夜は終わらない

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 285
レビュー : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (530ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062189668

作品紹介・あらすじ

婚約者が自殺したとの一報が入った玲緒奈。千住警察署で悲しみにくれる彼女には、次に殺さなくてはならない別の婚約者がいた。セックスや結婚を餌に次々男を惑わし、財産を巻き上げ、証拠を残さず葬り去るのが日常なのである。そんな玲緒奈には不思議な癖があるのだった。
「生きてる意味があることを証明しないと。ね? 私が夢中になれるようなお話をしてよ」
あの世に送る前、男に語らせるのだ。それは、生い立ちでも、創作した話でも構わない。面白いかどうか、で命の長さが決まっていく。最期の気力を振り絞り話を続ける男たち。鬼気迫るストーリーが展開され、物語のなかの登場人物がまた別の話を語り始めたり、時空を超えた設定のなかにリアルなものが紛れ込んだり……全体の物語のなかにさまざまな短篇が入りくみ、海へと流れる大河として眺望できる大傑作。

感想・レビュー・書評

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  •  「千夜一夜物語」のフォーマットに、現代人の病理を突く寓話を幾重にも散りばめた小説。非常に緻密な構成だが、内容はかなり難解で、一読しただけでは容易に理解できない。ノートをとりながら読んだ方がいいだろう。個人的にはラストが気に入らない。

  • 文句なし。素晴らしすぎてぞくぞくした。冒頭は婚約者を殺し、ブランドものにポルシェにペットのフェレットというアイテムを身に着けている玲緒奈視点で始まる。婚約者を連続で殺し、豪華な生活・・・、これはあの事件以来いくつかドラマにもなったりしたあのかたを思い浮かべる、こういう非常にロウな入りなんですが、玲緒奈が男の死に際に物語をせがむところから帯にある通り本当に抜けられなくなる。自分が何を読んでいるのかすら不確かになり、どこかで読み間違えてないか不安になる。けれど抜け出せない。そして、ここまですごい物語たちだから辻褄とか別に期待してなくて(放り出してももらってもかまわないと思って)、けれど最後ただ話に引っ張るだけのアイテム的なイベントとして見ていた冒頭部までがきれいにつながる。ジョルジュ・ペレックの「人生使用法」とドノソの「夜のみだらな鳥」を彷彿とさせる、本当に終わらないまま終わった物語だった。

  • 付き合った男からさんざん搾り取り、やがては命までも奪っていく女。「夜の間じゅう、私が気持ちよくなれるようなお話をしなさい」と、死なそうとしている男に命じる。その内容により、男はつかの間の延命を許される。
    最初は普通のサスペンスなのだが、途中から物語の様相が変わっていく。ある男のするお話の中で、登場人物が誰かに話をする。そしてそのお話の中でまた別の人物に……と、マトリョーシカのように何層にも物語が重なり、次第にその境界線が曖昧になっていくのだ。
    そして最後、結末が冒頭部分にループする。かくして、この物語の「夜」は終わらない……。

  • 読み始めは通俗的なサスペンスかと思ったのですが、違いました。500ページを超える長編、空き時間にちょっとずつ読んでしまったので、訳が分からなくなってしまいました。時間のあるときに一気に読んでしまえば、もっと理解が深まったかもしれません。

  • 命を奪われないためには、価値のある話をしなければならない…。自分を殺そうとする女のために、男たちは必死に物語を紡いでいく。

    猟奇的なミステリーかと思いきや、男たちよって語られる不思議な物語がさらに新たなストーリーを生み出し、すぶずぶと奥底へと引きずり込まれていく。行き着いたと思った先にまた新たな物語があり、浮上したと思うとまだ続きがある。
    いくつもの独立した短編もしくは中編は、続きはどうなるというところで放り出される。が、徐々に物語同士がリンクして境が曖昧になり、最後は現実とともにひとつにまとまっていく。
    作者の仕掛けた複雑な迷宮に翻弄され、迷子になるような感覚の楽しめる読書だった。

  • 文学

  • 現代の日本を舞台にした千夜一夜物語。
    殺人鬼になんか面白い話すれば殺さずにいてやると言われて、夜毎不思議なお話が繰り広げられるのだけど、作者のイマジネーションが爆発していて、面白い。
    物語の中で新たな物語が語られて行く入れ子構造になっていて複雑ではあるけど、あまり深く考えずに物語の中に揺蕩うこともできる。

  • 小話が絡み合って、
    たくさんの小説を読んだような読後感。
    誰の視点なのか、こんがらがった。

    ものすごく微細な描写、星工場の化学的な説明、
    人物性別の入れ替わり劇などなど
    よくこんなこと考えつくなぁ…

    この終わり方。
    レオナとクオンはどうなったのか。

  • いまいち入り込めなかった。
    途中、登場人物の名前がややこしくて分かりづらくて、読みながら苛々してしまった。
    読書が辛いと思った初めての本。

  • 男を惑わし、財産を巻き上げ、葬り去る玲緒奈には
    「死の直前、男に語らせる話の内容でいのちの長さが
    決まる」という不思議な掟があった。最期の気力を
    振り絞り話し続ける男たち。鬼気迫る物語の行方は…。

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著者プロフィール

星野智幸(ほしの ともゆき)
1965年ロサンゼルス生まれ。東京都立戸山高等学校、早稲田大学第一文学部文芸専修をそれぞれ卒業後、産経新聞社記者に。1991年産経新聞社を退職、1991年から1992年、1994年から1995年の間、メキシコに留学。1996年から2000年まで、字幕翻訳を手がけていた。
1997年「最後の吐息」で文藝賞を受賞しデビュー。『目覚めよと人魚は歌う』で三島由紀夫賞、『ファンタジスタ』で野間文芸新人賞、『俺俺』で大江健三郎賞、『夜は終わらない』で読売文学賞、『焰』で谷崎潤一郎賞をそれぞれ受賞している。

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