スペードの3

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1626
レビュー : 267
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062188500

感想・レビュー・書評

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  • 痛い。闇い。黒い。読みながら何度思ったことか。

    優越感・劣等感・嫉妬・羨望・憧憬・嫌悪・軽侮……隠しておきたい感情・見せたくないし見たくない感情ばかり綴られる。

    『スペードの3』
    某歌劇団出身のミュージカル女優つかさ様のファンクラブを仕切る美知代の物語。
    子どもの頃から委員長タイプの彼女。感じていた優越感は「あのコ」の出現によって劣等感にすり替わり、焦燥と嫉妬に襲われる。昔も今も。
    ――いくら待っていても、革命は起きない。私から動かないと。

    『ハートの2』
    自分の容姿に劣等感を持つむつ美の物語。
    容姿のせいで自分に自信がなく、小学校でも中学校でも軽んじられていた彼女の踏み出した小さな一歩は呼び名を変えるところから。
    ――誰かのためなんて言い訳せずとも、自分のためでいいのだ。私は、私のために、よりよくなりたい。

    『ダイヤのエース』
    美知代、むつ美のあこがれの存在である、つかさ様の物語。
    舞踊学校の同期で女優の円(まどか)が引退するというニュースに、昔から彼女に抱いていた鬱屈した想いが頭の中でぐるぐる巡る。
    ――どうしていつもあの子だけ。私にはなんにもないのに。


    朝井さん作品を読むのはまだ2作目。作風もわかっていないけど、前回も今回も「達者な文章と端正な構成」と思う。
    それは、どんなに巧くてもツクリモノ=小説であることも実感させるけれど、勿体なさを感じるよりも、ほっとするのが正直なところ。
    リアルを超えたリアル。
    彼と同世代を描いた等身大の物語はその辺りどうなんだろう?ぜひ読んでみなければ。

    • 九月猫さん
      vilureefさん、こんばんは♪

      お返事遅くなってごめんなさい~っm(_ _)m

      「情熱大陸」観ました観ました!
      あれ観て、...
      vilureefさん、こんばんは♪

      お返事遅くなってごめんなさい~っm(_ _)m

      「情熱大陸」観ました観ました!
      あれ観て、朝井さんが「リョウくん」と呼びたくなる好青年だったので、
      「世界地図の下書き」を読もうと思ったんですよー(*^-^*)

      私はこの本が2作目なので、構成も巧いなと思ったのですが
      「何者」を先に読むと二番煎じに感じるんですね。
      先日お話しした読む順番の問題がここにも・・・!!
      「少女は卒業しない」は爽やか全開、っとφ(・ェ・o)~めもめも。
      朝井さん作品、この2作は読むことにします。
      全部追えるといいんですけれど、読むのが遅いので・・・(T_T)ムリっ
      なので、こうしていろいろと教えていただけるとありがたいです♪
      本当にいつもありがとうございます(*´з`)♡
      2014/05/08
    • 九月猫さん
      koshoujiさん、こんばんは♪

      コメントありがとうございます。
      お話させていただくのは「初めまして♪」ですよね。
      なのになのに...
      koshoujiさん、こんばんは♪

      コメントありがとうございます。
      お話させていただくのは「初めまして♪」ですよね。
      なのになのに、お返事遅くなってしまって、ごめんなさいっm(__)m

      朝井さん、文章と構成がとても巧いなぁと感じます。
      「世界地図の下書き」→「スペードの3」と読み、どちらも傾向が違う作品だったうえに、
      朝井さんのこれまでの作品と違うとか「こんなのも書くんだ?」という感想をよく見るので
      なんだか私にとってはまだ「つかみどころのない」作家さんです。
      でも、他にも読んでみたいと思う魅力ある作家さんでもあります。

      vilureefさんに、まろんさん。
      そして朝井さんファンのkoshoujiさんもおススメの「少女は卒業しない」は
      ぜったいに読もうと思います。
      おススメありがとうございますー♪
      2014/05/08
    • koshoujiさん
      九月猫さん、コメントありがとうございます。
      「少女は卒業しない」是非お読みください。
      ついでに「もう一度生まれる」と「星やどりの声」もお...
      九月猫さん、コメントありがとうございます。
      「少女は卒業しない」是非お読みください。
      ついでに「もう一度生まれる」と「星やどりの声」もお薦めです。
      もちろん「桐嶋、部活やめるってよ」もですが。
      結局全作品お薦めしてしまいますが(笑)
      でも、私にとっては、常に感動させてくれる若き天才作家です。
      2014/05/08
  • うーん、面白くないわけではないんだけど、なんていうか、こう...あんまり来ないんだよな。
    嫌な人じゃないのにすごく自分にとっては何もかも上手くいかなくなってしまうような存在に、振り回される姿は読んでいてちょっと辛い。
    いやいや悪くないんだけどね、朝井リョウくんの爽やかさは全くないね。

    演劇というモチーフを通して、自分を演じている3人の女性のお話です。
    学級委員で今もファン会員をまとめるリーダーの美千代、クラスの底辺的存在だったけど自分のために頑張って自分を変えたむつ美、特別な物語がない女優のつかさ。
    それぞれすごく頑張っていて、そんなに苦しまなくても大丈夫だよと肩をぽんと叩いてあげたくなるような子たちで、ハッピーエンドまでは行かないけど、最近の言い方なら「ありのままの」自分をちょっと見つけられた感じです。
    愛季ちゃんがどっちかっていうと計算高そうな印象だったんだけど、ふつうにすっごくいい子なのかしら。

    それにしても、何で朝井リョウくんを読んで「ああ、女って嫌だなー」って思わないといけないのか。

  • 相変わらず読みやすく、わかりやすい。

    一話目は何かにハマったオタクの物語ではなくて、そういう小さな世界を探して王様になろうとする人が、そんな自分の行き場の無さをちゃんと自覚する話。
    二話目は誰かの模倣でもいい、誰かのためという欺瞞を捨てて、自分のために、なりたい自分になろうと決意する話。
    三話目は、人を羨み嫉妬する自分を、なんの物語もないけれど努力はしてきた自分を、ちゃんと受け入れる話。

    朝井さんの目線はいつも優しいな、と思う。
    弱い人や流されやすい人はいても、どうしようもない悪人はいない。みんな自分なりに精一杯足掻きながら、間違えながら、生きているのだなと思う。

  • ミステリ的な手法を用いてみたり(しかもそれがちゃんと効いてるんだよね)
    新境地といえる部分もありつつも
    章ごとに目線が違ってて尚且つ繋がってる話の造りや
    読後に受けるちょっとした痛みやなんかはもう
    朝井リョウの真骨頂といっても過言ではないかも(いや、過言か)。
    時系列の使い方がこれまた効果的なのか
    繋がりが以前ほどがっちりじゃないところが
    学校の中から外の広い世界に飛び出した感じがして
    朝井氏も社会人になったんだなぁと何となくしみじみ。
    とはいえどんな手法を使っても最後には
    『朝井リョウ』の世界にちゃんと着地するんだよなぁ…。
    この若さで揺るぎないスタイルを持っているのは凄いことだと思う。

    個人的には美知代が嫌い(爆)。
    最後に圭子とアキに遣り込められる(?)シーンはスカッとした(笑)。
    それと、3編めで悩むつかさ様がいじらしいというかなんというか。
    (傍目で見て)不幸な自分を売りにできる沖乃原円って人は
    一般的には強かとか計算高いとか言われる種類の人だと思うんだけどどうだろう???
    2編めのむっちゃんに関しては…なんつーか
    1編めに出てきた彼女を考えるだに『よく頑張った』と誉めてあげたい。
    そして弟がやっぱりひどいと思った(爆)。

  • とにもかくにも、113ページの衝撃。えええええ!ってなりました。朝井リョウの小説を読んでいると、「ん?え?そうゆうこと?どうゆうこと?わーまじか」ってなる瞬間に出会えることが多くて、この瞬間がたまらなくて病み付きになっちゃいます笑
    この小説では、個人的にむつ美が優勝。かっこよかった!

  • ミュージカル女優のファンクラブまとめ役という地位にしがみついている美知代。
    地味で冴えないむつ美。
    かつての栄光は見る影もない女優のつかさ。
    待ってたって、「革命」なんて起きないから。
    私の人生を動かしてくれるのは、誰?
    (アマゾンより引用)

    オムニバス短編。
    表題作は面白かった(*´∀`*)
    その後もちょっと見てみたい気分。
    残り2作はまぁ…面白くはあったけど、うん…

  • 誰でも人より注目されたい、好かれたい、かっこ良く思われたいという欲求はあるもの。
    その欲求が物語でうまく表現されてた。人のそんな部分はゲゲーという感じで見たくないけど、自分のことならお構いなしに行動しそう。
    ズルいと思われようが、それをやってしまえるのも才能かも。
    ずる賢く、図太くいかねば。

  • 3人の女性が主役の短編連作集。
    嫉妬、劣等感、優越感…
    女性のダークな部分がヒリヒリと描かれていて
    胸が痛くなりました。
    これを 男性の朝井さんが書かれたとは
    益々 楽しみな作家さんです。

  • あぁ、そういう事なのか…
    私自身がいわゆる「女度」が低い。そして、「女度」が強い人が苦手で親しい友人は「さばさば」している。
    私からすると、理解不能だった人の行動が腑に落ちた。
    女のどろどろって、無くならないんだろうな。男の人も有るけど、陰湿さはやはり女の特性なのかもしれない。
    こんな事に四十路になって気づくとは、我ながら友人知人に恵まれて来たと思った。大切にしなくっちゃ

  • 新しいものを期待しすぎる人にはお勧めしない。
    けれど特に女性は読んで損はないかなと思った。
    桐島…のスクールカーストの描写が更に進化して、作者と共にステージが社会人に移ったのがこの本。

    あの小さな教室での人間関係や、女性の細かい心理描写をどうやってここまで磨いたのか、いつも不思議に思ってしまう。

    どこかのインタビューで、「会社にも学級委員みたいな人がいた」「採用のHPに出てくる社員がすごい人に見える」と答えていた通り、作者が入社してからの周囲の人間関係と過去の教室での観察結果がうまく結びついていると思った。

    それから、
    スペードの3をいつまでも握る美知代と、
    引退の記事を書き進めてきたつかさは、
    私と同じだと痛感した。

著者プロフィール

朝井 リョウ(あさい りょう)
1989年、岐阜県生まれの小説家。本名は佐々井遼。早稲田大学文化構想学部卒業。
大学在学中の2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー、後年映画化された。
大学では堀江敏幸のゼミに所属し、卒論で『星やどりの声』を執筆。2013年『何者』で第148回直木賞を受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者であり、男性受賞者としては最年少。『世界地図の下書き』で、第29回坪田譲治文学賞受賞。
その他代表作に『少女は卒業しない』、映画化された『何者』がある。

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