- Amazon.co.jp ・本 (258ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062190916
作品紹介・あらすじ
新選組――その人斬りに、志はあったのか。
男たちに残された最後の夢は、この女性作家に描かれるのを待っていたのかもしれない。
井上源三郎……「おれはここにいていいのか」と自問する齢の離れた幹部。
蟻通勘吾……入隊を勧めた従兄は失踪し、「死番」が続く日々。
近藤周平……美しい顔をもつ局長の養子。
酒井兵庫……粛正された隊士の死を見守る寄越人。
山崎丞……敵も味方も監視し続ける監察方。
中島登……明治になっても、獄で隊士の絵を描き続ける男。
日本の夜明け前――幕末維新を駆け抜け、散っていった「新選組」。幹部たちの華々しい活躍の陰で、語られることのなかった無名隊士たちの人生もまた、あった。夢、希望、そして、家族と生活。新しい世代の書き手による、新しい新選組の物語がここに始まる。
感想・レビュー・書評
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山崎丞の事が書かれているってことで購入。
一鬼夜行シリーズの著者の紡ぎだす新選組というのにも
大いに興味をひかれたけれど、予想以上でした。
新選組の物語の隙間の更に隙間を埋める物語。
主役として語られなかった隊士の話だけではなく、
新選組の物語の中の一部分を切り取って、
それを脇役の隊士の呟き、ボヤキ、葛藤、苦悩などを交えて
主役隊士を含めて描いているので、陰に隠れて見えなかった部分が
浮き上がってきて大満足です。
新選組の動きを知っていた方がいいと思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
新選組始末記番外編短編集といった趣き。
最初の井上源三郎はまだ有名か?島田魁も聞いた事あるな。
当初から参加している試衛館グループが勿論有名なんだが、延べ加入者は凄い数なんだろう。200人くらい?もっと多いのかな?
発足から京都を暴れまわった時期を経て賊軍となり敗軍となるまでが色んな脇役の隊士の視点から描かれる。
そこから沖田聡司や土方歳三、山南敬介らの素顔が描かれる。総じて哀しい話だ。
後世の我々は新選組の末路を知っているから余計哀しい。
100人隊士がいれば100の物語がある。味わいのある短編集でした。 -
家路 山崎丞
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短編作品も上手な人が書くと本当に面白い。本作の主人公は井上源三郎・蟻通勘吾・谷周平・酒井兵庫・山崎丞・中島登の6人。
「夢の燈影」
新選組の裏方ともいえる隊士を描いた作品。こういった作品を読むのは本当に楽しい。今までなかった情報や視点で描かれているので記憶に残る作品になる。これが有名隊士であれば先入観や情報が頭の中にありすぎて退屈さを感じてしまう。 -
壬生での新撰組の日常、そこに触れられている蟻通勘吾の章が面白かった。ライトな作品なので、時代物のとっかかりには良いかも。それにしても、新撰組初期から函館まで行って生き残った島田魁は凄いな。
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新選組もので、幹部以外の脇役ポジションの隊士の目から見た短編集。源さん、周平、蟻通、酒井兵庫、山崎、中島登。若干おセンチではあるけど爽やかで気持ちよく読了。ほろり。
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短編集であるものの、時系列ごとに話は進行していく。なので新撰組の終わりが近づくラスト2つのお話が印象に残った。特に最後の中島登。名前を検索したら出てきた絵が、目にしたことのある新撰組の絵だったので驚いた。まさか隊士が描いていたとは。その絵のタイトルが戦友絵姿と知り、なんだか胸が熱くなった。一鬼夜行シリーズのような話が好きだけど、史実に沿ったお話でもなにか気持ちが揺さぶられるあたり、わたしは小松エメルという作家さんが好きだなぁと改めて感じた。
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ちょっとした何気ない話ばかりだったが、面白かった。
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初読みの作家さん。新選組の短編集で読みやすかった。新選組といえば、光が当たる「近藤」「土方」「沖田」が有名だが、これはその光の当たった彼らの影になった隊士の物語りと思い読み進めた。だが、すぐに「彼らは影の存在などではない。実際に新選組の中に存在し、彼らもまた新選組の隊士として立派に生きた男たちの話だ」と気付く。新選組の中で、悩み、葛藤し、時に微笑ましくもあり、とにかく生きぬいた。特に局長の養子となった周平の心の内が胸を締め付ける。彼らの存在があったから新選組という組織は存在できたのだと思うと感慨深い