スペードの3

著者 :
  • 講談社
3.43
  • (58)
  • (229)
  • (263)
  • (55)
  • (13)
本棚登録 : 1629
レビュー : 267
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062188500

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • 明らかな救いがないから、辛くて一旦読み止めてしまったけれど、やはり気になって読了。
    「自分の気持ちに気づいて認める」の過程や表現がリアル。リアルだし、登場人物の「その後」がないから辛い印象が色濃く残ってしまう。しかし、だからこそ物語がありきたりな救いでうやむやにならない。
    辛いけれど、気になって読んでしまうんだ。

    ブログ、掲示板、Twitter、YouTube、NEVERまとめ...
    物語に関係ないけれど、作者はどうしてここまで躊躇なく(実際に躊躇ないのか分からないけれど)現代を取り入れられるのだろうか。

  • ラストで自分もズルいことをして逃げそうになっていたけど、踏み止まってくれてよかった。
    そして自分のために演じようと決意してくれたのもすごくよかった。
    朝井リョウさん、とっても素直な青年なんだなと文章から伝わってきて大好きです。

  • ファンクラブのまとめ役にしがみつく美知代、地味で冴えないむつ美、ピークを過ぎた舞台女優のつかさ、女性3人の物語。
    女性のドロドロした感情、毒々しさが痛い。待っていたって「革命」は起きない。その通りです。。
    それぞれ最後は顔を上げて前に進んでいくけど、読後は登場人物たちのようにスッキリとはいかず、ヒリヒリ感が残った。

  • 図書館で、46人待ちした本。夏休みくらいに予約して、年末にやっと回ってきた。

    この本は3部構成なのだが、最初の「スペードの3」の話が一番共感出来た。

    自分が全てを動かしていると思っている美知代だが、自分より可愛くて、なんでも器用にこなしてしまう転校生の亜季に、クラスでの名声も、学級委員という地位も、演奏会での伴奏も、好きな人も、あっさりと取られてしまい、平穏な日々は奪われる。

    それから何十年も経ち、大人になっても、美知代は小学校の時のままの性格。小学校の同級生だった明元むつ美と再会し、またもや美知代の平穏な日々は奪われることに。そして、「あなたは何でも自分中心に回っていると思っている、変えたいなら自分から行動しなくちゃ」と言われる。そこから、やっと美知代は自分の非を認め、自分から行動するようになる。

    私の周りにも可愛くて器用で何でも出来る人がいて、そういう人を見るたびに、「世の中って不公平だな~」と彼女たちを羨んだりもしたものだなあ。

    また、3部の、感情を上手く出せないつかさにも共感した。彼女は、感情を素直に出して皆に可愛がられる円と同期。いつも比べられてきた。感情を素直に出されると、妙に冷めてしまうところに非常に共感してしまった。

    素直で女らしくて、何でも出来て、感情豊かな女性に憧れます…。

  • 中学生の描写はうまい。スクールカーストを意識するような層にはたまらないと思う。中高生に支持されているのは理解できる。
    しかし、自分が追っかけだからか、それなりにファンがいている人の追っかけをしていて、熱心なファンをまとめるファンクラブの会長を務めるレベルの追っかけをしている人が、思想的にこんな考え方するとはとても思えなかった。自分が追っかけの対象にお金を使い続けることへの葛藤とか、自分のこれからの人生とかに思いを馳せてないのがちっともリアルに感じられない。
    また、ファンクラブ会長が主役の章では、意図的にかと思うほど、追っかけの対象への愛や魅力が語られない。なので一章は大変感情移入しにくかった(2章では中学生が主役になり、感情移入も入りやすく、格段に読みやすくなる
    モデルにされているであろう宝塚のファンの人がこれを読んだら、自分達はこんな低レベルな気持ちで応援してないと怒っていいと思う。大人の追っかけ、オタクを書いた本だから、という理由で追っかけの人たちがこれを読むのはやめた方がいいです。私はそういった気持ちで読んでしまい、とても反省しました。

  • 誰でも人より注目されたい、好かれたい、かっこ良く思われたいという欲求はあるもの。
    その欲求が物語でうまく表現されてた。人のそんな部分はゲゲーという感じで見たくないけど、自分のことならお構いなしに行動しそう。
    ズルいと思われようが、それをやってしまえるのも才能かも。
    ずる賢く、図太くいかねば。

  • 女子による女子のための
    女子が女子を貶めるお話が3つ。

    朝井リョウが書くから、納得。
    女流作家が書いたら、生身なかんじがして、
    ちょっと引いてしまいそう。

    学校でも職場でも子育て母も、
    こういうの、女は一生続くからね。
    気配に敏感で、
    受ける心は鈍感なくらいで調度いいのかも。

    読んで、「女、怖ぇー」と思ったあなた、
    序の口だぜ。これって。

  • 羨ましい存在が隣にいたら、どうするか。

    表題作「スペードの3」タイトルが印象的。大富豪のスペ3ルールは、あるときとないときがあったけど、これを後生大事に握りしめておくのが最善の作戦でないことは、大富豪を何度かすればなんとなくわかっていた。革命なんて待っていてもおきないのだから。

    宝塚を模した劇団、そしてそのOG女優と、ファンクラブ。その不思議に規律のとれた様子は、確かに「学級」かもしれない。そして「学級委員長」がいる。なんとなく腑に落ちた。学級委員長は名誉職だ。何の利益もないけど、クラスをコントロールしている。でも、あれほど脆い権力もない。本当に信頼されてリーダーになっているのならともかく。ただのまとめ役でしかないのだから、他に優れた人が来れば、すぐにとって代わられる地位なのだ。

    革命を起こしたのが、第二章の主人公であるむつ美。彼女は自分で革命を起こそうとした。その強さは「ハートの2」である。

    最後のつかさの話も印象的。これひとつで一冊書けそうな気もする。とはいえ、美知代とむつ美の章があってこそ、そこで語られていた「つかさの物語」との違いに、引き込まれるのだろう。

    人々を納得させる物語を背負った人を、わたしたちは応援したくなるし、騒ぎたくなる。悲しい物語を持った人の悲しみは、よく伝わる。でも、喜びも、怒りも、背負った説得力以外のものも伝えられるとしたら、それはその人の努力の成果であり、羨むものではなくなってしまう。そんな存在が、隣にいたら。でも、つかさは円を嫌えない。円がそんな見せかけの物語だけじゃなくて、本物だと知っているから、何も知らない人たちと同様になって、本当は本物である円を嫌う自分はみっともないから。

    最後につかさは自分の物語がないことに開き直るけれど、それはつまり自分のカードで勝負するということ。タイトルの「ダイヤのエース」は、まさに、最強には少し足りないつかさみたい。

    美知代は小さくても革命を起こそうとする。むつみは革命を起こした。つかさは革命を起こさないことを選ぶ。わたしは三人の決断をそのようにとらえた。つかさのはある意味革命かもしれないけれど、ひっくり返さず戦いを続けるのだろう。むつみは革命に成功したけど、いつ革命返しが起きるかわからない。美知代の革命はどうなるかわからない。三つの短編は時間軸がずれていて、その後が描かれていないから。

    でも、戦いを降りるという選択肢がないことに、ちょっと厳しいものを感じた。朝井リョウは、どうしても序列から逃げられない自分というメッセージを伝えたい作家なのかな、と思う。

  • 3人の女性が主役の短編連作集。
    嫉妬、劣等感、優越感…
    女性のダークな部分がヒリヒリと描かれていて
    胸が痛くなりました。
    これを 男性の朝井さんが書かれたとは
    益々 楽しみな作家さんです。

  • あぁ、そういう事なのか…
    私自身がいわゆる「女度」が低い。そして、「女度」が強い人が苦手で親しい友人は「さばさば」している。
    私からすると、理解不能だった人の行動が腑に落ちた。
    女のどろどろって、無くならないんだろうな。男の人も有るけど、陰湿さはやはり女の特性なのかもしれない。
    こんな事に四十路になって気づくとは、我ながら友人知人に恵まれて来たと思った。大切にしなくっちゃ

全267件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

朝井 リョウ(あさい りょう)
1989年、岐阜県生まれの小説家。本名は佐々井遼。早稲田大学文化構想学部卒業。
大学在学中の2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー、後年映画化された。
大学では堀江敏幸のゼミに所属し、卒論で『星やどりの声』を執筆。2013年『何者』で第148回直木賞を受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者であり、男性受賞者としては最年少。『世界地図の下書き』で、第29回坪田譲治文学賞受賞。
その他代表作に『少女は卒業しない』、映画化された『何者』がある。

スペードの3のその他の作品

スペードの3 (講談社文庫) Kindle版 スペードの3 (講談社文庫) 朝井リョウ
スペードの3 (講談社文庫) 文庫 スペードの3 (講談社文庫) 朝井リョウ

朝井リョウの作品

ツイートする