愚民文明の暴走

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (226ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062188982

作品紹介・あらすじ

食品の偽装表示問題しかり、秘密保護法案反対デモしかり、自民党独裁から民主党そして自民党への反動票しかり、市場主義経済への賛成または反対しかり、「民意」という名の価値観のブレそのままに、ものごとの判断基準が揺れ動きつづけている時代。偽善、偽装、偽造が根深くはびこる現代ニッポンはこれからどこへ向かおうとしているのか? いったいいまの世の中において正しい考え方とは何なのか? 無責任極まりない近代大衆社会の病について深く洞察し、民主主義・人権主義の偽善について警鐘ならしつづけてきた評論家・呉智英と、「B層」をキーワードに、大衆社会の落とし穴を指摘し続けている新進気鋭の哲学者・適菜収が、現代ニッポンの真の「病の姿」を赤裸々にあばき、その解決法について徹底的に考察し論じ尽くす。いったい何が正しい考え方で、何が間違った思考法なのか。哲学的、社会学的、歴史学的見地から現代人が、世の中の悪癖から解き放たれ、より良く自分の生を生きぬく思考の術を手に入れられる必読の書だ。

感想・レビュー・書評

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  • ●一貫して正しいことを言うためには、知識以前に教養が必要になる。教養とは、「判断の基準をどこに見いだすか。」「価値に対する態度。」である。
    ●例えば参議院は「良識の府」と呼ばれています。それでは選挙で良識を選べるのかと言う問題がある。多数決の根本にあるのは反知性主義でしょう。1人のソクラテスより2人の泥棒の意見を採用するのが多数決です。そうなると、多数決で良識を選ぶと言うのは、かなりおかしな話になる。
    ●大江健三郎はかなり権威主義。日本の文化勲章と文化功労賞などは受賞拒否しているくせに、ノーベル賞やフランスのレジオン・ドヌール勲章とかはもらう。
    ●ルボンが言っているのは、個別にはたとえ優秀な人間であっても、群衆になった瞬間に、人間性が変質していくと言うことでしょう。
    「愚かな人間が集まっても意味がない。」などとつまらないこと言っているのではない。
    ●右翼と保守。保守は近代の不可逆性を認識した上で、現実から出発する。一方右翼の本質は理想主義でしょう。
    ●メディアの発達が社会を破壊するとキルケゴールが言っていますが、その最終的な姿がネットの掲示板やSNS、Twitterだと思います。人間はいろんな事件に直接コミットする機会を奪われ、傍観者、第三者としてしか存在できなくなると予言していた。まさに今の社会においては誰もがコメンテーターになっている。
    ●少し前までの大衆は、自分が専門分野に口を出す資格がないと言うことぐらいはわきまえていた。しかし現代大衆は、喫茶店での話題から得た結論を、実社会に強制することが正しいと思い込むようになった。
    ●左翼は歴史を説明する原理があると思い込んでいる。左翼と陰謀論の親和性はそこにある。

  • インテリ同士の雑談って、こんな感じで知識のひけらかしあいなんだろうな。

    呉さんの書き物は好きなんですが、「朝生」出演したときに借りてきた猫のようにおとなしかった印象が強く、口下手なのかと思いきや、本書では立て板に水の如きで少し驚きました。

    そういえば、流行りの言論人を招く「朝生」に適菜収氏が呼ばれないのはなぜだろう?

    クセの強い日垣隆氏でさえ出演したことがあるのに・・

    司会者の田原総一朗のサロンみたいなものだから、佐高信氏や猪瀬直樹氏のような人でも出演できるんだろうが、もういい加減マンネリ気味の番組なんだから、討論に刺激を与える意味でも出演者の選考ぐらい司会者に忖度なしで、プロデューサーが勝手に決めればいいのにね。

    あっ、本の内容ですが、一生読まなくても全然困りません。

  • 【由来】


    【期待したもの】

    ※「それは何か」を意識する、つまり、とりあえずの速読用か、テーマに関連していて、何を掴みたいのか、などを明確にする習慣を身につける訓練。

    【要約】


    【ノート】


    【目次】

  • 対談形式で書かれてあるので読みやすかった。2回目読んでみたが、前よりも少しは理解出来たのかも知れない。本当のところは分からないが。というより前読んだ時のことはほとんど覚えていないが。ともあれこの2人がどういう位置付けに居るのか知らない、少し疎外されている気配すら感じるのだが、言っていることも頷けるところが多々あるので、分からないなりにもこれから学んでいきたい。活動的な馬鹿が一番危険だと書いていた。俺もそうかも知れないと思うが、懲りずに本を読もう。特に最後の章の政治の免許制は大賛成、哲人政治大賛成だ。民主主義の危うさはようやく理解した。

  • 読んだけど頭に入っていないような気がする。そもそもの教養がかなり要求されるので。

  • 「読書で賢く生きる」紹介

  •  本の内容として多くの人は拒絶反応をするだろうとは思うがそもそも突き詰めていけばおおかたこのような論点に行き着くのはありなのかもしれない。

     右でも左でも一番大切なことを忘れている今現在、いかに面白く世の中を渡り歩いていくかだけに焦点が絞られているその解説書だと思っていれば嫌いな人でも我慢できるのではないか。そして、そこからまた何か一つ掘り起こすことができれば素晴らしい事ではないだろうか。

     それができるかできないかで世の中は変わっていくその流れに乗るのもまた楽しみの一つになることだろう。

  • ところどころ卓見があるし、面白い分析もある。
    でもなんか、適菜さんの方が「浅い」というか「若い」というか。呉さんに「別にそれはいいんじゃない?」とうまくかわされるところが多くて、それはその通りだと思った。
    呉さん相手に、力が入りすぎちゃったのかな。

    あと特に左翼とかフェミニズムとかへの攻撃のときは、「それって藁人形では?」と思う箇所がいくつか。

  • 140708

  • 14/07/06。

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著者プロフィール

評論家。1946年生まれ。愛知県出身。早稲田大学法学部卒業。評論の対象は、社会、文化、言葉、マンガなど。日本マンガ学会発足時から十四年間理事を務めた(そのうち会長を四期)。東京理科大学、愛知県立大学などで非常勤講師を務めた。著作に『封建主義 その論理と情熱』『読書家の新技術』『大衆食堂の人々』『現代マンガの全体像』『マンガ狂につける薬』『危険な思想家』『犬儒派だもの』『現代人の論語』『吉本隆明という共同幻想』『つぎはぎ仏教入門』『真実の名古屋論』『日本衆愚社会』ほか他数。

「2021年 『死と向き合う言葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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