殺人出産

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 1571
感想 : 256
  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062190466

作品紹介・あらすじ

「産み人」となり、10人産めば、1人殺してもいい──。そんな「殺人出産制度」が認められた世界では、「産み人」は命を作る尊い存在として崇められていた。育子の職場でも、またひとり「産み人」となり、人々の賞賛を浴びていた。素晴らしい行為をたたえながらも、どこか複雑な思いを抱く育子。それは、彼女が抱える、人には言えないある秘密のせいなのかもしれない……。

感想・レビュー・書評

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  • はじめて読んだ作家さんでした。本当ならありえない世界感なのに本当にこれが常識になってしまうような気がしてしまい引きこまれていきました。
    他の作品も是非読んでみたいと思いました!

  • 先日、村田さんのエッセイを読んだ。クレイジ-ではなかったのでほっと胸をなでおろした。(思っていたよりもノーマルなエッセイ)。『殺人出産』で村田作品4冊目。村田作品を読むと重くって「もうこの作家さん読むのやめよう…」とか思うんだけど、なぜか次の本を手にしてしまう…。何やら不思議な力を持っている。


    表紙のデザインからして斬新で斜めにピンクの切り込みがあるようで、眺めながらついつい表紙を指や手で撫でてしまう。表紙からしてインパクトがある。ムダに爽やかな色使い。


    「殺人出産」「トリプル」「清潔な結婚」「余命」の4篇。


    本当に命がけなシステム。順調に産んでも10年以上はかかるし10人も産んだら母体がボロボロになる。やめといたほうがいいよ…→「殺人出産」は、動悸がして吐きそうになった。(でも嫌いじゃないところが不思議)。読んでいるうちに、なにが正しくって何が間違っているのか、境い目が曖昧すぎて自分が立っている地面がぐらぐらと揺れているような衝撃を感じた。やっぱり考えていることが違う。善と悪。合理的、理不尽さがごちゃごちゃになり、麻痺して何が何なのかわからなくなるこの感覚がこわい。ホラーよりもこわい。


    「トリプル」は一転してお笑いじゃないけど、お笑いっぽくって滑稽でした。真弓とママの会話がかなりおかしい。


    「清潔な結婚」は、あー、なんかわかる~と思ったし、愛と結婚が一体化していない結婚っていいなー…と思いつつ、やっぱりなんか違うよなぁ…という違和感。


    「余命」は短いけど、作品内での時間の流れを感じた。なぜか一番ほっとした。


    いまこの価値観で世界は回っているけど、その価値観は明日変わるかもしれない。100年後には消えてなくなっているのかもしれない。まったく違う物事が当たり前になっているのかもしれない。そのギャップに頭が混乱しそうに…。そう思うとすべてが泡のような存在みたいに思えてきた…。


    けど村田さんの作品の中でこれが一番好きかもしれないって感じた。「殺人出産」はちょっときついけどね…。うまく表現できないけど、恋愛と結婚、繁殖が一緒になっているのは当たり前のことなんだけど、結婚して25年くらい経つけど恋愛と結婚は別物だし、それに出産も同じ土俵に置いていいのか…愛ってなんだろう…と時々考えてしまうんだよね…。この本を読んでいると今普通にある倫理や常識がぼやけて見えなくなってしまう。すごいなぁ…と圧倒された。

  • 10人産んだら1人殺せる世界、3人で交際するのが流行る世界、自ら命を経たないとと死なない世界、等とんでもない設定のお話が4つ。恐ろしい恐ろしいと思いながらもつい先を読み進めてしまった。
    今現在常識として考えられていることでも、100年後その常識は常識ではないかもしれない、ということ。確かにその通りだよなあ。

    村田沙耶香さん著作を読んだのは「コンビニ人間」に次いでおそらく2冊目だけど、どちらも「よくそんな話思いつくな〜」というとても個性的なものという印象。

  • 価値観はそれぞれなので、必ずしも今自分が思っていることが自分が正しいとは限らないのだろうな。
    共感はできないけれど。

  • また【正常な倫理観】が分からなくなった。

    いつも村田ワールドにはビックリする反面…合理的!もしかしたら遠ぉーい将来そうなるのかも?と思ってしまう。

    でも…いやいやダメだって!
    生命は尊い。自分の一存で産んだり殺したりしては。愛しあって望んで生まれて大事にすべき。

    「あなたが信じる世界を信じたいのなら、あなたが信じない世界を信じる人間を許すしかない」
    (「殺人出産」)

    私は自分の寿命が決められるなら自分で決めたい。
    生命の冒涜だとしても、ふと思ってしまった。

  • 2019.08.21 読了
    『コンビニ人間』が面白かったので、同じ作者の作品を。分かるところもあったけれど、全体的には気持ち悪いと感じてしまった。正しいってなんだろう。その概念自体が覆される。

  • 奇妙な設定の話4編。

    10人産むと1人殺していい「殺人出産」
    交際する単位が3人の「トリプル」
    性を生活から排除する「清潔な結婚」
    死ぬ時期を自分で選ぶ「余命」

    共感は出来ないけれど、興味深く、フィクションとして楽しみました。

    いつか世界はこうなるのか。
    草食系がもてはやされる昨今、考えられないことではないけれど、私は昔ながらの泥臭い世の中の方がいいなとしみじみ思いました。

  • 2015 キノベス第8位
    キノベスは個人的には本屋対象より好みに合うものが多い。
    そんな中での1冊。

    読後しばし茫然。「10人産んだら1人殺してもいい」生と死の交換が効率的に行われる社会での正義とは。命の手触りとは。考え続けてしまう。覚悟と想像力をもって、この世界の価値観と戦い続ける村田沙耶香という作家を、もっとこの世に問うてみたい、そう思った。【今井麻夕美・新宿本店】

     まるで宇宙の遠く離れた場所から地球の人間という生物を観察しているかのような視点。どうやったらこんな発想が出てくるのか......読んで半年経った今でもどうしても気になり続けている作品。【桐生稔也・川越店】

    さすが書店員さんの書評。的を得ていて簡潔。
    表題作の殺人出産を含め4編の短編集になっている。
    どの作品も今ある価値観を覆す内容。こうやって価値観というものは歴史の中でどんどんと変化していくのかもしれない。

    2014.7 講談社   装幀:帆足英里子

  • 表題作と、他短篇3作を収録した作品。

    「産み人」となり、10人産めば1人殺してもいい、殺人出産制度が認められた世界。
    逆に正しい手続きをせずに殺人を犯してしまった人は捕らえられて、死ぬまで命を産み続けなければならない。
    たとえ男であっても人口子宮を取り付けられ、帝王切開により出産する事になる。

    恋愛の末に性行為があって命が生まれる…という考えはもはや過去のもの。
    子孫を残すためには人工授精が一般的で、産み人ともなると神の様に崇められる存在に。

    なんだか気持ちが悪いお話しでした。

    私自身は子供は授かりもので、自然の流れで…という考えなので、赤ちゃんを量産する世界はとてもじゃないけど受け入れられないと思いました。

    10人産んだ後に行われる殺人も、なんか不気味で怖かった。

    短篇の「トリプル」も、3人で交際する事が主流になりつつある世界を描いたもので、
    斬新な発想で面白くは読めました。

    「清潔な結婚」は家庭内で性行為を排除した夫婦の話しで、これはちょっと笑えた。

    「余命」はほんとに短い4ページのお話しで、これも生と死の概念が全く変わってしまった世界が描かれています。

    世にも奇妙な物語を観た様な気分です。

  • 「産み人」になって10人子どもを産んだら殺人を犯してもいい。殺人が正当化されてる時代。
    そんなの考えられないし、10人生み終えるまで殺意というのが続くのだろうか。
    普通の日常の中で行なわれる違和感。
    ホラーやサスペンスとも違う恐ろしさのある話だった。

    他の3つの話も、そんな不思議な事が正常になってる日常。
    インパクトがあり過ぎて忘れられない本になると思った。

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著者プロフィール

1979年千葉県生まれ。玉川大学文学部芸術文化学科卒。2003年「授乳」で群像新人文学賞(小説部門・優秀作)受賞。09年『ギンイロノウタ』で野間文芸新人賞、13年『しろいろの街の、その骨の体温の』で三島由紀夫賞、16年「コンビニ人間」で芥川龍之介賞受賞。その他の小説に『マウス』『星が吸う水』『ハコブネ』『タダイマトビラ』『殺人出産』『消滅世界』『地球星人』、エッセイに『となりの脳世界』『私が食べた本』などがある。

「2020年 『丸の内魔法少女ミラクリーナ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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