時速47メートルの疾走

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 89
感想 : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062190909

作品紹介・あらすじ

体育祭でビリになった緑組の応援団長・町平直司が、逆立ちで校庭2百メートル一周することになった。
全国模試4位の成績優秀な伊集院慶一は「俺のせい?」と後ろめたくなり、母親の再婚話をうとましく思う美鈴は「もしかして、私を助けてくれたの?」と動揺し、野球部の四番の大門勝也はとまどいながらも「こいつを応援したい」と思う。

「チーム」シリーズ、「100%ガールズ」シリーズで人気の著者が描く中学生のリアルな青春群像小説。

感想・レビュー・書評

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  • 面白かったです!

    優等生でイケメン、クラスの中の自分というものを、どこか俯瞰して見ている慶一。
    本当は優しい子なのに、わざと悪い言葉使いをしてしまう美鈴。 
    ノリで言ってしまったことで、友達を傷つけてしまったことを後悔している大門。
    病気がちの母のために、家の中華料理店を手伝う町平。

    体育祭でビリになったチームの団長の町平が、逆立ちで校庭を一周する罰ゲームをする。
    その応援団長を決めるじゃんけんに、わざと負けた町平が、カッコいい!
    そして、体操部の忠之が、とても素直でかわいくて~。
    この年頃って、同じクラスでも、
    大人っぽい子と子供っぽい子の差が一番あったように思います。

    最後、真っ暗な校庭を逆立ちで歩み続ける町平と、
    それを見守る美鈴たちの場面がとても感動的でした。
    体育祭や、文化祭、合唱コンクール、
    クラスみんなで成し遂げたことって、何年たっても忘れられない。

    自分にとっては大きな問題が、他の人からしてみたら、大したことではなくて…。
    また、その逆もあって…。
    ちょっとしたことが、可笑しかったり、恥ずかしかったりして。

    「時速47メートルの疾走」タイトルもとてもいいです。
    読了後は、清々しい気持ちでいっぱいでした。

  • 今のところ僕の中の「吉野万理子らしさ」が一番よく感じられた作品。一つのシーンに向かうまでの、そこに立ちあった男の子、女の子たちの心情を描きあげているのだけれど、これだけいろいろなタイプの人をうまく動かして物語を紡ぎあげるなあと感心する。逆に言うと、吉野万理子らしい登場人物というのはまだちょっとよくわからないところがある。表題の時速47mっていうのは読み終わってから、ああそうだったのかとやっとわかった。「疾走」はなくてよかったのでは。僕だったら「時速47m」とつけたいところ。「秒速5cm」みたいに。

  • いやー、良かった…。
    いつもの吉野先生のハートフルさが、青臭い中学生たちの視点によって語られるのでリアルさが痛い。胸に痛い。
    誰しも思い当たる部分があるんじゃないかな、みたいな痛み。
    先生の真骨頂、「等身大の弱さ」みたいのが凝縮されていた。

  • 中2から中3にかけて、受験やクラスでのたち位置に思い揺れる中学生たちの連作。
    運動会の応援団長のバツゲームを中心に、各々のメンバーのエピソードと思い。
    第4章まで読むと、全体が良く見えてくる。
    読後は爽やかと言うより、カッコ良すぎない中学生たちが気持ちいい。

  • 読んで良かった。何気なく手に取ってみたけど、良かった。泣いたと思う。本作のヒロインと「タスキメシ」のヒロインとが重なって読めたことも良かったと思う。妄想が大好きなので。

  • 4人の中学生たちの連作短編。

    優等生で人当たりも良く、先生からも信頼されている伊集院慶一。ガツガツ主張しないでも、みんなに当然のごとく委員長に選ばれる、それもやぶさかでない。でも、そんな態度が放送部の後輩たちにはみすかされ…。

    美鈴は母と二人暮し。離婚して別居している料理人の父の影響で、きちんと出汁から作ったりする料理が得意。中学になって口が悪くなって不良みたいになった、とか保護者たちにも言われているけど、そんな事はない。仕事が出来て、濃い味が好きで大雑把な母は、大学のテニスサークルからの友達を「新しいお父さんにどうか」と紹介し、美鈴が今まで見たことがなかったような笑顔を見せる。悪くない人で、母が乗り気なのはわかるけど、美鈴にはしっくりこない・・・。

    体育祭の応援団長の集まりで、大門がノリで決めた罰ゲーム。ビリになったチームの応援団長は、トラック一周逆立ちをする。冗談のつもりで言ったのに、ノリのいい他の団長たちはOKした。どう見ても押し付けられて団長になってしまった運動部でもないヒラマチでさえもOKしてしまい、やはり奴は体育祭でビリになった。やりすぎちゃいけないおふざけ。イジメに見えてしまわないか気になる。それには小学生の時の出来事があったから・・・

    じゃんけんで負けて、体育祭の応援団長になった町平。団長も、団長会議でノリで決まった逆立ちでトラック一周も、「嫌だ」と言えばやらなくて済んだかもしれないけど、そんな奴だと思われるのが嫌で、逆立ちをすることになった。このために、練習もした。体格も大きくて不良みたいな団長らと、同じクラスの何人か(その中にはちょっと気になってる美鈴も)とが見守る中で、逆立ちのチャレンジをする・・・


    良かった。
    タイトルからは「走り」を想像したけど、陸上の話ではない。

  • 中学生達の小さな青春物語。真っ直ぐと言うか純粋な感じだ。
    2015.3.10

  • 中学生4人の視点で学校生活を描く連作。
    粗野な大門、学級委員で優等生でイケメンの慶一、口は悪くても心優しい美鈴、応援団長を務めた町平。どの子もとてもかわいくて意外とオトナでみずみずしくてとても好きな小説でした。

  • 体育祭の罰ゲームで逆立ちして校庭を一周することになったヒラマチと、彼の周囲にいるさまざまな生徒に視点をあてた連作短編集だ。
    秀才の優等生、料理好きな片親の少女、粗雑な雰囲気の野球部員、といったまったく異なった面々がそれぞれ中学校で見せている顔とはまったく別の内面に怯えや鬱屈や葛藤を抱えている姿が描かれている。
    遠い遠い昔、自分が中学生だった頃の自意識や視界の狭さや苦しさを思い出す。

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著者プロフィール

2005年、『秋の大三角』で第1回新潮エンターテインメント新人賞受賞。『ひみつの校庭』『青空トランペット』(学研)など作品多数。『チームふたり』とコラボしたアニメ『アニ×パラ』パラ卓球編で脚本を執筆。

「2021年 『崖の下の魔法使い』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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