スペードの3

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1629
レビュー : 267
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062188500

感想・レビュー・書評

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  • ヒリヒリしたけど、朝井さんの本は私には必要だなと、改めて思いました。何かを始める、やめることに大した理由なんてなくて、語っている時点で後付けか、そうか、と納得してしまった。結局、他人にどう思われるか、思われたいかはどう頑張っても自分の底から離れないのかもしれない。どんなに輝いているように見える人でも、その世界なりに苦悩はあるだろうし、でも、良くも悪くもお互いに影響しあって世の中は動いてんだなぁーと、、やっぱり残るのは哀愁というか、切なさとやり切れなさでした。でも共感しまくりでした。

  • 2016年09月16日の読了。

  • 『スペードの3』
    『ハートの2』
    『ダイヤのエース』
     朝井リョウお得意の連作短編です。そして、お得意のドロドロ心理描写が炸裂。若い男の子やのに女の子の世界、気持ち、ようわかってるなー。身に覚えのある黒い感情に、ギクリとさせられながらもクセになっている自分に気付く。

     『スペードの3』の主人公・江崎美知代は、香北つかさのファンクラブ「ファミリア」を取り仕切る幹部「家」の一人。幼いころの回想と現在が交互に展開され、小学校時代から学級委員だった彼女のキャラクターの輪郭がはっきりと表れる。何もかも自分の思い通りに周りをコントロールしていたのに、突然現れた異変。居心地の悪くなる小さなコミュニティ。大富豪で唯一ジョーカーに勝てるスペードの3を出すタイミングを見計らっても、そんなに都合よく訪れないのが現実。自分が変わることでしか、周りを変えることはできないと悟る最後は、爽やかだった。

     美知代がファミリアの中での力を失うきっかけとなったアキは、美知代と小学校の同級生だった。かつて「ブス」だと心の中で見下していた女の変貌。『ハートの2』はそのアキこと秋元むつ美が主人公で、変わるきっかけになった中学時代のことが描かれている。中学デビューなんて茶化して馬鹿にしてた(今思えば最低)けど、スクールカーストの下層にいる人間にとって、人間関係をリセットできる進学は大きなチャンスだ。呼び名を変え、同じ部活に入る友達という名の武器を手に入れ、部活という居場所を見つけるも、そう簡単に自分自身は変わらない。愛する弟を救うことがきっかけになり、自分を変える決心をする。

     最後の『ダイヤのエース』は舞台女優香北つかさが主人公。同期入団した円の不幸な生い立ち、奇想天外な行動、ふりがながないと読めないような病気で引退という美談に、優等生キャラであるつかさは「ずるい」と思う衝動を抑えられない。ちょっとでも特別な人間だと思われたくて、あとづけの理由を雄弁に語る。はりぼてで空虚な自分。多くの人の目に触れる彼らとは全く境遇が違うけど、「普通コンプレックス」を感じていた私にとって一番共感できる話だった。

    「人と比べるなんて無駄」「自分らしく」そんな手垢のついた言葉なんて響かない。口にするのは簡単だ。どんなに阿呆らしいと思ってても、人と自分を比べて落ち込むことは、やっぱりある。そんな自分の醜い部分を思い知らされ、でも受け入れてくれているような、頼もしい一冊だった。

  • ドロドロした感情を扱っていながら、それぞれの章の主人公が新たな一歩を踏み出すところで物語が終わり、読後感は爽やか。第2章は続きがもっと読みたくなった。小学校の学級委員と男子の会話とか、スクールカースト含め学校の人間関係を描くのが上手な人なんだなあ。

  • Amazonのレビューで「自意識の訴求」と書いている人がいたけれど、まさに。特に第1章の美知代の心の声は胸焼け起こしそうなくらい自意識に満ち満ちていた。
    どの賞も「あれ、これで終わり?」な感じがして、少しもやもやが残る。

  • 内容紹介
    朝井さんは、女子でもないのに、どうして女子の人生がこんなにも岐路の連続だということを知っているんだろう。―辻村深月氏

    まるで、万華鏡です。読み進めるうちに変化する風景は、マジシャンの帽子に迷い込んだような気分になります。―はやみねかおる氏

    ミュージカル女優、つかさのファンクラブ「ファミリア」を束ねている美知代。大手化粧品会社で働いていると周りには言っているものの、実際は関連会社の事務に過ぎない彼女が優越感を覚えられるのは、ファンクラブの仕事でだけ。ある日、美知代の小学校時代のクラスメイトが「ファミリア」に加盟する。あっという間に注目を集めた彼女の登場によって、美知代の立場は危うくなっていく。美知代を脅かす彼女には、ある目的があった。
    華やかなつかさに憧れを抱く、地味で冴えないむつ美。かつて夢組のスターとして人気を誇っていたが、最近は仕事のオファーが減る一方のつかさ。それぞれに不満を抱えた三人の人生が交差し、動き出す。
    待っているだけではなにも変わらない。私の人生は私だけのもの。直木賞作家朝井リョウが、初めて社会人を主人公に描く野心作!
    内容(「BOOK」データベースより)
    ミュージカル女優のファンクラブまとめ役という地位にしがみついている美知代。地味で冴えないむつ美。かつての栄光は見る影もない女優のつかさ。待ってたって、「革命」なんて起きないから。私の人生を動かしてくれるのは、誰?

  • なんか湊かなえチックだった。

    なんでスペードの3なんだろう?

    2016.7.28

  • 最後の話に器用貧乏の哀しさを見た。
    ある一定以上にはできるのに
    そこを超える特別な個性とか才能とか愛嬌とかがない。
    その点で勝負しなければならない芸能界はきついな。

  •  何気に見覚えのある著者で、冒頭を読み始めたら読み易かったので図書館で借りてみた1冊。
     著者だけとか書評だけで読んでも脱落する作品もあるけど、やはり読み易さを実感して読むものは最後まで一気に読めた。
     以前、著者に向かって「あそこまで女の腹の底が分かるなんておかしい」みたいな発言をしているテレビを見た覚えがあったけど、やっぱりこの作品か! と確信を持てるほどエグイ腹の底の探り合いな内容だった。
     この著者、本当に男性なのか? と疑いたくなる。
     全編絡み合いながら3つのストーリーで女子、女性が出てくるので、照らし合わせたら誰かしら自分に似た人が出てくると思う。
     私は狭い世界の中で中心にいて喜んでいる哀れな女だと鏡を見ているかのように思った。
     どこからか他人にもそう思われているようで怖くなった。

  • 図書館で借りたもの。
    短編集。
    表題作の『スペードの3』が一番面白かった!
    ミスリードしてたことに気づいて、
    わー、騙された!でも面白い!!とにやついた。
    朝井さんは男性なのに、なんで女性同士のドロドロした関係をあんなにうまく書けるのだろうか。

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著者プロフィール

朝井 リョウ(あさい りょう)
1989年、岐阜県生まれの小説家。本名は佐々井遼。早稲田大学文化構想学部卒業。
大学在学中の2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー、後年映画化された。
大学では堀江敏幸のゼミに所属し、卒論で『星やどりの声』を執筆。2013年『何者』で第148回直木賞を受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者であり、男性受賞者としては最年少。『世界地図の下書き』で、第29回坪田譲治文学賞受賞。
その他代表作に『少女は卒業しない』、映画化された『何者』がある。

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