を食う鬼が跋扈し、山では神殺しが起きていた。都を移す計画もある中、古き民の若き長は都まで大人しくやってきたが、神が去った山を前に、大海人皇子とその姪に当たる鵜野讃良は狼人の舎人である蹴速と共に、小角の招きに応じた。人食いの鬼を呼んだのは誰か、神殺しは誰の仕業か。賀茂大蔵は中大兄皇子と鎌足に妖と戦う全権を預けるように迫る…~なんだか大事なんだけど、狭い範囲での争いで登場人物も極めて少ない。わかりやすくて良いとも思うけど、楽しさに欠けるねぇ

  • H31/4/23

  • 大化の改新後の朝廷の天下統一をめぐるヒトの神と妖ーマチと山の話。おもしろく読んだが、一人一人の登場人物の心情、振る舞いへの書き込みが足りないなあ、という印象。そのせいで、共感や感情移入がなかなかできない。登場人物のキャラも十分立ってない。主人公の広足の成長を書き込まずに行動の中でさりげに読み取ってほしいのかなあ、とは思ったけれど、うるさいほど書き込んでほしい私にはイマイチ。歴史ファンタジーなら萩原規子さんの方が私向きかな。
    神饌が自然に作れる広足の料理力はほしいと思った。充分な才能ではありませんか!でも、お料理描写も足りない。上橋菜穂子さんのファンタジーに出てくる料理の方が想像しやすく美味しそう。
    天武天皇となる大海人皇子の素直さは、なんかよかった。でも、この二人の皇子となると、どうしても思い出すのが、額田王なので、この二人の年齢差がとてもあるように、この作品は感じられるので気になった。鸕野讃良皇女と大海人皇子も仲がよかったんだ、でもこの頃から尻に敷かれそう、と感じられるこの作品での二人のかかわり方はほほえましかった。2017.3.31読了。

  • かつて愛読した宇宙皇子を彷彿させる。
    ただ、途中から展開が読めたなー

  • 2012年に「エソラvol.15」に掲載されたものに加筆し単行本化。

     大化改新の5年後、中大兄皇子と藤原鎌足は地方への道路を作り、全国の支配を目指した。
     しかし、山に住む神を殺し、民、妖をも支配下に置こうとする政(まつりごと)に対し、山で修行する役小角が山の民の味方となって阻止しようとする。
     のちに持統天皇となる鸕野讃良皇女も幼いながら験術者として活躍するが、それがなぜなのかは明らかではない。

     この時代って鎮護国家の仏教対古い神々という図式なんじゃないの?

  • 小角様、軽やか。

  • 『宇宙皇子』で育ったので、こ~ゆ~古代ファンタジーは大好物です^^
    若かりし小角、いぃ~わぁ!

  • 大化の改新直後が舞台のファンタジー。
    陰陽師的な人物である賀茂大倉(かものおおくら)や賀茂役小角(かものえんのおづぬ)達と、その飯炊きとして仕えることになった広足(物部の姫、女性なのにどうも男性のような名前でイメージがわきにくい)の活躍により、人食い鬼の正体が暴かれ、野山と町に平安が取り戻されるお話。
    ノンフィクションの直後に読むと世界観があまりに違いすぎてはじめはクラクラしたが、このお話の世界に馴染んでくるとなかなかおもしろい。
    自然と人間活動との融和はいにしえからの永遠のテーマなのだな。

    コンガラとセイタカ()の掛け合い言葉、
    「かぜはやふるし」「かぜふるこみち」
    「ろうにんいにしえ」「えにしとこしえ!」などなど、かわいらしい。

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著者プロフィール

1973年大阪生まれ。信州大学人文学部中国文学専攻卒業。2006年に『夕陽の梨―五代英雄伝』第12回歴史群像大賞最優秀賞、『僕僕先生』で第18回日本ファンタジーノベル大賞の大賞を受賞。「僕僕先生」は幅広い年齢層に支持される大ヒットシリーズに。「くるすの残光」「黄泉坂」「立川忍びより」などのシリーズ作品や、『まほろばの王たち』『ちょうかい』『真田を云て、毛利を云わず 大坂将星伝』(上・下)など多ジャンルにわたり著書多数。本作が初の児童向け作品となる。

「2020年 『マギオ・ムジーク』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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