誉れの赤

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (394ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062189965

作品紹介・あらすじ

「赤備えは戦場の華なり。人に先んじて敵に当たり、比類なき手柄を上げ、そして……無事に生きて帰る者なり」

 戦国最強の部隊――赤備え。戦場で最も目立つ朱の具足をまとった集団が現れただけで、敵兵は畏れ、逃げ惑い、敗れていった。「天下取りの部隊」として諸国に轟いたその強さに憧れる甲斐の地侍の成島勘五郎と、幼なじみの農民飯沼藤太は、武田信玄配下の赤備えを率いる山縣隊に加わり、武功を立てる。武田家が鉄砲を主戦力とする織田・徳川連合軍に長篠の戦いで敗れた後、生き残った勘五郎は徳川に主家を変え、武田の赤備えを引き継いだ、〈赤鬼〉井伊直政のもとで天下取りを目指す。
 鉄砲の出現によって戦国が終わる時、一人の下級武士に何ができるのか。〈赤〉の遺伝子を受け継いだ最後の武士の生き様を描いた長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 戦国最強の部隊として恐れられた武田家の赤備え。甲斐国人である成島勘五郎は、幼馴染の農民飯沼藤太と赤備えに加わり、山県昌景のもと、戦場を駆け回る。
    武田家から徳川家、井伊直政のもと、井伊の赤備えとして、天下を目指していく。
    なかなかに面白い。赤備えの甲州の地侍たちが、無骨者であるが、すごい。流石に、戦国最強の部隊と言われるだけある。ある意味、彼らが家康に天下を取らせた一因でもあるとも思える。

  • 戦国屈指の精鋭部隊「赤備え」と言えば、
    真田幸村率いる真田の赤備えが有名ですが、
    元来、赤備えと言えば、
    武田信玄の家臣で、武田四天王の一人、
    山縣昌景率いる武田の赤備えが元祖です…。

    その後、武田家が滅亡すると、
    山縣隊(赤備え)の生き残りの旧臣たちは、
    徳川家康の家臣で、徳川四天王の一人、
    井伊直政の配下に配属されて、
    井伊の赤備えとして、幕末まで存続します。

    本作品では、
    武田の赤備えの二人の旧臣を軸に、
    山縣昌景が戦死した「長篠の戦い」から、
    井伊直政が指揮した「関ケ原の戦い」まで、
    赤備えであることのプライドが描かれます。

    後世にまで勇名を馳せた、
    武田の赤備えも、真田の赤備えも、主君に、
    天下を取らせることはできませんでした…。

    そして、唯一、これを成し遂げた赤備えが、
    井伊の赤備えでした。
    その所以、武田家から受け継いだ魂、等々、
    それらの一端が、ドラマチックに描かれた、
    読み応えのある作品でした。

    ちなみに…、
    来年の大河ドラマ「おんな城主 直虎」は、
    井伊直政の養母となります…。

  • 誇り、生き様

  • 時代の終わりは、もの悲しいなあという感じ。赤備えも鉄砲や大砲に代わって、殿様も変わって、みんな死んでいくお話でした。

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著者プロフィール

吉川永青
一九六八年東京都生まれ。横浜国立大学経営学部卒業。二〇一〇年「我が糸は誰を操る」で小説現代長編新人賞奨励賞を受賞。同作は、『戯史三國志 我が糸は誰を操る』と改題し、翌年に刊行。一二年、『戯史三國志 我が槍は覇道の翼』で吉川英治文学新人賞候補。一五年、『誉れの赤』で吉川英治文学新人賞候補。一六年、『闘鬼 斎藤一』で野村胡堂文学賞受賞。近著に『新風記 日本創生録』『乱世を看取った男 山名豊国』などがある。

「2023年 『憂き夜に花を 花火師・六代目鍵屋弥兵衛』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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