球童 伊良部秀輝伝

著者 :
  • 講談社
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感想 : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (330ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062188944

作品紹介・あらすじ

2011年7月、伊良部秀輝はロサンゼルスの自宅で自ら命を絶った。享年42。
日米両国の野球界で活躍した右腕が残した成績は106勝104敗に過ぎない。しかし、その数字では語ることができない記憶に残る投手だった。158キロの日本球界最速記録達成、大リーグ移籍をめぐる大騒動、アジア人初のチャンピオンリング獲得(ワールドシリーズ制覇)、2度の逮捕歴、複雑な家庭環境、突然の死・・。
沖縄県コザ(現在の沖縄市)に生まれた伊良部は、尼崎で少年時代を過ごし、野球の才能を認められ、香川尽誠学園にスカウトされる。87年のドラフト会議でロッテに1位指名を受けて入団。94年には最多勝、最多奪三振のタイトルを獲得し、その実績を引っさげヤンキース入り、98年にはチームの世界一に貢献した。2003年には日本球界復帰、阪神タイガース入りしてチームをリーグ優勝に導く。05年に一度は引退し、ロサンゼルスでうどん屋経営に乗り出すが、09年から米独立リーグ、四国・九州アイランドリーグで再びプレーする。そして10年1月に引退を表明した。
伊良部は、多くの人とぶつかり、誤解されながらも、野球を深く愛し、活躍の場、自分を認めてくれる場を求め続けた。それはコザ、尼崎、善通寺、千葉、ロス、ニューヨーク、大阪、高知と、日米各地をめぐる長い旅でもあった。
死の直前に伊良部本人にロングインタビューをした著者は、伊良部秀輝の歩いた日米の土地を歩き、知人たち、さらにはメディアの取材に登場したことがない実父を訪ねる。いままで誰も知らなかった「伊良部秀輝」の姿が、ここにある。

感想・レビュー・書評

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  • 田崎さんの作品は、本当にどれもよく取材されていて、単に話を聞いた、関係者の話を集めた、というレベルを大きく超えています。

    一人の人の生き方、生き様が、重みと厚みを込めて読み手に伝わってきます。なかなか、こんな描き方ができる書き手はほかにいません。

    あまりにも特異な才能に、精神の強さがバランスできていないとどんなことがおきるのかがこれでもか、と描かれています。
    読んでいて苦しくなりました。

    もうちょっと気楽に、
    もうちょっとほどほどに、
    気持ちを落ち着けることができたら。

    好きな野球、好きなピッチングを続けてくれたら、どんな名勝負がもっとみられただろう、と思わずにはいられません。

    伊良部・清原の対決シーンは、ある程度の年齢層のひとには、忘れられない緊張感を今でも思い出させてくれます。

    あの名勝負の主人公が、ほんの15年ほどの間に全く違う姿になってしまいました。

    とても複雑に想う。
    そんな読後感です。

  • 私自身は実物を見たことがない。しかし、本書の登場人物(証言者)には馴染みのある人たちが多い。ここの証言者以外でも、接点が少しでもあった人たちと話せば、(プラス・マイナス入り混じった)それぞれの強烈な思い入れが感じられる。特異な野球人であったことは間違いない。「ブーブーな。こうやってちゃんと残る形にしてもらえたことは良かったんと違うかな」。証言者の一人となった元チームメートは、遠くを見るようにしてそう言っていた。本書は伊良部秀輝の真実を描くことを目的としたノンフィクションというよりも、伊良部秀輝に関わった人たちからのレクイエムだと思う。

  • 高校時代に香川にいたので、うどんにうるさい。
    投資活動もしていたみたい。
    利にさとい
    酒で身を滅ぼす?
    対マスコミで軋轢も。

  • 昔から伊良部の球は速くすごいピッチャーだと思っていた。なのになぜ球史に残るような記録・記憶がないのか不思議で・・・。彼を教えた指導者に問題があるのか・・。結局、彼は人と接する手段として野球をやっていたのかな~。

  • 「球童」というより「悪童」、もしくは躯は大人だが、精神は子どもという意味の「マンチャイルド」で、自分には甘く、他人に厳しい。自分を認めてくれる人間としか付き合わないという性質は高校時代の甘やかしに端を発し、プロ入り時には注意事項として怒り方までアドバイスされ球団を唖然とさせる。たまたまヤンキース時代に錚々たる面々と共にしたため投球術の知識は吸収したが、練習も自主的にはせず、マウントでは容易く冷静さを失い、飲酒で体を傷つける。伝記も芯のないまま上滑りしたまま終わり、妻の証言や投資の実態などは書かれていない。

  • 良い意味でも悪い意味でも子供だと思いました。表紙の写真が最高です。

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著者プロフィール

1968年3月13日、京都市生まれ。ノンフィクション作家。
早稲田大学法学部卒業後、小学館に入社。『週刊ポスト』編集部などを経て、1999年末に退社。
スポーツを中心に人物ノンフィクションを手掛け、各メディアで幅広く活躍する。著書に『W杯に群がる男たち―巨大サッカービジネスの闇―』(新潮文庫)、
『偶然完全 勝新太郎伝』(講談社)、『維新漂流 中田宏は何を見たのか』(集英社インターナショナル)、『ザ・キングファーザー』、
『ドライチ』『ドラガイ』(カンゼン)、『球童 伊良部秀輝伝』(講談社 ミズノスポーツライター賞優秀賞)、『真説・長州力 1951-2015』(集英社インターナショナル)
『電通とFIFA サッカーに群がる男たち』(光文社新書)など。

「2019年 『ドラヨン』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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