スペードの3

著者 :
  • 講談社
3.43
  • (58)
  • (229)
  • (263)
  • (55)
  • (13)
本棚登録 : 1629
レビュー : 267
  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062188500

作品紹介・あらすじ

朝井さんは、女子でもないのに、どうして女子の人生がこんなにも岐路の連続だということを知っているんだろう。―辻村深月氏

まるで、万華鏡です。読み進めるうちに変化する風景は、マジシャンの帽子に迷い込んだような気分になります。―はやみねかおる氏

ミュージカル女優、つかさのファンクラブ「ファミリア」を束ねている美知代。大手化粧品会社で働いていると周りには言っているものの、実際は関連会社の事務に過ぎない彼女が優越感を覚えられるのは、ファンクラブの仕事でだけ。ある日、美知代の小学校時代のクラスメイトが「ファミリア」に加盟する。あっという間に注目を集めた彼女の登場によって、美知代の立場は危うくなっていく。美知代を脅かす彼女には、ある目的があった。
華やかなつかさに憧れを抱く、地味で冴えないむつ美。かつて夢組のスターとして人気を誇っていたが、最近は仕事のオファーが減る一方のつかさ。それぞれに不満を抱えた三人の人生が交差し、動き出す。
待っているだけではなにも変わらない。私の人生は私だけのもの。直木賞作家朝井リョウが、初めて社会人を主人公に描く野心作!

感想・レビュー・書評

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  • 正直微妙だなぁ。
    新鮮味がなかったし中途半端。
    表題作は良かったけれど残りの二編が無理やりっぽい感じもするし、やや出来も良くない。

    もちろん繊細な感情表現の巧さや、女性でしか分からないような表現、例えばトイレの場面などはさすがだなと唸るほど。

    でもちょっと主人公の美知代ちゃんを追い詰めすぎじゃない?ここまでするかなぁ。
    スクールカースト(この言葉嫌いだけど)について書く作家さんはたくさんいるけれど、もっとリアリティがあるような・・・。
    ちょっと今回は狙ってる感が強すぎるか。
    読んでて冷めちゃって感情移入まで行かず。
    ちょっと大人の女性を書くのは早かったのかも。

    いや多分もっと評価すべきだとは思います。
    でもなんせ期待度が高いので評価が辛くなってしまうのは致し方ない。
    若くして傑作を出しちゃうと後が大変ですね。

    と言いつつ、桐島を読んでない私。
    桐島もスクールカーストの話しらしいので読んでみないと。

    • 九月猫さん
      vilureefさん、こちらにもお邪魔します♪

      うん、うん。うなずきっぱなしです(笑)

      出来の良し悪しは、私は良いと思ったのです...
      vilureefさん、こちらにもお邪魔します♪

      うん、うん。うなずきっぱなしです(笑)

      出来の良し悪しは、私は良いと思ったのですが、
      vilureefさんと同じく、「狙ってる感」は拭えないですね。
      巧さが裏目に出ているというか。
      痛くて黒くて、怖かったけれど、感情移入できなかったのも同じです。

      「想像して、それを文章にする」というのはどの作家さんにとっても必要なことですが、
      朝井さんはその能力が特に長けているのではないかと思うんです。
      でも読んでいて「巧い」とか「達者」とか「長けている」と思った時点で、
      物語ではなく作家さんを見ている=ツクリモノであることを意識しちゃう。
      だから感情移入できずに冷めるんですよね。
      大人の女性を書くのは早かったかも、というところも同意です。
      しかも今回は、「女性」で自分より随分「年上」で「醜い心理」まで書いちゃうぞと
      一度にチャレンジしすぎたような気がします。

      って、長々と書いちゃいましたが、
      vilureefさんがおっしゃってる意味と違っていたらごめんなさい(汗)

      「桐島」ってスクールカーストのお話なんですか?!
      (あれ?向こうのコメントのお返事にも同じようなこと書いた気が(^^;) )
      2014/05/02
  • 3人の女性を主人公にした話。常に人より少し前に出ている事に優越感を抱く姿、コンプレックスだらけの姿、友人に対してわだかまりを持ってしまう姿。この物語のように極端ではないけれど、どれも自分にもある姿だなと感じた。主人公達以外の脇役もそれぞれ女性の嫌な部分が滲み出ていて、読んでいてげんなり。どの話も救いがなく重かった。色んな意味で怖い。怖くて痛い。
    宝塚を舞台にしたのかな?勿論、違うな~と思う部分もあったけれど、細かい描写がよく研究されてると感心した。

  • 痛い。闇い。黒い。読みながら何度思ったことか。

    優越感・劣等感・嫉妬・羨望・憧憬・嫌悪・軽侮……隠しておきたい感情・見せたくないし見たくない感情ばかり綴られる。

    『スペードの3』
    某歌劇団出身のミュージカル女優つかさ様のファンクラブを仕切る美知代の物語。
    子どもの頃から委員長タイプの彼女。感じていた優越感は「あのコ」の出現によって劣等感にすり替わり、焦燥と嫉妬に襲われる。昔も今も。
    ――いくら待っていても、革命は起きない。私から動かないと。

    『ハートの2』
    自分の容姿に劣等感を持つむつ美の物語。
    容姿のせいで自分に自信がなく、小学校でも中学校でも軽んじられていた彼女の踏み出した小さな一歩は呼び名を変えるところから。
    ――誰かのためなんて言い訳せずとも、自分のためでいいのだ。私は、私のために、よりよくなりたい。

    『ダイヤのエース』
    美知代、むつ美のあこがれの存在である、つかさ様の物語。
    舞踊学校の同期で女優の円(まどか)が引退するというニュースに、昔から彼女に抱いていた鬱屈した想いが頭の中でぐるぐる巡る。
    ――どうしていつもあの子だけ。私にはなんにもないのに。


    朝井さん作品を読むのはまだ2作目。作風もわかっていないけど、前回も今回も「達者な文章と端正な構成」と思う。
    それは、どんなに巧くてもツクリモノ=小説であることも実感させるけれど、勿体なさを感じるよりも、ほっとするのが正直なところ。
    リアルを超えたリアル。
    彼と同世代を描いた等身大の物語はその辺りどうなんだろう?ぜひ読んでみなければ。

    • 九月猫さん
      vilureefさん、こんばんは♪

      お返事遅くなってごめんなさい~っm(_ _)m

      「情熱大陸」観ました観ました!
      あれ観て、...
      vilureefさん、こんばんは♪

      お返事遅くなってごめんなさい~っm(_ _)m

      「情熱大陸」観ました観ました!
      あれ観て、朝井さんが「リョウくん」と呼びたくなる好青年だったので、
      「世界地図の下書き」を読もうと思ったんですよー(*^-^*)

      私はこの本が2作目なので、構成も巧いなと思ったのですが
      「何者」を先に読むと二番煎じに感じるんですね。
      先日お話しした読む順番の問題がここにも・・・!!
      「少女は卒業しない」は爽やか全開、っとφ(・ェ・o)~めもめも。
      朝井さん作品、この2作は読むことにします。
      全部追えるといいんですけれど、読むのが遅いので・・・(T_T)ムリっ
      なので、こうしていろいろと教えていただけるとありがたいです♪
      本当にいつもありがとうございます(*´з`)♡
      2014/05/08
    • 九月猫さん
      koshoujiさん、こんばんは♪

      コメントありがとうございます。
      お話させていただくのは「初めまして♪」ですよね。
      なのになのに...
      koshoujiさん、こんばんは♪

      コメントありがとうございます。
      お話させていただくのは「初めまして♪」ですよね。
      なのになのに、お返事遅くなってしまって、ごめんなさいっm(__)m

      朝井さん、文章と構成がとても巧いなぁと感じます。
      「世界地図の下書き」→「スペードの3」と読み、どちらも傾向が違う作品だったうえに、
      朝井さんのこれまでの作品と違うとか「こんなのも書くんだ?」という感想をよく見るので
      なんだか私にとってはまだ「つかみどころのない」作家さんです。
      でも、他にも読んでみたいと思う魅力ある作家さんでもあります。

      vilureefさんに、まろんさん。
      そして朝井さんファンのkoshoujiさんもおススメの「少女は卒業しない」は
      ぜったいに読もうと思います。
      おススメありがとうございますー♪
      2014/05/08
    • koshoujiさん
      九月猫さん、コメントありがとうございます。
      「少女は卒業しない」是非お読みください。
      ついでに「もう一度生まれる」と「星やどりの声」もお...
      九月猫さん、コメントありがとうございます。
      「少女は卒業しない」是非お読みください。
      ついでに「もう一度生まれる」と「星やどりの声」もお薦めです。
      もちろん「桐嶋、部活やめるってよ」もですが。
      結局全作品お薦めしてしまいますが(笑)
      でも、私にとっては、常に感動させてくれる若き天才作家です。
      2014/05/08
  • とある歌劇団がらみで、若い女性の生き方をめぐる連作集。
    「スペードの3」「ハートの2」「ダイヤのエース」の3編。

    「スペードの3」
    香北つかさのファンクラブは、つかさが歌劇団を卒業してもなお、「ファミリア」として続いていた。
    ファン達を仕切る美知代は、有名化粧品会社勤務と思われているが、実際は関連会社の事務。ファンクラブのリーダーとしてここでしか感じられない優越感にしがみついていた。
    子供の頃はそつのない学級委員だったが、ある日かわいくて才能もあるクラスメートにあっさり、その座を追われた過去があった。
    そしてここでもまた‥
    美知代の生き方が最初から破綻するだろうと思われて、意外性がないですね。
    学級委員が大人になればただの人、って普通だし。
    追い詰めるほうも、感じ悪く見えてしまう。
    展開に少々難あり、ってことかな。

    「ハートの2」
    地味で目立たない女の子だった明元むつ美。
    劇団のスター・香北つかさに憧れていた。
    演劇部では裏方の美術を務めて、重宝がられていた。
    それなりのやり甲斐もあったが、がんばって、変身することに‥?

    「ダイヤのエース」
    男役のスターだったつかさは、退団後、だんだん仕事が減ってきている。
    オーディションで演出家に「いつも優等生でリーダー的な存在だった恵まれた人間が、人の心を動かすことなんて出来るのか」と厳しい言葉を浴びせられ、答えられない。
    (え、本気で‥?そんなこと言う人間がいるのか)
    つかさの同期の沖乃原円(まどか)には、生い立ちにドラマチックな不幸があり、劇団受験の頃からテレビ番組に取り上げられていた。
    そんな円が引退することになり‥
    つかさも引退を妄想するが‥

    作家さんが恵まれた優等生であることに批判的な見方をされたことでもあるのかな?
    いやそんな‥ めちゃ変てこな面白い人じゃないですか。
    人間はみんな違いますからねえ!
    若くして有名になることもある意味、特異な不幸かも(苦笑)

    前に読んだんですが、登録もし忘れていたよう。
    登場人物が歌劇団のファンらしく感じられず、あまり好きになれなかったので、感想を書くのをためらったのです。
    ずっと読んでいる作家さんなので、一応、書いてみました。
    こういう作品もあったね、という若い作家さんの道筋をたどる気持ちで。

  • うーん、面白くないわけではないんだけど、なんていうか、こう...あんまり来ないんだよな。
    嫌な人じゃないのにすごく自分にとっては何もかも上手くいかなくなってしまうような存在に、振り回される姿は読んでいてちょっと辛い。
    いやいや悪くないんだけどね、朝井リョウくんの爽やかさは全くないね。

    演劇というモチーフを通して、自分を演じている3人の女性のお話です。
    学級委員で今もファン会員をまとめるリーダーの美千代、クラスの底辺的存在だったけど自分のために頑張って自分を変えたむつ美、特別な物語がない女優のつかさ。
    それぞれすごく頑張っていて、そんなに苦しまなくても大丈夫だよと肩をぽんと叩いてあげたくなるような子たちで、ハッピーエンドまでは行かないけど、最近の言い方なら「ありのままの」自分をちょっと見つけられた感じです。
    愛季ちゃんがどっちかっていうと計算高そうな印象だったんだけど、ふつうにすっごくいい子なのかしら。

    それにしても、何で朝井リョウくんを読んで「ああ、女って嫌だなー」って思わないといけないのか。

  • ------本文冒頭
    ファミリアは砂鉄に似ている。誰も、磁石の力に逆らうことはできない。


    ―――朝井リョウの表現について研究する。

    189P
    “たった四人だと、春休みの学校はこんなにも広い。”
    相対的なものの見方。
    同じ学校でも人が多ければ狭く感じるし、少なければ広く感じる。
    たとえば、同じ気温でも、シチュエーションが異なれば、暑くも感じるし、寒くも感じる。
    もう一つ、これもそうだ。
    215P
    “からっぽの胃の中に、ぬるい水が落ちていく。満たされている感覚よりも、空白の部分が際立つ感覚のほうが強い。”
    満たされることよりも、空白になる感覚から物事を表現する。
    このような感覚の表現が新鮮で的確なのだ。
    彼の小説には、そういった表現が頻繁に使われる。
    これは天性の才能だろう。
    或いは、幼い頃から、物理的な現象や心の中で思い描く感覚が人一倍鋭いのか。 

    研ぎ澄まされた五感から産まれ出てくる文字表現。
    現代作家の中でこれほど優れて心に染み入るような文字表現できる人間は数少ない。
    この作品でも、このような秀逸な表現が至る所で見られる。
    そして、まるで女性の内面を知り尽くしているかのような心情表現。
    これもまた、彼の天賦の才というべきものだろう。

    演劇界のスターと、それを取り巻くファンたちの姿。
    彼女たちはどんな理由で、どんな視点で、その位置を保っているのか?
    叙述ミステリーのような一面をも持ったこの作品のなかで、彼女たちは葛藤する。

    • 九月猫さん
      koshoujiさん、こんばんは♪

      先日は同作の私のレビューに花丸とコメントをありがとうございました。
      そちらにもお返事書いておりま...
      koshoujiさん、こんばんは♪

      先日は同作の私のレビューに花丸とコメントをありがとうございました。
      そちらにもお返事書いておりますが、おススメいただいた「少女は卒業しない」は
      近いうちに読もう!と決めました(*^-^*) 楽しみです♪

      研究風のレビュー、いいですね。
      215ページの表現は私も印象深かったです。
      この感覚は実際に何度も感じたことがあるのに、「空白」で表現することはなく……
      確かに新鮮ですね。

      朝井さんは、私にとってまだまだ未知の、でもなんだか惹かれる作家さんです。
      koshoujiさんの本棚には、朝井さんの他にも興味がありながら未読の作家さんも多く、
      選書とレビューを参考にさせていただきたいなと思います。
      ということで・・・フォローさせていただきました。
      どうぞよろしくお願いいたします(*- -)(*_ _)ぺこり。
      2014/05/08
  • 相変わらず読みやすく、わかりやすい。

    一話目は何かにハマったオタクの物語ではなくて、そういう小さな世界を探して王様になろうとする人が、そんな自分の行き場の無さをちゃんと自覚する話。
    二話目は誰かの模倣でもいい、誰かのためという欺瞞を捨てて、自分のために、なりたい自分になろうと決意する話。
    三話目は、人を羨み嫉妬する自分を、なんの物語もないけれど努力はしてきた自分を、ちゃんと受け入れる話。

    朝井さんの目線はいつも優しいな、と思う。
    弱い人や流されやすい人はいても、どうしようもない悪人はいない。みんな自分なりに精一杯足掻きながら、間違えながら、生きているのだなと思う。

  • 宝塚歌劇団をイメージモデルに、その周囲の女性3人を描いた群像劇。

    なんだかんだと、つい著者の作品はほとんど全部読んでしまっている私。本作はその中でも、私個人の評価としてはいまひとつのほうかも。

    乱暴に言ってしまうと、ハートフルなものと、人間心理の微妙なダークサイドを描いたものとに分かれる著者の作品だが、本作は後者。
    こういうタイプの作品は嫌いではないのだが、小技を効かせようとしすぎて散漫になってしまった印象が否めず、少々残念である。
    次回作に期待。

    どうでもいいことだけど…大富豪ってそんなルールだったっけ。忘れてる〜。

  • 作者は男性なのに、どうして女の嫉妬心が解るんだろう?
    特に思春期の外見に関するそれは、男性の理解を超えるものだろう。
    自分のイヤな所(むつ美で言うと癖毛)が受け入れられず、
    この世の終わりかというほど悩んでしまう。
    そして自分が欲しいものを持っている人が、羨ましくて妬ましい。
    あぁ、かつて通った道だと思う。
    むつ美の大変身は正直無理があると思ったが、
    この若さでこれだけ女性心理が描ける男性作家は、他にいないんじゃないかな。

    最後に、気になったことを一つ。
    「桐島」の時は美しいと感じた技巧的な比喩表現が、今回あまりに多過ぎて少々鼻白んだ。
    ピリッと印象に残るような、もう少し効果的な使い方があるのでは?

  • 朝井リョウはどんどん変化していく。
    でも、行間に埋め込まれた、赤ん坊の爪のような薄くて鋭い刃は健在なので、読み進めるに連れてどんどん細かい切り傷が増えていく。ヒリヒリと、痛くてたまらない。
    特別な場面はないのに、ずっとドキドキして、怖くてたまらなかった。
    「学級委員」の立場を守ろうとする心理。特別な物語を求める心理。「自分のため」を押し隠そうとする心理。
    どれもみな思い当たることばかりで、だからドキドキするんだろうと思う。

    「待っていても革命なんか起きない」という言葉がいちばんぐさっときた。誰も他人のためになんか、革命を起こさない。変えるのはいつも自分だ。
    ダークで、やりきれない物語の底に、そっと置かれた励まし。「そこにあるのは、そのときのその人自身」
    ぶるっと心が震える一節だった。

  • ちょっと期待外れかな〜。話しとしては面白いと思うけど、リアリティに欠ける感じが…。

    女性特有の少し癖がある仲間意識、連帯感、腹黒さは分かるんだけど、まだまだ粗削りな文章だった気がします。

    表題作のスペードの3は学生時代の人間関係、いわゆるスクールカーストというんですかね、それをそのまま大人になっても引きずっている美知代の話。この話が一番良かったけど、こんな人いるかな?とか思ってしまいました。

    大人の女性を描くのはまだ早かったのでは…という印象でした。

  • ミステリ的な手法を用いてみたり(しかもそれがちゃんと効いてるんだよね)
    新境地といえる部分もありつつも
    章ごとに目線が違ってて尚且つ繋がってる話の造りや
    読後に受けるちょっとした痛みやなんかはもう
    朝井リョウの真骨頂といっても過言ではないかも(いや、過言か)。
    時系列の使い方がこれまた効果的なのか
    繋がりが以前ほどがっちりじゃないところが
    学校の中から外の広い世界に飛び出した感じがして
    朝井氏も社会人になったんだなぁと何となくしみじみ。
    とはいえどんな手法を使っても最後には
    『朝井リョウ』の世界にちゃんと着地するんだよなぁ…。
    この若さで揺るぎないスタイルを持っているのは凄いことだと思う。

    個人的には美知代が嫌い(爆)。
    最後に圭子とアキに遣り込められる(?)シーンはスカッとした(笑)。
    それと、3編めで悩むつかさ様がいじらしいというかなんというか。
    (傍目で見て)不幸な自分を売りにできる沖乃原円って人は
    一般的には強かとか計算高いとか言われる種類の人だと思うんだけどどうだろう???
    2編めのむっちゃんに関しては…なんつーか
    1編めに出てきた彼女を考えるだに『よく頑張った』と誉めてあげたい。
    そして弟がやっぱりひどいと思った(爆)。

  • 正直よくわからない部分が多かったけど、
    女って面倒な生き物だなと思った。
    男にもあるのかもしれないけど、
    牽制のし合いでドロドロになるのは女な気がする。

    それでもきっと抱える想いの複雑さは誰にも解らない。本人だけのものだと思う。


    1つだけ好きなシーンがある。
    美知代が名前を告げるとこ。

    言わなくても伝わるなんて幻想だと思うから。。。。
    カードを持ってるだけじゃ革命は起きない。


    (図書館)

  • はじめて朝井リョウさんの作品を読んだ。若い男性が書いたという先入観が無ければ、これは女性作家の作品だと思って読んでいたかもしれない。女性の人間関係の中にありがちな、微妙な心の揺れを捉えていた。

  • とにもかくにも、113ページの衝撃。えええええ!ってなりました。朝井リョウの小説を読んでいると、「ん?え?そうゆうこと?どうゆうこと?わーまじか」ってなる瞬間に出会えることが多くて、この瞬間がたまらなくて病み付きになっちゃいます笑
    この小説では、個人的にむつ美が優勝。かっこよかった!

  • 「どれだけ待ってても、革命なんか起きない」
    ー明元むつ美

    朝井さんの書く学生は小学生から大学生まですごいリアル。

  • 著者の作品は「何者」しか読んでないのですが、狭い世界での息苦しさとか若さゆえの焦りとかが上手に描けており、とても繊細な作家さんだという印象でした。(ターゲット層が若い感じなので次の本になかなか手が出ませんでしたが)

    なので期待して挑んだ本作でした、が…

    残念ながら期待外れでした。
    宝塚の追っかけ女子を主役に話が始まり、次の章ではその追っかけ女子の幼馴染を主人公にし、そして最後の章では追っかけられてる宝塚スターさん目線のお話で物語は完結します。
    まあ要するに3人の女子目線のお話なのですが、彼女たちの心理描写に違和感があって、全く感情移入できませんでした。
    しつこいようだけど、「何者」で見せた若者の心理描写は若さゆえの甘さまでが計算されていてすばらしい!と思ったのにさ。
    異性を描くのは難しいってことなのかしら。
    女子の黒い心理は女子じゃなきゃ描けないのかもしれません…

    それともう一つ言いたいのが、最後の宝塚スターさんのお話は着地点がみえたからいいんだけれど、先の二つのお話は中途半端で、もう少し兆しを丁寧に描いてくれないと成長の過程が想像しにくく、現在の、というか未来の彼女たちに繋がらなくって。
    あれを余韻としてわざと描いていないのだとしたら、それは計算違いだと著者に言いたいです。生意気すいません。

  • ミュージカル女優のファンクラブまとめ役という地位にしがみついている美知代。
    地味で冴えないむつ美。
    かつての栄光は見る影もない女優のつかさ。
    待ってたって、「革命」なんて起きないから。
    私の人生を動かしてくれるのは、誰?
    (アマゾンより引用)

    オムニバス短編。
    表題作は面白かった(*´∀`*)
    その後もちょっと見てみたい気分。
    残り2作はまぁ…面白くはあったけど、うん…

  • 私設ファンクラブに入ったのか朝井さん

    男役(中山可穂 角川書店)に続く、宝塚をモチーフにした小説シリーズ。

    朝井さん、戦後最年少で直木賞をとった「桐島、部活やめるってよ」の方。存じ上げておりますが、この方の文章を読むのは初めてであります。

    宝塚のファンサイドの話は凄い、私設ファンクラブに入ったのか朝井さん、という感じです。もしくは現役のファンクラブの人、しかも代表に近いサイドの方に取材をしたのか。

    とっても独特な、宝塚ファンの女性たち。そのある元生徒のファンクラブの代表である女性の、小学生の頃のエピソードと現在を行ったり来たりさせて進み、第3章まで3人+、1人の女性の話を展開していきます。

    実際7回の連載だったようで、これを毎月ちょっとずつ種明かししながら読んでいくのは楽しかっただろうなあ。

    これがそうつながるか!といううまい構成ですね。

    そして一人称が出てこなかった愛季。一人称が出てこなかっただけに、みんなの中での憧れ的存在に描かれていてある意味、スターよりも魅力的に映ってしまいます。

    おそらくね、彼女も心の中ではあれこれドロドロのこと考えてたんじゃないのか、それを隠し通せるだけ一歩上手だったのか、それとも本当に心からの善人だったのか、そういう部分を想像できる、そういった余白もきっちりと作られていて楽しかったです。

    楽しかったのでアイドルをテーマにした「武道館」やその他の小説もお読みしたいですね。

  • 朝井さんって男性作家さんなのに、女性の心がここまでわかるってすごいです。女性特有のモヤモヤしている心の内。朝井さんは大好きな作家さんの一人なのですが、この作品はあまり入り込めなかった自分がいました。 また時期をあけて、もう一度読み直してみようと思います!

  • 明らかな救いがないから、辛くて一旦読み止めてしまったけれど、やはり気になって読了。
    「自分の気持ちに気づいて認める」の過程や表現がリアル。リアルだし、登場人物の「その後」がないから辛い印象が色濃く残ってしまう。しかし、だからこそ物語がありきたりな救いでうやむやにならない。
    辛いけれど、気になって読んでしまうんだ。

    ブログ、掲示板、Twitter、YouTube、NEVERまとめ...
    物語に関係ないけれど、作者はどうしてここまで躊躇なく(実際に躊躇ないのか分からないけれど)現代を取り入れられるのだろうか。

  • ラストで自分もズルいことをして逃げそうになっていたけど、踏み止まってくれてよかった。
    そして自分のために演じようと決意してくれたのもすごくよかった。
    朝井リョウさん、とっても素直な青年なんだなと文章から伝わってきて大好きです。

  • ファンクラブのまとめ役にしがみつく美知代、地味で冴えないむつ美、ピークを過ぎた舞台女優のつかさ、女性3人の物語。
    女性のドロドロした感情、毒々しさが痛い。待っていたって「革命」は起きない。その通りです。。
    それぞれ最後は顔を上げて前に進んでいくけど、読後は登場人物たちのようにスッキリとはいかず、ヒリヒリ感が残った。

  • 図書館で、46人待ちした本。夏休みくらいに予約して、年末にやっと回ってきた。

    この本は3部構成なのだが、最初の「スペードの3」の話が一番共感出来た。

    自分が全てを動かしていると思っている美知代だが、自分より可愛くて、なんでも器用にこなしてしまう転校生の亜季に、クラスでの名声も、学級委員という地位も、演奏会での伴奏も、好きな人も、あっさりと取られてしまい、平穏な日々は奪われる。

    それから何十年も経ち、大人になっても、美知代は小学校の時のままの性格。小学校の同級生だった明元むつ美と再会し、またもや美知代の平穏な日々は奪われることに。そして、「あなたは何でも自分中心に回っていると思っている、変えたいなら自分から行動しなくちゃ」と言われる。そこから、やっと美知代は自分の非を認め、自分から行動するようになる。

    私の周りにも可愛くて器用で何でも出来る人がいて、そういう人を見るたびに、「世の中って不公平だな~」と彼女たちを羨んだりもしたものだなあ。

    また、3部の、感情を上手く出せないつかさにも共感した。彼女は、感情を素直に出して皆に可愛がられる円と同期。いつも比べられてきた。感情を素直に出されると、妙に冷めてしまうところに非常に共感してしまった。

    素直で女らしくて、何でも出来て、感情豊かな女性に憧れます…。

  • 中学生の描写はうまい。スクールカーストを意識するような層にはたまらないと思う。中高生に支持されているのは理解できる。
    しかし、自分が追っかけだからか、それなりにファンがいている人の追っかけをしていて、熱心なファンをまとめるファンクラブの会長を務めるレベルの追っかけをしている人が、思想的にこんな考え方するとはとても思えなかった。自分が追っかけの対象にお金を使い続けることへの葛藤とか、自分のこれからの人生とかに思いを馳せてないのがちっともリアルに感じられない。
    また、ファンクラブ会長が主役の章では、意図的にかと思うほど、追っかけの対象への愛や魅力が語られない。なので一章は大変感情移入しにくかった(2章では中学生が主役になり、感情移入も入りやすく、格段に読みやすくなる
    モデルにされているであろう宝塚のファンの人がこれを読んだら、自分達はこんな低レベルな気持ちで応援してないと怒っていいと思う。大人の追っかけ、オタクを書いた本だから、という理由で追っかけの人たちがこれを読むのはやめた方がいいです。私はそういった気持ちで読んでしまい、とても反省しました。

  • 誰でも人より注目されたい、好かれたい、かっこ良く思われたいという欲求はあるもの。
    その欲求が物語でうまく表現されてた。人のそんな部分はゲゲーという感じで見たくないけど、自分のことならお構いなしに行動しそう。
    ズルいと思われようが、それをやってしまえるのも才能かも。
    ずる賢く、図太くいかねば。

  • 女子による女子のための
    女子が女子を貶めるお話が3つ。

    朝井リョウが書くから、納得。
    女流作家が書いたら、生身なかんじがして、
    ちょっと引いてしまいそう。

    学校でも職場でも子育て母も、
    こういうの、女は一生続くからね。
    気配に敏感で、
    受ける心は鈍感なくらいで調度いいのかも。

    読んで、「女、怖ぇー」と思ったあなた、
    序の口だぜ。これって。

  • 羨ましい存在が隣にいたら、どうするか。

    表題作「スペードの3」タイトルが印象的。大富豪のスペ3ルールは、あるときとないときがあったけど、これを後生大事に握りしめておくのが最善の作戦でないことは、大富豪を何度かすればなんとなくわかっていた。革命なんて待っていてもおきないのだから。

    宝塚を模した劇団、そしてそのOG女優と、ファンクラブ。その不思議に規律のとれた様子は、確かに「学級」かもしれない。そして「学級委員長」がいる。なんとなく腑に落ちた。学級委員長は名誉職だ。何の利益もないけど、クラスをコントロールしている。でも、あれほど脆い権力もない。本当に信頼されてリーダーになっているのならともかく。ただのまとめ役でしかないのだから、他に優れた人が来れば、すぐにとって代わられる地位なのだ。

    革命を起こしたのが、第二章の主人公であるむつ美。彼女は自分で革命を起こそうとした。その強さは「ハートの2」である。

    最後のつかさの話も印象的。これひとつで一冊書けそうな気もする。とはいえ、美知代とむつ美の章があってこそ、そこで語られていた「つかさの物語」との違いに、引き込まれるのだろう。

    人々を納得させる物語を背負った人を、わたしたちは応援したくなるし、騒ぎたくなる。悲しい物語を持った人の悲しみは、よく伝わる。でも、喜びも、怒りも、背負った説得力以外のものも伝えられるとしたら、それはその人の努力の成果であり、羨むものではなくなってしまう。そんな存在が、隣にいたら。でも、つかさは円を嫌えない。円がそんな見せかけの物語だけじゃなくて、本物だと知っているから、何も知らない人たちと同様になって、本当は本物である円を嫌う自分はみっともないから。

    最後につかさは自分の物語がないことに開き直るけれど、それはつまり自分のカードで勝負するということ。タイトルの「ダイヤのエース」は、まさに、最強には少し足りないつかさみたい。

    美知代は小さくても革命を起こそうとする。むつみは革命を起こした。つかさは革命を起こさないことを選ぶ。わたしは三人の決断をそのようにとらえた。つかさのはある意味革命かもしれないけれど、ひっくり返さず戦いを続けるのだろう。むつみは革命に成功したけど、いつ革命返しが起きるかわからない。美知代の革命はどうなるかわからない。三つの短編は時間軸がずれていて、その後が描かれていないから。

    でも、戦いを降りるという選択肢がないことに、ちょっと厳しいものを感じた。朝井リョウは、どうしても序列から逃げられない自分というメッセージを伝えたい作家なのかな、と思う。

  • 3人の女性が主役の短編連作集。
    嫉妬、劣等感、優越感…
    女性のダークな部分がヒリヒリと描かれていて
    胸が痛くなりました。
    これを 男性の朝井さんが書かれたとは
    益々 楽しみな作家さんです。

  • あぁ、そういう事なのか…
    私自身がいわゆる「女度」が低い。そして、「女度」が強い人が苦手で親しい友人は「さばさば」している。
    私からすると、理解不能だった人の行動が腑に落ちた。
    女のどろどろって、無くならないんだろうな。男の人も有るけど、陰湿さはやはり女の特性なのかもしれない。
    こんな事に四十路になって気づくとは、我ながら友人知人に恵まれて来たと思った。大切にしなくっちゃ

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著者プロフィール

朝井 リョウ(あさい りょう)
1989年、岐阜県生まれの小説家。本名は佐々井遼。早稲田大学文化構想学部卒業。
大学在学中の2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー、後年映画化された。
大学では堀江敏幸のゼミに所属し、卒論で『星やどりの声』を執筆。2013年『何者』で第148回直木賞を受賞。直木賞史上初の平成生まれの受賞者であり、男性受賞者としては最年少。『世界地図の下書き』で、第29回坪田譲治文学賞受賞。
その他代表作に『少女は卒業しない』、映画化された『何者』がある。

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