変愛小説集 日本作家編

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  • Amazon.co.jp ・本 (309ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062190657

作品紹介・あらすじ

今最も注目される翻訳家、岸本佐知子氏が「変な愛」を描いた小説ばかりを集め訳した英米文学アンソロジー『変愛小説集』『変愛小説集2』は新聞各紙、多数の雑誌で大絶賛され、翻訳アンソロジーとしては異例の人気シリーズとなりました。
そしてついに、その『変愛小説集』待望の日本版が登場いたします。
「変愛は純愛。そういう目であらためて見まわしてみると、海外の作品のみならず、日本の作品にも、すばらしい変愛小説がたくさんあることに気がつき」、「ここ日本こそが世界のヘンアイの首都であると思え」たという岸本氏が選んだ、現代の12人の恋愛小説の名手による、変てこだったりグロテスクだったり極端だったりする、究極に純度の高い愛のアンソロジー。

形見 川上弘美
韋駄天どこまでも 多和田葉子
藁の夫 本谷有希子
トリプル 村田沙耶香
ほくろ毛 吉田知子
逆毛のトメ 深堀 骨
天使たちの野合 木下古栗
カウンターイルミネーション 安藤桃子
梯子の上から世界は何度だって生まれ変わる 吉田篤弘
男鹿 小池昌代
クエルボ 星野智幸
ニューヨーク、ニューヨーク 津島佑子

感想・レビュー・書評

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  • 「藁の下で蠢いていたもの-それは、小さな楽器だった」
    《藁の夫》より

    「折り合いをつけるべき相手というのが、他人であるうちは、若かった。その相手は、ついには自分のみとなり、わたしたちは死んでいく。だから靴は、磨いておくべきだ。」
    《男鹿》より

    これらが究極の愛なのか、ただの変態なのか、私には全くわからない。
    どの作品の主人公も私の価値観に照らし合わせたら絶対に変態だったし、そんなひとたちでも愛と呼ばれる行為(私にはそれが愛だとは全く思えない)をしているんだから、まあたぶん割となんでも許容される世界なんだなと思った(思うことにした)。

    これに安堵感を覚えるのは絶対に間違ってる気がするけど。

  • 村田沙耶香さんがぶっちぎりに良すぎて他はもう頭に入ってこなかった。

  • 「変わった愛」をテーマにしたアンソロジー。

    木下古栗「天使たちの野合」収録。
    飲み会がはじまる前、駅前広場で女性に声をかけられる。人違いだったようだが、その後もそこで誰かを待っているのが居酒屋からも見える。遅れてきた友人に様子を探りに行かせるが、突然頭が膨らんで破裂する。

    ほかに印象的だったのは、

    生け花教室で知り合った東田一子と束田十子が大地震から非難する、多和田葉子「韋駄天どこまでも」
    (漢字を分解した言葉遊びのような文章や、人が字になって交わるシーンなど)

    藁でできた夫との幸せな暮らしのなか、ふとした瞬間にその夫の中身がこぼれだす、木谷有希子「藁の夫」

    未開部族の集落での恐ろしい儀式の体験が身体に焼きついてしまう、安藤桃子「カウンターイルミネーション」

    いつも足に合わない靴を履く女性がひとりのシューフィッターと出会う、小池昌代「男鹿」

    別れた妻の死をきっかけに会った中学生の中学生の息子から妻の話を聞き、それまで知らなかった一面を垣間見る、津島佑子「ニューヨーク・ニューヨーク」

    など。

    (評価は木下作品について)

  • どの作品も普段の日常からしたら余りにも「変」な状況や設定や主人公達で描かれている。そこに潜む様々な「愛」のかたちに触れるとき、読み手の想像力はその「変愛」を享受してーーここにも編者が望んだと思える愛があるーー、その愛の純度の高さに驚嘆するだろう。彩り豊かすぎる12編が単行本版では収録されていて、文庫版はどんな理由だか知りたくもないが1編収録を見送るという愚かしいほどの編まれ方がされているので、絶対に単行本版で読むことをオススメする。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 村田沙耶香「トリプル」★★★
    木下古栗「天使たちの野合」★★★

  • 読んでる時はパンチ力がないなあ、と感じていたが、読後、それぞれの持ち味を反芻してみると、いやいやどうしてくせものばかりです。最初の川上弘美さんが印象的だったな。村田沙耶香のトリプルは別の場所で既読しており損をした気分。

  • どこが愛?と思ったのもあるが面白い。深堀骨の作品が読みたくなってアマゾンで検索したが意外と高くて保留。

  • 愛はどこに?
    アンソロジーは好きでよく読むんだけど、読みたくない人のも読まなくちゃいけないから大変。

  • 岸本佐知子が選んだ日本の作家による書き下ろし。
    川上弘美はやっぱこういう、水墨画みたいなアワアワした中の怖さ、うまいなーと思った。
    漢字が本の中で蠢き踊り出す多和田葉子、藁の夫とのセレブ?な暮らしの本谷有希子、辺りが面白かった。革靴の話の小池昌代も、初めて読んだけど色気があって素敵。脚って映像的にも綺麗な色気というか、大人という感じ。
    最後に?‼︎てなる話もいいけど、突っ込み不在で不穏な空気が渦を巻くようなタイプもいいな。

    あと装丁画が内容にあってて素敵。MARUUという作家さん。
    前後の岸本佐知子による文章もやっぱり好きだなあ

    「これ全部訳してぇぇぇ!」

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著者プロフィール

作家。
1958年東京生まれ。1994年「神様」で第1回パスカル短編文学新人賞を受賞しデビュー。この文学賞に応募したパソコン通信仲間に誘われ俳句をつくり始める。句集に『機嫌のいい犬』。小説「蛇を踏む」(芥川賞)『神様』(紫式部文学賞、Bunkamuraドゥマゴ文学賞)『溺レる』(伊藤整文学賞、女流文学賞)『センセイの鞄』(谷崎潤一郎賞)『真鶴』(芸術選奨文部科学大臣賞)『水声』(読売文学賞)『大きな鳥にさらわれないよう』(泉鏡花賞)などのほか著書多数。2019年紫綬褒章を受章。

「2020年 『わたしの好きな季語』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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