変愛小説集 日本作家編

  • 講談社 (2014年9月1日発売)
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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784062190657

感想・レビュー・書評

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  • 「藁の下で蠢いていたもの-それは、小さな楽器だった」
    《藁の夫》より

    「折り合いをつけるべき相手というのが、他人であるうちは、若かった。その相手は、ついには自分のみとなり、わたしたちは死んでいく。だから靴は、磨いておくべきだ。」
    《男鹿》より

    これらが究極の愛なのか、ただの変態なのか、私には全くわからない。
    どの作品の主人公も私の価値観に照らし合わせたら絶対に変態だったし、そんなひとたちでも愛と呼ばれる行為(私にはそれが愛だとは全く思えない)をしているんだから、まあたぶん割となんでも許容される世界なんだなと思った(思うことにした)。

    これに安堵感を覚えるのは絶対に間違ってる気がするけど。

  • 天才岸本佐知子による変な恋の物語たち。
    さすがにぶっ飛んだ話が集合してましたわ。

  • 村田沙耶香さんがぶっちぎりに良すぎて他はもう頭に入ってこなかった。

  • 「変わった愛」をテーマにしたアンソロジー。

    木下古栗「天使たちの野合」収録。
    飲み会がはじまる前、駅前広場で女性に声をかけられる。人違いだったようだが、その後もそこで誰かを待っているのが居酒屋からも見える。遅れてきた友人に様子を探りに行かせるが、突然頭が膨らんで破裂する。

    ほかに印象的だったのは、

    生け花教室で知り合った東田一子と束田十子が大地震から非難する、多和田葉子「韋駄天どこまでも」
    (漢字を分解した言葉遊びのような文章や、人が字になって交わるシーンなど)

    藁でできた夫との幸せな暮らしのなか、ふとした瞬間にその夫の中身がこぼれだす、木谷有希子「藁の夫」

    未開部族の集落での恐ろしい儀式の体験が身体に焼きついてしまう、安藤桃子「カウンターイルミネーション」

    いつも足に合わない靴を履く女性がひとりのシューフィッターと出会う、小池昌代「男鹿」

    別れた妻の死をきっかけに会った中学生の中学生の息子から妻の話を聞き、それまで知らなかった一面を垣間見る、津島佑子「ニューヨーク・ニューヨーク」

    など。

    (評価は木下作品について)

  • どの作品も普段の日常からしたら余りにも「変」な状況や設定や主人公達で描かれている。そこに潜む様々な「愛」のかたちに触れるとき、読み手の想像力はその「変愛」を享受してーーここにも編者が望んだと思える愛があるーー、その愛の純度の高さに驚嘆するだろう。彩り豊かすぎる12編が単行本版では収録されていて、文庫版はどんな理由だか知りたくもないが1編収録を見送るという愚かしいほどの編まれ方がされているので、絶対に単行本版で読むことをオススメする。

  • 【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 村田沙耶香「トリプル」★★★
    木下古栗「天使たちの野合」★★★

  • 読んでる時はパンチ力がないなあ、と感じていたが、読後、それぞれの持ち味を反芻してみると、いやいやどうしてくせものばかりです。最初の川上弘美さんが印象的だったな。村田沙耶香のトリプルは別の場所で既読しており損をした気分。

  • どこが愛?と思ったのもあるが面白い。深堀骨の作品が読みたくなってアマゾンで検索したが意外と高くて保留。

  • 愛はどこに?
    アンソロジーは好きでよく読むんだけど、読みたくない人のも読まなくちゃいけないから大変。

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著者プロフィール

岸本 佐知子(きしもと・さちこ):上智大学文学部英文学科卒業。翻訳家。主な訳書にルシア・ベルリン『掃除婦のための手引き書』、ミランダ・ジュライ『最初の悪い男』、ニコルソン・ベイカー『中二階』、ジャネット・ウィンターソン『灯台守の話』、リディア・デイヴィス『話の終わり』、スティーヴン・ミルハウザー『エドウィン・マルハウス』、ジョージ・ソーンダーズ『十二月の十日』、ショーン・タン『セミ』、アリ・スミス『五月 その他の短篇』。編訳書に『変愛小説集』、『楽しい夜』、『コドモノセカイ』など。著書に『気になる部分』、『ねにもつタイプ』(講談社エッセイ賞)、『なんらかの事情』、『死ぬまでに行きたい海』など。

「2023年 『ひみつのしつもん』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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